高齢社員の継続雇用制度を導入する場合には、以下のポイントを押さえておく必要があります。
スキルや業務内容に見合った賃金設定
賃金は、働く社員のモチベーションにつながる重要なものです。再雇用になれば雇用形態の変更に合わせて賃金が下がるのが一般的ですが、それぞれのスキルや業務内容に見合った賃金設定にする必要があります。
なお、2022年4月の年金制度改正では、働くシニア社員が70歳の退職を待たずに毎年年金額の改定が行なわれる在職定時改定の創設、在職老齢年金制度の見直しなどが行なわれています。
自社の賃金設定の見直しをするときには、高年齢者雇用安定法だけでなく改正された年金制度にも目を向けながら、バランスの良い賃金体系を考えることが大切です。
なお、賃金設定に関しては、既存社員にとっても納得がいくようにすることも非常に重要となります。シニア社員に気を遣いすぎて、既存社員のモチベーションを落としてしまうようなことになれば逆効果です。賃金設定時には、シニア社員と既存社員の両方への配慮が必要となるでしょう。
勤務形態への配慮
人間は、歳をとれば誰しも、老化や体力低下による疲れやすさ、体調不良、持病などが生じやすくなります。また、人によっては、定年前よりも通院の回数等が増えることもあるでしょう。
こうした体調不良等を抱えやすいシニア社員に活躍してもらうためには、以下のように多彩な勤務形態から選択できる仕組みを整備することも大切になります。
- 時短勤務制度
- テレワーク制度
- フレックスタイム制度 など
健康や安全への配慮
先述の勤務形態とも重なることですが、シニア社員には、仕事に対して以下のような悩みや問題が生じやすい傾向があります。
- この作業は体力的に厳しい
- 若い頃のように細かな文字チェックが難しい
- 安全点検はしているものの、最近ミスが多い など
こうした悩みを抱えたシニア社員が仕事で失敗を重ねれば自信を失い、モチベーションも下がりやすくなります。もちろん、業務上の問題も生じてきますし、一緒に働く若手社員等からの不満にもつながります。
企業側では、定期的な面談などで健康状態や、仕事上の悩みなどをヒアリングし、現状に合った役割などを付与する必要があります。
知見や経験を活かせる配置
継続雇用で大切なことは、シニア社員に長く活躍してもらうことです。一方で、近年の日本企業では、役職定年制なども導入され始めています。こうした背景から、一定年齢に達したシニア社員は、課長や部長などの役職から外れてしまうケースも増加するようになりました。
役職は、仕事のモチベーションを保つ要素にもなります。したがって、役職から外れたシニア社員には、これまでの知見・経験を活かせる役割や“シニアアドバイザー”などの役職を与えることも検討する必要があるかもしれません。
70歳までの契約更新の確保
2021年4月1日施行の改正高年齢者雇用安定法では、70歳までの就業機会の確保を「努力義務」としています。(高年齢者就業確保措置)また、厚生労働省では、高年齢者就業確保措置を、たとえば最初は66歳、翌々年は67歳……のように段階的に導入することも可能としています。
こうした話を耳にすると、企業担当者のなかには、高年齢者就業確保措置に対して、以下のような印象を抱く人もいるかもしれません。
- 努力義務だから、しばらくは導入しなくていいだろう
- うちの企業には定年を迎える社員がまだいないから、未導入でも問題はないだろう
しかし、厚生労働省では、70歳までの就業機会の確保について検討を開始していない事業主などに対して、制度の趣旨や内容の周知徹底を主眼とする啓発および指導を行なうことをアナウンスしています。
また、近年の日本において少子高齢化に対応する高齢者雇用の促進は国策です。今後義務化されることも十分にあり得ます。
また、高齢者雇用に関する法律や年金制度が変わるなかで、これから定年を迎える社員にも不安が生じやすくなっています。こうしたなかで社員に安心して働いてもらうためには、事業主が早めに契約更新の仕組み等を整えて試行錯誤していったほうがよいでしょう。
参考:高年齢者雇用安定法Q&A(高年齢者就業確保措置関係)