まず、2022年3月までの仕組みでは、65歳以降の被保険者期間では、退職もしくは70歳到達による資格喪失時に、年金額が反映されるようになっていました。一方で、2022年4月以降、在職定時改定が導入されると、在職中であっても年1回、毎年10月分から年金額が改定されるようになります。
「在職定時改定」制度のメリット・目的
前提として、70歳未満の高齢者は、厚生年金の適用事業所で働いていれば、60歳をすぎて年金を受給していても、厚生年金に加入することが義務付けられています。つまり、年金を受給する一方で、厚生年金の支払いを続ける状態になります。当然、厚生年金の支払い期間や支払額が増えるわけで、年金側に反映される必要があります。
一般の人は、上記を読んで、厚生年金に加入しながら働く高齢者は保険料を払った分だけ、随時年金額に反映されるイメージを抱くかもしれません。しかし、2022年3月までの制度では、65歳以降になると、以下いずれかのタイミングでしか、厚生年金の加入実績は反映されませんでした。
- 企業をやめて厚生年金の加入資格を喪失したとき
- 70歳になったとき
つまり、従来の仕組みでは、65歳~70歳になる前日までの5年間は、毎月保険料を納めているのに年金額が増えないことになります。
高齢者の場合、病気や体力の低下などを理由に、年々働く日数や時間が減る可能性は高いでしょう。そうすれば、収入が減る可能性も出てきます。また、毎月コツコツ保険料を払っているのに、年金額がまったく増えないようでは、働く高齢者のモチベーションも下がってしまうでしょう。
こうした問題の解消を目的に生まれたのが、年に1回、加入状況に合わせて年金額が変わる在職定時改定という制度になります。
「在職定時改定」制度のデメリット・注意点
在職定時改定には、一つ注意点もあります。それは給与・賞与・年金の合計額が大きい高齢者の場合、年金額がカットされる在職老齢年金の仕組みがあることです。
2022年4月以降の在職老齢年金では、基本月額+総報酬月額相当額の合算が47万円を超えた場合に、年金が減額もしくは支給停止になる仕組みになっています。
在職定時改定の導入前、2022年3月までの年金制度であれば、65歳~70歳までは年金額が増えませんでした。年金額が増えないとは、65歳~70歳までの高齢者が、在職老齢年金の対象にならないことを意味していたのです。
一方で、在職定時改定の導入で年金額、つまり収入が増えやすくなると、在職老齢年金に該当することで年金額が減額もしくは停止される可能性も出てきます。