シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)3つのポイント|『7つの習慣』第6の習慣

更新:2022/10/31

作成:2022/10/31

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)3つのポイント|『7つの習慣』第6の習慣

 人生の成功をテーマとした書籍『7つの習慣』は、全世界で4000万部、日本国内でも240万部を売り上げ、ベストセラーとして有名になったビジネス書です。

 同書は、多くのビジネス誌や各界の著名人も非常に影響力のある、役に立つ書籍として推薦されています。

 読んだことはなくても、「名前を耳にしたことはある」という人も多いのではないでしょうか。

 書名の通り『7つの習慣』には、私たちの効果性を高め人生を成功に導くための習慣が、全部で7個書かれています。

 第1から第3の習慣は、自分自身の効果性を高めて自立する(私的成功)ための習慣、第4から第6の習慣は、他者と良い人間関係を築き、共に成功(公的成功)を実現する習慣、第7の習慣が自らの状態を良い状態に保ち続ける刃を研ぐ習慣となっています。

 そして、公的成功を実現する第4~第6の習慣の締めくくりであり、「7つの習慣®」で実現を目指すものこそが第6の習慣「シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」です。

 『7つの習慣』の中では、以下のように述べられています。

「ここまで学んできた習慣はすべて、シナジーを創り出す習慣の準備だったと言える。シナジーを正しく理解するなら、シナジーは、あらゆる人の人生においてもっとも崇高な活動であり、他のすべての習慣を実践しているかどうかの真価を問うものであり、またその目的である」
(スティーブン・R・コヴィー著「完訳 7つの習慣® 人格主義の回復」より引用)

 本記事では、「7つの習慣®」で目指すゴールともいうべき、第6の習慣「シナジーを創り出す」をテーマに、相乗効果(シナジー)とは何か、どのようにすれば実現できるのかを解説します。

<目次>

第6の習慣「シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」とは?

 最初に、シナジー(相乗効果)とは何か、そして、シナジー(相乗効果)の具体的なイメージとなる“第三案”について解説します。

シナジーとは?

 シナジーは日本語では「相乗効果」と表現され、「全体の合計が個々の総和より大きくなる」ことを意味する単語です。

 私たちの日常において、1+1の結果は2です。

 これは数字の計算としては間違っていませんが、1+1の合計が2ではなく、3にも5にも10にもなる…というのが相乗効果です。

 自立した人同士が協力し合うことによって、一人ひとりがバラバラに取り組んだ合計を遥かに上回る成果を手にできる。

 それが相乗効果であり、1+1=2ではなく、1+1が3にも、あるいは10にも、1000になる瞬間です。

 学生時代、あるいは仕事において、「一人ひとりでは無理だったものが、励まし合い、お互いの強みを活かしたことで、期待を超える成果を手にした」という経験、相乗効果が発揮された体験をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。

 このように複数の人同士が協力し合い、個々の合計以上の成果を意図的に生み出すことがシナジー(相乗効果)であり、公的成功が実現する姿です。

シナジーを創り出すことで、何を得られるのか?

 シナジー(相乗効果)を創り出すことで、私達は何を得ることができるのでしょうか。

 たとえば、職場の場面を想像してみてください。職場にはさまざまな社員がいます。

 仕事ができる人、できない人、大きな成果を上げている人、なかなか成果に届かない人…仕事のやり方もパフォーマンスも強みも、一人ひとり様々です。

 しかし、どんなに大きな成果を出す人であっても、1人の人間が出せる成果には限界があります。

 これに対して、先ほど説明したように、1+1の合計を2ではなく、3にも5にも10にも…できる可能性を持っているのがシナジー(相乗効果)です。

 すなわち、私達はシナジー(相乗効果)を創り出すことによって、1人では到達することのできない、大きな目標・大きな成果を手にできるのです。

 同じ部署内だけではなく、他部署の人と、また、外部のパートナーと、さらには顧客や競合と、意図的にシナジー(相乗効果)を生み出すことができたらどうでしょうか。

 シナジー(相乗効果)を発揮するための術を解説しているのが第6の習慣です。

シナジーによって、第三案を生み出す

 「シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」イメージは、三角形のモデル図を見ると具体的に把握しやすくなります。

第3案
 上記の図は、AさんとBさんの2人がそれぞれ持っている案(≒個人の力)を、三角形で表現したものです。

 Aさんの案とBさんの案、2つの三角形の外側の辺を伸ばしていくと、新しく大きな三角形ができあがります。

 シナジーを創り出すというのは、この図のように、複数の人同士がそれぞれのアイデアや強み、発想を発揮し合うことで、一人の合計よりも大きな成果・結果を生み出すことです。

 上記の図では、それぞれの三角形の面積を合わせたよりも大きな三角形が新しく誕生しています。

 新しく誕生したこの大きな三角形を、コヴィー博士は「第三案」と呼んでいます。

 シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)というのは、第三案を生み出すプロセスとも言えます。

シナジーの発揮を妨げるものは何か?

 前章では、シナジー(相乗効果)の概要と、シナジー(相乗効果)を視覚的に表した“第三案”を紹介しました。

 私達は、お互いが協力し合うことによって、一人では成し遂げられない大きな成果、恩恵を得ることができます。

 一方で、私たちが実際にシナジーを発揮するまでの道のりは、決して平坦ではありません。

 むしろ、様々な要因によって、シナジーを発揮したくても、できずに終わってしまうケースの方が多いかもしれません。

 シナジーの発揮を妨げるものは何なのか、本章ではシナジーの実現を妨げる要因を3つ解説します。

 阻害する要因を理解することで、シナジーを生み出すことも容易になるはずです。

1.人は自分と違うものを否定的に捉えやすい

 シナジーの発揮を妨げる1つ目の要因は、私たちは、自分と異なる価値観や考え方を否定的に捉えやすいということです。

 人は、なぜ自分と違う価値観や考え方を否定的に捉えがちなのでしょうか。理由を一言で言うと“居心地が悪い”と感じるからです。

 自分と異なる意見や考え方に触れると、私たちは無意識のうちに、その意見が自分の考え方や価値観を否定するものであるかのように感じてしまいがちです。

 私たちにとって、自分と異なる意見を受け入れることは、ある種の“心の痛み”を伴いますし、また自分の価値観を一旦脇に置く自制心も求められます。

 しかし、そもそも人は皆、それぞれ違う経験をし、違う人生を生きているのですから、考え方や物の見方は違っていて当たり前です。

 書籍『7つの習慣』では、このような一人ひとり異なる考え方や物の見方を、「パラダイム」と呼んでいます。

 自分の意見や価値観も、あくまでひとつの“パラダイム”=物事の見方、捉え方なのです。

 自分と異なる意見も、自分の意見を否定するものではなく、違うパラダイムによって物事を捉えただけなのだと言えます。

 シナジーを発揮するうえで重要なのは、考え方が違う相手を受け入れることです。

 「自分と異なる意見を出してきた相手は、どんなパラダイムで物事を見て、解釈したのだろうか?」「それを理解してみよう、相手に聞いてみよう」というスタンスを持つことが大切です。

 もし「私の意見を否定するような主張をするから、あいつは敵だ!私の意見の正しさを示してやろう!」と考えしまえば、第三案を生み出すことは叶わないでしょう。

2.第三案を生み出すのではなく、妥協してしまう

 2つ目の要因は、第三案を生み出すのではなく「妥協」してしまうということです。

 前章では、お互い協力して相乗効果を発揮することで、新しい大きな三角形=”第三案”を創り出せる、という話をしましたが、別のケースを考えてみましょう。

 お互い違った考えや発想を持っているAさんとBさんですが、一方で2人の間には共通する目的や思惑もあることでしょう。

 先述のように、違った考えや価値観を受け入れようとする時、私達は、痛みや居心地の悪さを感じてしまいがちです。

 その痛みや苦痛を避けようとするあまり、お互いの間で一致している目的や思惑の範囲で「それなら、とりあえずこの辺で手を打ちましょう!」と、ことを丸く収めてしまうのは、実際によくあることです。

 しかし、これはお互いの協力によって生み出された第三案ではなく、「妥協」にすぎません。下記の図を見ると“妥協”と“第三案”の違いがイメージしやすいでしょう。

妥協
 妥協とは、上記の図でいうと、お互いの一致した部分、つまり三角形の重なった部分です。

 もしお互いが妥協してしまえば、得られる結果は、Aさんの三角形とBさんの三角形を足し合わせたものよりも小さくなってしまいます。

 つまり、1+1の結果が、せいぜい1.5の成果にとどまってしまうのが妥協です。妥協は、相乗効果どころか、マイナスのシナジーを生み出すものなのです。

3,防衛的なコミュニケーション

 シナジーの発揮を妨げる3つ目の要因は、防衛的なコミュニケーションです。

 コヴィー博士は、シナジーを発揮できるかどうかには、お互いのコミュニケーションの在り方が大きく関係していると話します。

 相手に対する協力や信頼が少ない状況の場合、私たちが取りがちなのが、防衛的なコミュニケーションです。

 防衛的なコミュニケーションでは、自分の立場を守ることが優先されます。

 言質を取られないよう、用心して言葉を選び、万が一の逃げ道だけはしっかり確保しておく…といったものを想像するとイメージしやすいでしょう。

 防衛的なコミュニケーションが蔓延すれば、シナジーを発揮することからは大きく遠ざかってしまいます。

 防衛的なコミュニケーションに陥らないためには、まず自分自身が信頼される個人となること。これが大前提です。

 すなわち、シナジーを発揮するには個人の「自立」が不可欠だということです。

 私たちの自立を実現させるカギを握るのは、『7つの習慣』に書かれている第1~第3の習慣です。

 そして、私的成功の習慣を実践した次のステップが、お互いの信頼関係を深めるということです。特定の相手に対して、信頼を積み重ねていく。

 『7つの習慣』では、これを信頼残高という考え方で説明しています。

シナジーを創り出すために必要な3つのポイント

 本章では、シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)ために大切な3つのポイントを解説します。

1.相違点を祝い貴ぶ

 記事でお伝えしたように、相乗効果によって新しい第三案を生み出すためには、お互いの違い、つまり相違点の存在がカギを握ります。

 もしも、AさんとBさんの間に違いがなかったら、つまり同じような発想、価値観の人だけの場合どうなるでしょうか。

 この場合、表面上の見解は一致し、議論やいざこざもなく物事が進みそうです。

 しかし、このような関係・関わり方のまま物事を進めても、下図のように1+1=1という結果となり、期待するような第三案は生まれにくくなってしまうでしょう。

お互いに相違点が無いケース
 逆にいえば、AさんとBさんの相違点、お互いの発想や価値観の違いが大きければ大きいほど、得られる第三案の三角形、相乗効果は大きくなります。

相違点が大きいほど第三案は大きくなる
 すなわち、相違点こそがシナジーを生む原動力となるのです。しかし、前述した通り、私たちは無意識のうちに自分と異なる意見に対して警戒心を抱くものです。

 無意識の警戒心や反発に対処して、異なる価値観(パラダイム)を持っていることを受け入れる。

 そして、自分と相手との違いをポジティブに捉え、お互いの相違点を尊び祝うという信念を持つことが肝心です。

2.内面の安定性を保つ

 前節でお伝えした、互いの相違点を祝い貴ぶという考え方は、概念としては分かりやすいものです。

 しかし、それでも人間は、“自分と違った考え方や意見に対して恐怖や居心地の悪さを感じる”という防衛本能を持っています。

 では、シナジーを発揮できる人になるために、私達は何を克服すればいいのでしょうか。コヴィー博士は下記のように言っています。

「創造のプロセスに歩み出すときは、とてつもない不安を感じるものだ。これから何が起こるのか、どこに行き着くのか、まったく見当がつかず、しかもどんな危険や試練が待ち受けているのかもわからないからだ。冒険心、発見しようとする精神、創造しようとする精神を持ち、一歩を踏み出すには、確固とした内面の安定性が必要となる。居心地のよい自分の住処を離れて、未知なる荒野に分け入って行くとき、あなたは開拓者となり、先駆者となる。新しい可能性、新しい領土、新しい大地を発見し、後に続く者たちのために道を拓くのである。」
(スティーブン・R・コヴィー著「完訳 7つの習慣® 人格主義の回復」より引用)

 コヴィー博士が言うように、シナジーを発揮するためには、まず、私たちの内面に確固とした安定性が備わっている必要があります。

 優柔不断でビジョンも目的なく行き当たりばったりで行動する、優先順位を決められず常に時間に追われている…このように内面が不安定のままでいれば、他者と協力してシナジーを発揮することは到底かなわないでしょう。

 内面の安定性は、第1~第3の私的成功の習慣が土台となって初めて実現します。

 相乗効果を発揮するためには、やはり私的成功の習慣を身に付けて自立することが求められるわけです。

3.信念を持って辛抱強く取り組む

 ここまでお伝えしたように、シナジーとは、考え方や発想の違う人同士が協力することによって、これまでになかった新しいもの、一人では得ることのできない大きな成果を創造するプロセスです。

 一方で、人間は変化を好まない側面も持つ生き物です。

 ですから、私たちがシナジーを生み出そうと行動する時に、その行動を妨げようとする抑止力が立ちはだかってくることも往々にしてあります。

 他人の批判ばかりする同僚、強引に意見を押し付けてくる上司、自己主張ばかりする友人…このような相手とも、相違点を尊重し、共に第三案を目指すべきなのかと疑問に思うこともあるかもしれません。

 しかし、考え方や価値観の違いを断固として受け入れようとしない、あるいは、当面の妥協を選んでしまう姿勢のままでは、シナジーを生み出すことからは遠ざかってしまいます。第3案に至るためには、忍耐も求められます。

 「私は相手との違いを尊重してシナジーを創り出せる!」と信念を持ち、辛抱強く関わっていくことで、第三案に至る道が見えてくるでしょう。

 ポイントとなるのは、一時的な感情や苛立ちに身を任せず、自分が実現したいビジョンを見据えること(第2の習慣)です。

 そして、win-winだけが中長期的に良好な人間関係を維持する道だと信じ続けること(第4の習慣)、まず自分から相手を理解しようとすること(第5の習慣)です。

 つまり、第6の習慣を実践するには、やはり手前の第1~第5の習慣まで、5つの習慣をしっかりと実践することが大切なのです。

まとめ

 記事では、書籍『7つの習慣』における第6の習慣「シナジーを創り出す(相乗効果を発揮する)」を解説しました。

 じつは、この第6の習慣こそが、「7つの習慣®」全体の目的です。

 しかし、記事の中でお伝えしたように、私たちの中には相乗効果の発揮を妨げる因子も存在しています。

 シナジーを作り出すためには、私たちの内面の安定性、個人の自立が求められます。

 ハードルを乗り越えた先にあるシナジーがもたらす成果、恩恵は非常に大きなものです。すべての場面でシナジーを創り出すことは難しいでしょう。

 しかし、第6の習慣を、普段の仕事や私生活に意識的に取り入れることができれば、私たちは飛躍的に大きな成果を手にすることができるようになるでしょう。

 本記事が「7つの習慣®」のゴールとなる習慣「シナジーを創り出す(相乗を発揮する)」を実現する参考になれば幸いです。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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