入社当時にみた株式会社イズミの姿
私は創業者の山西義政会長(当時93歳)に請われて2016年1月に株式会社イズミへ入社。
執行役員として人事部や能力開発部を担当し、直近の3年は「イズミ大学」という次世代経営人材育成プログラムの立案・推進とグループ10社の人材育成、そのための研修プログラムの開発や体制づくりを行ってまいりました。
ご存じの通り、イズミは広島に本社を構える流通小売大手です。大型商業施設「ゆめタウン」やスーパーマーケット「ゆめマート」のほか、「ゆめモール」「ゆめテラス」「LECT」など、中国・四国・九州地方に特化して店舗ネットワークを広げています。
山西会長が戦後に裸一貫でスタートさせ、売上7,000億、営業利益350億円に至る会社へといかに築き上げたのかにも大きな関心がありました。
ただ正直、広島に行くまでイズミのことはほとんど知りませんでした。しかし、来てみればあらゆる場所で「ゆめタウン」があり、いかに地域に根差してここまで展開してきたのか、すぐに実感することになりました。
イズミの事業展開戦略は、例えれば、業界最大手のイオンが全国制覇を狙う戦国時代の徳川家康とするならば、イズミは地方豪族のようなものです。その中で、出店はイズミにとって城を築くようなものです。
「ゆめタウン」という城を続々出店し、ドミナント(地域集中)経営で大手に対抗していったのです。いかに早く的確な場所に展開するかに重点を置き、全国でイオンが地方豪族を傘下に収めている中で、数少ない「野武士のような勢力」として地域とともに発展してきました。
入社当時のイズミを見ると、勢いのすごさのようなものは感じましたが、決定的に欠けていたものが2つありました。1つはマネジメント教育で、管理者・マネージャーの育成が遅れていたこと、そしてもう1つはエンゲージメント教育に対する関心が低いことでした。
イズミは正社員約3,000人、パートを含めると約3万人の会社です。この規模になると一人ひとりのモチベーションが事業拡大のカギを握りますが、儲けにこだわりすぎている面が大きく、従業員は疲弊しており、会社の利益を出して喜び合えるような環境にはありませんでした。
人が辞めても「工数がなくなった」という考えになっており、そこにも大きな違和感がありました。マネジメントではなく、コントロールしているような状況だったのです。
人には誰しも感情がありますし、そんな状況では長く働き続けることは難しくなります。ベテラン社員を辞めさせてしまうのは、新人5人分に相当するほどのパワーダウンになります。
離職予防のため、マネジメント層には階層別でヒューマンスキルを向上させていくのが必要だと感じ、まず最初に創業者を含む役員向けに「エンゲージメント研修」を開催したことを皮切りに、全店舗(当時100店)の店長や次長など、現場における管理者教育に着手しました。






