ピープルマネジメントとは?
まずはピープルマネジメントの概要を紹介します。
ピープルマネジメントとは
ピープルマネジメントとは、メンバーの一人ひとりと向き合い、メンバーの成長、成功をサポートし、一人ひとりの潜在能力や可能性が最大限に引き出すマネジメント手法です。一人ひとりのエンゲージメントやモチベーションが高まることで、組織全体のパフォーマンスも高まります。
ピープルマネジメントは、従来の指示・監督を中心としたマネジメント手法とは異なり、メンバーの個性や能力を尊重し、主体的に行動するように促していくことで、組織全体の向上を図ることができるのが特徴です。
ピープルマネジメントと管理・統制型マネジメントの違い
ピープルマネジメントは決して新しい概念ではありません。“人を大事にする”という考え方自体は昔からある思想です。
ただ、企業の組織規模が大きくなる中で、従来の主流となってきたマネジメントは組織の目標達成のために社員を管理・統制するアプローチでした。軍隊における指揮命令系統、またチェーンストア理論などにみられるように中央集権型で意思決定して、上意下達で実行していくイメージです。従業員は、組織の「パーツ」であり、「歯車」として、社員個々のニーズや人間性は二次的なものとされがちでした。
これに対して、ピープルマネジメントは社員の人間性を尊重し、一人ひとりの成長と自己実現を支援することに重きを置いたマネジメントの考え方です。上司は対話を通じて目標設定や役割分担を行い、フィードバックを活発に行うことで社員の成長を促します。また人格的・心理的なニーズにも着目し、働きがいや自己実現をサポートすることで、生産性を高め、イノベーションを創出することを目指します。
組織の目標達成、実行の合理性に焦点を当てた管理・統制のアプローチである従来型マネジメントに対して、ピープルマネジメントは社員一人ひとりの成功や自己実現を重視して主体性と創造性を引き出すことを目指すマネジメント思想です。
両方にメリット・デメリットや適切なステージがあり、一概に優劣があるものではありません。大きな流れとして大量生産×効率化の時代にはフィットしていた従来型マネジメントが、イノベーションや創造性を求められるVUCAの時代に入って不適合な部分が目立ち始め、それを埋めるものとしてピープルマネジメントにフォーカスが向いているという形です。
ピープルマネジメントとタスクマネジメント
ピープルマネジメントを前述のような「一人ひとりと向き合う」という狭義の意味ではなく、タスクマネジメントと対比させて、「人のマネジメント」という広義の意味で使うこともあります。
組織においてリーダーがマネジメントする対象は、大きく分けてタスク(事柄)とピープル(人)の二つがあります。
これは、リーダーの機能をP機能(目標達成行動)とM機能(集団維持行動)によって分類するPM理論に照らし合わすとイメージしやすいかもしれません。
タスクマネジメントは、目標達成に焦点を当てたものであり、ゴールから逆算して論理だって進行、意思決定していく側面が強いものです。これに対し、ピープルマネジメントは、人の目的意識やモチベーション、チームビルディング、協働意識や参画意識など、「人」の意識や関係性に対するマネジメントです。
タスクマネジメントとピープルマネジメント、組織のマネジメントにおける両輪であり、2つがそろうことで組織はハイパフォーマンスを発揮できるようになります。
タレントマネジメントとの違い
ピープルマネジメントの類義語としてあがってくることが多いのが、タレントマネジメントです。2つを比較してみると、ピープルマネジメントへの理解がより深まるでしょう。
ピープルマネジメントとタレントマネジメントは、人に関するマネジメントである点は共通していますが、人材の位置づけや成果を出すためのアプローチに大きな違いがあります。
タレントマネジメントは、組織開発の視点や能力、スキルへの注目が強いものです。人材を組織の成果を生み出すリソースと位置付けられ、組織内のリソースをいかに効率よく活用して成果を最大化させるのかに重点が置かれます。
タレントマネジメントシステム等のツールと一緒に語られることが多く、従業員の経歴、資格、スキルなどを可視化して一括管理し、人事戦略などに基づいて人材を適材適所に配置することで、強みを最大限に発揮できるようにしていきます。
一方で、ピープルマネジメントは、タレントマネジメントと比べると個人によりフォーカスし、また定性的なエンゲージメントや感情、人と人の間にある関係性などに焦点をあてた概念だと言えます。一人ひとりの成長や成功にコミットメントしていくことでエンゲージメントを高め、個人の力を最大化させることで組織としての成果も最大化させるアプローチです。
ピープルマネジメントにおいては、人材は投資の対象である「資本」として位置付けられ、付加価値やイノベーションを生み出していくための投資対象と位置付けられます。
タレントマネジメントが可視化された経歴、資格、スキルで人材を管理するのに対し、ピープルマネジメントでは、まだはっきり表には出ていない潜在的な力を引き出すことが重視されます。そのため、メンバーの一人ひとりと向き合うということが重要になり、上司の側は、相手の隠れた強みを見つけ出し、それを伸ばしていくといったことが求められるようになります。
見つけ出した強みを活かせるようにし、ときにチームとして他者の強みともうまく掛け合わせながら、機械やAIには生み出すことのできない新たな価値を創造していけるようにしようとするのがピープルマネジメントです。
2つの概念は優劣などがあるものではありませんが、上記のように異なるニュアンスや文脈で使われます。











