リーダーシップのリスキリングとは?必要性と令和のマネジメントに求められるスキルを紹介

リーダーシップのリスキリングとは?必要性と令和のマネジメントに求められるスキルを紹介

令和の時代になり、DXやAIによって働き方が大きく変わりつつあります。変化に対応するために、新たな知識や技能を習得する必要性が認識され、「リスキリング」という言葉が頻繁に用いられるようになりました。

 

リスキリングは「ITやAIスキルの習得」という文脈で使われることが多いですが、学び直しが必要なのはITスキルだけでなく、マネジメントやリーダーシップでも同様です。

 

過去とは価値観や働き方が大きく異なる令和の時代に昭和型のマネジメントをしていると、部下をパフォーマンスさせられない、場合によっては退職を招いてしまいます。

 

記事では、なぜリーダーシップのリスキリングが必要なのか、どのようにして令和型マネジメントに対応できるようにすればいいのかを紹介します。

 

 

<目次>

リーダーシップのリスキリングとは?

一般的に「リスキリング」という単語からは、IT知識や技能を身につけることを思い浮かべる方も多いでしょう。

 

DXやAIがビジネスの現場に浸透していくのに伴い、最先端のデジタルツールやAIをいかに活用して組織として成果をあげていくかは、多くの企業にとっての課題です。

 

深刻な人手不足に直面する企業にとって、こうした最先端テクノロジーに対応するための学び直しは、これからの時代に生き残っていくためにも非常に重要になってきますので、DXに付随するリスキリングは非常に大切です。

 

一方で、IT技術がこの数十年で大きく進化してきたのと同じように、雇用に関する常識や価値観も大きく変わっています。

 

たとえば、終身雇用の崩壊と雇用の流動化、年功序列から成果主義・ジョブ型への移管、リモートワークや副業、フリーランスといった働き方の多様化など、働き方は大きく様変わりしています。

 

また、こうした働き方と外部環境の変化を受けて、これまでトップダウンの管理統制型の組織が中心だったものが、これからの時代は変化に柔軟に対応し、イノベーションを生み出していけるボトムアップの価値共創型の組織に変わっていくと言われています。

 

時代の変化による価値観の多様化の影響もあり、上からの一方的な指示・命令で人を動かすというのは難しくなってきています。

 

こうした変化の中でマネジメントする管理職は、新たなマネジメントのスキル、リーダーシップの発揮方法を身に付ける必要があります。これこそが、リーダーシップのリスキリングが必要な理由です。

 

 

リーダーシップをリスキリングする必要性

先ほどの時代変化も踏まえて、リーダーシップをリスキリングする必要性を確認しておきましょう。

 

正解の無いVUCA時代への対応

日本経済が右肩上がりだった昭和の時代には、成果を出すための正解の型がある程度見えており、その正解に少ない時間と労力で到達できるようにするのかが重要でした。

 

そのため、上司が正解を示し、部下にひたすら模倣・実行させるというマネジメントが、一番効率よく成果を出せる方法でした。

 

しかし、正解の無いVUCA時代ともなってくると、そのようなマネジメントでは対応が難しくなります。

 

上司の考えていることが正解であるとは限らず、むしろ現場や顧客に近い立場にいる部下の方がイノベーションにつながるようなアイデアを持っているということもあり得ます。

 

そのような中で、イノベーションを生み出せる組織になるためには、上司が一方的に意思決定して指揮・命令するマネジメントから、部下と対話した上で意思決定し、柔軟に変化対応するマネジメントが必要になってきます。

 

DXやAIによる組織変化への対応

ITやAIの進化に伴って、これまで人の仕事だったものがどんどん置き換えられています。

 

この中で人に求められているのは、まだまだAIに置き換えられない感情を扱うコミュニケーション、隠れたニーズや要望をヒアリングして適切な提案を行うソリューション提案、チーム内で協働して新たなものやイノベーションを生み出す価値創造といったものになりつつあります。

 

年功序列も崩れて雇用が流動化した中で、こうした業務を実施できる人はいつでも転職できる市場価値を持っています。

 

その中で、部下に対して指示を与えて、それを忠実に実行させるというやり方でエンゲージメントを高めたり、成果を生み出したりすることは難しくなってきます。

 

役職や待遇だけではない働きがいを提供し、部下の価値観や感情に寄り添うマネジメントができるようになっておくことが、これからの時代には重要になってきます。

 

従業員の価値観変化への対応

上述したような働き方の変化が起こる中で、働き方に関する価値観が世代間で異なる事態も起こっています。

 

とりわけ、いま管理職が多い40代50代を中心とした昭和世代と、20代前半から中盤までの令和世代では、仕事に対する常識や意識、価値観に大きな隔たりがあります。

 

前述してきたような役職や年齢を権威として上意下達して実行させるマネジメント、会社の常識に従い、プライベートよりも仕事を優先することが当たり前といった価値観は通用しなくなっています。こうしたマネジメントをしていれば、モチベーション低下や離職を引き起こします。

 

こうしたトラブルを避け、組織をパフォーマンスさせるためにも、時代に合ったリーダーシップを学び直すことが重要になってきます。

 

 

組織を守るためにもリーダーのリスキリングは重要

リーダーシップのリスキリングには組織の生産性を高める以外に、トラブルから組織を守る側面もあります。具体的に、その中身を見ておきましょう。

 

パワハラ防止義務化への対応

2020年6月よりパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)が施行され、大企業においてパワハラの防止が義務化されました。2022年4月においては、努力義務とされてきた中小企業においてもパワハラの防止が義務化されるようになり、今や全ての企業において対応が必要になっています。

 

パワハラやセクハラを始めとしてハラスメントに対する価値観や考え方もこの数十年で大きく変わりました。たとえ悪意がなかったとしても、昔ながらの価値観で指導してしまうと、トラブルになりかねません。

 

パワハラを発生させてしまうと、職場の士気が低下してしまうだけではありません。今の時代にはSNSで拡散されてしまい企業イメージが悪化する、また人材採用などに影響が出てしまうことも考えられます。

 

このようなことにならないようにするためにも、時代に合った指導法を身につけることが重要になってきます。

 

コミュニケーションのトラブルを防ぐ

円滑なコミュニケーションを行うためには、共通認識を持っておくということが重要になってきます。

 

しかし、世代間の価値観のギャップに加えて、近年は世間や教育が「価値観の多様性」を認める方向に進んできています。結果として、組織内の価値観は多様化し、共通認識を持ちにくくなったことで、コミュニケーションのトラブルは起こりやすくなってきています。

 

そうした中で、コミュニケーションのトラブルを防ぎ、イノベーションを起こせる組織にするためには、管理職やリーダーが相手の価値観を理解したうえで働きかける対話力を身につけることが必要になってきます。

 

若手の活躍と業績向上

昭和の価値観からすると、「今の若いものは…」と感じることもあるかもしれません。しかし、生まれ育った環境が変われば価値観は変わってくるものです。

 

少子化が進むなかで、一定以上のレベル、また、優秀な人材を確保する難易度は加速度的に増しています。そうした中で、20代の若手を定着・活躍させられない組織は衰退し、企業存続の危機にもなりかねません。

 

企業を存続させるためにも、リーダーが古い考えから抜け出し、新しい時代の考え方に合わせられるようにしていくことが重要になってきます。

 

 

令和型マネジメントに求められるリーダーのスキルとは

ここでは令和型マネジメントでは具体的にどのようなスキルが求められるかを解説していきます。

 

価値共創のための対話力

イノベーションを創出するために必要となるのが、「仕事は見て覚えなさい」という昭和型マネジメントから、「部下と一緒に考えながら丁寧に伝えていく」という令和型マネジメントへの切り替えです。

 

価値共創型の組織では、一方的な指示・命令で人を動かすというわけにはいきません。

 

イノベーションにつながる可能性のあるアイデアを持っているかもしれない部下から、アイデアをうまく引き出し意思決定につなげていくことが、これからの時代には重要になってきます。

 

そのためにも、傾聴、承認、質問といったようなコーチングでも用いられるスキルを身につけ、対話力を磨いていくことが必要になってきます。

 

対話を重ねることでイノベーションの種を見つけ出し、それを育てていくことがリーダーの重要な役目になってきます。

 

部下の強みを活かす育成力

決まった正解・型に向けて、減点につながる課題を克服していくことが、昭和のやり方でした。

 

「出る杭は打たれる」という言葉もあるように、飛びぬけて優秀な能力を持った人は、周囲に同調するように求められ、それができないようなら離職してしまうこともよくありました。

 

一方で、今の時代は「優秀な人ほど、すぐに辞めていってしまう」と嘆く採用担当者も多いものです。

 

管理統制型の組織においては、上から指示や命令に忠実に従うことが求められるため、個人が強みを発揮して何かをするということはやりづらくなります。

 

ところが、価値共創型の組織になってくると、イノベーションを生み出すために、一人ひとりの「強み」を活かすことが大事になってきます。

 

部下の強みを見つけ出し、それをうまく伸ばしていくことが、部下個人のエンゲージメント向上だけでなく、イノベーション創出による強い組織づくり、また組織のパフォーマンス向上につながります。

 

これからの時代の上司には、部下の強みを見つけ出しそれを伸ばしていく育成力が求められるようになっていきます。

 

ボトムアップ型のチームビルディング

ご紹介の通り、トップダウン型・管理統制型の組織からボトムアップ型・価値共創型の組織への移行が進んできています。

 

イノベーションのきっかけは、どこにあるのかわかりません。

 

上司が全ての答えを知っているとは限らず、むしろ現場に近い部下の方が顧客ニーズを掴めている場合も多いでしょう。

 

そこで重要になってくるのが、部下の声を吸い上げて意思決定につなげていくスキルです。

 

いち早くイノベーションを生み出し、成果につなげていけるようにすることが、激しい競争の中で生き残っていくために必要なことになってきます。

 

チームビルディング研修については以下でも解説しているので参考にしてください。

リーダーシップのリスキリングに役立つサービス

令和型マネジメントにおいて、リーダーにとってどのようなスキルが必要になるのかがイメージいただけたでしょうか。次に問題になってくるのが、「どうやってそれを管理職層に身につけさせればいいのか?」です。

 

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、リーダーシップのリスキリングに役立つ以下の研修を提供しています。

 

デール・カーネギー式のリーダーシップ&コミュニケーション研修

自らが上意下達型のマネジメントのなかで育ってきた管理職の中には、急に対話と言われても戸惑ってしまう人が多くいます。自身が実際に体験して学んだことでなければ、実践するというのは難しいものです。

 

そこでお勧めなのが、デール・カーネギーの「【人を動かす】リーダーシップ&コミュニケーション研修」です。

 

この研修は、ワークと実践が中心で、人間関係の原則からスタートし、コーチングテクニックやイノベーションを起こす(起こさせる)方法といった、すぐにでも実務に活かせる内容を学べます。

 

昭和型の指導から脱却し、“圧”に頼ることなく良好な人間関係を築けるようにすることで、価値共創型のマネジメントができるようになるでしょう。

 

強みを活かすストレングス・ファインダー®研修

正解が明確だった時代のマネジメントは、弱点克服に重点が置かれていました。

 

そのため、部下と接する時には、どうしても弱みにばかり目が行きがちでした。日本人のマジメな性格も相まって、強みを活かしたマネジメントのやり方がよく分からないという管理職も多くいます。

 

そこでお勧めなのが、世界的な才能診断ツールであるストレングス・ファインダー®を活用した「ストレングス・ファインダー®研修」です。

 

世界2300万人が受検した強み診断を使って、個人として自分の強みを活かして仕事の成果、パフォーマンスにつなげる方法が身につく研修です。メンバーの強みを引き出し、組み合わせてハイパフォーマンスを引き出すマネジメントもできるようになります。

 

良好な人間関係を構築しシナジーを生み出せる「7つの習慣®」

管理統制型のピラミッド組織は、上からの指示・命令を受けて動くため、どうしても組織風土が指示待ちになってしまいやすい傾向があります。また、ピラミッドを効率よく動かす中で、各組織がサイロ化し部門間や職種間の対立が生じてしまうケースもあります。

 

そのような管理統制型の組織の問題点を解決するのにお勧めなのが、「7つの習慣®」研修です。

 

成功を収めた人たちに共通する原理・原則をまとめた7つの習慣®を身につけ、主体的に行動できるようになり、ボトムアップ型のマネジメントにつなげることができます。

 

また、Win-Winの関係を築くことができるようになり、シナジーを発揮することを学ぶことで、共創型組織の実現にも役立ちます。

 

 

リーダーシップのリスキリングを通じて令和に成長する組織を作る

管理職層におけるリーダーシップのリスキリングは、時代の変化に合わせて成果を出せる組織にしていくためには非常に重要な概念です。

 

リスキリングというとITスキルの方にばかりに目がいきやすいものですが、リーダーシップのリスキリングも不確実な時代を乗り越えるためには欠かすことのできないものです。

 

令和の時代にも継続して成果を生み出せる組織を作るため、参考になれば幸いです。

 

 

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
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