1on1ミーティングで話すこととは? 上司と部下のための1on1の目的とテーマ例を紹介

更新:2022/06/21

作成:2022/06/21

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

1on1ミーティングで話すこととは?上司と部下のための1on1の目的とテーマ例を紹介

 最近では、マネジメントに1on1ミーティングを導入する会社が増えています。1on1ミーティングには信頼関係の構築や部下の成長促進といった効果があり、全社の制度として導入されることも少なくありません。

 しかし、回数を重ねるうちに上司側だけでなく、部下側も「何を話せばいいのか」と迷ってしまうことがあります。こういった状態では1on1ミーティングの効果が半減してしまいます。

 本記事では1on1の実施目的をはじめ、扱うべきテーマや話す事柄を解説します。具体的なテーマ例も紹介しますので、1on1実施の参考にしてください。

<目次>

1on1の実施目的

面談風景のイメージ
 
 1on1ミーティングは上司と部下で行なう個人面談を指し、実施目的としては大きく以下の3つが挙げられます。

信頼関係の構築

 1on1ミーティングの実施頻度は企業によって異なりますが、毎週や隔週、あるいは月に1回などの間隔で実施するのが一般的です。定期的な実施によって上司は部下のことを理解しやすくなりますし、部下にも「上司に理解してもらっている」という感覚が芽生えます。

 また、さまざまなテーマの会話をすることで部下と上司の相互理解が深まり、信頼関係の構築に効果的です。

 そもそも1on1は、信頼関係が十分に構築されていないと部下が本心を話してくれず、得られる効果が薄くなります。もちろん相互理解と信頼関係は1on1の実施だけでなく通常の業務にも有効です。したがって、1on1を実施する最初の目的には「信頼関係の構築」を設定するとよいでしょう。

部下の成長促進

 1on1は上司が一方的に話すのではなく、部下から答えを引き出すための場です。設定したテーマやトピックに対する部下の話を聞き、コーチングのように適切な質問を投げかけて部下の意見や考え、そして、自主性や主体性を引き出していきます。

 部下の思い描いているキャリアや願望、実現したいことなどを部下自身に語ってもらうことで、思考を整理したり、新しい気付きを与えたりすると共に、成長へのモチベーションを促進させる効果が期待できます。

エンゲージメントの向上

 1on1は1回30~60分のミーティングを毎週や隔週といった短い期間で実施するため、メンバーの変化や課題を素早く捉えて対応することが可能です。部下の課題や成長を的確にサポートすることで、部下から上司への信頼は深まるでしょう。

 1on1によって上司との信頼関係が構築され、さらに自身の成長実感が得られると、組織のエンゲージメントも向上します。エンゲージメントの向上はメンバーの主体性を高めるとともに、組織全体の成長や競争力の強化につながります。

1on1で話すべきこと、話してはいけないこと

 1on1は評価面談や業務MTGと混同されやすいものですが、成果や行動を評価したり、業務の進捗確認をしたりする場ではありません。メンバーの成長を促し、エンゲージメントの向上を図るためにも、緊急性はないが重要なことをテーマにすることが基本です。

1on1で扱うおもなテーマ

 1on1では、緊急度が低く重要なテーマを、部下の興味関心にしたがって扱うのがおすすめです。例えば、部下の価値観や今後の人生、仕事でどのようなポジションに就きたいか、どのようなことに挑戦したいかといったテーマは、1on1に最適でしょう。

 また、1on1の大きな目的は部下の成長です。したがって、メンバーの話を聞き、適切な質問を入れながら答えを考えてもらうことが大切です。

<1on1で扱うおもなテーマ>
  • 仕事の課題
  • 今後のキャリア
  • 挑戦したいこと
  • 成長テーマ
  • 価値観、人生観
  • 近況
  • 困っていること

1on1のメインテーマにすべきでないこと

 1on1は評価面談や業務MTGではありませんので、業務進捗や人事評価に関わるテーマは扱うべきではありません。部下が望む場合は業務進捗や評価、上司からのフィードバックなどを行なってもよいですが、「いつもの業務MTG」や「上司から一方的に話す場」にならないようすることが大切です。

 また、場の雰囲気を和ませるために雑談を入れることも大事ですが、雑談に終始してしまってはいけません。実施目的を意識しつつ、部下を主体に進めていくようにしましょう。

<扱うべきでないテーマ>
  • 業務進捗
  • 人事評価
  • ただの雑談

【目的別】1on1で話すべき事柄の例

面談するカジュアルな服装の男性
 
 1on1で話すべきテーマは、目的によってある程度分類することができます。「信頼関係の構築」「部下の成長促進」「エンゲージメントの向上」といった目的に対し、テーマ例を紹介します。

信頼関係の構築を目的にする場合の例

 信頼関係の構築や相互理解を深める目的では、プライベートに関する内容や仕事に対する思い、やりがいなどをテーマにするのが効果的です。

 休日の過ごし方や趣味などの話は、相互理解を深めやすいとともに、会話の雰囲気を和ませるアイスブレイクとしても有効です。また、どのような気持ちで仕事に取り組んでいるのか、どのようなことにやりがい、モチベーションを感じているのかを知ることは、適した業務のアサインにもつながります。

<話すべき事柄の例>
  • 休日は何をしていますか?
  • 最近はハマっていることはありますか?
  • 趣味は何ですか?
  • 今の仕事に対して思うことはありますか?
  • 仕事のどのようなところにやりがいを感じますか?
  • 近況
  • 困っていること

 など

 部下の話を一方的に聞いているだけでは本音を話してくれない可能性もあります。そんなときは自分の話を交えつつ、自己開示をしながら話を聞くようにするとよいでしょう。

 ただし、なかにはプライベートな話を嫌がるメンバーもいます。無理に聞き出そうとすれば信頼関係どころか不信感を抱かれてしまいます。相手の反応を見ながら聞いていきましょう。

部下の成長促進を目的にする場合の例

 部下の成長促進を目的とする場合は、仕事における課題や目標、今後のキャリアなどをテーマにするのがおすすめです。現在直面している課題などを聞き、解決策を自分で考えさせることで成長につながります。

 また、今後身に付けたいスキルや目標とするキャリアについても、的確なアドバイスをすることでモチベーションが向上し、実現に向けて自律的に取り組めるようになるでしょう。

<話すべき事柄の例>
  • 5年後、どうなっていたいですか?
  • 今後どのような業務に取り組みたいですか?
  • 今後の目標やキャリアは?
  • 今の仕事で課題に感じていることはありますか?
  • 仕事でどんな分野やスキルに興味がありますか?

 など

 アドバイスする際は、部下が抱えている課題に対していきなり解決策を与えてしまったり、上司が一方的に話したりしないように注意しましょう。

 部下がなかなか解決策にたどり着けないケースもありますが、だからといって、一方的にすべての答えを与えてしまっては成長することができません。また、上司の正解が部下にとっても正解だとは限りません。アドバイスや上司の考えを伝えたりしながら、自分で考えてもらうことが重要です。

エンゲージメントの向上を目的にする場合の例

 エンゲージメントの向上を目的とする場合は、経営戦略を共有したうえで戦略に関するテーマを話すとよいでしょう。ただし、ビジョンや戦略を共有するのは、上司からの一方的な会話になりやすいため、部下の疑問や考えをうまく引き出しながら進めることが大切です。

<話すべき事柄の例>
  • 今の組織をより良くするために何ができると思いますか?
  • 会社の方針やミッション・ビジョンについて、どう思いますか?
  • 事業や組織に対する課題感や提案はありますか?
  • いまの組織や方針について気になることはありますか?
  • 価値観、人生観
  • 近況
  • 困っていること

 など

 仕事のテーマからエンゲージメントを向上させるためには、ミッションやビジョン・経営計画などが自分事になる、自分の意見が組織の方針や施策に反映される、自分の仕事に意味づけされるといったことがポイントになります。

 特に自分が会社の経営にどう関わっているかを知ることで、モチベーションやエンゲージメントがより向上しやすくなるでしょう。

1on1は上司から一方的に話すものではない

 1on1は部下が主役となるものであり、部下が話す割合を多くする必要があります。したがって、上司が「話すことがない」「何を話せばいいのか」と悩む必要はないといえるでしょう。ただし上司は、部下の話に対して適切な質問を入れたり、回答に導いたりする必要はあります。

 上司が話す割合が多い1on1は失敗だともいえます。上司は、話のきっかけを振る、問いを与える、といった役割に徹することが成功のポイントです。1on1をうまく進めるためにも、相手の意欲や答えを引き出す「コーチング」の基礎スキルを習得しておくことがおすすめです。

部下にとっての1on1

 部下からすると、1on1は上司との時間をもてる場だといえます。1on1は現状抱えている課題に限らず、中長期的なテーマを扱うことも多く、一回のミーティングで結論を出したり、意思決定したりする必要はありません。

 前述のテーマを参考に、自分が提案したいこと、質問したいこと、相談したいことなどを自由に話せば良いのです。社会人としての経験を持ち、組織における情報や権限も多く持っていることが多い上司の視点や意見、考えを引き出す場として考えてもよいでしょう。

 部下からすると、1on1を以下のような場だと捉えるとよいでしょう。

<部下が得られる効果>
  • 自分の考えが整理できる
  • 仕事に対する不満や不安が解消される
  • やるべきことが明確になる
  • キャリアのヒントが得られる
  • 上司の意見を聞ける

まとめ

 1on1のおもな目的は信頼関係の構築、部下の成長促進、エンゲージメントの向上です。上司は1on1を通してメンバーの価値観や状況を把握し、抱えている課題の解決や今後の目標、将来のキャリア形成などを手助けします。

 1on1では、上司が聞き役に徹し、適度な質問を入れながらメンバー自身に答えを考えさせることが大切です。また1on1は緊急度が低く重要なテーマを、部下の興味関心にしたがって扱うのが基本となりますので、上司からの一方的なフィードバックや業務進捗をチェックする場にならないように注意が必要です。

 1on1を実施する際には、記事で紹介したテーマ例を参考に実施してみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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