プロジェクトマネジメントとは?|目的や必要なスキル、成功のコツを紹介

更新:2023/12/22

作成:2023/05/20

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

プロジェクトマネジメントとは?|目的や必要なスキル、成功のコツを紹介

プロジェクトマネジメントとは、「期間限定の組織である“プロジェクト”を、人・資金・タスクなどのリソースをやりくりして、ゴールや成果に向けて動かすこと」を意味する言葉です。

 

ビジネスのなかでは、プロジェクトを組んで動かす仕事も多々あります。

 

プロジェクトを成功させるためには、関わるタスクや進捗、資金や人などを適切に管理・ケアするプロジェクトマネジメントが大切となります。

 

本記事では、プロジェクトマネジメントの概要と価値、具体的な内容を確認します。

 

後半では、実際にプロジェクトマネジメントに携わる方向けに、プロジェクトマネジメントに必要なスキル、プロジェクトマネジメントを成功させるコツ、プロジェクトマネジメントに関する資格を紹介します。

<目次>

プロジェクトマネジメントとは?

まず、プロジェクトとは、「特定の目的のために構築された期間限定の組織」を指す概念です。プロジェクト組織として取り組む事柄を指して使われることも多いでしょう。

 

また、マネジメントとは、「組織が成果を上げるための機能」を指す言葉です。

 

マネジメントの定義は、アメリカの経営学者であり、“マネジメントの父”ともいわれたピーター・F・ドラッカーが提唱したものです。

 

ピーター・F・ドラッカーによるマネジメントの定義を平易な言葉で説明するなら、「何とかやりくりして成果を出すこと」といえるでしょう。

 

定義を踏まえると、プロジェクトマネジメントは、「関わる人、資金、タスク、情報などのリソースを何とかやりくりして、プロジェクトの成果を出すこと」と表現できます。

 

なお、プロジェクトマネジメントを実施する人のことを、プロジェクトマネージャーと呼びます。

プロジェクトマネジメントの具体的内容

プロジェクトマネジメントの目的は、プロジェクトを成功させることです。

 

そのため、プロジェクトマネジメントでは、プロジェクトの目標達成に向けて作業スケジュールを立てて進捗したり、必要な品質を確保したり、携わるメンバーのモチベーションを高めたりすることになります。

 

プロジェクトマネジメントでは、直接的には「タスク」と「進捗」、また「予算」などを管理することが多くなります。

 

ただし、タスクを進捗したり、その他のリソースを扱ったりするのはプロジェクトに関わる「人」であり、管理の点で人のマネジメントを欠かすことはできません。

 

各メンバーの個性・能力・意欲などを把握してそれぞれに合った仕事を割り振る、また、メンバーの声に耳を傾け、それぞれが働きやすい仕組みや環境をつくったり、精神面のサポートや指導をしたりすることも大切になります。

プロジェクトマネジメントの価値

プロジェクトは、複数の人が関わって実施することが多くなります。大型のプロジェクトになるほど、関わる人の数も多くなり、立場も多様になっていきます。

 

また、プロジェクトは通常業務とは異なり、期間限定の一時的なものです。つまり、繰り返しの仕事ではなく、プロジェクトの立ち上げから終了まで、ある種“一点もの”の仕事となります。

 

たとえば、新商品の開発、新たなシステム導入、いままでのオペレーション変更など、基本的には何かを変える、やったことがないことをやることも多いでしょう。

 

大型で多くの人が関わるプロジェクトを成功させるためには、リソースや進捗をきちんと計画して、進捗を管理、マネジメントしていく必要があります。

プロジェクトマネジメントに必要なスキル

変化と成長のイメージ。矢印が描かれた積み木を指で押し上げる。

 

プロジェクトマネジメントを通じてリソースのやりくりを行ない、高い成果を出すためには、以下のようなスキルが必要となります。

論理的思考

論理的思考とは、ロジカルシンキングのことで、筋道を立てて論理的に考える思考法になります。

 

プロジェクトの計画を立てたり、課題の把握・解決をしていったりするには、さまざまな側面で論理的思考を使う必要が出てきます。

  • プロジェクトの必要なリソースを洗い出す
  • タスクの実行順序を計画してスケジュールに落とし込む
  • 上司や関係部署、パートナーと協議が必要な事柄を洗い出す
  • プロジェクトの現状を把握する
  • 進捗の遅れを取り戻すための施策を考える
  • リソースを配分する
  • スケジュールや進行などの情報をメンバーに伝える など


タスク管理

プロジェクト進行は、タスクの積み重ねで成り立ちます。

 

タスク管理では、目的達成までに必要なタスクを洗い出し、優先順位や順序を決めて、メンバーの個性や能力に合った割り振りを行ない、実施状況の管理をする作業が必要です。

 

タスク管理でも役立つのが、先述の論理的思考です。

 

また、タスク管理は、当然のことながら、タスクを実行するための時間管理とも密接なつながりがあります。

 

「限られた時間を何に使うか?」「何をどういう順番で進めるか?」という優先順位の決定が非常に重要になるでしょう。

 

タスクの優先順位は、以下2つの視点で決めていくことが基本です。

  • 緊急度:いつまで対応しなければならない仕事か?
  • 重要度:プロジェクトの成功に向けてどれぐらい大切な仕事か?

緊急度と重要度でタスク整理をするフレームワークを、時間管理のマトリックスと呼びます。

 

また、プロジェクトマネジメントの場合には、プロジェクトを最短で完了させるためのクリティカルパスといった考え方も、タスク管理するうえで必要になります。

リソース管理

策定した達成計画を実行して、目的達成をしていくためには、おもに以下リソースの調達・管理をする必要があります。

  • 人:必要な人員の洗い出し、他部署との調整、人員の配置、稼働状況の管理 など
  • 物:必要となる機材・材料の洗い出し、発注、資材管理 など
  • 金:コスト全般(人件費・原材料費・販促費など)の予算と実績、見込管理 など
  • 情報:各業務の進捗把握、プロジェクトメンバー間での情報共有 など

スケジュール管理

プロジェクトマネジメントでは、タスク進捗をリソースとスケジュールに照らし合わせながら管理します。

 

プロジェクトのタスク進捗が早すぎる・遅すぎる場合、メンバーの作業に支障が生じないようにするために、各リソース(ヒト・モノ・カネ・情報)の関係部署やパートナーとのスケジュール調整なども必要となってくるでしょう。

 

また、プロジェクトが納期どおりに進捗するように、進捗状況に応じてタスクの順序を組み替える、追加のリソースを調達して予定どおりに終わらせる、他のタスクを止めて工数を調整するといったことも必要になります。

リスクマネジメント

プロジェクトが大型になるほど、さまざまなリスクが生じます。

 

目標の期日までに間に合わない、目標としていたゴールに到達できないといった可能性もあります。

 

また、プロジェクトを実施していく過程では、当然のことながら、さまざまなリスクやトラブルが生じる可能性もあるでしょう。

 

リスクマネジメントとは、こうした危機の回避や、万が一トラブルが生じたときの損害を最小原因に抑えるための計画や管理のことです。

 

プロジェクトを進めるうえでは、「リスクはあるもの。トラブルは起こるもの」という前提で、初期対応の方法を決めて、二次被害を最小限に抑える仕組みづくりをするクライシスマネジメントの視点も重要となってくるでしょう。

コミュニケーション力

コミュニケーション力とは、プロジェクトを実際に動かす、関わるメンバーとの関係構築であり、動機づけや依頼・指示・命令などで必要になります。

 

先述のとおり、タスクを実行するのは、プロジェクトの各メンバーです。

 

プロジェクトマネージャーがどれだけ綿密な計画を立てても、メンバーや関係部署、取引先などと良好なコミュニケーションができてなければ、計画は、机上の空論で終わってしまいます。

 

したがって、ゴールや目標に向けてプロジェクトを進めていくには、プロジェクトマネージャーが自らのコミュニケーション力や人間力を高め、メンバーとの信頼関係を築くことが、非常に重要となってきます。

プロジェクトマネジメントを成功させるコツ

握手する人々

 

プロジェクトマネジメントを成功させるには、前章で紹介した各能力を身に付けるとともに、以下のポイントを大切にする必要があるでしょう。

バランス感覚を磨く

プロジェクトをゴール達成に向けて進めていく過程では、必ず計画どおりにいかないことが生じます。また、プロジェクト内で利害関係が対立するようなこともあるでしょう。

 

ときには、各メンバーに一時的なハードワークをしてもらって、逆境を乗り切らなければならないシーンが出てくることもあるかもしれません。

 

ただし、ハードワークは、あくまでもトラブルが生じたときのイレギュラー対応です。

 

たとえば、メンバーを必要以上にフル回転させれば、反発が生じたり、疲弊から離脱者が出てしまったりすることもあるでしょう。

 

人に限らず、マシンなどの設備も使い過ぎれば故障が生じやすくなるでしょう。

 

プロジェクトマネジメントでは、プロジェクト全体の進捗、タスク・リソース・スケジュール状況を俯瞰しながら、目的達成に向けて適切にバランスをとっていく必要があります。

 

上述のような「頑張って乗り切る」と「現実を見てリソースやスケジュールを調整・変更する」の適切なバランスをとる必要もあるでしょう。

メンバーとの信頼関係、コミュニケーションを大切にする

先ほども少し触れたが、プロジェクトマネージャーの計画どおりに仕事を進め、商品・サービスの提供価値や利益を最大化するには、メンバーの協力や熱意が不可欠です。

 

メンバーの協力や熱意は、良好なコミュニケーションと信頼関係の土台に成り立つものとなります。

 

そのため、たとえば、プロジェクトマネージャーが以下のようなコミュニケーションをとっていれば、プロジェクトマネジメントのスキルも十分に発揮できないでしょう。

  • メンバーの話に耳を傾けない ⇒ 課題解決につながる意見をいわなくなる
  • 指示どおりに動かないと激怒する ⇒ 指示がないと動けなくなる など

メンバーとの信頼関係を築くうえで大切になるのが、人格と積極的傾聴のスキルです。

 

人格を磨き、また、積極的傾聴を通じて相手のために聴くことができるようになると、「自分のことを理解してくれている」などの想いから、メンバーとの信頼関係が構築されやすくなります。

経営陣やステークホルダーから信頼をえる

プロジェクトを進めていくうえでは、プロジェクト内のみならず、経営陣・他部署・取引先・お客様……といったさまざまなステークホルダーとのリソース調整や交渉が必要となってきます。

 

たとえば、プロジェクトに進捗の遅れやトラブルが起きたときには、無理なお願いをして、人員や原材料などのリソースを融通してもらうことなどもあるでしょう。

 

こうした融通や各種調整によってプロジェクトを成功させるためには、日頃からステークホルダーと良好な関係を築いておく必要があります。

 

特に、プロジェクトの決裁者となる経営陣との信頼関係などは、非常に大切です。

 

メンバー、また、経営陣、ステークホルダーとの信頼関係を考えるうえでは、信頼を一種の“通貨”のようなものとしてとらえる信頼口座と信頼残高の考え方が参考になるでしょう。

 

マネジメントが学べる研修については、以下の記事で紹介しているので参考にしてください。

プロジェクトマネジメントに関する資格

プロジェクトマネジメントに必要な知識やスキルを体系的に身につけたい人には、以下のような関連資格の取得に挑戦するのもおすすめです。

PMP®試験

PMP®試験は、プロジェクトマネジメントに関する国際資格です。アメリカのPMI協会が認定しており、分野における最も一般的な資格といえるでしょう。

 

PMP®試験は、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験・専門知識・教育の測定と、プロフェッショナルであることの確認のために実施され、合格者が認定対象となります。

 

なお、PMP®試験の場合、3年ごとの資格更新の手続きが必要です。

 

参考:PMP®資格について(PMI日本支部)

プロジェクトマネージャ資格(PM)

おもにIT開発などのプロジェクトマネージャーを想定した国家資格です。公式ホームページでは、以下の対象者像が挙げられています。

高度IT人材として確立した専門分野をもち、組織の戦略の実現に寄与することを目的とするシステム開発プロジェクトにおいて、プロジェクトの目的の実現に向けて責任をもってプロジェクトマネジメント業務を単独で又はチームの一員として担う者

試験では、多岐選択式のほかに、記述式と論述式の問題も出題されています。

 

参考:プロジェクトマネージャ試験(PM)(独立行政法人 情報処理推進機構)

まとめ

プロジェクトマネジメントとは、プロジェクトの目的・目標達成に向けて、スタッフや資金、タスクなどを何とかやりくりし、プロジェクトの成果を出すことです。

 

プロジェクトマネジメントを行なうには、以下のようなスキルが役立ちます。

  • 論理的思考
  • タスク管理
  • リソース管理
  • スケジュール管理
  • リクスマネジメント力
  • コミュニケーション力

プロジェクトマネジメントを成功させるには、知識やスキルに加えて以下のようなコツも大切になるでしょう。

  • バランス感覚を磨く
  • メンバーとの信頼関係、コミュニケーションを大切にする
  • 経営陣やステークホルダーから信頼をえる

HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、周囲と信頼関係を築き、また、周囲を動かすリーダーシップやコミュニケーションを学べる【人を動かす】リーダーシップ&コミュニケーション研修を提供しています。

 

本研修は、世界的なコミュニケーション研修の権威、デール・カーネギー・トレーニングと契約して公式提供するプログラムです。

 

プロジェクトマネジメントを行なうリーダーの育成に興味がある人は、ぜひ以下の資料をダウンロードしてみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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