映画「生きる」(黒澤明監督)より~
いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。
新年度が始まり1カ月が経ちました。
その間、弊社より新入社員向けの基礎研修や
定着フォローに関する様々な情報提供をさせて頂いています。
弊社のみならず、
「“Z世代”の新入社員や若手育成の落とし穴!!」
「ニューノーマルで現代の若者をどう育成するか?!」etc
…というような触れ込みで、ウェビナーや資料提供で、
情報収集を煽られる機会が活性化しています。
いつの時代でも、〇〇世代と若者は一括りで呼称されますね。
ちなみに、私の世代は“氷河期世代”と呼ばれました。
しかし、向き合ってみれば、どの若者にも個性があり、
自分の若い時と、内面的に、そう変わりがあるとは思えません。
誰も彼も、自分なりに社会人たろうとしています。
…
皆様は、黒澤明監督の「生きる」という映画を
ご覧になったことはございますか?
私は、セミナーやメルマガで映画の紹介をすることが多いので、
たまに“社員教育によい映画はないか?”と訊かれます。
「生きる」は古い映画で、初めて観たのは高校生の時、
社会科の授業で先生が視聴覚室を借りてみせてくれました。
全編モノクロの映画でしたが、今でもよく覚えています。
癌で余命わずかとなった役所勤務の平凡な男が、
“生きる”ことの意味を見つけるべく、様々な困難を乗り越え、
市民のために公園をつくる、そして、惜しまれつつ逝く…
という内容です。
映画冒頭のナレーションで、主人公のことをこう評するのです。
“これが、この物語の主人公である。
しかし、今、この男について語るのは退屈なだけだ。
なぜなら、彼は時間をつぶしているだけだからだ。
彼には、生きた時間がない。
(中略)
今や意欲や情熱は、少しもない。それは、役所の煩雑すぎる機構と、
無意味な忙しさの中で、全く磨り減らしてしまったのである。”
(「生きる」(1952年製作/黒澤明監督/配給:東宝)より引用)
物語の最後は、彼が作った公園で子供たちが遊んでいる姿とともに
彼の部下?後輩?が役所で意見を発しようとするのですが…
これ以上はネタバレになるので控えます。
ともかくも、黒澤明監督は
綺麗ごとではなく、組織で働く難しさ、社会の不合理さや不公平、
そういった現実をアイロニーたっぷりに表現しながら、
「生死の矛盾や働く上での不条理とどう戦うか」
を観客に問いかけています。そこにはもちろん、
「生きがいとは何か?」
という深遠なテーマがあります。
高校生ながらに、働く=生きることの苦しさと喜びの対比を、
そして、なんとなく虚しさのような感覚を持ちました。
…
社会人となり様々な現実に直面している1年生の皆さんへの
課題映画として面白い教材になるのではないでしょうか。
「マネジメントとは“生きがいを見つける”こと」
欲求階層説で有名な人間性心理学の祖、アブラハム・マズロー氏は、
著書「完全なる経営」のなかで、この「生きる」を引用しています。
マズローは人間の欲求を大きく二つに分けています。
・欠乏欲求(自分に足らないものを外から補おうとする)
・存在欲求(自分の存在意義を満たそうと自己成長に向かう)
その上で、「生きる」を引用しながらも、
自己実現(存在欲求)に向かう人たちが、良い会社をつくり、
良い会社は、自己実現(存在欲求)に向かう人をつくる、と言います。
皆様は、現代の若者に何を教えてあげたいですか?
今回の執筆者:「梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)