精力善用、自他共栄【人を残すvol.87】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

精力善用、自他共栄

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

いろいろと物議を醸したTOKYO 2020(東京オリンピック)が
この週末で幕を閉じようとしています。

と言いましたものの、このメルマガの原稿を書いているのは、
7月25日のことで、大会3日目のことです。

この段階で、日本選手団はいくつかのメダルを獲得していて、
熱戦が繰り広げられています。

私は、オリンピック中継では、他の何をおいても、
日本のお家芸である柔道を応援しています。

ロサンゼルス五輪で、負傷し足を引きずって戦った、
山下泰裕さん。

“平成の三四郎”と呼ばれ、今年亡くなった古賀稔彦さん。
背負い投げで自分より大きな選手を投げる姿は、
まさに“柔よく剛を制す”で、本当にカッコよかった!

“世紀の誤審”と言われ金メダルを逃した篠原信一さんは、
記者会見では「自分が弱いから負けた」と何ひとつ言い訳を
言いませんでした。

そして、今回、兄妹で史上初同日金メダルを獲得した阿部兄妹!
兄と妹の切磋琢磨に感動しました!

柔道という武道は、なんとなく日本人のサムライ魂というか、
武士道のようなものを色濃く継承しているように思うのです。

私自身は、剣道の段持ちなのですが、
柔道への憧れと尊敬の念のようなものを持ち続けています(笑)

それにしても、今回の東京五輪はコロナ禍で1年の延期、
開催自体も危ぶまれましたし、様々な醜聞も取り沙汰されました。
世論も必ずしも、開催ウエルカムという状況とは言えませんでした。

7月23日の開会式直前、自宅のテレビをつけていると、
情報番組のアナウンサーが視聴者にこんなことを語り掛けました。

“この後、東京オリンピックが始まります。
 みなさんどんな思いでしょうか。

 感染拡大が不安でしょうか。
 大会前のトラブルに怒りを感じているでしょうか。
 
 せっかくやるなら応援しましょう、と言うつもりはありません。

 ただ、この大会に純粋な思いを、努力を注ぎ込んできた人がいます。
 その人たちへのリスペクトだけは忘れたくありません。

 大変残念ですが離れたところから一生懸命応援します”

(日本テレビ「news every.」7月23日放送 藤井貴彦アナウンサー)
 

その後、ネットニュースにも取り上げられていましたが、
私も、なんという清々しいコメントだろう、と感じ入りました。

去年、コロナウィルスで五輪が1年延期になった際に、
大学受験に向けて勉強していた息子に、

「もし、受験が1年延期になったらどうする?」

と冗談めかして聞いたところ、彼は、

「冗談じゃない!考えられない!
 あと1年もこんなに勉強するなんてモチベーションが続かない!」

と言っておりました(笑)が…

テレビのアナウンサーが言った言葉を聞いて、
出場する選手はどんな気持ちでこの1年を過ごしてきたのだろうか?
と思いを馳せました。

感染対策ありきで満足な練習環境であったとは言い難いでしょう。
直前まで開催が危ぶまれ、調整には苦心したでしょう。
モチベーションやコンディションを保つのも大変だったでしょう。
延期が決まって引退した選手だっていました。

しかし、それでも、選手の皆さんは、
コロナを言い訳にすることなく、この1年を辛抱し我慢して
過ごしてこられたことでしょう。

そこに敬意を表すべきであると、改めて考えさせられました。

メダルを獲得した選手の多くが、囲み取材に応じる際、
一番初めに、この状況下でオリンピックが開催されたことに対する
感謝の言葉を述べています。

講道館柔道の創始者である、嘉納治五郎先生の言葉に、
「精力善用」「自他共栄」という教えがあります。

心身の持つすべての力を最大限に生かして、社会のために
善い方向に用いるという「精力善用」の精神と、

相手を敬い、感謝することで、信頼し合い、助け合う心を育み、
自分だけでなく他人と共に栄えようという「自他共栄」の精神。

オリンピックでの日本選手の戦いが、あのように美しく映るのは、
これらの精神が競技の枠組みを超えて浸透しているからではないか
と思います。

「マネジメントとは“精神の鍛錬”である」

世の中は自分の都合の良いようには転がりません。

どのような中でも、環境や状況を恨まず、
勝って驕ることもなく、負けて羨むこともなく、
自分自身の心と技を高める。

ここに人としてのあるべき精神性があるように思います。

閉幕まであと少し、離れたところから一生懸命応援します。

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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