真っ白になった「あしたのジョー」【人を残すvol.123】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

真っ白になった「あしたのジョー」

 

いつも大変お世話になっております。

株式会社ジェイックの梶田です。

 

先日、お客様とゴルフをご一緒させて頂いた時の事です。

 

随分と良いショットを連発されていたので、

 

「すごいですね!月にどれくらい回っておられるんですか?!

ちゃんとお仕事してますかー?(笑)」

 

と茶化したところ、

 

「仕事は…もう燃え尽きましたわ。

“あしたのジョー”とおんなじで真っ白な灰しか残ってない…

ゴルフだけが唯一やりがいを感じる趣味です。」

 

と仰っていました。

 

この方、2年程前に役職定年を迎えておられたそうです。

 

実際に働いておられるご様子を見ているわけではないので、

その心情を推し量ることしかできませんが、

 

これまでの社会人人生の中で、“あしたのジョー”くらい

情熱を燃やし尽くして灰になれたとするなら、

 

それは、年齢にかかわらず幸福なことかもなぁとも思いました。

 

私自身は…

 

20代のころは映画興行の世界で、仲間と働くことが楽しくて、

劇場に寝泊まりして初日の準備に明け暮れたりしました。

 

30代のころは外食チェーンで、始発から終電まで休みなく働き続け、

家庭と仕事の両立に苦心して、歯を食いしばっていました。

 

40代は経営に近い現場で働き、得るものと失うものを見つめながら、

自分のミッションを見つける機会を得ることができました。

 

50代になった今、この先のキャリアを創っていくために、

様々なことを見て聞いて、将来を見据えようとしていますが、

 

情熱をもって働き続けることの難しさを感じることもあります…

 

でも、まだ自分では“燃え尽きて”はいないと思います。

 

「燃え尽き症候群(バーンアウト・シンドローム)」は、

精神心理学者ハーバート・フロイデンバーガーが提唱した症状です。

 

それまで熱心に仕事に邁進していた人が、突然やる気を失ってしまい、

ひどくなるとうつ症状となり自宅にひきこもったりすることもあります。

 

いま、20代の若い人たちの間でも、「燃え尽き症候群」に陥ることが

問題視されているようです。

 

「まだ燃え尽きるほど仕事してないだろう!?」

 

と言いたくもなりますが、この症状は“あしたのジョー”にように、

誠心誠意、仕事に身も心も尽くして燃えつきるのとは違って、

ストレスが重なり急激に仕事へのモチベーションが失われる状態です。

 

その要因として多いのが以下と言われています。

 

・職場での人間関係の問題に苛まれる

・がんばっているのに正しく評価されていないと感じる

・忙しすぎてきちんと休みがとれない

・周囲の期待に応えようというプレッシャーですり減る

・何のために仕事をするのかが見えなくなる

 

皆様は、このような状態に陥ったことはございますか?

 

私は、幾度もあります(苦笑)。

 

ただ、いまのところ、それで仕事を投げ出して家に引きこもったりは

していません。幸いにして。

 

これらの原因そのものを否定するつもりはありませんが、

これで“燃え尽きた”というのなら、それは“不完全燃焼”です。

 

ジョーは違います。

 

彼は、ボクシングのリングこそが自分の居場所であり、

強い相手と殴り合うことこそが生きがいだったのです。

 

安易な評価を求めず、虚勢をはることもなく、ただひたすらに、

リングに上がり持てる力を出し尽くして“完全燃焼”しました。

 

ポジティブ心理学の第一人者、ミハイ・チクセントミハイ氏は、

「フロー体験」という心理状態を定義しました。

 

これは何らかの活動に時間を忘れて没頭する状態のことを指します。

 

そして、チクセントミハイ氏によると、

 

“目標が明確で、迅速なフィードバックがあり、スキルとチャレンジの

バランスが取れたギリギリのところで活動している時”に

 

このフロー体験が得られると指摘しています。

 

まず、目標が大切なのですね、そして、適切なフィードバックも。

 

仕事にやりがいを持ち、燃え尽きるほどに没頭するためには、

 

主体的かつ適切な目標を設定する個人の力と、

個人の目標そのものを合理的に評価できる組織が必要なのですね。

 

「マネジメントとは“完全燃焼に向かい、向かわせる”こと」

 

毎日が同じことの繰り返しで、徐々にすり減っていくように思ったら、

“持てる力と目標とのバランス”が取れていないのかも知れません。

 

人事評価は給与査定の為ではなく、その本質は、

個人の力量と目標とのバランスを均衡させ、たゆまぬ成長に向かわせる

ものであることを再認識せねばなりません。

 

評価を求めるだけの目標など正当性も相対性も合理性もないのです。

 

私は、まだ、燃え尽きたといえるほど仕事に納得はしていません。

まだまだ未熟ですし、目標だって正しいかどうか悩みます。

 

皆様は、いかがですか? まだ、燃え尽きていませんか?

 

 

今回の執筆者:「梶田貴俊」

(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

 

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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