経営幹部として成功するためには、カッツ理論でいう「コンセプチュアルスキル」のウェイトが大きくなります。

カッツ理論は管理職の各階層で必要なビジネススキルの割合を示したものであり、「コンセプチュアルスキル(概念化能力)」「ヒューマンスキル(人間関係能力)」「テクニカルスキル(業務遂行能力)」の3つから成り立ちます。
ただし、経営者層に該当する幹部は、成果をあげるうえでコンセプチュアルスキルの比重が他の階層よりも高いうえ、幹部特有のテクニカルスキルやヒューマンスキルも役割を果たすうえで前提条件として必要です。幹部に必要とされる能力は多岐にわたり、代表的なものとしては以下が挙げられます。
事業戦略、マーケティングや会計知識
経営幹部は、基本的に部門や事業の責任者であることが多いでしょう。経営者とともに企業を経営したり、担当部門を経営したりするうえでも、部門を横断した視点からの思考・発言が求められます。
したがって、管理職まではさほど必要とされなかった事業戦略の策定やマーケティング、財務・会計などの「経営の知識」も必要です。これらが、幹部として新たに求められるテクニカルスキルになります。
コンセプチュアルスキル、クリティカルシンキング
事業戦略やビジョンを描くうえで必要になるのが、冒頭で紹介したコンセプチュアルスキルです。具体的には、抽象的な概念やビジネスの本質・要点を見極めるスキルで、物事を抽象化して考えることで、表面的な事柄ではなく、問題解決や成果創出のための本質を見出しやすくなります。
また、企業のミッション・ビジョンなどの目に見えにくい概念もコンセプチュアルスキルを磨くことで扱いやすくなります。
コンセプチュアルスキルを活用するうえでは、現状や前提を疑い、固定化された思考や現状を打破するようなクリティカルシンキング(批判的思考)のスキルも大切です。
なお、「批判」といってもネガティブな意味合いではなく、「そもそもの前提は正しいのか?」「他に本当の問題があるのではないか?」ということを客観的に分析・検証する姿勢のことをさします。経営の意思決定に関わる幹部にとって、前提や現状に捉われず、本質的な解決策を導き出す力は不可欠です。
統率力/リーダーシップ
幹部は、多職種、多階層に渡るメンバーをマネジメントしていく必要があるため、通常の管理職よりも高い統率力やリーダーシップが必要とされます。
効果的なリーターシップを発揮するには、信頼関係を築く人格をはじめ、ファシリテーションやコーチング、プレゼンテーションなどのスキルも不可欠です。これらがカッツ理論でいう「ヒューマンスキル」になります。
ロジカルシンキング
幹部になると、現場のプレイヤーとして直接活動することはもちろん、現場に直接指示を出すことも減ります。その代わりに、各部門を担当する管理職を通じて間接的に現状を把握し、成功への計画を描いて人材を動かしていくことが求められます。
全体像を把握したり、適切な意思決定をしたりするためには、ロジカルシンキング(論理的思考)が不可欠です。
ロジカルシンキングは、物事に対して因果関係や要素分解などの筋道を立てながら解決策や結論を導き出す思考法であり、適切な目標を設定したり、目標達成のための施策を検討したりするには不可欠です。
またロジカルシンキングは、ロジカルコミュニケーションの土台としても必要です。幹部層はコンセプチュアルスキルに基づくストーリーテリングなどによって相手の感情を動かすことも重要ですが、情報をきちんと理解してもらい、「なぜそうするのか?」という論理的な納得感を生み出すロジカルコミュニケーションも重要です。
行動力
幹部として人材を動かすためにはコンセプチュアルスキルやロジカルシンキングは不可欠です。ただ、会議室から指示しているだけでは、経営は成功しません
時には幹部は現場に出向いて、市場の変化や顧客のニーズ、メンバーの状況など、定性的な情報を得ることも必要です。そういった意味で、幹部にはフットワークの軽さや行動力が求められます。
また、困難を乗り越えたり、新しい挑戦をしたりする際には、トップ自らが先頭に立って行動する、背中を見せるような行動力も重要です。