人間力とは?
人間力とは非常に曖昧な印象ですが、ビジネスの場では必要不可欠な能力です。ここでは、ビジネスにおける人間力という言葉を、内閣府の定義も交えながら解説していきます。
内閣府が定める、人間力を構成する3つの要素
内閣府「人間力戦略研究会報告書」では、人間力を「社会を構成し運営するとともに、自立した一人の人間として力強く生きていくための総合的な力」であり、知的能力的要素、社会・対人関係力的要素、自己制御的要素の3つで構成されると定義しています。
1.知的能力的要素
知的能力的要素には4つの項目があり、仕事に関する知識やスキル、考え方に関する能力になります。
- 基礎能力ものごとの見方や本質、仕事の基礎的知識、数量的思考力、情報リテラシー(情報コミュニケーション技術など)について正しく理解し、活用できる。
- 専門知識・ノウハウ:業務に必要な専門的な知識と技能が身に付いているとともに、その背景や応用を理解し、有効に活用できる。
- 論理的思考力:適切に収集した情報をいろいろな視点から、論理的に分析し、それを的確に表現することができる。
- 創造力:異なる知識を組み合わせたり、従来のやり方や考え方にとらわれない新たな発想をしたり、ものごとをいろいろな立場・視点から柔軟に考えたりすることで、新しい価値や行動を生み出すことができる。
2.対人関係力要素
対人関係力的要素には5つの項目があり、おもに仕事場でのあり方や心構え、人との接し方に関する能力になります。
- コミュニケーション力自分と気が合う人たちだけでなく、世代や立場、文化の異なる人たちに対しても興味を持つことができる。また、相手の気持ちや意思を尊重したうえで、自分の気持ちや意思を適切に伝え、お互いに理解し合うことができる。
- リーダーシップ :目標やビジョンをチームで共有したうえで各メンバーの役割を明確にし、一丸となって取り組むことができる。また、メンバーの気持ちに配慮しながら能力の向上を支援するとともに、目標を妨げるメンバーの行動に対しては注意・指導を行ない、目標達成に導くことができる。
- 公徳心:社会の一員であることを自覚し、会社や業務の問題を自分事として考えることができる。また、社会全体の利益を考え、利益のために積極的に行動できる。
- 規範意識:自分の判断・行動基準を深く理解したうえで、自主的に秩序ある行動ができる。
- 相互啓発力:自分の考えや意見を伝えるだけでなく、他者の考えや意見にもしっかりと耳を傾けることができる。また、お互いの良い点を見習い、視野を広げ、啓発し合うことができる。
3.自己制御的要素
自己制御的要素には3つの項目があり、おもに仕事に対するモチベーションや取り組み方に関する能力になります。
- 意欲新しい知識やスキルを学び続けたいという「学修意欲」、自分に合った会社で働き、充実した社会生活を送りたいという「就業意欲」、ボランティア活動や地域活動をはじめとする、さまざまな形で社会に貢献したいという「社会参加意欲」、自分の理想像や目標を成し遂げたいという「目的意欲」を持っている。
- 忍耐力:目標達成のために自分の考えや行動をコントロールし、信念を持って粘り強く取り組むことができる。また、モチベーションを維持することができる。
- 自己受容・自己実現力:自分をありのまま受け入れ、肯定することができる。また、自分の理想像や将来に向けて新しいことにチャレンジしたり、自分の可能性を広げたりと、自己実現に向けて努力できる。
ビジネスにおける人間力
内閣府の人間力はかなり幅広い印象で、人間性や意欲などに加えて、能力的な要素も含んでいる印象です。一方、ビジネスの場面に限っていえば、人間力とは仕事で成果をあげるためのスキルや技術・知識以外の姿勢、考え方、あり方を総合的に指します。
「スキルを誰が使うか?どう使うか?」という視点が人間力であると考えることもできるでしょう。人格や誠実さ、真摯さ、セルフマネジメント、リーダーシップ、視野の広さ、視座の高さ、などが人間力の重要な要素となります。
究極的には「この人を信頼していいのか?」が人間力だといえるでしょう。人間力は可視化することが難しいですが、1本の樹で考えた場合、地面の上に見える幹や枝がスキルや能力、地面の下で支える根っこの部分が人間力に例えられます。
樹は地面の下にしっかりとした根が張り巡らされていてこそ、地面の下から水分や養分を吸い上げ、幹や枝に送り、実(成果)を付けることが可能です。根が張り巡らされていなければ水分や養分を吸い上げることはできませんし、地中深くまで根差していなければ大雨や嵐にも耐えられず、樹は倒れてしまいます。
ビジネスでは表面的なスキルや能力ばかりに目がいき、能力やスキルを伸ばす教育に傾きがちですが、人材育成では目には見えにくい人間力も同時に伸ばすことが大事です。スキルや能力はやり方によっては短期間で伸ばせますが、人間力は短期間で伸ばせるものではありません。
早い段階から人間力を高める習慣を取り入れ、中長期的に継続して伸ばしていくことが大切です。







