
何らかの危機によるマイナスの影響を最小限に抑えるには、以下の点を押さえて「クライシスマネジメントプラン(危機管理計画)=CMP」を作成しておくことがおすすめです。
クライシスマネジメントプラン(危機管理計画)の作り方
クライシスマネジメントプラン(危機管理計画)の細かな内容は、業種や想定される危機によっても異なってきます。しかし、以下の流れで考えることがおすすめです。
危機管理自体は、「危機が起こる」ことを前提としていますが、まず重要なことは、リスク管理によって「自社がコントロール可能な範囲の中では危機を起こさないこと」です。また、危機管理を考えるうえでも、まずは考えられるリスクを洗い出すことが重要です。
自社の事業において考えられるリスクを内的な要因によるもの、外的な要因によるものと分けて書き出してみましょう。例えば、欠陥製品や異物混入、個人情報の流出、職場での事故、SNSでのトラブル等は、社内でリスク管理が可能な最たるものです。内部でリスク対策することで危機を防げるものについては、現状の態勢が十分かを検討することから始めましょう。
そのうえで、「起こってしまった場合」に自社で対応しないといけない内容を洗い出してみましょう。例えば、自然災害であれば、社員の安否確認、自社拠点等の被災確認、材料等の仕入れのストップ、出荷等に必要な物流等の停止、停電等に伴うインフラの停止等があるかもしれません。
昨今では、物理的なものだけではなく、アルバイト社員の悪質なSNS投稿、ネット上の炎上や風評被害等、オンライン上での危機への対応も検討しておく必要があるでしょう。ネット上での風評は広がるスピードも速く、なるべく早い危機対応が必要になりますが、一方で焦って対応を誤ると、対応の誤り自体が次の炎上要因となります。
そして、上記のように起こり得る危機とリスク想定を行なったうえで、対応方法を検討していきます。すべてのリスクに関して詳細な対応方法を検討しておくことは現実的ではありません。しかし、どのように意思決定するのか、誰に情報を集約するのか、責任者に連絡が付かない場合にどうするのか等を決めておくだけでも対応への初動が変わってきます。
クライシスマネジメントにおけるマニュアルの重要性
危機管理に際して、精神的に焦りが生じがちです。だからこそ、危機管理プランはマニュアルや対応フローとして文章化しておくことが大切です。マニュアル作成時には、以下のポイントを心がけましょう。
- 担当者以外の人が見てもわかるような内容、構成にしておく
- 実文書のマニュアルも用意しておく
クライシスマネジメントでは、対応の中心となる責任者を決めて、情報の集約や意思決定のあり方を明確にしておくことが一般的です。しかし、状況によっては、事前に決めている責任者に連絡が付かないこともあり得ます。また、自然災害によってインフラにダメージが生じた場合には、社内ネットワークやサーバー上で共有されていたマニュアルが閲覧できなくなることもあるでしょう。
従って、危機管理を想定したマニュアルは、連絡が取れない場合の情報集約や意思決定の流れを明確にしたうえで、実文書でも用意して関係者に配布しておく等が理想です。また、マニュアルを見れば担当者でなくても実践できるように、基本的な意思決定の進め方や基準についても言語化しておくことが重要です。
実践性を重視するという意味では、ケーススタディ形式でマニュアルを作成するのもおすすめです。組織を取り巻く環境が刻々と変化することを考えると、マニュアルはつくって終わりではなく、継続的な改善が必要となるでしょう。
リスクマネジメント&クライシスマネジメント研修の効果性
国際的なコンサルタント会社、デトロイトトーマツによる調査結果では、クライシス対応に失敗した企業の37.9%が事前準備不足を要因にあげています。また、社内において対応ノウハウのない分野の場合、外部専門家の活用をしなかったことを失敗要因とする企業は、19.7%となっています。
こうした調査に目を向けると、ある程度会社規模が大きくなってきた場合には、対応や想定をすべて自社内で行なおうとするのではなく、平時のうちに専門家の調査や協力を仰いで、研修等を通じて危機管理への備えをしておうことが有効だろうと推測できます。
リスクマネジメントやクライシスマネジメント研修には、組織における危機管理を他人事ではなく、自分事として感じてもらう目的があります。研修を通して危機管理の意識付けができると、マニュアルを見た社員が自分のすべきことを判断し、自ら主体的な行動を起こしやすくなります。また、専門家の力を借りたワークショップ等を通じて、一気にマニュアルのひな形を制定するのも効果的です。