現在までの数十年、知識労働に従事する人が増えたなかで、チームビルディングの重要性が増し、チームビルディング研修の需要も高まっています。
本記事では、効果的なチームビルディングを行なうための基礎知識として、チームビルディングの概要とチームビルディングに取り組むうえで基本となるタックマンモデルを解説します。
後半では、チームビルディング研修を提供する研修会社としての知見も踏まえて、チームビルディング研修の実施形式や内容、事例を紹介します。
<目次>
チームビルディングとは?
チームビルディングとは、目標達成に向けて積極的に協働する“チーム”をつくることです。
チームビルディング研修の目的
チームビルディング研修の目的は大きく以下の2パターンに分けられます。
- チームをつくること
- チームビルディングができるリーダーを育成すること
上記における「チーム」とは、「メンバーの協働を通じて高い相乗効果を生み出し、共通目標を達成していく集団」のことです。
明確に意識して使い分けることは少ないですが、ただ人が集まっただけの「グループ」と目標達成するための協働組織を指す「チーム」はじつは大きく異なる概念です。
チームビルディング研修の効果
チームビルディング研修を実施すると、以下の効果やメリットが期待できます。
・チームのパフォーマンスが向上する
チームビルディング研修を行なうことで、メンバーの間の信頼関係が向上し、心理的安全性の高いチームになります。
心理的安全性の高いチームでは、それぞれが自分の力を発揮しやすくなったり、上司部下や先輩後輩といった立場を超えたコミュニケーションも活発になったりします。
活発化した結果、チームの生産性が高まります。
・メンバーのモチベーションが高まる
心理的安全性の高い状態とは、自分の率直な意見、また、自分の失敗・無知・懸念などを安心してほかのメンバーに開示できる状態です。
心理的安全性の高いチームでは、人間関係の悪化などを恐れて遠慮・萎縮することがなく、高いモチベーションで自信を持って仕事に取り組みやすくなります。
・メンバーの定着率がアップする
上司とメンバー間に高い信頼関係があれば、チーム内の人間関係も良くなり、以下のような離職原因も生じにくくなります。
- 上司のやり方が納得できない
- 上司や先輩に自分の意見が言えない
- 自分の能力を発揮できない など
したがって、チームビルディング研修は、定着率アップや離職防止にも効果的でしょう。
・共通言語が獲得できる
チームビルディング研修のプログラムによっては、相互理解のプロセスのなかで、チームの共通言語を獲得できます。共通言語があると、チーム内のコミュニケーションがより活発化します。
・新しいアイデアが生まれやすくなる
互いに信頼し合っているチームでは、「こんな案を提案したらバカにされるのではないか?」などの恐れもありません。
すると、若手なども上司や先輩に遠慮することなく、新しく個性的なアイデアなどを出しやすくなります。
未完成のアイデアを出しやすくなることで、メンバーのアイデアをかけ合わせて、イノベーションが生まれやすくもなるでしょう。
チームビルディングに際して知っておくべきタックマンモデルとは
チームビルディングを成功させるうえで、チームビルディングに関する代表的な理論であるタックマンモデルは押さえておきたい知識です。
チームビルディング研修を実施するに際しても、「今のチームがどの状態なのか?」によって、どういった研修が適しているかも変わってきます。
タックマンモデルとは?
タックマンモデルとは、心理学者のタックマンが提唱した理論です。
個人が集まっただけの「グループ」が協働から相乗効果を生み出す「チーム」となって、最終的には「解散」するまでの5ステップを示したモデルになります。
タックマンモデルにおけるチームビルディングのステップ
タックマンモデルには、以下5つのステップがあります。
ステップ1:形成期
目標達成に向けて、チームが結成されたばかりの時期です。形成期のメンバーは、緊張や遠慮をしていることも多いです。したがって、チームの親睦を深めることが大切になります。
ステップ2:混乱期
チームの目標を決定し、プロジェクトが動き出す時期です。混乱期になると、メンバーの価値観ややり方の違いから、混乱や衝突が起こりやすくなります。
混乱期に大切なことは、異なる意見の裏にある価値観・体験を共有し、メンバーの相互理解を深めていくことです。
ステップ3:統一期
混乱期を乗り越えると、お互いの理解が進みメンバーの関係性が安定します。統一期では、チームの目標達成に向けて情報共有や役割分担をすることが大切です。
ステップ4:機能期
チームに結果が出てくる時期です。機能期になると、協働から生まれた成果や成功体験から、結束力やメンバーのモチベーションも高まりやすくなります。
機能期に大切なのは、高まった良い状態を維持することです。
ステップ5:散会期
プロジェクト終了やメンバーの異動などで、チームが解散する時期です。
チームビルディングが成功し、メンバーの協働による目標達成がうまくいった場合、離ればなれになることや解散を惜しむ声も出てくるでしょう。
チームの現状に合わせて変えるべきチームビルディング研修の内容
チームビルディング研修を実施することで、すぐに安定的に協働や相乗効果を生み出せるチームができるわけではありません。
先述のとおり、形成期のメンバーは互いに遠慮や緊張をしていることが多いですし、混乱期には、メンバー間の意見の衝突が起こりやすくなります。
こうしたなかでチームビルディングをするには、タックマンモデルを通じてチームの現在地を把握し、現状に合った研修プログラムを実施することが効果的です。
チームビルディング研修の実施形式
チームビルディング研修には、さまざまな実施形式があります。研修の効果性を高めるには、チームの現状や強化したいポイントに合った形式を選択することが大切です。
ゲーム形式
ゲーム形式には、メンバーが主体的に楽しみながらできるものが多いです。
メンバー同士の親睦も深められるため、チームがつくられたばかりの形成期や、対立が起こりやすい混乱期などにもおすすめとなります。
手軽なものであれば、統一期より以降のアイスブレイクなどでも利用できるでしょう。
アクティビティ
アクティビティは、グループで共通の目標に取り組む研修であり、グループワークの一種です。
「ディスカッション」や、チームで山に登る「タフネス研修」、チームで“売れる竹とんぼ”づくりを体験する「竹とんぼ研修」もアクティビティの一種になります。
いわゆる「同じ釜の飯を食う」アプローチをすることで、親睦や信頼関係を深めやすくなるのが特徴です。ただし、現実のビジネス課題とは少し離れた内容になってしまうという欠点もあります。
合宿研修
合宿研修には、宿泊施設までの移動時間や食事などを通じて、相互理解や親睦を深められる利点があります。
十分な時間を確保できるため、機能期にじっくり意見交換することで、チーム力を活性化するなどにもおすすめです。
ワークショップ
ワークショップは、いわゆる体験型の研修です。自己発見系のワークショップは、形成期や混乱期の相互理解に役立ちます。
また、関係性ができている組織の場合、ビジネス課題にフォーカスしたワークショップを実施することが増えますが、合宿研修+ワークショップといった組み合わせが多くなるでしょう。
チームビルディング研修の内容や事例
チームビルディング研修では、具体的にどのようなプログラムを取り入れれば良いかわからないこともあるかもしれません。
本章では、具体的な研修の事例を紹介します。ぜひプログラム設計の参考にしてください。
相互理解
たとえば、以下のようなワークショップを行ない、結果を共有したりすることで、メンバーの相互理解が深まりやすくなります。
- ソーシャルスタイル:人のコミュニケーションや立ち居振る舞いの傾向を4つに分類したもの
- ミッションステートメント:自分の人生の目的、ありたい姿を記したもの
- ストレングス・ファインダー(R):自分の持つ34種類の資質(才能)がわかる才能診断ツール
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自己開示、内省
相互理解とも関連しますが、「ジョハリの窓」のワークショップなども自己開示に活用できます。
内省や自己開示とは、ジョハリの窓でいう盲点の窓や未知の窓に関するフィードバックや自己開示を通じて、解放の窓を広げていくプロセスです。
普段のビジネス場面ではなかなか話さない価値観を内省して自分の原体験などを見出したり、そうしたものを自己開示したりすることで、深い相互理解を生み出すことが可能になります。
深い相互理解は、チームの心理的安全性の向上につながります。
ビジョン構築、計画立案
以下のようなフレームワークを使った研修で、チームが目指すべきビジョンや目標、実施計画などをチームで考えていきます。
- GROWモデル
- ブレスト
- マンダラート
- カスタマージャーニー など
チームで協議をして検討するなかでは、意見の相違や衝突も起こります。しかし、意見の相違・衝突自体が、いわばタックマンモデルのプロセスを歩むことになります。
ある程度の心理的安全性が確保されている場合、こうしたビジョンや計画立案のワークショップに本気で取り組むことが有効となります。
ただし、心理的安全性が確保されておらず、表面的な意見交換になってしまうと、チームビルディングの深い効果は生まれませんので、チームの状況に応じて選択が大切です。
まとめ
目標達成に向けて協働できるチームをつくるには、チームビルディングが不可欠です。チームビルディングの研修を実施すると、以下の効果やメリットが期待できます。
- チームのパフォーマンスが向上する
- メンバーのモチベーションが高まる
- メンバーの定着率がアップする
- 共通言語が獲得できる
- 新しいアイデアが生まれやすくなる
チームビルディングを考えるうえでは基本となる理論が、タックマンモデルです。
研修の対象にしたいチームが、タックマンモデルのなかで今どこにいるかも踏まえて、チームビルディング研修の内容を検討するとよいでしょう。
なお、チームビルディング研修は、以下のような形式を組み合わせて実施されることが大半です。
- ゲーム形式
- アクティビティ
- 合宿研修
- ワークショップ
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでも、チーム力の向上に活用できるさまざまな研修を実施しています。
たとえば、メンバー一人ひとりの主体性を高め、チームの協働性を改善するなら、「7つの習慣(R)」研修がおすすめです。
また、自己開示や相互理解につなげるなら、自分の強みを知り、うまく生かすことでパフォーマンスを向上させる「ストレングス・ファインダー研修(R)」が有効です。
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