2年目社員の主体性を引き出し、活躍人材になってもらう3つの方法

更新:2023/07/28

作成:2020/09/10

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

2年目社員の主体性を引き出す 活躍人材になってもらう3つの方法

入社して初めの1年が過ぎた2年目社員。「そろそろ主体性を発揮してもらいたい」「まだ1人前、とまではいかないけど、自分で考えて動いて、報連相しながら仕事を進められるようになってほしい」と多くの上司や先輩が思っています。しかし、多くの2年目社員が、「1年目」と「2年目」の違いを認識しないまま過ごしています、記事では、2年目社員に主体性を持たせるためにはどうすればいいのか、要点を解説していますので、ぜひご覧ください。

<目次>

2年目社員の主体性が育たない理由

そもそも主体性とは?

多くの会社から「社員の主体性を伸ばしたい」という相談を頂きますが、そもそも主体性とは何でしょうか。辞書で調べてみると、「自分意志判断によって、みずから責任をもって行動する態度性質」と書かれています。ビジネスの現場に照らし合わせてみると、さまざまな仕事における「自分の意志・判断」を2年目社員に求めるのは少しハードルが高いかもしれません。2年目社員に発揮してほしい主体性を、辞書の表現を言い換えて表してみると、「自分なりに考えて意見を持ったうえで、上司や先輩に報連相しながら決断。そして、自らの仕事として当事者意識をもって行動する」といったところになるのではないでしょうか。

 

主体性が育たない理由は「期待されている役割の変化」に気づかないこと

上記のような主体性を発揮してほしい!と組織から期待されつつも、実際にはそうなっていないケースも多いかと思います。HRドクターを運営するジェイックでは、毎年10~15名程度の新入社員を採用していますが、やはり2年目で少し伸び悩んでしまうケースと、主体性を発揮してどんどん成長していくケースに分かれます。その違いはどこで生まれるのでしょうか。

 

主体性を発揮できず少し伸び悩んでしまうケースを分析してみると、主体性が育たない大きな理由は、「自分が果たすことを期待されている役割をわかっていない」ことであることが分かります。記事の冒頭でも「1年目と2年目の違いを認識しないまま…」と書きましたが、「期待されている役割の変化」に気づかないと、2年目社員の主体性は伸びづらいのです。

 

1年目社員は、周囲も「新入社員」として扱って細かにフォローしてくれますが、2年目社員になると、「1人前に足を一歩踏み出した」「そろそろ分かっているはず」と考えて、「わからなければ自分から訊きに来てほしい」とあまりフォローしてもらえなくなります。

 

主体性を発揮できない社員は上記の違いを認識しないまま、急にケアされなくなったり、フォローしてもらえなくなったりしたことに疑問を持ちます。そして、不安や不満を感じたり、モチベーションを下げたりして、「自分なりに考えて意見を持って、自分から報連相しにいく」からかけ離れたところにいってしまうのです。

2年目社員に主体性を意識させるべき3つの理由

多くの会社において入社1年目は手厚くフォローしてもらいながら、少しずつ仕事を覚えていく期間です。1年目には仕事の基礎を学び、着実にできることを増やすことが求められます。そして、2年目は、1年目に学んだことを実践して成果に結びつけることを覚える期間となります。

 

ここでは、2年目社員が主体性を持つべき理由を3つ、ご紹介します。

 

 

1.自分で考えてできる状態になる必要があるから

学んできた知識や技術を成果へと結びつけ、継続的に成果をあげ続けるためには、自分の型を作っていくことが大事であり、「人に言われてできる」状態から「自分で考えてできる」状態になることが必要です。左記の状態を実現するために荷は、実行するための知識や技術とともに、「自分で考える」意識が必要になります。これこそが、2年目に社員に求められる主体です。

 

 

2.自己成長の幅が大きくなるから

また、2年目は、知識や技術を覚えて実践していくからこそ、「自己成長」の幅も大きくなります。自分で考えて動く幅が増えてきたからこそ、足りないことやもっと成長できる余地に気づくのです。しかし、周囲からの手厚いフォローはなくなってきますので、自分自身の成長に関しても、主体的に取り巻ないと、せっかくの成長機会を生かすことが出来ません。

 

 

3.仕事にやりがいを見出すために主体性が必要だから

最後に、仕事に「やりがい」を見出すためにも、主体性が必要です。仕事のやりがいは主体性から生まれます。人は生まれながらにして、「心理的リアクタンス」というものを持っています。心理的リアクタンスは、人からやることを強制されると急にモチベーションが落ちる、という心の働きです。小さいころ、親から「勉強しなさい」と言われると急に勉強するのが嫌になった経験はありませんか? これが心理的リアクタンスです。

 

つまり、人から言われたことをやっている状態では、無意識に心理的リアクタンスが働き、モチベーションが落ちてきます。つまり、仕事の「やりがい」を見出すことは難しいのです。「自ら考えて行動する」ことで、仕事にやりがいを見出し、モチベーション高く仕事しやすくなります。

 

上記のように、1年目で覚えた知識や技術を成果で結びつけるために自ら考えて行動する、自己成長に自ら取り組む、仕事のやりがいを見出す、いずれにおいても、「主体性」を発揮することが必要となります。

 

 

主体性の発揮で生まれる成長の違い

2年目に入ると主体性を発揮できるかどうかで成長に大きな違いが生まれてきます。これはある会社で実際にあった事例です。その会社にいた主体性がある2年目社員をAさん、ない社員をBさんとします。Aさんは、自分にできることは何でも行い、必要な事に対しては自分で考え、失敗を恐れずに行動していました。一方で、Bさんは、言われたことはまじめにやるものの、自分から考えて行動はしません。

 

2人が3年目を迎えたとき、Aさんには部門に新しく配属された新入社員の指導係を任せられてモチベーション高く働いていました。しかし、Bさんは、2年目と同じ仕事を日々繰り返していました。そのような意思決定をした部門長に、「どうしてそうしたのか」を聞いたところ、「仕事を教えるだけなら技術力もあるBさんも悪くはないが、Bさんみたいに仕事をされては困る…」と。当然のことですが、後輩を指導したり、部下を任せたりするうえでは、知識や技術だけではなく、仕事に対する姿勢や態度が重要になります。

 

Bさん自身は、「なぜ自分には後輩を任せられないのか」をあまり何も考えていないようなのですが、周囲からの評価は明白に違います。3年目でAさんとBさんに違いが生まれた理由は、まさに「主体性を発揮できていたか」という点にあります。入社して5年がたち、現在どうなっているかというと、Aさんはチームリーダーへ昇格し、メンバーを任せられてより大きな成果を追う責任者へと成長しましたが、Bさんは相変わらず現場の仕事をずっとやっています…このように、入社1年目に基礎的な指導を行ったうえで、入社2年目に主体性を発揮していけるかどうかで大きな差が出てきます。

2年目社員に主体性を持たせる3つの方法

ここまで2年目社員に主体性を発揮させることの重要性はお伝えしてきましたが、実際にどうすれば主体性を持たせることができるでしょうか。「主体性」の発揮に関しては外部の研修等もありますが、自社内でできる取り組みを3つご紹介します。

 

 

1.上司から働きかけ、主体性を持つメリットを伝える

人は基本的に利己的な生き物です。従って、自分にメリットがあることしか真剣には聞きません。2年目社員に主体性を持たせようと思ったら、単に「主体的に取り組んで欲しい」と伝えるだけでなく、「主体性を持つことが2年目社員にとってどういうメリットがあるか」ということを伝えることが重要です。「主体的に取り組んで欲しい」というメッセージが、「もっとちゃんと仕事をしなさい」というメッセージだと相手に捉えられてしまうと、逆効果になってしまう可能性もありますので、注意が必要です。

 

 

2.強引に主体性を持たせる

「自分で考える」主体性を強引に持たせる、というとおかしな話に聞こえるかも知れません。ある上司と部下の事例でやり方をお伝えしたいと思います。

 

上司Cさんは、若手社員Dさんの指導をする際に1つDさんと約束をしました。「Dさんが考えてきたことにはコメントもフィードバックもするが、“教えてほしい”という質問には回答しない」というルールです。

 

最初のうち、Dさんは「〇〇についてわからないので教えてください」と何回も聞いてきたそうですが、そのたびに、「“わからない”という質問には答えないと伝えたよね」と突っぱねていたそうです。Cさんは「自分が答えないと、自分以外の先輩等に質問しにいくかもしれない」と考えて、先手を打って周囲のメンバーにもルールを共有して徹底させたそうです。

 

1年間続けた結果、Dさんはぐんぐんと成長して、成果を出せるようになったそうです。

 

優しい方ほど、部下から質問されると答えを教えてあげたくなる心理が働きます。しかし、場合によっては、答えを教えてあげるやさしさが若手の主体性を奪ってしまうこともあり得ます。

 

人財輩出企業として有名なリクルートグループも、入社して半年ほどたつと、先輩や上司に相談すると、「で、君はどうしたいと思っているの?」という質問が投げかけられることで有名です。「自分なりに考えて意見を持ったうえで、上司や先輩に報連相しながら決断する」経験を強制的につくる、ということも主体性を引き出す方法です。

 

 

3.キャリアと紐づける

主体性を引き出す指導の1つ目で、人は基本的に利己的な生き物だからこそ、主体性を発揮することのメリットを伝えたほうがいい、と紹介しました。人が持つ利己的な性質と主体性の発揮を繋げるもう1つのやり方が「キャリアを考えさせる」ことです。

 

社会人として働くうえで多くの人が何に関心を持っているかというと、将来のキャリアです。ポジションや待遇、仕事のやりがい、市場価値、人生を含めたキャリア等、人によって関心事は異なりますが、「将来のキャリア」に興味を持っていない人はほとんどいないでしょう。

 

2年目社員にキャリアを考えさせる、というとちょっと早いと思う方もいるかもしれません。確かに、まだ会社や仕事のこともすべて理解していない中で、キャリアについて考えさせて意味があるのか、と思う方もいるかもしれません。しかし、たとえ、中身が薄かったとしてもキャリアを考えさせることは非常に大事なことです。自分の社会人として「ありたい未来」を想像することは、「自分のために仕事を頑張る」動機となります。

2年目社員に伝えてほしいこと

最後にある会社で2年目社員になる前日の3月31日、1年目社員に送られたメールをご紹介します。1年目から2年目で「役割が変わることを伝える」うえでは、研修等ももちろん有効ですが、このようなメッセージも有効です。

 

 

明日から先輩社員になる君たちに、お伝えしておきたいことが3つあります。

 

 

1.先輩社員の意味

君たちは、明日からもう先輩社員です。ということは後輩社員ができるということです。そこで君たちに言っておきます。それは…決して先輩面しないこと。

 

君たちが先輩社員であることは間違いないのですが、君たちはまだまだペーペーです。そんな君らが先輩面をして彼らに近づいても、何も良いいことはありません。周りの人からは調子に乗っていると思われるし、後輩社員からは、「たった1年の違いでなぜこんなに偉そうに接してくるのか意味がわからない」となってしまいます。

 

それよりも、君たちがこの1年間で感じた仕事のおもしろさや大変さ、それも含めて、どうがんばってきたのか、そういうことを、彼らに伝えてあげて、フォロワーとして接してあげましょう。

 

 

2.自分の存在価値を自ら高めること

入社をして2年目を迎えると、急に扱いがぞんざいになると感じることが増えてくるでしょう。でも、それは当たり前のことなのです。なぜならば、君らに対する期待値が急激に高まるからです。「もう2年目だよね」「そろそろ実績しっかり出していこうね」と言われるようになり、逆にできることが増えても、褒められることはなくなってくるかもしれません。つまりできて当たり前と思われる基準が急激に高くなるのです。

 

今までは期待値もそんなに高くはなかったので、ちょっとできたら、すぐに褒められたのです。(そう感じていない人もいるかもしれないが。笑) でも、これからは違います。できても褒められないかもしれない、ちょっとしたミスですごく怒られることがあるかもしれない。それが現実です。

 

でも、それにめげないでください。入社2年目なんてそんなもんです。むしろそれをチャンスと捉え、自分をどんどん成長させましょう。

 

そろそろ自分の価値を高めるのは、周囲の人から褒められる機会ではなく、自らの努力で自らの価値を高めるという意識を持ちましょう。自分はこれだけがんばっているんだから、結果が出て当たり前、出ない方がおかしいんだって思える存在になりましょう。

 

 

3.壁にぶつかっても、乗り越えられる!

一方、2年目となると、いろいろなことに挑戦をし、壁にぶつかったり、仕事に慣れが出てきて、それが悪い方にいったりすることもあるでしょう。そういう時には、自分の前に乗り越えられないような大きな壁を感じることもあるかもしれません。

 

でも、私の20年程度の社会人人生を振り返ると、乗り越えられなかった壁は一つもありませんでした。

 

壁は乗り越えられる人のところに来るという言葉を一度は聞いた事があるでしょう。これは、まさにその通りで、君らに必要なタイミングで、必要な時に、壁が現れると思ってください。もちろん、その壁にぶつかっている時には、そんなことを考える余裕など1ミリもないと思いますが。

 

ここからはすごく大事なことを伝えますが、それは「壁にぶつかっても頑張って乗り越えるんだぞ!」ということではありません。

 

壁にぶつかると、1人の世界に入り、うつうつとし、周りの人のすべてが敵に見えたり、誰も頼れないと感じたりすることもあるでしょう。(私もそう感じた事が多々あります・・・) そういう時でも、周りを見渡せば、君を心配し、手を差し伸べようとしている人がいるということです。断言しますが、1人もいないということは絶対にありません。

 

壁を一人で乗り越えられれば、それはそれで力になるとは思います。時にはそういう経験も今後必要になるでしょう。でも、早く乗り越えるためには、人の力を借りるという事です。それが、上司や先輩である必要はありません。もしかしたら、ふとした瞬間にたまたま出会った人である可能性もあります。いずれにしても大事なことは、壁にぶつかったら、遠慮なく人の力を借りなさいということです。

 

君が迷い、悩んでいる先にはお客様がいるということを忘れないように。そして、その悩んでいる時間はお客様にとっては必要のない時間です。その意識を持ち、プライドなんかかなぐり捨てて、すぐ人に相談しましょう。もちろん、私もいつでもお待ちしていますよ。

まとめ

入社して2年目は、1年目とは大きく役割や会社からの期待値が変わります。1年目にはあった手厚い教育研修やフォローもなくなることが多いでしょう。そこで変化に気づき、自己認識を変えられるかどうかは2年目社員が主体性を発揮して、成長できるかを左右します。

 

役割の変化、そして、主体性を発揮することの重要性、また主体性を発揮する仕組みを作る等、記事で紹介したことを参考にぜひ2年目社員の主体性の育成に取り組んでいただければ幸いです。

 

なお、最後の手紙でもご紹介した通り、2年目社員からすると、急にフォローが減ったり、叱責されることが増えたりするように感じることもあるでしょう。成長を心から支援していることをストレートに伝えてあげることもぜひ忘れないでください。

著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 執行役員

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

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