リテンションとは?メリットや種類、実施時の注意点を解説

更新:2024/02/22

作成:2021/03/01

東宮 美樹

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

リテンションとは?人事における意味と目的・効果的な施策を解説

人事領域におけるリテンション施策が注目を集めています。リテンション施策を適切に実行することで、採用した人材の定着率向上やモチベーションUPなど様々なメリットを得られます。

 

ただ、リテンション施策が必要だと考えた際、どんな選択肢があるか分からないこともあるでしょう。そこでこの記事では、リテンションの意味や目的を解説するとともに、具体的なリテンション施策の方法、注意点などを解説します。

 

<目次>

リテンションとは?

団結するビジネスマン

リテンションの意味

リテンション(retention)は直訳すると「保持」や「維持」という意味で、おもにマーケティング領域と人事領域で使われる言葉です。「既存顧客維持」や「人材の維持・確保」などのニュアンスを表すのに使用します。

 

人事領域では、組織メンバーを定着させ、モチベーションを高めるための施策をリテンションと呼びます。「入社した経緯や意欲を思い出してもらう、モチベーションを高めて活躍してもらう」ことが目的となります。

 

マーケティング領域では、サービスを購入してくれた顧客との関係を構築したり、ファン化してリピート利用してもらったりするための施策をリテンションと呼びます。「購入したときの気持ちの高まり、購入意欲を取り戻してもらう、維持し続けてもらう」という意味合いです。

 

マーケティング領域と人事領域では、対象が顧客と組織メンバーで異なりますが、根本的な意味は同じです。

 

リテンションが注目される背景

リテンションが注目される背景には、少子化の影響があります。日本の18歳人口は、1992年の205万人から、2017年には106万人と25年間で半減しています。一方で、大学進学率の上昇により、同じ期間で大学卒業者数は44万人から57万人へと増加しているため、ビジネスの現場では、少子化の影響を感じることは少なかったかもしれません。

 

しかし、大学進学率は頭打ちとなりつつあり、今後はいよいよ少子化の影響が大卒者採用の世界に押し寄せてきます。企業にとって採用した人材をしっかりと定着させて活躍させることが求められているのです。そのため、企業にとって「リテンション」の取り組みは、これまで以上に重要になってきます。

 

実際に、エン・ジャパンの2015年の調査によると、『リテンションを「積極的に取り組んでいく」「一部の人材について積極的に取り組んでいく」という回答は約70%。昨年に実施した同様のアンケートより10ポイント増加する結果』になったとのことです。このように、リテンションに対して企業が注目し、施策を行う企業が増えています。

リテンションのメリット

企業のイメージ

 

この先は人事領域におけるリテンションについて扱っていきます。人事領域におけるリテンションの大きな目的は企業成果の向上ですが、それを達成する過程で様々なメリットが得られます。リテンションの具体的な施策などを紹介する前にリテンションのメリットを確認しておきます。

 

労働生産性の向上

リテンションの直接的な効果は、労働生産性の向上です。リンテンションによって、組織メンバーの定着率とモチベーション、エンゲージメントの向上が期待できます。

 

メンバーが定着せず入れ替わる状態では引継ぎなどによる生産性ダウンが生じますが、メンバーが定着すれば、個人の知識やスキル向上、また組織内の連携向上などによる生産性の向上が見込めるのです。

 

また、モチベーションアップやエンゲージメント向上は、野心的な目標設定、知識やスキルの発揮意欲、目標達成に向かう途中で生じる課題への挑戦心といったところにつながり、同じく個人と組織の生産性向上が見込まれます。

 

採用・教育コストの削減

リテンションによる社員の定着率向上によって、採用・教育コストの削減効果も得られます。

 

社員が定着すれば採用に関する諸経費は確実に減少します。求人媒体や人材紹介企業などに支払う費用を大きく抑えることができるのです。

 

人材育成の対象者が長く社内に在籍すれば、人材育成の費用対効果も上昇します。例えば、管理職の3割が毎年入れ替わっていく状態だとしたら、管理職研修をしても、3年後には研修を受講した管理職は3割強しか残らないことになります。これでは研修の効果を得ることはなかなか難しいでしょう。

 

リテンション施策が機能して、組織メンバーが中長期的に定着することが見込めれば、時間のかかるリーダー人材の育成や管理職研修への投資、また、挑戦的な配置や抜擢を通じた人材育成にも挑戦しやすくなります。

 

また、組織へのエンゲージメント向上や定着率向上は、リファラル採用(既存メンバーからの口コミ採用)、採用活動のステップ率上昇、優秀人材の採用にもつながるでしょう。

 

長期的な人材育成戦略の実現

リテンションは、長期的な人材育成戦略の実現にも寄与します。

 

リテンション施策により社員の定着が見込めれば、人材育成を中長期的な視点で実施することができます。中長期的な人材育成戦略を計画・実施できれば、投資対効果が向上しますし、企業の成長にとって重要な役割を果たす社員を中長期的な視点で育成できるでしょう。

 

中長期視点で人材育成に投資するためには、一定の定着率、とくに優秀層の定着率向上は不可欠と言えます。

 

人材の流動化が進む中で、優秀な人材ほど、理想のライフスタイルやキャリアビジョンを考えて、働く場所を主体的に選ぶ傾向にあります。長く活躍してほしい人材をつなぎとめるためには、「この会社で長くはたらきたい」「この会社でキャリアが築ける」と思ってもらえるようにリテンション施策を実施することが重要になります。

 

スキル・ノウハウの蓄積

リテンションのメリットとして、社内へのスキル・ノウハウの蓄積もあります。

 

スキル・ノウハウの蓄積は、社員の定着率向上から生じるものです。社員の離職率が高ければ、実務の中で培ってきた知識やノウハウが企業に残りませんし、社員が築いている顧客やパートナーとのネットワークも失われてしまいます。

 

リテンションによって人材の流出を避けられれば、社内のスキルやノウハウが蓄積されるだけでなく、顧客やパートナーとのネットワークも今日異なるでしょう。

リテンション施策の種類

リテンション施策は大きく分けると、金銭的報酬によるリテンションと非金銭的報酬によるリテンションの2種類があります。

 

非金銭的報酬は、例えば福利厚生や挑戦的な仕事や抜擢、成長実感や組織で働く満足感などのことです。

 

一方で、金銭的報酬も重要で、メンバーの能力や実績に応じて競合や市場評価に負けないだけの金銭的報酬を支給できる状態を作ることは忘れてはなりません。

 

金銭的報酬

金銭的報酬とは、給与や賞与、成果に応じたインセンティブなど、金銭的な報酬を与えて社員のモチベーションや働く意欲を高める方法です。金銭的報酬はわかりやすく、基本的には個人や組織の成果と直結する形になることが多いので、意識の高い社員や優秀層にとっては大きな魅力となります。

金銭的報酬は、適正な報酬と福利厚生に分けられますので、それぞれについて解説します。

 

適正な報酬

適正な報酬はリテンションにおいて前提となる施策です。報酬とは、評価制度の運用と給与・待遇を指します。

 

成果報酬を基にした適切な評価制度の運用によって、社員は自身の待遇に対して納得感が得られますし、会社への信頼を持つことができます。評価体系があいまいで自身の仕事が正しく評価されていなかったり、自身が適正だと思う給与よりも低かったりすれば、モチベーションやエンゲージメントの低下につながります。

 

給与や待遇への不満は「自分の想像」や「周囲との比較」から生じる側面も大きいため、ゼロにすることは難しいですが、絶対額として業界標準や市場相場と比べて劣っている場合には注意が必要です。

 

とくに成果主義とホワイトカラー業務の専門特化(細分化)、ジョブ型等が広がっている中で、社員は自分の市場価値と待遇を比較しやすくなっています。この時、絶対額で劣っていると、適正な報酬が得られていないと不満を抱き、他社への人材流出が起こやすいので注意が必要です。

 

ただし、金銭的報酬ばかりに注力すると、評価につながらない仕事が行われなくなったり、内発的動機を損なったりする危険性もあります。また、個人評価のウェイトが強くなると、個人プレーが加速して、組織内での連携や協力が薄れてしまう可能性もあるので注意が必要です。

 

福利厚生

リテンションにおいて、福利厚生も効果的な施策です。従業員が求めている福利厚生や有意義な福利厚生を提供することで、従業員により長く、意欲高く働いてもらうことができるでしょう。

 

福利厚生としては、医療保険や出産休暇、育児休暇、リフレッシュ休暇、裁量労働制の導入、リモートワークやハイブリッドワークの導入、食事の無償提供、従業員持ち株会や株式報酬制度など、様々なものが考えられます。

 

なお、福利厚生は従業員が求めるものでなければ、リテンション効果は得られません。こういった福利厚生を導入する場合には、従業員のニーズが高いものから導入しましょう。また、福利厚生は徐々に「あって当然」という感覚になる部分もあるため、導入や運用には注意が必要です。福利厚生は金銭的報酬に含まれる部分もありますが、主にはインナーブランディングや働きがいにつなげることを意識することが大切です。

 

金銭的報酬の具体例

リテンション施策における金銭的報酬の事例としては以下のようなものがあります。

  • 個人の能力や成果に応じた給与(成果主義)
  • 個人業績に合わせたボーナス
  • 組織や会社の業績目標を超えた利益の賞与還元
  • 成果と連動した昇給
  • ストックオプション
  • 実質的な待遇向上につながる福利厚生(家賃補助など)

 

など

 

非金銭的報酬

非金銭的な報酬とは、仕事のやりがいや専門スキルの向上、ワークライフバランスの実現など、金銭以外の部分でメンバーにとって「組織で働く価値」を高める方法です。

 

人が働くうえで金銭や待遇は重要なファクターですが、日本においては物質的な欲求はそれなりに満たされた状態となり、働くうえで精神的な充足を求める人が増えています

 

どこの会社でも活躍できるような優秀層になるほど、金銭的な条件だけでなく、仕事のやりがいやミッション・ビジョン・バリューへの共感などを大切にしています。金銭的報酬を忘れることはできませんが、非金銭的報酬によるリテンション施策も不可欠です。

 

リテンション施策にはさまざまな種類があるので、自社に適した施策を実施することが大切です。多くの企業で取り入れられているリテンション施策(非金銭的報酬)をいくつか紹介します。

 

インナーブランディング

インナーブランディングとは社内に対して行なうブランディングの総称です。メンバーの組織や事業に対する誇り・愛着を醸成することで、帰属意識を高めることができます。

 

組織メンバーの全員が、日々成果を生み出したり、直接的に顧客から感謝をもらえたり、価値を感じられたりする仕事をしているわけではありません。自分たちの仕事の価値やミッション、ビジョンと仕事のつながり、社員が創出した価値を知らせる顧客の意見などを社内に発信することは、仕事のやりがいを生むことにつながります。

 

また、活用状況や利用者の声などを発信するといった非金銭的報酬によって、価値を感じられるようになる側面もあります。メンバーに認識されていないものは、存在していないのと同じです。各種リテンション施策を行ううえでは「発信する」ことが大切です。

 

 

成長機会の提供

成長機会の提供も、非金銭的報酬によるリテンション施策に該当します。

 

成長欲求は誰もが持っているものであり、特に近年の若手社員は仕事に自己成長を強く求める傾向にあります。そのため、定期的な研修の実施セミナー参加や書籍購入の推奨(費用補助)資格取得の支援などが有効です。また、挑戦的な仕事プロジェクトへの参加機会などもリテンション施策として効果的でしょう。

 

直接的な成長機会の提供以外にも、キャリア面談を通じて自分の成長シナリオが社内で実現できることを示したり、成長実感を得るための振り返りやリフレクション研修なども有効です。

 

キャリア形成の支援

キャリア形成の支援も、現在における非金銭的なリテンション施策として重要性を増しています。

 

「今後どのような仕事がしたいのか」「そのために必要な知識や経験は何か」といったキャリアパスを明確化し、「自分の実現したいキャリアを社内で実現できる、成長できる余地がある」と確信させれば「この組織で引き続き働きたい」という意識が生まれます。

 

そのためには社員一人ひとりのスキルや経験、キャリアプランを把握し、性格や特性に応じたキャリアの選択肢を複数用意してあげることが大切です。

ひと昔前と比べるとキャリアプランは多様化していますし、必ずしも全員が「昇進・昇格したい」「マネジメントしたい」と考えているわけではありません。まずは把握することから始めましょう。

 

ライフプランの支援

継続して組織で働いてもらうためには、キャリアだけでなく、ライフプランを支援することも必要です。ライフプランを支援することで、より従業員が企業に定着するでしょう。

 

ライフプランには、「何歳くらいで結婚する」「子供は何人ほしい」「資産形成をどう考えるか」といったプライベートな計画も含まれるので、ライフプランを把握することはハラスメントなどにもつながりますので難しいところではあります。ただ、結婚・出産・育児・配偶者などの転居をともなう異動・介護など、さまざまなライフイベントに対応できる多様な働き方やサポートを、社員のライフステージに合わせて徐々に整えていきましょう。

 

ライフイベントに対応できる制度が整っていないことが原因で、優秀層を失ってしまうことは非常に大きな損失です。

 

サンクス・カード

サンクス・カードも、従業員の意欲を高めるリテンション施策の具体例です。

 

サンクス・カードは、社員同士で感謝の気持ちを伝える際に用いられるカードのことです。リアルな「紙」に書くのもよいですし、最近はオンライン上で行なうことも一般的になっています。

 

サンクス・カードの導入と運用は、顧客からの感謝が届きにくいマーケティングや管理部門などの部署にも脚光が当たりやすくなったり、社員同士で感謝し尊重しあう文化を構築したりすることにつながります。

 

ある会社では、紙で運用するサンクス・カードを賞与通知と一緒にメンバーに届けることで、金銭的報酬と非金銭的報酬を同時に味わうような形を作っています。また、最近では、ピアボーナスという形で、メンバー同士での貢献や感謝をポイント化してギフトなどにつなげたりするような仕組みもあります。

 

表彰制度

サンクス・カードのような精神的報酬という点では、表彰制度もモチベーションアップに効果的です。サンクス・カードはいわばメンバー同士での尊重や感謝ですが、表彰制度は組織からメンバーへの尊重や感謝です。

 

メンバーにとっても、全メンバーの前で公に認められることは承認欲求が満たされたり、自分の成果や成長を感じたりする機会となります。表彰することで、表彰されたメンバーの達成感やモチベーションにつながるだけでなく、表彰されなかったメンバーの意欲を生み出すこともできます。

 

また、本人にコメントしてもらうなかで、あらためて「周囲の協力があってこその成果だ」という気付きや感謝の気持ちが生まれる部分もあるでしょう。

 

就労環境の改善

就労環境の改善も、効果の大きなリテンション施策です。特に、働き方改革が謳われる近年ではワークライフバランスを重視する社員も増えており、リテンション施策として就労環境の改善は必須といっても過言ではありません。

 

また、組織のメンバーが働きやすい環境を整えることは、直接的な効果とともに「社員を大事にしている」というメッセージにもなります。

<就労環境の改善例>
  • 時短勤務や在宅勤務などの多様な働き方
  • 有給休暇の取りやすさや使いやすさ(時間有給など)
  • 残業の削減(時間生産性の向上などと併せて)
  • 生産性や利便性を高めるツールやインフラ
  • ワークライフバランス、QOL(クオリティオブライフ)を高める福利厚生

など

 

非金銭的報酬の具体例

リテンション施策における非金銭的報酬の例としては、以下のようなものがあります。

  • ミッション、ビジョン、バリューの浸透と実践
  • インナーブランディング
  • 能力開発や挑戦的な仕事による成長欲求の刺激
  • 成長実感の習得
  • 強みを活かしている実感
  • 労働条件の改善
  • 多様な働き方の導入
  • キャリアビジョンやライフプランの構築
  • 表彰やサンクス・カードなどを通じた承認文化

など

 

リテンションを行うときのポイント

リテンション施策を行う際には、効果性を高めるためのポイントがいくつかあります。

 

価値観やキャリアビジョンを明確化する

リテンションを行うときには、各従業員の価値観やキャリアビジョンを明確にすることが効果的です。

 

リテンションでは、金銭的報酬・非金銭的報酬の様々な施策を行うことになりますが、従業員の価値観やキャリアビジョンに副ったものにすることで効果性が高まります。またミッションやビジョン、バリューを浸透させるうえで、組織のものを一方的に浸透させるというよりは、従業員個々の価値観やビジョンとどう一致するのか、重なるかを明確にしていくといアプローチが有効です。

 

しかし、日々忙しく働いていると、意外と自身の価値観や強み、キャリアビジョンといったものは曖昧になりがちです。とくに非金銭報酬部分の効果性を高めるためには、組織の向かう方向性や大切にする価値観を明確にすると同時に、従業員個々にも自己理解を深め、強みや価値観、キャリアビジョンを明確にしていってもらう支援が大切です。

 

人事評価制度の見直しを行う

リテンション施策の中で、報酬につながる人事評価制度の見直しは大切です。

 

「人はパンのために働くにあらず」とも言いますが、一方で、やはりキャリアを構築する、さまざまな選択肢を得るうえで報酬は非常に大切な要素であり、組織に対するエンゲージメントを左右します。報酬に対する不満要素は、組織へのエンゲージメントを大きく損ねるものです。

 

人事評価制度は、会社として、誰を、どんな行動を評価するかというメッセージです。短期と中長期的な成果の創出、また、組織文化の醸成に向けて、いまの人事評価制度と運用が適切かを常に見返していきましょう。

 

継続的に面談を実施する

リテンション施策を行っていく中では、継続的な面談の実施も大切です。

 

定期的な面談を通じて、業務において感じている課題や従業員の目標、キャリアビジョンを把握し、従業員の状況を知ることができます。従業員が抱える問題に対して早めに対処できますし、従業員に対して寄り添う姿勢を示すことで、企業に対してのエンゲージメントを高めることができるでしょう。

 

面談は、上司による1on1、また、利害関係者である上司には相談しにくいテーマ、例えばキャリア形成等に関しては、斜めの関係、また社外の国家資格キャリアコンサルタントを活用する等の施策が有効です。

 

従業員のモチベーション低下や離職リスクを事前に把握する方法

離職を減らすには、リテンション施策を行って従業員の離職率を下げるだけでなく、離職リスクを事前に把握して手を打つことも重要です。

 

パルスサーベイの実施

従業員の離職リスクを事前に把握するためには、パルスサーベイの実施が有効です。

 

パルスサーベイは、短いスパンで従業員に対して簡単なアンケート調査を実施することで、従業員のモチベーションや心身の健康状況の把握を行うものです。パルスサーベイの結果を分析することで、個人はもちろん、組織単位での離職や休職リスク等を把握できます。

 

刻一刻と変化する従業員の意識の状況をいち早くとらえ、離職リスクに素早く対処することができます。

 

コミュニケーションの中で従業員の変化をとらえる

従業員の離職リスクをコミュニケーションの中で気づくことも重要です。

 

従業員は表面上は問題なく仕事に取り組んでいるようでも、内心では心配事や中長期における課題感があるかもしれません。上司は継続的にコミュニケーションを取ることで、従業員の変化をつぶさに捉え、離職に意識が向いた言動や行動がないかなどを確認することが大切です。前述した通り、継続的なコミュニケーション、とくに業務進捗のケアではない1on1が大切です。

 

また、社内全体のコミュニケーションを活性化することは、会社のビジョンや方針をより深く理解したり、帰属意識が高まったりすることにつながります。組織というのは、どうしても自分が業務で携わる範囲でタコツボ化・縦割りになりやすいものです。普段仕事で関わらない他部署や他職種と関わる仕組みや機会を、組織側から仕掛けて作成することも大切です。

 

離職する社員の特徴を知る

従業員の離職リスクを事前に把握するためには、離職する社員の特徴を分析することも有効です。ある程度期の規模感であれば、適性検査のデータ、パルスサーベイや異動と人事評価などの関係など、データ部分をしっかりと分析することは大切です。

 

また、定性的な側面では、どういった行動や言動を取る社員が離職する傾向にあるかを知っておくことも事前の対処をしやすくするでしょう。

 
一般的には、たとえば、挨拶が減る、不満や愚痴が多くなる(逆に今まで多かった社員が言わなくなる)、欠勤や早退が目立つようになる、自発的な発言が減るなどは離職やモチベーション低下の兆候です。

 

まとめ

人事分野におけるリテンションは組織メンバーを定着させ、モチベーションを維持・向上させることができます。少子化の影響が若年者雇用に直接響き、若手・優秀層の取り合いが激しくなる今後、リテンション施策は組織にとってますます重要になってくるでしょう。

 

適切なリテンション施策を行なうことで、個人や組織の労働生産性は確実に高めることができますし、採用費の削減や人材育成の投資対効果向上にもつながります。

 

ジェイックでは、社員の成長意欲を高め、学ぶ姿勢を持たせる研修を行っています。『人を動かす』や「7つの習慣®」「原田メソッド®」などのノウハウを用いたフレームワークを利用し、一人ひとりが理想のキャリアを実現できるように支援します。企業へのエンゲージメントを高めることができる効果的なリテンション施策です。

 

他にも、新人研修や2~3年目研修、リーダー研修、管理職研修など、ポジションや経験年数ごとの研修も行っています。研修によってそれぞれの離職リスクの解消が期待できます。まずはお気軽にご相談ください。

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著者情報

東宮 美樹

株式会社ジェイック 取締役

東宮 美樹

筑波大学第一学群社会学類を卒業後、ハウス食品株式会社に入社。営業職として勤務した後、HR企業に転職。約3,000人の求職者のカウンセリングを体験。2006年にジェイック入社「研修講師」としてのキャリアをスタート。コーチング研修や「7つの習慣®」研修をはじめ、新人・若手研修から管理職のトレーニングまで幅広い研修に登壇。2014年には前例のない「リピート率100%」を達成。2015年に社員教育事業の事業責任者に就任。

著書、登壇セミナー

・新入社員の特徴と育成ポイント
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