第1の習慣「主体的である」とは?自分の人生の責任者となる習慣を解説

第1の習慣「主体的である」とは?自分の人生の責任者となる習慣を解説

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、法人向けに教育研修サービスを提供しています。法人企業のお客様から多くいただくご相談の一つが「社員にはもっと、主体的に動いてもらいたい」「受身な人が多くて困っている」など、社員の「主体性」に関するお悩みです。

 

なぜ企業は社員に主体性を求めるのでしょう。それは、受け身や指示待ちなど社員の主体性が欠如していると、社会や時代の変化に現場がついていけず、事業の足を引っ張ることにつながるからです。また、何かあると人のせいにしたり、自分から新しいことに取り組まないといった社員が多ければ、組織風土にマイナスの影響が出たり、組織の活力を削いだりしてしまいます。

 

世界中で大ベストセラーとなっている書籍『7つの習慣』では、第1の習慣「主体的である」の中で、「主体性とは何か」「どうすれば身に付くのか」が語られています。記事では『7つの習慣』の第1の習慣「主体的である」の内容を解説するとともに、私たちが身に付けるべき主体的な人の特徴や考え方を紹介します。

<目次>

そもそも「主体的である」とは?

「主体性」は、職場の会話やビジネス本、セミナーなど、いろいろな場面で耳にする言葉です。しかし、「主体性を発揮しよう!」という一方で、主体性という言葉自体は曖昧なイメージで使われがちです。本章では、『7つの習慣』をもとにして、「主体性」「主体的である」とはどういうことかを解説します。

 

 

『7つの習慣』における「主体的である」の定義

「主体的である」という言葉にどんなイメージを持つでしょうか。一般的に「自分から率先して行動すること」「自ら考えて行動する」といったイメージでしょうか。『7つの習慣』では、主体性を、「自ら選択し、選択したことの責任を引き受けること」と定義しています。

 

主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。

出典:スティーブン・

 

「主体的である」ということをより深く理解するために、以下では、「主体的である」の反対となる「反応的である」という概念、そして、主体的な人の特徴である「刺激と反応の間にスペースを空ける」を解説します。

 

 

「主体的である」の反対となる「反応的である」という概念

「主体的である」とは反対に、自分は選択せずに状況に流されるという態度を「反応的である」と言います。反応的な人とは、「周りの状況に影響を受ける人」です。

 

反応的な人は、「天気が悪い」「自分が応援している野球チームが負けた」「自分の意見に反対された」といったことにいちいち反応して機嫌を悪くします。また「景気が悪いから」「上司が理解してくれないから」「〇〇さんの仕事が遅いから」といった形で状況に対する責任を周囲のせいにします。

 

反応的な人は、自分の人生をコントロールせず、コントロールする力を周囲や他人に委ねています。また、反応的な人は物事がうまくいかないと周囲のせいにして苛立ちます。その精神状態は周囲にも伝播して、場の雰囲気を悪くするとともに、周囲からの信頼を徐々に失っていきます。

 

 

主体的な人が実践する「刺激と反応の間にスペースを空ける」

主体的な人は、反応的な人と異なり、周囲の出来事にいちいち振り回されません。

 

日常生活ではさまざまな出来事(“刺激”と呼びます)が起こります。刺激の中には自分にとって都合が良いもの・悪いもの、興味や関心があるもの・ないものなど、さまざまです。主体的な人は、つい感情的になりそうな刺激に対しても、まず深呼吸して自分を落ち着かせ、気持ちを切り替える習慣が身に付いています。

 

朝起きて雨が降っている日でも、天気を変えることはできないと知っているので、無駄にイライラすることはありません。たとえ電車の中で足を踏まれてしまうことがあっても「混んでいたら、こういうこともあるさ」と落ち着いてとらえて、苛立ちを押さえ、ネガティブな感情を引きずったり、周囲に発散したりすることはありません。

 

主体的な人は、なぜ周囲の出来事に反応せずに過ごせるのでしょう。理由は、主体的な人は「刺激と反応の間にスペースを空ける」習慣が身に付いているからです。「刺激と反応の間にスペースを空ける」とはどういうことでしょうか。

 

人間以外の動物は、周囲からの刺激に対して、限られた反応を取ることしかできません。

しかし人間は、刺激に対して、「反発する」「理解しようとする」「嫌になって逃げだす」「諦める」「捉え方を変える」など、どう反応するかを自分で選択することができます。

じつは人間は「刺激に対してどう反応するかを選択する」能力を生まれつき持っています。

 

<反応を選択するための4つの能力>

1.自覚 ……自分自身の状態や思考を客観的にとらえる

2.想像力 ……自分の反応した結果などを想像する

3.良心 ……物事の善悪を判断する

4.自由意志 ……自らの意志で反応選択する

 

主体的な人は、人間が持っている刺激に対して反応を選択する力を上手に使いこなします。感情的になりそうなときにも、「感情的になっている自分を自覚し、感情のままに行動したときの結果を想像し、その行動の善悪を判断したうえで、自分の意志で行動を選択する」ということを実施しています。

 

主体的な人も人間です。不都合なことや思い通りにならない場合に感情が苛立つこともあります。しかし、主体的な人は、刺激と自分の反応の間に“スペース”を空けます。別の言葉でいうなら、自分自身を“一時停止”させます。そして、スペースを作り一時停止している間に、自覚・想像力・良心・自由意志を働かせて、行動を選択するのです。

 

『7つの習慣』の著者、コヴィー博士は下記のように言っています。

 

私たちは自分の身に起こったことで傷つくのではない。その出来事に対する自分の反応によって傷つくのである。もちろん、肉体的に傷ついたり、経済的な損害を被ったりして、つらい思いをすることもあるだろう。しかしその出来事が、私たちの基礎をなすアイデンティティまでも傷つけるのを許してはいけない。

出典:『完訳 7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

 

私たちの人生には、辛い経験や悪い出来事も起こります。しかし、コヴィー博士が言うように、出来事にいちいち反応する生き方をしていれば、自分自身を傷つけてしまうことになります。「刺激と反応の間にスペースを設け、自分の行動を選択する」ことが主体的であるということであり、より良い人生を送るうえで不可欠な姿勢です。

 

主体的な人が使う言葉と、反応的な人が使う言葉の違い

主体的な人と反応的な人では、刺激に対する反応の仕方だけでなく、使う言葉にも違いがあります。本章では、主体的な人と反応的な人が使う言葉の違いを見ていきます。

 

 

反応的な人が使う言葉

反応的な人は、以下のような言葉を多く口にします。

 

「私はいつもこうやっている。今更変えることはできない。私にできることは何もない」

「そんなことが認められるわけない。あの人のやりかたは本当に頭にくる」

「私にはとてもできそうにない」

 

上記の言葉から感じるように、反応的な人は、責任を取ったり、自分で選択したりすることを好みません。反応的な人は、周囲の状況に振り回され、自分で改善行動をとることもせず、いつまでもネガティブな感情に囚われ続けてしまうことになります。

 

 

主体的な人が使う言葉

主体的な人は、以下のような言葉を使います。

 

「私は〇〇と考え、~~をする」

「今までのやり方だとうまくいかないから、別の方法を考えよう」

「あの人と意見は食い違っている。なぜそういう意見になったのかをもう少し聞いてみよう」

 

言葉からもわかるように、主体的な人は状況に対して自分がどう行動するかを考えます。結果として主体的な人は、自分の行動をコントロールして望む結果に向けて状況を改善させていきます。

 

出来事に対してどう反応するかと同様に、日常でどんな言葉を使うのかも私たち自身の選択です。自分が使う言葉は、自分自身に一番影響することになります。望む結果に向けて、日常でも主体的な言葉を使っていきましょう。

 

前章では、主体的な人と反応的な人が使う言葉の違いを解説しました。改めて自分自身を振り返ったとき、主体的な生き方ができているでしょうか、反応的に過ごしてはいないでしょうか。

 

『7つの習慣』では、「主体的であるかどうかは、日常生活のどこにエネルギーを注いでいるのか、を考えることで理解できる」としています。本章では、「関心の輪」と「影響の輪」という概念をもとに、主体的であるために、どこに集中してエネルギーを注げばいいのかを解説します。

 

 

「影響の輪」と「関心の輪」

 私たちは皆それぞれ、多くの関心事を持っている。健康、家族、仕事の問題、経済、世界の平和など。関心の輪を描くことで、関心を持っている事柄と関心を持っていない事柄とを分けることができる。そして、関心の輪の中に入っている事柄を見つめれば、実質的にコントロールできないものと、コントロールできるもの、あるいは大きく影響できるものがある、ということがすぐに分かる。後者の範囲は、もっと小さい輪、つまり影響の輪を描くことによって示すことができる。

出典:『7つの習慣』 スティーヴン・R・コヴィー

 

私たちは、身の周りで起きている出来事や入ってくる情報について、「これは興味がある」「これは関心がない」と無意識に判断しています。『7つの習慣』では、私たちが関心を持っている事柄を「関心の輪」、そして関心の輪の中で「私たち自身が変えられるもの、影響できる」事柄を「影響の輪」と呼んでいます。

 

「関心の輪」に入るのは、政治や経済、天気、老後の生活、上司の機嫌、会社からの評価、顧客の意思決定など、私たちが興味・関心を持っている事柄です。関心の輪の中には、「自分で変えたり影響できたりする事柄」と「自分が影響したり変えたりできない事柄」があります。前者の「自分で変えたり影響できたりする事柄」を「影響の輪」と呼びます。

 

例えば「明日の天気」は、外出の予定がある人にとっては関心がある事柄でしょう。一方で、明日の天気を変えることはできません。したがって、「明日の天気」は関心の輪に入るといえます。一方で、明日の天気を「雨が降っても大丈夫なように準備する」というふうに解釈すれば、影響の輪に入るかもしれません。例えば「折り畳み傘を持っていく」「なるべく地下道で移動できるようにする」といったことです。

 

 

主体的な人は、影響の輪にエネルギーを注ぐ

 

 自分が時間やエネルギーの大部分を、この二つの輪のどちらに集中させているかを考えることにより、主体性の度合いをよく知ることができる。

 

主体的な人は、努力と時間を影響の輪に集中させ、自らが影響できる事柄に働きかける。彼らの使うエネルギーは積極的なものであり、その結果として、影響の輪が大きく広がることになる。

 

一方、反応的な人は関心の輪に集中している。他人の欠点、周りの環境、自分のコントロールの及ばない状況などに集中する。これらのものに集中すると、人のせいにする態度や反応的な言葉、あるいは被害者意識をつくり出すことになる。反応的な人は消極的なエネルギーを発生させ、影響を及ぼせる事柄を疎かにするので、影響の輪は次第に小さくなる。

 

出典:『7つの習慣』 スティーヴン・R・コヴィー

 

『7つの習慣』では、主体的であるかどうかは、先ほど説明した「影響の輪」「関心の輪」のどちらの事柄にエネルギーを注いでいるかで知ることができると話しています。

 

例えば、上司の決定に納得がいかない状況があるとします。主体的でない人は「上司の意思決定」に関心を持ちます。そして、陰で上司の文句や不満を口にするかもしれません。しかし、上司の文句や不満を言っても、結果が覆ることはありません。主体的でない人は、自分が影響を及ぼせないこと(=関心の輪)に集中する結果として、物事に影響を与えられません。

 

一方、主体的な人はどうでしょうか。主体的な人は関心のテーマを「上司の意思決定プロセスを知る」や「上司の意思決定を動かすためにできること」といった影響の輪に入れられるテーマに調整します。そして、上司が意思決定した判断基準を確認したり、上司を説得する材料を考えたり、落としどころを探したりといった行動をとります。

 

上記のように、主体的な人は状況に対して自分が影響できること、すなわち影響の輪の中にある事柄に集中します。そして、影響の輪に集中した結果、問題が改善したり、状況がプラスに向かったりするなど、何かしらの結果が得られるでしょう。

 

また、主体的な人は、影響の輪に集中して行動することで、物事の動かし方を学んだり、周囲からの信頼を得たりして、影響の輪を拡げ、より大きな影響力を持つことができます。逆にいえば、私たちが主体的であるためには、影響の輪にエネルギーを注げばいいわけです。

 

記事では『7つの習慣』の第一の習慣である「主体的である」について解説しました。『7つの習慣』では、主体的であるとは、「自ら選択し、選択したことの責任を引き受けること」であると定義しています。逆に「選択せずに周囲の状況や他人に選択を委ねて流される」姿勢を反応的であると呼びます。

 

主体的である人は、人間が持っている4つの能力、自覚、想像力、良心、自由意志の力を使って、刺激に対する反応を自ら選択しています。刺激と反応の間に“スペース”を作ったり、刺激に対して“一時停止”したりするなかで、反応を選択するのです。

 

また、主体的な人は「私が〇〇する」という私を主語にした言葉を使ったり、自分が影響を与えてコントロールできる「影響の輪」に集中したりします。逆にいうと、主体的である、主体性を発揮しようと思うなら、主体的な人がしている姿勢や言動を真似することも一つのやり方です。

 

コヴィー博士は主体性の発揮、主体的であることについて、下記のように述べています。

 

主体性とは、自発的に率先して行動することだけを意味するのではない。人間として、自分の人生の責任を引き受けることも意味する。私たちの行動は、周りの状況ではなく、自分自身の決定と選択の結果である。

出典:『7つの習慣』スティーブン・R・コヴィー

 

自らの意志で選択するからこそ、「主体的である」人は、「自分の人生に責任をとる」ことができます。どういう反応を選択するかは私たちが選択可能であり、だからこそ、私たちの人生の創造主は私たち自身なのです。周囲の状況に反応するのではなく、自分自身に焦点をあてて選択する習慣を身に付けることが、豊かな人生を歩む最初の一歩です。ぜひ記事の内容を参考に「主体的である」ことに取り組んでみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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