本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.1は下記よりどうぞ。
<目次>
- 伸ばす上司が持つ5つの要素とは?
- 感情・価値観・あり方へ働きかけるトレーニング
- 人間関係を強める三角形
- 組織におけるコミュニケーションの必要性
- 伝え方の事例:マジック・フォーミュラ
- 「人を動かす」トレーニングの進み方
- 人が変わらない理由を解除して行動変容を促す
- 組織が「動く」ようになるデール・カーネギー・トレーニングが選ばれる3つの理由
伸ばす上司が持つ5つの要素とは?
新人を伸ばす上司の特徴ですが、下記5つの要素を持ってる人です。
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この5つを意識してもらうためには、OJT指導者の育成方法自体を変えていくことが必要です。
感情・価値観・あり方へ働きかけるトレーニング
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ただ、人の行動パターンというのは、そう簡単に変わるものではありません。一時的に強制することで変わっても、意外とすぐに戻ってしまいました。
従って、上司やOJT指導者に行動パターンを変えて欲しいと思うのであれば、感情や価値観に働きかけることが重要です。
また、ここまでお伝えしてきたような行動パターンを定着させるには、研修やロープレではなくトレーニングが大切です。つまり、「知識をインプットする」ことや「できるようにする」ことではなく、「反復練習で身に付ける」ことが必要なのです。
人間関係を強める三角形
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なお、我々はOJT指導力を高めたいと思うと、ピンポイントで研修トレーニングしてしまいがちですが、そもそも新人や若手とOJT指導者、上司の間に協力関係ができていない状態では、特定のコミュニケーションスキルのトレーニングをしてもあまり効果はありません。
新人のこうした発言はある意味ではプロ意識かもしれません。しかし、協力関係が作られているとは言えないでしょう。協力関係というと、「OJT指導者の役に立ちたいな」とか「お客さんの役に立ちたい」といった思いがある関係性です。
新人とこうした協力関係を作れていないOJT指導者に、小手先のコミュニケーション研修をして上手くいくでしょうか?
また、OJT指導者が新人に対して「苦手だな」と思っていたり「あまり好きじゃない」と思っていたらどうでしょう?
やはり協力関係は築けないでしょう。
人は、自分に関心を持ってくれてる人、大切な存在だって思ってくれる人、そういう人と一緒に頑張りたいと思うものです。
従って、OJT指導者が新人に適切な影響力を発揮しようと思うと、人間関係を強化するための行動パターンを身に付けるところから、階段を下から順番に、1個ずつステップを上がっていく必要があります。
組織におけるコミュニケーションの必要性
OJT指導者や管理職が、この階段を上るために具体的にどんな行動をとっていけばいいのか。非常に有効なものをご案内します。
それは、書籍『人を動かす』の考え方です。『人を動かす』はご存じの方も多いと思いますが、デールカーネギーが書いた日本だけで1000万部を超える大ベストセラーであり、人への影響力・リーダーシップを身に付けるための30の原則が書かれています。
30の原則には、人間関係を段階的に高めていって、相手を主導していく。そのための原理原則が具体的な行動として書かれています。
人間関係を強化するためには、上記1から9の原則を使うと有効です。
10から21の原則を行動していくと、協力を得る関係性が作れるようになります。
そして、22から30の原則の行動をとっていくと相手が動いてくれる、つまり、リーダーシップや影響力を発揮することができます。
30の原則は、トレーニングで身に付けることもできます。本を読んで知識として知るのではなく、実践できるようになるためのトレーニングです。
コミュニケーションは誰しも物心ついた頃から、自分なりのスタイルを作り上げています。知らず知らずのうちに自分の中で「パターン」が形成されていきます。
そして、日頃何も考えずにコミュニケーションしていると、自分のパターンが表に出てきます。お互いのパターンの相性が良ければコミュニケーションはスムーズですが、実際にはそう上手くいきません。とくに仕事であれば、相手を選ぶことはできません。
新人のOJT指導においても、新人がOJT指導者側を選ぶことも出来なければ、OJT指導者が新人を選ぶこともできません。だからこそ、どんな相手にでも合わせて、スムーズなコミュニケーション、リーダーシップや影響力を発揮できるような訓練が必要になってきます。
伝え方の事例:マジック・フォーミュラ
『人を動かす』のトレーニング内で学べることを少しだけご紹介します。例えば、人に「行動を起こしたいな」と思わせる話し方です。
下記はマジック・フォーミュラというフレームワークです。
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日本のビジネス界においては「結論から伝える」ということが常識になっています。新人研修で報連相を学んだときから「物事は結論から伝える」と習ってきました。もちろん、これは正しいやり方です。
しかし、人を動かそう、やる気にさせて動かそうという時には、このフレームワークではなかなか上手くいきません。
マジック・フォーミュラは、以下のよう伝え方になっています。
まず出来事、エピソードやストーリーを話してください。相手にして欲しい行動、その行動を取ると「なぜいいのか」、具体的な事例で伝えてあげるということです。
次に、相手に促したい行動を簡潔に伝えてください。
そして最後に、その行動をとることで相手が得られる利益を伝えます。
ポイントは、このフォーマットと話の長さです。長く話さず簡潔に伝えることも大切です。
人が集中して話を聞ける限界は2分間とも言わます。
相手に取ってもらいたい行動があるなら、まずは出来事を1分50秒で話します。ここで相手を惹きつけます。そして、5秒で取ってもらいたい行動を伝え、残りの5秒でメリットを伝えます。この話し方ができると、相手がこちらが取ってほしい行動をしてくれる可能性は高まります。
言われてみれば簡単な話です。しかし、こうした話し方を日常で使いこなせるようにするためには、知識を得るわけでも、ロープレをするわけでもなく、スポーツ的なトレーニング、反復練習が重要になってきます。
「人を動かす」トレーニングの進み方
人を動かすの研修は上のスライドのような進め方の特徴があります。
たとえば、先ほどの2分間スピーチですが、スポーツの基礎練習のように、必ず研修の冒頭で全員が2分間スピーチを実施します。
そして、話している途中にどんどんコーチ(フィードバック)が行われます。「もっとコンパクトに、一言で伝えられるように」といった形でスピーチの途中でアドバイスが行われ、その場で修正して練習します。コーチング・イン・ザ・モーメントと呼ばれるやり方です。これもスポーツのフォーム練習などとお同じ感覚ですね。
そして、1回では直りませんし、身に付きませんので、何回も繰り返し練習していく機会を作っていくことが非常に重要です。トレーニングを受けたら実践してみて、また戻ってきて、またトレーニングを受けて、何回か繰り返していくと徐々にできるようになっていきます。
このように話し方のプロセスやフレームワークを学びつつ、練習を積み重ねて、実践の場でやってみる。タイム・スペース・ラーニングと呼ばれる学習法ですが、この繰り返しによって相手に影響力を与えるコミュニケーションの引き出しを身に付けていきます。
人が変わらない理由を解除して行動変容を促す
先ほどコミュニケーションには、人それぞれ「自分のパターン」があると紹介しました。やはり人は自分のパターンで行動していることが一番楽です。コミュニケーションでいえば、自分のパターンが通じる心地よい人とずっと一緒にいたいものです。苦手な人や見知らぬ人とは距離を置けば快適です。
この「自分のパターン」という快適な空間から抜け出す体験をしないと、コミュニケーションの幅が広がりませんし、苦手な人はずっと苦手なままです。
この快適な空間、コンフォートゾーンを抜ける体験をトレーニングの中でやっていくことも大事なポイントです。それぞれ、とくに管理職層がコミュニケーションのコンフォートゾーンを広げていくと、次第に苦手な人がいない組織という形になっていきます。
組織が「動く」ようになるデール・カーネギー・トレーニングが選ばれる3つの理由
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カーネギーの書籍『人を動かす』は、国内1000万部を超えるベストセラーになっています。
そして、デール・カーネギーのトレーニングはアメリカの売上トップ500の企業の90%以上が導入し、たとえば、管理職になるための条件として「管理職になりたいなら、このトレーニングを必ず受けてください」と言われるプログラムになっています。
ただ単に聞き方、褒め方、叱り方といったテクニカルな手法を学ぶだけではなくて、「相手に行動を促す伝え方」をトレーニングを通じて身に付け、人間関係の原理原則を身につけることがおすすめです。
そうすると、新人メンバーが「わかるようになりたい!」「もっと教えてください!」というふうに変わってくるでしょう。
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現場と一体になって育成計画を立案し、OJT指導者の育成をぜひ考えてみてください。そうすれば、貴社の新人がOJTを通じて早期に成長するとともに、組織へのエンゲージメントも高まっていきます。
ぜひ今回を機会に自社のOJTについて見直しを図ってみてください。それでは皆さん、最後までご清聴いただきまして、ありがとうございました。
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