新人教育の計画を作る目的は?
新人教育に計画が必要な理由は、新人(新卒や業界未経験の新入社員)の教育を現場任せや行き当たりばったりでしてしまうと人材育成の効率が悪くなるためです。
そもそも「新人に何を教えることでスムーズに成長できるか」という設計に抜け漏れがあれば、成長スピードが鈍化してしまうことは想像に難くありません。新人育成では、現場での学び(OJT指導)はが不可欠ですが、手前でしっかりと初期教育が終わっていなければ吸収が遅くなります。
現場のOJTをスムーズに行うためには、初期教育で何をどのレベルまで教えているかを事前に共有する必要があります。さらに、OJTのスタート後は現場に業務面の指導は任せながら、メンタル面のケアや節目の振り返りは人事が行う、といった役割分担も重要です。新人教育の計画はスムーズな新人育成を行うための羅針盤となります。
また、計画を作るもう1つの効果は「振り返りの精度UP」です。事前の計画があるからこそ、実際に運用した後の振り返り精度があがります。計画通りにいったことは何か、うまくいかなかったことは何かを、次年度の計画に反映していくことで、新人教育のレベルがどんどん高まっていくのです。
新卒の新人教育
一般的に、新卒の新人教育は、入社前(内定者研修)、初期研修、現場配属、という3つの区分で運用することが多いでしょう。
新卒の新人教育がうまくいかない典型的なパターンは、人事が内定者研修と初期研修の設計のみ行っていて、現場配属後を現場に任せきりにしてしまうケースです。この場合、OJTでの育成計画や受け入れレベルが現場ごとにばらついてしまうことで、育成が遅れたり、場合によっては早期退職に繋がってしまったりします。
新卒の新人教育を成功させるには、以下のポイントが重要です。
- 現場配属後の教育プログラムを、事前に現場主体で設計してもらう(計画を作ることに会社としてコミットする)
- 初期教育で教えている内容を、人事/教育部門から現場のOJT指導者に引き継ぐ、
- 現場配属後も、配属後1ヶ月、配属後3ヵ月、入社1年、入社2年などの節目タイミングで集合研修やレビューを行い、人間関係やモチベーション面を人事/教育部門からケアする
中途の新人研修
他社で経験を積んで入社してくる「中途社員の新人研修(受け入れ)」は、日本ではまだまだ整備されていない分野です。経験やスキルがある中途社員には「なるべく早期に戦力となってもらいたい」また「早期に戦力化するだろう」という過剰な期待が生じがちです。
しかし、実は経験があり、同業や同職種の経験を持つ人材こそ、戦力化するためには丁寧な受け入れが重要です。組織論の世界では“組織社会化”と言いますが、組織には固有の「文化」があります。例えば、言語(社内用語、業界用語)、歴史(沿革や成り立ち)、政治(意思決定のされ方、上層部の関係性)、(上司、同僚、部下などとの人間関係)、組織目標・価値観(ミッションやビジョン、暗黙知)などです。
組織文化への適合が基盤にあったうえで、職務スキルに習熟して、始めて戦力として力を発揮できます。新卒の場合には、①経験がないからこそ吸収がスムーズ、②初期研修やOJT期間を通じて学べる、③周囲も「できない」ことへの許容度が高い、という特徴があります。
一方で、中途社員の場合、①これまで培われた「常識」が吸収を邪魔する、②いきなり現場に配属される、③経験値が高いほど周囲が過剰に期待する(遠慮である場合もありますし、悪意を持って「お手並み拝見」という場合もあります)という特徴があります。中途社員の受け入れ体制を整えているGE(ゼネラル・エレクトリック)などでは、経験値やポジションが上位の中途社員ほど「組織社会化」のプロセスを丁寧に行う仕組みがあります。
組織社会化のプロセスを適切に行う仕組みは、オンボーディングとも呼ばれ、別の記事で紹介していますのでご興味あれば、ぜひご覧ください。






