新人の挨拶指導で教えたい「心構え」と挨拶指導のポイント

2021/08/05

社内に新しい風を運んできてくれる、今までにない刺激が生まれる等、職場に新人が加わることで生じる良い影響はたくさんあります。特に新人たちの元気な挨拶を心待ちにしている人も多いのではないでしょうか?しかし、、挨拶が「ぼそぼそ喋っていて何を言っているのか聞き取れない」「うつむきがちで声が小さく暗い感じがする」といった新入社員もいます。

大声を張り上げるような必要はありませんが、笑顔で気持ち良い挨拶ができれば、本人も組織も得られるものは大きいでしょう。記事では、新人たちに「挨拶」を指導する時に教えたい「心構え」と、「指導のポイント」についてお伝えしていきます。

<目次>

挨拶における新人の課題と挨拶を指導する重要性

会社によっては「挨拶なんでどうでもいい」と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、HRドクターを運営する教育研修会社ジェイックでは、長年、新卒や既卒層の就職支援、そして新人・若手教育、入社後の定着・活躍支援といった領域を手掛ける中で「挨拶」は非常に大事だと感じています。実際の現場で新人や若手の挨拶にどんな課題があるか、そして、なぜ挨拶が大事かを紹介します。

 

 

新人が「挨拶できない」と言われる理由

毎年のように「新人たちの挨拶に物足りなさを感じる」という経営者や管理職からの声を伺いまます。新入社員がうまく挨拶をできないのは、どのような理由があるのでしょうか。

 

「元気な挨拶に自信がない…」

「人前で大きな声を出すと目立って恥ずかしい…」

 

挨拶が上手にできない理由には、本人の気持ちや性格の問題も確かにあります。

 

しかし、これまで10年以上に渡り、数多くの新人を入社後研修等で指導してきたジェイックの経験から言えることがあります。挨拶が上手にできない原因は、気持ちや性格の問題ではありません。新人たちが挨拶できない原因は、「なぜ挨拶が大事なのか?」「どういう挨拶が良い挨拶なのか?」「どうすれば良い挨拶ができるようになるのか?」を分かっていないことです。

 

 

挨拶はすべての人間関係の入り口

なぜ、挨拶は大事なのでしょうか。それは、「挨拶はすべての人間関係の入り口」になるからです。

 

昨今の新人たちは、メールやSNSでやりとりすることが当たり前の環境で育ってきた世代です。また地域のコミュニティ等がなくなってきたなかで、昔ほど「他所の大人」との接点もなくなっています。結果として、初めての人、とくに年上と面と向かってコミュニケーションすることに苦手意識を持つ人も増えている印象はあります。

 

しかし、挨拶は社内でも、社外でも「人間関係の入り口」になる重要なコミュニケーションです。気持ち良い挨拶は、よい第一印象を持ってもらう、存在を認知してもらう、会話のきっかけをつくる等の効果があります。とくに新人のうちは、働くうえで上司や先輩社員など、周囲の力を借りることになります。力を借りるためには、まず周囲の人に「自分自身を知ってもらう」ことが不可欠です。そのための非常に重要なのが挨拶なのです。

 

 

入社直後の新人にしっかり挨拶の指導を行う重要性

新人に限らず、職場の全員が気持ち良い挨拶をできることは大事です。私たちは、業界業種、規模を超えて、多くの会社に伺います。すると、業績が良く成長している会社ほど、オフィスのエントランスで通りがかった社員の方が気持ち良い挨拶をされます。

 

従って、会社全体で気持ち良い挨拶に取り組むことは重要であり、会社全体の挨拶を向上させる上でも、入社直後の新人にしっかり挨拶指導を行うことが重要です。

 

なぜなら、社歴の長い社員に挨拶指導や挨拶運動をしようとしても、「新人じゃあるまいし、今さら挨拶なんて……」と思われてしまいがちだからです。しかし、入社したての新人は、挨拶にしても、ビジネスマナーにしても、教わることの殆どが社会人として初めて教わることであり、彼らの基準となります。

 

そして、新人たちが、好ましい挨拶をしっかり出来るようになったタイミングで、新人を受け入れる上司や先輩たちに対しても、新人たちの挨拶にしっかりと返すように指導するのです。

 

「新人たちがきちんと挨拶するのだから、自分たちが返さないわけにはいかないな」という心理が働きますので、幹部や管理職を巻き込んでいけば、一気に職場の挨拶は活性化します。職場全体の挨拶を活性化させるうえでも、入社直後の新人にしっかりと挨拶指導を行うことが大切です。

新人に挨拶を指導する時に教えたい2つの「心構え」

挨拶を指導する時に教えたい心構え1:「自分の心を開き、相手に迫る」挨拶を徹底する

多くの方が日常生活の中で「挨拶」をされています。しかし、「挨拶」という言葉の意味を知っている方は少ないかも知れません。

 

挨拶という漢字を見てみましょう。

 

挨拶という漢字は、『挨』は“心を開く”、『拶』は“相手に迫る” という意味があります。つまり、挨拶というのは 「自分の心を開き相手に近寄る」という意味があるのです。

 

挨拶とは単にビジネスマナーを覚えて、「おはようございます」「ありがとうございました」「よろしくお願いします」と声を出す行為ではありません。自分の心を開いて、意思や感情を相手の心に届けることが挨拶なのです。

 

たとえ、どんなやる気や前向きな姿勢、相手への好意があったとしても、態度やしぐさ、言葉などの行動に出さない限り、周囲には伝わりません。相手と好ましい人間関係をつくるための挨拶、その意味を、実際に動作等を教える前にぜひ心構えとして指導してください。

 

 

挨拶を指導する時に教えたい心構え2:まず「自分から挨拶」する

新人研修等の中で、「人間関係を築く上で挨拶が大切だよ!」という話をすると、納得して頷く新人がほとんどです。しかし、頭では分かっていても、いざ職場で自分から率先して挨拶することを難しく感じてしまう人も少なくありません。

 

理由を聞くと、「忙しそうにしている先輩にいきなり声をかけてしまっても良いのだろうか?」「もし相手が挨拶を返してくれなかったらどうしよう…」「まだ人間関係がない相手に声をかけるのは気恥ずかしい…」といった答えが返ってきます。確かに気持ちは分かる部分もありますが、誰かが率先して挨拶しない限り、挨拶はいつまで経っても出てきません。

 

挨拶の意味を踏まえて、自分にとって好ましい人間関係をつくるために、「自分から心を開いて相手に近寄る」ことの重要性をしっかりと伝えてください。

挨拶を指導する時に大事になる3つの指導ポイント

新人たちに挨拶を指導するにあたり、3つのポイントをお伝えします。各社で「慣習」があると思いますし、すべての場面できっちりとして挨拶をする必要もないかも知れません。しかし、はじめに「型」を覚えることが大事ですので、新人への挨拶指導ではぜひ基本をしっかりと伝えることがおススメです。

 

 

指導ポイント1 「アゲハチョウ」な挨拶

ジェイックでは、挨拶指導の際、好ましい挨拶のポイントとして、「アゲハチョウ」な挨拶を教えています。アゲハチョウとは、以下5つの頭文字です。

 

ア         明るく

ゲ         元気に

ハ        ハキハキと

チョ      直立して

ウ         美しく

 

「好ましい挨拶」」といっても、人にとってイメージするものが異なりますし、伝わりづらいです。上記のようにもう一段具体的に分解してあげることで指導がしやすくなるでしょう。

 

アゲハチョウは、

 

「明るく」「元気に」「ハキハキと」は、声や表情

「直立して」「美しく」は、身体の動作

 

です。とても語呂が良く覚えやすいので、ぜひ新人の挨拶指導に取り入れてみてください。

 

 

 

指導ポイント2 相手の心を届けるための「挨拶の型」を身に付ける

前章では「挨拶」には、“自分の心を開き相手に近寄る”という意味があるとご紹介しました。この“相手に近寄る”を実践するためにも大事なのがアゲハチョウ、とくに「直立して」「美しく」を実践するための「分離礼」です。

 

分離礼とは、字の通り、「言葉」と「お辞儀」を分離する形式の例であり、日本における正式な挨拶として知られています。分離礼ではない挨拶を想像してみてください。「言葉」と「お辞儀」を同時にやろうとすると、お辞儀しながら言葉を発することになります。その場合、言葉が向かう先は挨拶をしている「相手」ではなく「床」になるでしょう。

 

挨拶では、分離礼でしっかりと「言葉」と「お辞儀」を分ける。そして、「言葉を相手に届ける」ことがとても大切です。

 

指導ポイント3 挨拶の前後に「一言」を付け加える

くり返しになりますが、目の前の人に挨拶するということは、「相手に近寄る」ということです。挨拶は単に言葉を発するだけでなく、相手に近づいて人間関係をつくる、会話を始める第一歩なのです。

 

相手との距離を近づけるために大事なポイントは、挨拶の前後に「一言」を付け加えることです。

 

挨拶の前に付け加える一言

「誰に」挨拶するのか

Ex)     ○○さん

○○部長

○○様

 

挨拶の後に付け加える一言

「相手への関心やメッセージ」

Ex)      ○○の指導をよろしくお願いします。

今日も一日よろしくお願いします。

お時間を頂いてありがとうございます。

お元気そうですね!

今日お会いできてうれしいです!

 

場合や状況によっては、前後の一言は「心の中」で付け加えても良いでしょう。たとえ心の中で発していたとしても、「おはようございます」「こんにちは」といった挨拶だけなのか、前後の一言があるかの違いは、確実に相手に伝わります。

 

人間関係作りの名著『人を動かす』では、人に好かれる6原則の筆頭として、「相手に誠実な関心を寄せる」としています。そして、原則の3つ目が「名前を覚える」、更に2つ目は「笑顔を忘れない」です。アゲハチョウに前後の「一言」を付け加えるだけで、人間関係は一気によくなります。ぜひ新人への挨拶指導では前後の「一言」の重要性を指導してあげてください。

 

 

おわりに

挨拶はすべての人間関係の入り口です。とりわけ周りの助けを借りて仕事をする新人にとって、好ましい挨拶ができることは組織に馴染んだり、仕事で成果をあげたりするうえで、非常に重要です。入社したての新人にしっかりと挨拶指導をおこないましょう。

 

挨拶指導するうえでは、「自分の心を開いて相手に迫る」という挨拶の意味、そして、自分から挨拶するという心構えをまずしっかりと教えることが大切です。そのうえで、「アゲハチョウ」な挨拶、分離礼、挨拶の前後に「一言」を付け加えるといった好ましい挨拶の「型」を指導すると、新人が身に付けやすいでしょう。

 

組織内に気持ち良い挨拶をする習慣が出来ると、不思議と業績にも繋がります。ぜひ記事の内容を参考にして、新人の挨拶指導、そして、組織の挨拶改善に繋げてください。

 

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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