
OJTは実務内での指導による人材育成であり、「職場教育」として非常にイメージしやすいやり方です。OJTによる職場教育のメリットとデメリット、効果的なOJTを実践するポイントを解説します。
OJTのメリット
OJTのメリットは、「実際の現場で、実務を通じて学ぶため、実践的な技能が身に付く」という点です。極端な書き方をすれば、Off-JTでの学びは「机上の空論」であることに対して、OJTでの学びは「生きた学び」といえます。
もちろん上記は極端に過ぎる表現であって、Off-JTで業務に必要な知識やスキルを育成できますし、ロールプレイング等を通じて実務に近づけていくことができます。しかし、OJTであれば現場の空気、また実際の機器や顧客対応を通じて学ぶことで、より実践的な技能が身に付いていくでしょう。
現場では、マニュアル等にはない想定外の事案も出てきますし、マニュアルに書かれていない細かなノウハウがあります。これらを身に付けていけることがOJTの良いところです。また、基本的に1対1~2で行われる少人数指導ですので、相手の習得度合いや吸収状況に応じて教育内容を柔軟に変更できるのもOJTのメリットです。
OJTのデメリット
OJTのデメリットは、教育効果や成長度がOJT指導者の能力(指導力)に依存してしまう点です。OJTは1対1~2で行われる少人数で行われることが多いため、OJT指導者も複数になり、OJT指導者によって指導力のレベルにバラツキが生じてしまいます。
効果的なOJTを実践するポイント
OJTのメリットをしっかりと発揮させ、デメリットを回避するためには、以下の3つがポイントになります。
- OJT指導者の教育を行うこと
- 各OJT指導者にOJTの「計画」を作成してもらうこと
- 各OJT指導者に任せきりにしないこと
OJTをOJT指導者の力量に任せきりにしない仕組みを作ることが、会社として効果的なOJTを行う上でのポイントです。人事/教育部門が全体をコーディネートしながら、OJT指導者の上司、ブラザーシスター社員などを巻き込んで進めるとよいでしょう。
OJTの基本ステップは「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」
OJTの基本的なやり方は、「4段階職業指導法」です。4段階職業指導法というと非常に堅苦しいのですが、ステップとしては、山本五十六の名言、「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」とまったく同じです。
下記の4段階で指導を行うことで、相手の吸収と理解を促進します。
- Show(やってみせる)
- Tell(説明する)
- Do(やらせてみる)
- Check(評価を伝え追加指導を行う)
1. Show(やってみせる)
最初に、OJT指導者が業務を実際にやってみせます。教わる側の社員に業務イメージを具体的につかんでもらうことが目的です。なお、やってみせる前に「いくつぐらいのステップがあるか」「各ステップで何をするか」などの全体像を伝えておくと、よりイメージをつかみやすくなるでしょう。
2. Tell(説明する)
見てもらったうえで、プロセスの詳細を、意味や背景まで含めて説明します。教わる側に質問があれば、質問を受け付け、しっかりと答えます。業務が標準化されて、マニュアルが整理されていると、説明が効率的に実施でき、新人の自習や復習も促しやすくなるでしょう。
3. Do(やらせてみる)
見てもらって、伝えたうえで、実際に業務をやらせてみます。可能であれば、マニュアル等を見て、「自分で自分に説明しながらやってもらう」とスムーズです。
4. Check(評価・追加指導)
評価を伝え、改善点を伝えていきます。フィードバックする上では、出来ていない点ばかり伝えると委縮してしまいますので注意が必要です。うまく出来た点、改善した点をポジティブに伝えていく中で、重要なポイントから修正していきましょう。
「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ」という4ステップをOJT指導者が意識することで、学ぶ側にとって吸収しやすいOJTが実施できます。あとは4ステップを繰り返して、習熟度をあげていきます。
繰り返す時には「やらせてみる⇒フィードバック」が中心になりますが、時に再度「やってみせる」「説明する」ことで、成功イメージを確認させたり、手順を復習させたりすることも重要です。頭の中に業務の進め方が少しずつ入ってきた段階で、再度「やってみせる」「説明する」ことで理解が促進されます。
なお、OJT指導が下手な人は、「評価・追加指導」がネガティブフィードバック中心になり委縮させるケースが多いです。委縮させてしまうと、新人側が質問しづらくなるため理解が進まない、「上手くやる」ことよりも「怒られないこと」や「OJT指導者の評価」に意識がいってしまい、学習が阻害されます。
OJTの準備
OJTを実施する上では、OJT指導者には2つの準備が必要です。
1つは「OJTの実施計画」です。OJTのゴール、ゴールまでの道筋やチェックポイント、教えていくスキルの整理、業務内容の整理をしておくことで効果的にOJTを実施できます。OJTのゴールやゴールまでの道筋やチェックポイントなどの全体像を学ぶ側に共有できると、学ぶ側のモチベーションアップも期待できます。
OJT指導者に必要なもう1つの準備は「相手の理解」です。相手が持っている経験や知識、また、新人などであればOJTの前に受けている初期教育の内容を把握して、相手の基礎的な理解度やイメージしやすい伝え方を想像しておくとOJTをスムーズに始めていくことができるでしょう。