内定者研修の目的と設定のポイント
内定者研修を行なう目的は会社によって異なります。当然、内定者研修のプログラムも、実施目的に応じて変わります。従って、内定者研修の設計を考えるうえでは、目的の設定が一番重要です。目的とゴールが明確でないと、どうしても研修プログラムが中途半端なものになりがちです。
現実的には複数の目的がある場合もありますが、目的の優先順位は必ず決めましょう。そのうえで、どのプログラムは何の目的とゴールで実施するかを明確にすることが大切です。オンラインや教材提供等も含めて、目的に応じていくつかの研修を組み合わせることも良い方法です。
内定者研修を行なう目的は、大きくは「辞退防止」と「入社後の戦力化促進」という2つに大別されます。ここでは2つの目的を、さらに2つずつに分類して、合計4つの目的を紹介します。
辞退防止① 内定者フォロー(内定辞退防止)
内定者研修を実施する目的としてまず挙げられるのが、内定承諾後の辞退防止です。日本の新卒採用市場(大卒)は、じつは過去30年間で見ると、少子化の影響を受けずに来ました。
確かに少子化は進んでいますが、それ以上のペースで大学進学率が上昇してきたのです。その結果、大卒人数というのは過去30年間で見ると増加(直近10年はほぼ横ばい)しています。
しかし、このトレンドが22卒採用から変わります。大学進学率の上昇が頭打ちになる結果、少子化の影響が一気に出始めます。つまり、中長期的には景気の動向に関わらず、新卒採用は売り手市場へと向かっていきます。
売り手市場ということは、学生にとって内定獲得のハードルが下がり、複数内定がより増えるということです。この数年、内定承諾後の辞退も増えており、今後より加速することが予想されます。従って、内定承諾者のエンゲージメントを高め、内定辞退を防ぐことは、内定者研修における重要な目的です。
この数年間で、“承諾後の辞退”が発生しているようであれば、承諾後のコミュニケーション頻度や発信内容と併せて内定者研修の内容等を見直すことも有効でしょう。
辞退防止② 同期との交流による安心感
多くの内定者は、入社を控えて「どのような仲間と一緒に働くのだろう?」「これから企業に馴染んでいけるのだろうか?」といった不安を感じています。内定者研修を通じて、入社前に同期と交流する機会が設けることで、上記のような不安を軽減することも内定者研修の目的です。
入社前の不安を取り除くことで、入社後、よりスムーズに組織へと馴染みやすくなりますし、同期はもちろん、先輩や上司と交流する機会もあれば、不安軽減にさらに効果的です。
ただし、同期との交流は、「社風との不一致を感じた」「周りのレベルが低い」等、内定辞退に繋がる場合もあります。必ずしも“交流=辞退防止”にはなりません。内定者の構成やタイプに応じて、判断が必要です。
戦力化促進① 社会人としての基礎スキル習得
入社後の戦力化促進に向けて行なわれる内定者研修の一つが「スキル習得」を目的とするものです。このタイプの研修は、教材提供や資格勉強等を通じて、オンライン・遠隔で行なわれることが多くなります。ITエンジニアやMR等、入社後に知識習得が必要な業界や職種で行なわれている割合が高いです。
基礎スキルの習得を課題とすることは、
- 入社後の戦力化に役立つ
- 課題の進捗や提出状況を通じて、入社意欲や辞退リスクを測れる
- 課題進捗に関するやり取りがコミュニケーションの機会となる
- 採用選考だけでは分からない内定者の能力レベルが見える
- “この会社でやっていけるか”という内定者の不安軽減に繋がる
- 成長実感を与えることで、辞退防止に繋がる
- 承諾時の「熱が高い状態」から入社までの流れを作ることで、辞退防止に繋がる
といった効果があります。
“内定者に負荷をかけると嫌われるのではないか”といった感覚から実施されていないことも多いですが、志望度の高い内定者を集められているようであれば、非常に有効です。
戦力化促進② 学生から社会人への意識切り替え
これから入社する学生にとって、社会人としての基礎スキルを習得するのと同じくらい、意識の変革も重要です。「学生気分」を脱却し、社会人としての意識を持ってもらうことによって、入社後の教育担当の負担も軽減されます。
「自分はなぜこの企業に採用されたのか?」「何を期待されているのか?」「企業にとって必要な人材とはどのような人材か?」といったことを考えてもらい、社会人としてのマインドセットを持ってもらうのも、内定者研修の目的の一つです。このタイプの内定者研修は、入社が近づく2~3月ごろに行なわれることが多くなります。






