「原田メソッド」は、原田教育研究所の社長である原田隆史氏が考案した教育手法であり、誰でも目標達成できるようになる、また、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力の双方を磨いていくといったことを特徴とした手法です。
原田メソッドは、ビジネスリーダーや日本で誰もが知るトップアスリートにも活用されており、大手企業とはじめとした約500社が導入、累計で10万人以上の人々が実践してきました。
目標達成に必要なものは何でしょうか。達成目標に関連する領域のスキルや知識はもちろん必要ですし、モチベーションも重要です。
また、自分の強みや弱みを把握してうまく活用・対策する必要もあるでしょう。さらには目標達成に向けたスケジュールや計画策定も求められます。
このような目標達成に必要な要素を、いくつかのツールを使って標準化、誰でも実践できる体系化したのが原田メソッドです。
記事では、原田メソッドの公式パートナーである研修会社としての知見を踏まえて、目標達成手法「原田メソッド」の基本的な考え方や特徴、また原田メソッドの根幹となる3大ツールを紹介します。
<目次>
原田メソッドとは?
記事では最初に、原田メソッドの理念と目的、また、原田メソッド提唱者の原田隆史氏について紹介します。
原田メソッドとは
原田メソッドは、目標達成するための手法であると同時に、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力を磨いていく教育手法でもあります。
原田メソッドでは「成功は技術である」という考え方を掲げており、ツールを活用することで「誰もが目標達成できるようになる」という再現性ある成功を重視しています。
原田メソッドが目指すのは、原田メソッドを通じて「自立型人間・自立型組織」を育成するというものです。自立型人間とは、自「分で考えて行動し、自分で責任を取る人」のことです。
そして、自立型組織とは、「自律的に動くメンバーで構成され、組織全体で目標に向かって努力する組織」です。
自立型人間・自立型組織を実現するために、原田メソッドでは、長期的な目標や理想を明確にして、長期目標や理想の実現に必要な行動やスキルを具体的に計画し、自分自身で振り返りや評価を行って改善するという一連のプロセスを標準化して、誰もが実践できるようにしています。
原田メソッドは、個人や組織の研修プログラムとしてパッケージ化されており、組織で成果を出せる人材に変化・成長するためのプログラムが用意されています。
多くの企業研修でも導入され、野村證券やキリンビールなどの大手企業をはじめとする500社以上に導入され、10万人以上が実践しています。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックも「原田メソッド」研修を公式提供していますので、ご興味あれば下記より資料をご覧ください。
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原田メソッド提唱者:原田隆史氏とは?
原田メソッドは、教育者として、実業界・スポーツ界の人材育成者として、現在も幅広く活躍している原田隆氏が提唱した手法です。
原田氏は元々大阪府に生まれ、大学を卒業後、大阪市内の公立中学校で、保健体育や生徒指導、陸上部の顧問として勤務しました。
原田氏が勤務していた松虫中学校は当時、関西エリアでも有数の「荒れた中学校」としてネガティブな評判のあった学校でした。
原田氏は、松虫中において、「態度教育」「価値観教育」「自立型人間の育成」といった教育理念を自ら考案して、監督していた陸上部の部員たちの育成に献身します。
結果、松虫中学校の陸上部は、「公立中学の陸上部が7年間で13回の日本一を記録する」という誰もが予想できなかった成果を生み出します。
競技者人口の多い陸上競技で、公立中学の陸上部が日本一を記録することは大変なことであり、13回の日本一という記録は“松虫中の奇跡”とも呼ばれます。
奇跡的な成果をあげた松虫中学校を見学にくる企業経営者やスポーツ選手は後を絶たず、原田氏は松虫中学での取り組みを「原田メソッド」としてまとめあげ、教育講演や企業研修、プロスポーツ選手の指導などに当たってきました。
原田メソッドは前述したような大手企業へも導入され、日本で誰もが知るメジャーリーガーなどが実践していたことでも知られています。
原田氏は現在、自身が設立した原田教育研究所の代表を務めるとともに、自治体の教育委員や教育アドバイザーなどの公職でも活躍しています。
原田メソッド5つの特徴
本章では、原田メソッドが持つ5つの特徴を紹介します。
特徴① 人格と能力を同時に高める
目標達成したり成果を上げ続けたりするためには、スキルや能力はもちろん必要です。
しかし、より大きな成果、大きな自己成長を実現するためには、スキルや能力だけでなく、人格が備わっていなくてはなりません。
原田メソッドでは、能力と人格は切り離せないものであり、大きな成功をおさめるには、真摯に学ぼうとする姿勢、周りの協力を得られる人間性、目標達成への強い決意と覚悟といった磨かれた人格が不可欠としています。
原田隆史氏は、「人格の土台があって、はじめて能力が発揮される」と表現しています。
原田メソッドのプログラムでは、自分の目標を達成するために、日々の仕事や生活の中で、能力(スキル)と人格(人間力)をともに高めることを重要視しており、能力と人格、双方の成長を実現する様々な工夫が設けられています。
特徴② ツール活用により再現性を持たせている
原田メソッドには、日々の仕事や生活の中で人格と能力を高める様々な工夫がされていると紹介しました。
工夫を具体的な形として、誰もが実践できるよう落とし込んだものが原田メソッドの「3大ツール」と呼ばれるものです。
目標達成に必要な思考や行動をサポートする3大ツール「長期目的・目標設定用紙」「ルーティンチェック表」「日誌」は、原田メソッドを実践するうえでの根幹であり、次章であらためて解説します。
また、3大ツールには含まれませんが、原田メソッドが生み出した「オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)」と呼ばれるツールも非常に有名です。
特徴③ 目標に意味づけする
原田メソッドでは、目的と目標を明確に区別します。「目的」とは、何を実現したいのか?という、自分がなりたい姿や得たいもののこと。
そして「目標」は、目的を達成するための具体的な数値や途中指標など、目的を実現するうえでの道標です。
例えば「自分が心から満足する人生を送る」は目的であり、そのために「年収1000万円稼ぐ」というのは目標です。
目的と目標をセットで考えることで、自分が実現したいこと、得られるものが明確になります。しかし、意外と私たちは目標を設定しても、目的は明確にしていないことが多くあります。
目標の先で、自分が何を得たいのか、どうなりたいのかなどが、曖昧な状態であったり、言語化されていなかったりするのです。
特に仕事における目標は、「会社や上司から与えられたもの」「追わないといけないもの」として設定されてしまい、目標達成する意味付けがされていないことが多々あります。
原田メソッドでは、目標にしっかりと意味づけすることで、達成意欲を高め、かつ作成した計画を実行するうえでのモチベーションを維持する仕組みが盛り込まれています。
特徴④ 目標達成に必要な施策やアイディア、スキルや知識を導き出す
目標を達成するためには、人格を土台に、達成目標に応じた施策や行動、プロセスやスキル、能力が求められます。
たとえば、会社のメンバーに「自分に与えられた目標を達成するには、どんな施策があるだろうか」「どんなプロセスが重要だろうか」と聞いたとします。
いつも継続的に目標達成できている人であれば、きっとスラスラ答えが出てくることでしょう。
一方で、目標達成率が低い社員は「自分の目標達成には、何が重要だっけ…」と答えに窮するかもしれません。
しかし、目標達成するための計画をつくるには、どんな施策やアプローチがあり、どんなプロセスが重要で、どんなスキルや知識が必要かといったことをきちんと洗い出すことが求められます。
原田メソッドでは、オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)というツールを用意しています。
オープンウィンドゥ64は、目標達成に必要な知識やスキル、達成するための具体的なアクションを洗い出すことを目的としたツールです。
日本人なら誰もが知るメジャーリーガーが高校時代に作ったマンダラチャートをご覧になったことがある方も多いかもしれません。
HRドクターでは、オープンウィンドウ64の詳細と活用の仕方を分かりやすく解説した記事も用意していますので、ご興味あれば以下のリンクよりご覧ください。
特徴⑤ 組織づくりにも活用できる
目標達成の手法というと、個人の目標達成や成果創出をイメージする方が多いかもしれません。原田メソッドが、個人の目標達成や成果創出に大きく貢献する手法であることは間違いありません。
しかし、原田メソッドは個人だけでなく、組織の目標達成力向上にも活用することが可能です。
原田メソッドはひとつの体系となっており、ツールも整っているからこそ、管理職がメンバーを指導する際にも効果を発揮します。
メソッドすべてを取り込まなくても、「目標設定のプロセスに意味づけを入れる」「計画立案にオープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラートを導入する)といった部分的な活用も可能です。
また、3大ツールの中核である「長期目的・目標設定用紙」や「オープンウィンドゥ64(マンダラチャート・マンダラート)は、組織内で活用することも可能です。
また、目標達成力が高いメンバーが作成したツールを他メンバーに共有して、目標達成に向けた計画づくりや施策のアイディアなど、実務的なノウハウを一気に広げることもできるのです。
原田メソッドでは、このようにトッププレイヤーやベテランの知恵を組織全体に広げていくことを“知の移植”と呼び、推奨しています。
目標達成の思考と習慣をサポートする3大ツールの紹介
前章では、原田メソッドの特徴として、3大ツール「長期目的・目標設定用紙」「ルーティンチェック表」「日誌」+「オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)を紹介しました。
本章では、原田メソッドの根幹をなす3大ツールについて、簡単に紹介します。
原田メソッド3大ツール①「長期目的・目標設定用紙」
長期目的・目標設定用紙は、自分が達成したい目的や目標を具体的に定め、そのために必要な行動計画や自己分析を行うためのツールです。
原田メソッドの実践において、長期目的・目標設定用紙は、確実な目標達成をサポートするために不可欠なツールです。
長期目的・目標設定用紙は以下のような構成になっています。
(1) 目的・目標の設定
自分が達成したいと思う目標を明確にして、達成期日を決めます。目標は、具体的かつ測定可能なSMARTなものにすることが重要です。
(2) 目的・目標の4観点
目的・目標の4観点では、「自分/他者」、「有形/無形」の2つの軸、4つのカテゴリーで目標に意味づけするプロセスです。
例えば、「今期中に50件の新規契約を決める」という目標なら、自分×有形「評価されて昇進昇格する」、自分×無形「自信がつく」、他者×有形「会社の売上が増える」、他者×無形「同僚のモチベーションが上がる」などがあげられるかもしれません。
4観点で目標をとらえなおすことで、想いが高まり、目標達成を目指すモチベーションが大きく向上し、達成を後押しします。
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目標達成へのモチベーションを高める方法 ~目的・目標の4観点~...
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(3) 行動計画
行動計画とは、達成したい目標に向けて、具体的にどんな行動をするかを設定するブロックです。行動は「期日行動」と「ルーティン行動」の2種類に分けられます。
期日行動とは、特定の日付に達成するべき目標で、例えば「6月30日までに宅建の試験に合格する」「5月31日までに過去問集を1回やり終える」などです。
また、ルーティン行動は、毎日繰り返す習慣的な行動で、例えば「毎営業日、見込み先10件に電話する」などです。
行動計画を作ることは、以下のようなメリットがあります。
- 目標を小さくブレイクダウンし、実現可能な行動に落とし込むことができる
- 行動の優先順位や期限を明確にすることができる
- 行動の成果測定、改善点を見つけることができる
オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)で洗い出した施策やアイディア、また、次に紹介する「支援者・支援内容」「自己分析」などの内容を行動計画に反映していくことで、目標達成を確実に推進する行動計画が出来上がります。
(4) 支援者・支援内容
高い目標であればあるほど、目標達成を支援してくれる人の協力が必要です。
支援者・支援内容のブロックでは、目標達成のために協力してくれる人やその具体的なサポートを記述します。
そして、サポートを得るために自分がどんな関わりをしたらいいかの視点を行動計画に追記します。
たとえば、仕事の目標であれば「上司」が入るかもしれません。
上司の協力やアドバイスを得るためには「週1回目標進捗の状況、また協力やアドバイスが欲しい点を報告する」といった行動大切かも知れません。
また、場合によっては、配偶者などが入ることもあるでしょう。
(5) 自己分析
自己分析では、過去の成功・失敗を振り返り、自分の成功パターンや失敗パターンを洗い出します。
自己分析の目的は、今回の目標達成プロセスに、「成功パターンにはめるための要素を盛り込む」、また「失敗パターンに陥らないようにするための予防策を盛り込む」ことです。
例えば、「仲間と協力しながら進めることで、モチベーションが途切れずに継続できた」という成功パターンがあれば、改めて支援者を見直し、上司や部下を目標達成に巻き込むためのルーティン行動を設定します。
また、「目標達成が苦しくなると、達成意欲が落ちて、ずるずると行動量が減ってしまう」という失敗パターンであれば、例えば、毎日4観点を見直し、目標達成に向けた意味づけを確認するというルーティン行動を設定します。
原田メソッド3大ツール②「ルーティンチェックシート」
先ほど紹介した「長期目的・目標設定用紙」の中で、行動計画としてルーティン行動に触れました。
ルーティンチェックシートは、目標達成に必要なルーティン行動を毎日実践し、進捗を記録するためのツールです。
ルーティンチェックシートには、目標達成に必要な行動やルーティンを具体的に記入します。日々のルーティンを実践できたら「〇」、実践できなかったら「×」を記入して運用していきます。
定期的、1か月に1回を目安としてルーティンの達成率や効果を振り返って、ルーティングを見直し、必要に応じて修正することも重要です。
ルーティンチェックシートで日々のルーティンに取り組むことで、以下のような効果が得られます。
- 目標達成に向けたプラスの習慣形成
- 目標達成に効果のあるアクションの明確化と見極め
- 「目標達成のために行動をやり切った!」という自信の醸成
原田氏は、「正しく設定されたルーティンの達成率が86%になれば、目標達成がほぼ見えてくる」と話し、ルーティンの達成率にこだわることが重要だとしています。
正しくルーティンを設定するには、前述の通り、オープンウィンドウ64(マンダラチャート・マンダラート)、支援者・支援内容、自己分析などをしっかりと実施して、行動計画に反映することがポイントです。
原田メソッド3大ツール③「日誌」
「日誌」は、目標達成に向けた日々の行動や結果や振り返りを記録するツールです。
原田氏は「成功の最小単位は1日である」として、毎日の行動が目標達成に大きく影響してくることを強調しています。日々の効果性を最大限に高めるのが、原田メソッドの日誌フォーマットです。
日誌を書くことで、自分の行動や結果を客観的に見ることができます。また、自分の成功体験や成長を実感することで、自信やモチベーションを高めることができます。
日誌を書くことは、自分自身に対するセルフコーチングです。日誌を書く中で自分自身の思考や言動を振り返り、さまざまな改善点や気付きが生まれます。
原田メソッドの日誌に記入する項目は、以下のようなものです。
- タイムスケジュール:前日に記入して、翌日の行動予定を時間単位で記入します。また、当日の夜には予定と実績を振り返ります。
- 今日必ずやること:タイムスケジュールの内容も踏まえて翌日必ず達成することを記入します。
- 自己効力感(仕事効力感):今日の良かったことや気づいたことを記入します。自己効力感には、どんなに小さなことでもかまいませんので、その日うまくいったこと、成果があがったこと、そして、そこで感じるポジティブな感情を振り返ります。
- 自己肯定感(自尊感情):自己肯定感の項目には「沈んだ表情の同僚を元気付けた」「通勤電車の中でお年寄りに席を譲った」など、人間的成長につながったと思える行動や体験を記入します。
- 今日をもう一度やり直せるなら:うまくいかなかったこと、期待通りの結果にならなかったことを振り返ります。たんに「失敗してしまった」「これが原因」と振り返るのではなく、「こうやれば上手くいったかもしれない」とイメージすることで、失敗を精神的に完了し、次実施するときの成功イメージを持つことがポイントです。
- ヒントになった言葉や出来事:目標達成に役立ちそうな気づきや思いついたアイディア、参考になった同僚や顧客の言葉などを記入します。これらが蓄積されることで、達成を後押しするヒント集になるでしょう。
まとめ
記事では、目標達成のプロセスを通じて人間性と仕事力の双方を磨きながら、再現性のある目標達成を可能にする目標達成手法である「原田メソッド」を紹介しました。
提唱者の原田隆史氏が、「自立型人間・自立型組織」を育成するために開発した原田メソッドは、これまでに500社を超える企業に導入され、10万人以上が実践してきました。
原田メソッドを実践することで、個人の夢や目標が明確になり、目標を達成するための具体的な計画や行動を立てたり、自分自身の強みや弱みを客観的に分析し改善したりすることが可能になります。
原田メソッドは、ツールを通じて、「再現できる目標達成の技術を身に付けられる」手法です。
HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、原田メソッドの公式パートナーとして、法人企業向けに原田メソッド研修を提供しています。
原田メソッド研修の詳しい情報にご興味があれば、以下よりダウンロードください。