原田メソッドのルーティンチェック表で目標達成に繋がる行動を習慣化する5つのポイント

原田メソッドのルーティンチェック表で目標達成に繋がる行動を習慣化する5つのポイント

原田メソッドは、教育者の原田隆史氏が20年にわたる教師生活のなかで確立した「優れた人格・人間力を土台にして、目的・目標達成できる」人間を育てる人材育成手法です。

 

提唱者である原田氏は、中学校の陸上部の監督に就任して、7年間で13回の日本一を達成するという偉業を成し遂げました。陸上の強豪校などではなく、むしろ「荒れた学校」と評判だった公立中学校で偉業を成し遂げられた理由が「成功は技術である」という考えの下で設計された目標達成手法です。

 

原田メソッドが提唱する「成功の技術」を支える3大ツールの一つが「ルーティンチェック表」です。記事では、「ルーティンチェック表」の効果や概要、ルーティンチェック表を効果的に活用するためのポイントをお伝えします。

 

原田メソッドについては以下の記事でまとめているので参考にしてください。

<目次>

ルーティンチェック表とは?成功に役立つ習慣作りの秘訣

目的・目標を設定してコンスタントに達成できる人と、いつも達成できない人がいます。原田氏は、目標達成できる人とできない人の違いは「目的・目標達成のために毎日、何をしたのか」という日々の実践行動の違いだと言います。

 

原田メソッド3大ツールの一つ、「ルーティンチェック表」は、目的・目標達成に向けた行動を毎日実践するためのツールです。

 

ルーティン行動とルーティンチェック表

ルーティンとは、英語で「定型業務」や「繰り返す行動」といった意味です。原田メソッドにおけるルーティン行動は、「目標達成に向けて毎日実行する行動」のことを指します。

 

例えば「新規顧客を10人増やす」目標に対して、「毎日100枚のチラシを配る」や「見込みリストに毎日10件架電する」といったものがルーティン行動です。これらのルーティン行動を日々実践するかが目標達成のカギを握ることは想像に難くないでしょう。

 

また、上記のような目標達成に直接的につながる行動だけがルーティンではありません。例えば、「始業前に目標売上と現状のデータを必ず見て、今日の売上目標を確認する」「健康を維持するために毎日24時前に就寝する」「店舗のメンバーに必ず毎日感謝を伝える」といった目標達成に間接的につながる行動もルーティン行動です。

 

原田メソッドでは、上記のようなルーティン行動を別の長期目的・目標達成シートとオープンウィンドウ64(マンダラチャート)というツールで洗い出し、ルーティンチェック表で実践をマネジメントします。「ルーティンチェック表」は、日々のルーティン行動を設定し、目標達成に必要な「プラスの習慣作り」を実現するためのツールなのです。

 

成功者が実践しているプラスの習慣作り

原田メソッドを開発するにあたり、原田氏はオリンピックの金メダリスト、グローバル企業の経営者、歴史上の偉人、名を残した政治家など、古今東西の成功者と呼ばれる人達の研究を徹底的に行ないました。調査の結果、成功者たちは皆例外なく、目標達成に直結する「プラスの習慣」を持っていることがわかりました。

 

習慣とは私たちが無意識に繰り返している思考や行動のパターン(ルーティン)であり、「プラスの習慣」と「マイナスの習慣」の2つがあります。「プラスの影響」は、仕事での価値創造や目標達成につながったり、人生や人間関係にプラスの影響を与えたりする習慣です。

 

一方で、「マイナスの習慣」は目標達成を妨げたり人生や人間関係に悪影響をおよぼしたり習慣です。

 

古今東西の成功者がみな「プラスの習慣」を持っていることは、スポーツの世界や経営者の記事などを見ていても想像しやすいと思います。習慣は、私たちの思考や行動に大きく影響します。私たちが何かを達成したいと考えるのであれば、目標達成につながる「プラスの習慣」を形成することが非常に有効です。

 

97%の「無意識」をコントロールすることで成功に近づく

私たちの思考や行動において、実は意識的にコントロールしている範囲はたったの3%ともいわれます。残りの97%はじつは無意識に判断して、思考や行動しているというわけです。

 

原田メソッドでルーティンチェック表を使って目指すのは、プラスの習慣を身に付けることで、97%の無意識を味方につけることです。97%の無意識が、目標達成につながる思考や行動になれば、私たちのパフォーマンスは何倍にもなります。

 

原田メソッドのルーティンチェック表では、意識的なプラスの行動を毎日継続して習慣化させることで、プラスの習慣を身に付け、パフォーマンスを向上させます。

ルーティンチェック表を効果的に実践するための5つのポイント

ルーティンチェック表を使ってプラスの習慣形成を実現するためには、ルーティン行動の内容と日々の実践がカギを握ります。本章では、ルーティンチェック表を効果的に活用するポイントを3つ紹介します。

 

ポイント1:具体的な表現で毎日実行するルーティン行動を設定する

まずルーティン行動を設定するうえで重要なことは、具体的な内容で表現することです。例えば「顧客リストに電話をかける」とか「職場を掃除する」「メンバーへの声がけを意識する」といった表現は具体的な内容とはいえません。

 

それぞれ「毎日見込み先に10件電話をかける」「朝の始業前に自分の島の机を拭く」「毎日1人メンバーの興味関心について雑談する」といったように、時間帯や数字を具体的に盛り込んだ表現にすることが大切です。

 

目的・目標達成に覚悟が定まっていない人は、抽象的な表現になりがちです。抽象的な表現を使うことで行動に幅を持たせ、決めたとおりにできなかったときの言い訳を無意識に考えてしまうからです。対して、結果を出す覚悟を決めた人の行動は、具体的で明確です。具体的な表現で行動を設定することで、覚悟が決まり、行動の質も高まり、結果的に目的・目標設定に対して効果的な行動が生まれます。

 

また、ルーティン行動は「毎日」する行動を設定しましょう。職場に関することは営業日(勤務日)だけになっても構いませんが、「週に1回」「毎週水曜日に」などではなく、「毎日」実践することがプラスの行動を習慣化するためのポイントです。

 

ポイント2:ルーティンの「達成率」にこだわる

以下で図示したように、ルーティンの実践は日々のルーティン行動をできたら「〇」、できなかったら「×」を記入するという非常にシンプルなものです。実践するうえでは、「〇」の数、ルーティンの達成率にこだわりましょう。

 

ルーティン達成度の表

 

原田隆史氏は6万人以上の指導実績から、ルーティンチェック表の達成率が86%になれば、目標達成はほぼ見えてくる、習慣化に近づくと話しています。まずは達成率86%をクリアすることを目指しましょう。

 

ポイント3:難易度が低い目標設定から始める

ルーティン行動を設定するうえでは、難易度を上げすぎないように気を付けましょう。いきなり高い難易度のルーティンを設定して達成率が低くなると、目標達成に近づかないだけでなく、失敗体験として記憶されることになります。

 

例えば、本を読む習慣がない人が「自己成長のためにビジネス書を読む」というテーマでルーティン行動を設定するのであれば、はじめは「毎日ビジネス書を開いて1ページ読む」「毎日ビジネス書を開く」くらいから始めることがおススメです(ただし、ベースとなる目標の難易度などによります)。

 

ポイント5で紹介しますが、ルーティンチェック表は1ヵ月周期で運用していきます。したがって、まずは低い目標を達成して確実に習慣化していく。そのうえで、設定した行動が身に付いてきたら、徐々に難易度を上げていくことがおススメです。

 

ポイント4:ルーティンを実践し、振り返りをする

ポイントの4つ目は、ルーティンチェック表で「できた(〇)」「できなかった(×)」をチェックしたら振り返りをすることです。継続できなかった行動には、できなかった理由が必ず存在します。例えば、「顧客対応で忙しかった」などの“特例”を自分に許してしまったからかもしれません。あるいは、「担当者への電話かけ」や「部下への声かけ」が相手の不在でできなかった場合もあるでしょう。

 

振り返りを通じて、「そうか、自分は忙しいときに“特例”を許してしまいやすいんだ」とか「よし!次からは、相手の都合に左右されない行動を設定しよう」といったように、自分の特性に気付いたり、ルーティン行動の改善点を考えたりしましょう。自己理解を深め、ルーティン行動設定のポイントを知ることで、目標達成に確実に近づくための考え方や習慣を身に付けることができます。

 

なお、ルーティンチェック表で振り返りする際の注意点が1つあります。達成できない日が続いた場合でも、「自分は継続できない弱い人間だ……」と落ち込まないことです。振り返りのあとは「次こそは継続できるようにしよう!」と奮起することを忘れないでください。人は心が強いから何かを継続できるのではありません。ルーティン行動を日々実践するなかで、少しずつ目標達成を下支えする心・マインドが育まれるのです。

 

ポイント5:1ヵ月周期で振り返って、ルーティン行動を再設定する

ポイント3で紹介したとおり、ルーティンチェック表は1ヵ月周期で運用します。1ヵ月が経過した時点で、1ヵ月分の「〇」「×」を振り返って、翌月のルーティン行動を設定しましょう。惰性で同じ行動を継続するのではなく、以下のような視点で振り返りましょう。

達成率が高い目標(86%を超えている)

⇒目標達成や自己成長につながっている実感があるので、そのまま継続する
⇒もう少し難易度を上げて成長スピードを早めたり、負荷を高めたりする
⇒完全に習慣化しているのでルーティンチェック表の対象から外す

達成率が低い目標

⇒低い原因を考えて対策を打つ(ルーティン行動はそのまま維持)
⇒外部的な要因で達成率が低いのであればルーティン行動を変える
⇒難易度が高すぎるようであれば難易度を下げて再度トライアルする

他にも「目標達成に効果があるか」「新たに加えたほうが良いルーティン行動はないか」といった視点で振り返って、ルーティン行動の削除・追加・修正を行ないましょう。

まとめ

記事では、原田メソッド3大ツールの一つ、「ルーティンチェック表」をテーマに、ルーティン行動の概要やプラスの習慣作り、ルーティンチェック表を効果的に実践するためのポイントをお伝えしました。プラスの習慣をつくることで、私たちは日常の思考や行動の97%を司るという無意識を味方にすることができます。

 

ルーティンチェック表は、毎日実践するプラスの行動を決めて実践・チェックして振り返るという非常に単純なシートです。だからこそ、ルーティン行動を設定する、実践する、振り返るうえでのポイントを押さえることでより有効に活用することができます。

 

今回紹介したルーティンチェック表を活用する5つのポイントを押さえて、ぜひ「プラスの習慣」を身に付けてください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|取締役 兼 常務執行役員

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て入社。
IT戦略事業、全社経営戦略、教育事業、採用・就職支援事業の責任者を経て現職。企業の採用・育成課題を知る立場から、当社の企業向け教育研修を監修するほか、一般企業、金融機関、経営者クラブなどで、若手から管理職層までの社員育成の手法やキャリア形成等についての講演を行っている。
昨今では管理職のリーダーシップやコミュニケーションスキルをテーマに、雑誌『プレジデント』(2023年)、J-CASTニュース(2024年)、ほか人事メディアからの取材も多数実績あり。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
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