新人研修に使える助成金は?
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新人研修に使える助成金にはいくつかの種類があります。本章では、各助成金の概要、助成内容、対象企業、申請要件、支給額などを紹介します。
なお、繰り返しになりますが、助成金の利用条件には細かな制約があったり、年度ごとに条件が更新されたりしますので、詳細は必ず厚生労働省などのホームページをご確認ください。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、「正規雇用の従業員に職務に関連する専門知識や技能習得を目的とした訓練をする」場合に使える助成金です。かつては、キャリア形成促進助成金という名称でしたが、平成28年に名称とコース内容などが再編されています。
労働生産性の向上に役立つ訓練、若年者に対する訓練、OJTとOFF-JTを併用した訓練など、効果が高い10時間以上の訓練に利用できるものです。比較的多くの企業で新人研修向けに活用されている助成金です。
○基本要件
「OFF-JTにより実施される訓練であること」と「実際の研修時間が10時間以上であること」の基本条件のほかに、ポリテクセンターや職業能力開発大学校などの高度職業訓練、中小企業大学校が実施する訓練、ITSSレベル4または3となる訓練などの7種類のうちいずれかの訓練を労働者に受けさせるなどの細かな要件があります。
*ITSSレベルとは情報処理推進機構が定めている「IT領域で価値創出するための必要スキル」のレベルです。
○対象企業の条件
人材開発支援助成金の支給対象になるのは、雇用保険適用事業所であり、訓練期間中の訓練受講者に対する賃金を適正に支払っているなどの8要件を満たした中小企業と中小企業以外の企業、事業主団体です。
○対象労働者の条件
人材開発支援助成金の支給対象となる労働者は、以下4要件のすべてを満たす必要があります
- 助成金を受けようとする事業所または事業主団体などが実施する訓練などを受講させる事業主の事業所において、被保険者であること
- 訓練実施期間中において、被保険者であること
- 訓練実施計画届時に提出した訓練様式第4号(訓練別の対象者一覧)に記載のある被保険者であること
- 訓練の受講時間数が、実訓練時間数の8割以上であること
このほかに、各コースによって異なる基準もあります。
例えば、建設業や情報通信業、製造業で実施されることの多い特定分野認定実習併用職業訓練では「15歳以上45歳未満の労働者」と「申請事業主などの構成事業主における被保険者」の2条件を満たすとともに、「新たに雇い入れた者」などの対象要件に該当する必要があります。
◯新人研修に利用できる特定訓練コースの種類
特定訓練コースで使える制度(訓練)は、以下のように時間数や業種、厚生労働大臣による認定の有無によって変わってきます。
| OFF-JTのみ | OFF-JT+OJT | ||
| 特定訓練コース (訓練時間数:10時間以上) | 特定訓練コース (雇用型訓練※必要な訓練時間数は大臣認定の要件で変わる) | ||
| 若手人材育成訓練 | 雇用契約締結後5年経過せず35歳未満の者を対象とする訓練 | 認定実習併用職業訓練 | OFF-JTとOJTを効果的に組み合わせた訓練として厚生労働大臣の認定を受けた訓練 |
| 特定分野認定実習併用職業訓練 | 上記のうち建設・製造・情報通信業において行なうもの | ||
出典:正社員の職務に必要な知識・技能の向上のために人材開発助成金(特定訓練コース/一般訓練コース)を使ってみませんか?
◯特定訓練コースの助成額
特定訓練コースで受けられる助成額は、以下のように定められています。
| OFF-JT | OJT | ||||
| 賃金助成 (1人1時間あたり) (※上限は1,200時間(一部1,600時間)) | 中小企業 | 760円〈960円〉 | 実施助成 (1人1時間あたり) (※上限は680時間) | 中小企業 | 665円〈840円〉 |
| 大企業 | 380円〈480円〉 | 大企業 | 380円〈480円〉 | ||
| 経費助成 | 中小企業 | 45%〈60%〉 | |||
| 大企業 | 30%〈45%〉 | ||||
出典:正社員の職務に必要な知識・技能の向上のために人材開発助成金(特定訓練コース/一般訓練コース)を使ってみませんか?
人材開発支援助成金の助成額は、いくつかの注意点があります。
まず、訓練によって企業の生産性向上が認められた場合、「生産性要件を満たした」ということで〈 〉内の数字の通り助成額が引き上げられます。
また、職業能力開発計画のOFF-JTにかかる経費助成の限度額(1人1年間)は、実訓練時間数と企業規模に応じて、以下のように変わる仕組みになっています。
| 企業規模 | 10時間以上100時間未満 | 100時間以上200時間未満 | 200時間以上 |
| 中小企業事業主 事業主団体など | 15万円 | 30万円 | 50万円 |
| 中小企業以外の事業主 | 10万円 | 20万円 | 30万円 |
人材開発支援助成金の一般訓練コースは、職務に関連した専門的な知識および技能の習得をさせるための職業訓練であって、特定訓練コースに該当しないものです。2018年より通信制など(e-ラーニングを含む)により実施される訓練(一般教育訓練給付指定講座に限る)が助成対象(経費助成のみ)に追加されています。
◯基本要件
一般訓練コースの制度で助成金を受給するには、以下の3要件を満たす職業訓練を行なう必要があります。
- OFF-JTにより実施される事業内訓練または事業外訓練であること
- 実訓練時間数が20時間以上であること
- 雇用する被保険者に対して定期的なキャリアコンサルティングを実施することについて、就業規則や労働協約、または事業内職業能力開発計画で定めていること
○対象企業の条件
一般訓練コースも人材開発支援助成金にあたりますので、支給対象事業主の要件は前述の特定訓練コースと同じです。雇用保険適用事業所であり、訓練期間中の訓練受講者に対する賃金を適正に支払っているなどの8要件を満たした中小企業と中小企業以外の企業、事業主団体になります。中小企業かどうかの判断基準も同じです。
○対象労働者の条件
一般訓練コースも、以下4要件を必ず満たす必要があります。
- 助成金を受けようとする事業所または事業主団体などが実施する訓練などを受講させる事業主の事業所において、被保険者であること
- 訓練実施期間中において、被保険者であること
- 訓練実施計画届時に提出した訓練様式第4号(訓練別の対象者一覧)に記載のある被保険者であること
- 訓練の受講時間数が、実訓練時間数の8割以上であること
◯一般コースの助成額
一般訓練コースでは、対象経費と労働者1人1時間あたりの賃金に助成が行なわれます。
| OFF-JT | |
| 賃金助成 (1人1時間あたり) (※上限は1,200時間(一部1,600時間)) | 380円〈480円〉 |
| 経費助成 | 30%〈45%〉 |
一般訓練コースの場合、大企業でも中小企業と同条件で受給が可能です。また、生産性向上が認められた場合、〈 〉内の金額・割合に変わります。そして、経費助成は訓練時間に応じて以下の上限額が設定されています。
| 20時間以上100時間未満 | 7万円 |
| 100時間以上200時間未満 | 15万円 |
| 200時間以上 | 20万円 |
出典:正社員の職務に必要な知識・技能の向上のために人材開発助成金(特定訓練コース/一般訓練コース)を使ってみませんか?
一般訓練コースの助成額にも、さまざまな条件や注意点がありますので、詳細は厚生労働省のホームページで確認してください。
社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
東京都内の中小企業または中小企業の団体が実施する短時間の職業訓練に対して、助成金を支給する制度です。
かつては東京都中小企業職業訓練助成金と呼ばれていましたが、令和3年度より「社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)」に名称が変わっています。
記事内で紹介するのは東京都の制度ですが、都道府県単位で独自の助成金が用意されている場合もありますので、ぜひ確認してみてください。
◯対象事業主の条件
中小企業人材スキルアップ支援事業の助成金を申請できるのは、大きく分けて中小企業事業主と共同団体の2つです。「中小企業」は、以下の資本金額と常用労働者数のいずれか一方(もしくは双方)に該当する企業になります。
| 産業分類 | 資本金の額 | 常用労働者数 |
| 小売業・飲食店 | 5,000万円以下 | 50人以下 |
| サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 |
| 卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 |
| 上記以外の産業 | 3億円以下 | 300人以下 |
出典:東京都TOKYOはたらくネット 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
共同団体とは、事業協同組合や一般社団法人、企業組合などのうち、団体構成員の3分の2以上が中小企業であるものを指します。共同団体に含まれる対象は非常にたくさんありますので、詳しくは社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金のホームページを確認してください。
◯申請要件
中小企業人材スキルアップ支援事業の助成金に申請をするには、以下4要件を満たす必要があります。
- 東京都内に本社または事業所(支店や営業所など)の登記があること
- 訓練に要する経費を受講者に負担させていないこと
- 訓練を通常の勤務時間内に行ない、通常の賃金を支払っていること
- 助成を受けようとする訓練について、国または地方公共団体から助成を受けていないこと
◯対象訓練の条件
助成金申請ができる訓練は、以下3つの要件を満たす必要があります。
- 受講者の職務に必要な専門的な技能・知識の習得・向上または、専門的な資格の取得を目的とすること
- 集合で行なわれ、通常の業務と区別できるOFF-JT訓練であること
- 交付決定日から令和4年3月31日までの間に訓練を開始し、終了すること
また社内型スキルアップ助成金と民間派遣型スキルアップ助成金のそれぞれに、以下の要件が設けられています。
| 社内型スキルアップ助成金 | 民間派遣型スキルアップ助成金 | |
| 申請者 | 中小企業・団体 | 中小企業 |
| 訓練時間 | 6時間以上12時間未満 | 3時間以上20時間未満 |
| 訓練場所 | 東京都内 | 東京都内 |
| 修了者数 | 2名以上 | 1名以上 |
| 訓練の実施方法 | 集合型訓練および 同時かつ双方向のオンライン訓練 | 集合型訓練 |
出典:東京都TOKYOはたらくネット 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
◯助成受講者の条件
中小企業人材スキルアップ支援事業は、以下3条件に該当する受講者を助成対象としています。
- 中小企業では当該企業の従業員、団体では構成員である都内中小企業の従業員
- 常時勤務する事業所の所在地が東京都内である者
- 訓練時間の8割以上を出席した者
◯助成額
中小企業人材スキルアップ支援事業の助成額は、選択するコースによって異なります。
| 社内型スキルアップ助成金 | 民間派遣型スキルアップ助成金 |
| 助成対象受講者数×訓練時間数×430円 (団体の場合、訓練に要した経費-収入の額を上限) | 助成対象受講者1人1コースあたり受講料など(税抜き)の2分の1 (20,000円を上限) |
出典:東京都TOKYOはたらくネット 社内型スキルアップ助成金・民間派遣型スキルアップ助成金(中小企業人材スキルアップ支援事業)
◯助成限度額と注意点
中小企業人材スキルアップ支援事業で年度内に交付申請できる金額の上限は、社内型と民間派遣型を合計して100万円になります。
また、助成対象受講者1人あたりの助成対象訓練時間は、社内型と民間派遣型を合計して年度内で100時間以内が上限と決められています。
新人研修に助成金を利用する際の注意
新人研修に助成金を使うことができれば、研修費用や期間中の人件費負担が大きく減ります。一方で、助成金を利用するためには研修内容の制限が生じたり、必要な書類の整備に工数がかかったりします。
助成金を使うために研修効果が損なわれたりすることがないように注意しましょう。






