リーダー研修の目的や内容とは?実施方法やおすすめリーダー研修を6つ紹介

リーダー研修の目的や内容とは?実施方法やおすすめリーダー研修を6つ紹介

リーダー研修を企画・実施する上で、自社の目的に合った研修を選択したいものです。また、研修の対象者ごとに求める役割なども変わってきます。

 

本記事では、リーダー研修を実施するまでに必要になる情報をまとめました。

 

なお、リーダーは、役職を意味するものではなく、本来はすべての従業員が「自分自身のリーダー」としてセルフリーダーシップを発揮して、チームに良い影響を与えていくことが大切です。ただ、本記事では、その中でも高いリーダーシップが期待される「次世代リーダー」「新任管理職」としてのリーダー、その人たちを対象としたリーダー研修を取り扱います。

<目次>

リーダー研修の目的と内容

リーダー研修は、どのようなことを目的として行なうものでしょうか。リーダー研修の主な目的や内容を解説します。

 

リーダーの役割を認識する

リーダー研修の大きな目的として、受講者にリーダーの役割を認識させることが挙げられます。リーダーになる従業員は、まずは『リーダーとは何か』を理解することが重要です。

 

今までプレイヤーとして働いてきた人は、リーダーになるにあたり、より広い視野を持つ必要があります。管理職としてのリーダーは個人として成果をあげるのではなく、組織としての成果をあげることが役割です。

 

また、自分のチームだけでなく、組織全体の最適化を意識しておく必要もあります。リーダーが持つべき目線は、プレイヤー寄りではなく経営者寄りの目線です。チームを動かして企業の発展に貢献する立場であることを自覚する必要があります。

 

目標設定力・業務遂行力を鍛える

リーダーに求められる役割の一つが、チームの目標を決めることです。方向性を見定めてチームをけん引するためには、ビジョンを描き、目標を設定する力を身に付けなければなりません。

 

また、目標達成までの道筋を描く計画力や、計画を前に進めていく管理力・推進力も、リーダーが習得すべき重要な能力です。リーダーは自分自身の業務だけでなく、他人を含めたタスク進行や振り返りなどの業務も行なう必要があります。

 

リーダー研修では、目標設定を行なう際に知っておくべき『SMARTの原則』や、結果の改善に必要な『PDCAサイクル』についても学ぶことになるでしょう。

 

 

分析力や判断力を養う

リーダーに求められる重要な能力として、分析力や判断力も挙げられます。正解がないことも多いビジネスの意思決定に際して、リーダーは責任を持って判断を下さなければなりません。

 

また、意思決定の手前では、適切な計画を作成したり、課題を解決したりするための分析力も必要です。目指すゴールや目標達成のための計画が適切なのか、課題の真因は何なのかといったことをしっかりと分析できなければ、判断力も成果にはつながりません。

 

分析力や判断力はプレイヤーにとっても重要な能力です。しかし、リーダーやマネージャーは、意思決定を通じて成果を挙げるウェイトが高まりますので、プレイヤー時代以上に分析力や判断力を養う必要があります。

 

リーダーとしてのコミュニケーション能力、ヒューマンスキルを身に付ける

リーダーは、メンバーを動かして組織の成果を上げることが求められます。メンバーを適切に動かすためには、コミュニケーション能力などのヒューマンスキルが必要です。

 

メンバーと信頼関係を作り、メンバーに寄り添いながら、しっかりと為すべきことを進めてもらい、成果をあげてもらう能力がリーダーとしてのヒューマンスキルです。

 

具体的には報告を受ける、指示を出す、動機付ける、寄り添う、叱る、褒める、フィードバックする、コーチングを行う、ファシリテーションするといったコミュニケーション能力がひつようになるでしょう。

 

 

人間性を磨く

リーダーとしてメンバーと信頼関係を築き上げるためには、人間性を磨くことも不可欠です。

 

リーダーがメンバーから信頼されて初めて、チームを一つにまとめられます。

 

たとえ優れたコミュニケーション能力をテクニックだけで人を動かし続けることはできません。人間性が低ければ、長期的・継続的に人を動かすことは不可能です。コミュニケーションに関する技術は人間性を伴うことで効果を発揮しやすくなるのです。

 

リーダーが持つべき人間性を磨くうえでも、リーダー研修は有効です。人間性というと抽象的に聞こえますが、いくつかの概念を学び習慣化することで、効果的に人間性を磨くことができます。

 

 

計画を作成して進捗とスケジュールを管理する

リーダーはゴールから逆算し、チームとして何をいつまでに実現するのか、誰が実行するのかを示さなければなりません。ゴールにたどり着く計画を決めて、業務を進めていく役割を求められます。

 

目標達成までのプロセスもしっかりと管理することが求められます。業務の進捗状況や計画に対する予実、メンバーの状況を把握・管理して、目標達成できるように計画の修正・実行のサポートをしていきます。

 

タスクの優先順位を決めたり、ツールの導入を検討したりするのも、リーダーの重要な役割です。

 

メンバーと信頼関係を作り、動機付け、動かすピープルマネジメント(人のマネジメント)がリーダーの為すべき仕事の半面だとすると、もう半面がタスクマネジメント(事のマネジメント)です。

リーダー育成の重要性

リーダー育成の重要性

 

リーダー不足は、多くの企業が共通して抱えている悩みです。リーダーの不在によるリスクやリーダー育成の必要性を確認しておきます。

 

企業には「強いリーダー」が必要

企業が新拠点の設置や規模拡大に取り組む際は『強いリーダー』が必要です。しかし中小企業においては、リーダー不在が原因で、事業展開や拠点展開が進まないケースも少なくありません。

 

リーダーが育っていない企業では、既存のリーダーを次のステージに引き上げたり、新規事業に異動させたりすることが困難になってしまいます。

 

リーマンショックやコロナ禍のような社会の激動時には、厳しい環境の中でメンバーを鼓舞し成果に向けて施策を打ち続ける強いリーダーが組織を生き残らせます。強いリーダーがいなければ業績の悪化に歯止めが効かず、組織が一気に崩れてしまう恐れもあるのです。

 

多くの企業でリーダーが育っていない

多くの企業が強いリーダーの必要性を自覚していながら、自社に適したリーダーを育てられていないのが実情です。

 

組織の規模が拡大している従業員50~1000人規模の成長企業に対し、リクルートマネジメントソリューションズが2018年に実施した調査があります。

 

調査結果によると、経営者・人事責任者・事業責任者の47.7%が、人事・組織戦略上での課題として『次世代リーダーが育っていないこと』を選択しています。リーダー育成が経営層にとって悩ましい課題となっている状況がわかるでしょう。

 

【リクルートマネジメントソリューションズ】調査発表_成長企業における人材・組織マネジメントに関する実態調査

 

リーダー研修と現場体験の組み合わせによる育成が重要

企業がリーダー育成に悩む最大の理由は、事業を維持・拡大していくうえでリーダーが不可欠だからです。

 

組織開発において、「リーダーは育つものなのか?育てるものなのか?」というテーマがあります。確かに組織の幹部候補となるような優れたリーダーは、研修だけで育成できるものではなく、本人の資質が必要とされます。

 

しかし、一方で、リーダー育成に取り組まず、自然とリーダーが育つのを待っていると、組織はリーダー不足に陥り、組織の維持・拡大、拠点の展開、新規事業への取り組み、環境変化への対応ができなくなってしまいます。

 

リーダー育成するうえでは、研修の実施は効果的ですが、リーダーの成長は研修だけで実現するものではありません。現場での成功・失敗体験が重要です。

 

一方で、知識が乏しい状態での現場体験や、振り返りを行なわない現場体験では、リーダーとしての成長は望めません。研修と現場体験を適切に組み合わせることが大切です。

 

リーダーシップとマネジメントは異なる

リーダーにはリーダーシップが求められます。

リーダーシップとは、チームをけん引するために物事を『決める』能力のことです。また、決めた後に『広げる』ことでメンバーを鼓舞することもリーダーシップの機能です。

 

リーダーシップと混同されやすい言葉にマネジメントがあります。マネジメントとは、組織の目標達成を目指して物事を『実行する』能力です。

 

現実的には、リーダーやマネージャーなどの管理職には、リーダーシップ(決めて広げる)とマネジメント(実行する)、両方の能力が求められます。したがって、リーダー研修においてもリーダーシップとマネジメント、両方を扱うケースが一般的です。

リーダー研修の対象者

リーダー研修の対象者

 

ここでの「次世代リーダー候補」とは、1~3年後にリーダーへ引き上げたい従業員です。リーダーとなる自覚を早い時期から持たせ、成長を促進する必要があります。

 

次世代リーダー候補にリーダー研修を実施することで、リーダーとしての意識づけや求められる役割を早くから身に付けてもらい、スムーズにリーダーへの昇格を実現できるようになるでしょう。

 

とくに成長企業などで、組織の拡大スピードが早い場合には、次世代リーダー候補に対する研修を早めにしておくことが大切です。
成長企業は組織のスピードが早く、構成メンバーの出入りも多くなりがちです。早めにリーダー候補を確保・育成しておかないと、事業計画や現場のニーズに対応できなくなります。

 

新任管理職、管理職内定者

プレーヤーからリーダーへ昇格したばかりの新任管理職や、近いうちにリーダーへ昇格する予定の管理職内定者は、リーダー研修の効果が最も高くなる、同時にリーダー研修を実施する必要性も高い対象者です。

 

プレーヤーからリーダーへ変化すると、役割や求められる能力が変わります。「個人としてパフォーマンスする役割」と「人を動かして組織として成果をあげる役割」の違いです。
リーダー研修でしっかりと意識を切り替えて、必要となるスキルを学ぶことが大切です。

 

すぐにリーダーとして活躍してもらわなければならない層ですので、しっかりと研修実施して、リーダーとしての自覚を芽生えさせる必要があります。

 

中堅管理職

リーダー研修の対象は次世代候補や新任者だけではありません。既にリーダーの立場となっている中堅管理職にも、リーダー研修は有効です。

 

中堅管理職にリーダー研修を受けてもらう理由は、マンネリを打破して、自分の殻を破るためです。長い間チームを率いていると、どうしても行動や考え方がマンネリ化して、惰性が働きます。

 

次世代リーダー候補や新任管理職に比べれば研修の優先度は下がりますが、組織が成熟する中で、成長やパフォーマンスが停滞する管理職が発生している場合は、中堅管理職向けのリーダー研修も大切です。

 

幹部候補

中堅管理職の中でも実績を上げている層に対して、幹部候補として必要なマーケティングや会計、経営戦略等の知識を身に付けさせるものが幹部候補向けの研修です。

 

ある程度決まった方針を実行していくことが主となる管理職と違い、事業や部門を率いる幹部層は、より広い視野や見識を持ち、経営者としての意思決定や判断が求められます。

 

リーダー研修で養成すべき5つの要素

チームリーダーとして活躍させるには、以下の要素を満たすようにバランスよく育成していく必要があります。

 

セルフリーダーシップ

リーダーを育成するうえで最も基礎となるのは、主体性や責任感などを始めとしたセルフリーダーシップです。自分自身のリーダーとしてセルフリーダーシップを発揮できない人が、他人に対するリーダーシップは発揮させられるはずがありません。

 

組織を率いて、メンバーを動かして業績をつくり出すチームリーダーは、自らの意思で選択し、自らの人生に責任を持って生きるセルフリーダーシップが基盤として求められます。

 

統率力(リーダーシップ)

統率力は、目標達成に向けて部下をまとめあげ、組織を引っ張るスキルの総称です。高い統率力を発揮するには、迅速な意思決定やチームメンバーとの信頼関係、基盤となる信頼される人間性を持つことが重要となります。

 

人間性を磨きながら、セルフリーダーシップが充実してくると、自ずと統率力(リーダーシップ)も発揮されてくるでしょう。

 

ロジカルシンキング

目標達成に向けて計画を立てて実行していくのがリーダーの仕事です。その中では、目標達成に向けて適切に目標を設定したり、プロセスを分解したり、現状を分析したり、メンバーに分かりやすく物事を伝えたりするロジカルシンキングの能力が求められます。

 

ロジカルシンキングの力を磨くことで、計画作成だけでなく、実行の中で生じる問題にも迅速な対応が可能になります。マネジメントの実務は問題発生と解決の連続です。ロジカルシンキングの能力を高めることで、目標達成できる確率は高まるでしょう。

 

 

人材育成力

チームリーダーには、受け入れた新人や次期リーダーを育てる人材育成力も求められます。最も基本的な育成は以下のようなティーチングのプロセスになります。

 

  • 全体像やポイントを解説する
  • 手本を見せる
  • 実際にやらせてみる
  • フィードバックする

 

仕事に対する相手の習熟レベルに合わせてティーチングとコーチングを併用、切り替えていきながらメンバーを育成していきます。

 

人材育成には、相手との信頼関係が非常に大切です。人材育成力を高めるには土台として、部下の話に耳を傾ける傾聴力や互いの関係性を良くする心がけ、人間性も必要となります。

 

コンセプチュアルスキル

メンバーを束ねて組織を率いるには、抽象的なビジョンや概念を扱うコンセプチュアルスキルも必要です。チームのビジョンや仕事の大義を語る能力はコンセプチュアルスキルです。また、計画や施策を実行することで得られる将来像を話したり、メンバーとのキャリア面談でキャリアビジョンを語ったりすることにもつながります。

 

職位が上がっていけば、担当領域の数年後を描いたり、そのビジョンを語ったりすることも求められるようになります。

 

チームリーダーは、幹部や経営層ほどの大きなスケールや長い時間軸を扱うことは少ないですが、メンバーを鼓舞して動かすうえでコンセプチュアルスキルが求められ始めるポジションです。

 

 

リーダー研修を企画・実施するポイント

リーダー研修を企画・実施するポイント

 

リーダー研修を成功させるためには、どのようなことに気を付ければよいのでしょうか。研修を企画・実施する際に意識したいポイントを紹介します。

 

中長期的な時間軸で育成計画を考える

リーダーは一朝一夕で育つ人材ではありません。リーダー研修と現場体験を組み合わせ、中長期的な時間軸で育成を考えることが大切です。リーダー育成には、1~3年程度の時間が必要となるでしょう。

 

長期間にわたる育成期間中には、従業員の退職や独立による離脱の可能性もあります。候補者を選抜する際は、必要と考えられるリーダー数の約3倍の育成対象者を選ぶ必要があるでしょう。

 

リーダーに対して期待を具体的に伝える

リーダーの育成や研修の効果を高めるためには、リーダーに対して経営者や上司が具体的な期待を伝えることが大切です。経営者や上司の一言でリーダーのモチベーションは高まり、研修効果も大きく変わります。

 

『あなたが次のリーダーになるんだ』と若手を奮起させたり、新任リーダーに『どのような役割を期待しているのか』を具体的に伝えたりしましょう。マンネリ化している既存リーダーに刺激を与えることも重要です。

 

厳しい環境の中でモチベーションを維持しながら学び続けてもらうためには、経営者や上司による動機づけが欠かせません。育成計画を実行に移す前に、研修の理由やメリットを伝えておきましょう。

 

現場実践を組み込む

リーダー育成において重要なのは現場での経験です。現場経験に加えて、『現場で生かすための意識や知識を学ぶ』『現場での経験を学びに変える』ための研修があることで、現場での経験がスムーズに成長へとつながります。

 

新入社員と違い、対象者が少なく指導の難易度が高いリーダー研修は、社外に依頼する企業が大半です。

 

リーダー向けの研修にはさまざまな種類がありますが、知識をインプットするだけではなく、「インプットして実践する」「実践して振り返る」というプロセスが組み込まれたプログラムを選ぶ、企画することが大切です。

 

リーダー研修を実施する上での注意点

チームリーダーとして必要になる5つの要素は、最終的には現場での経験を通じて身に付けていくものですが、適切な教育を行なうことで、成長スピードを加速させることができます。チームリーダーの教育、研修を考えるときには、3つのポイントに注意を払いましょう。

 

学びと実践を繰り返せる体制を整える

チームリーダーに求められる5つの要素は、研修で知識や価値観を教えただけで身に付くものではありません。研修の効果を高めるには、座学研修を受けさせて終わりではなく、学んだ知識やスキルを使って実践する場を作ることが非常に重要です。

 

さらに、実践による成功や失敗を、自分のものとするためには、実践して終わりではなく、“体験を振り返って整理する”プロセスがあると良いでしょう。

 

チームリーダーの育成は、

  • 研修で効率的に体系や知識を学ぶ
  • 現場で実践する
  • 実践の結果を振り返り、生きたスキルや知恵として身に付ける

 

というサイクルを回すことが大切です。

 

リーダー育成は長い時間軸で考える

チームリーダーに必要な要素は、単純な技術や知識ではないからこそ身に付けるには時間がかかります。学びと実践を繰り返す中で、成長には1~3年かかるのが普通です。従って、チームリーダーの育成は場当たり的に実施してもなかなか成果は上がりません。

 

3年後、5年後の事業や組織図を考え目標とするイメージから逆算して育成に取り組んでいきましょう。

 

フォロー体制を整える

組織の結果責任を担うチームリーダーは、多忙であることが多いでしょう。目先で起こるトラブルの対応や毎月の成果、メンバーのマネジメントに追われがちとなり、なかなか自己成長を考える余裕がないことも多々あります。

 

こうした問題を解消するには、組織として上司や人事が、チームリーダーの育成に2つの視点で積極的に関わることが大切です。

 

1つは、孤独になりがちなチームリーダーの相談相手となり、また、中長期的なキャリアアップ等についても、しっかりと展望を見せることです。

 

また、もう1つは、研修前後における関わりです。研修前においては、研修に前向きに参加できるように、研修の価値や成長への期待値を伝えること、研修後においては学びを実践するためのフォローを行なうことです。

 

こうした取り組みを組織として行なえると、チームリーダーのモチベーション維持やストレスの解消、そして、育成効果の向上が期待できます。

リーダー研修の方法

研修にはいくつかのスタイルがあります。代表的な犬種スタイルを理解し、リーダー研修の実施を検討する際の参考にしましょう。

 

社内研修

自社の社員のみを対象として実施する研修スタイルが社内研修です。自社の社員を講師にする方法と、外部の講師を招いてレクチャーしてもらう方法があります。

 

プログラム内容や事例などを自社向けにアレンジできる点が、社内研修の大きなメリットです。自社の社員しか受講しないため、自社に特化した内容で研修を進められます。

 

自社のビジョンやバリュー、社内用語などを盛り込み、方向性やリーダー像の統一も図れるでしょう。受講者が多数存在する場合に、低コストで効率よくプログラムを組める点も魅力です。

 

 

外部研修

外部研修とは、外部の研修サービス業者が実施している研修です。1名から参加できるため、多くの企業が外部のリーダー研修を利用しています。

中堅中小企業においては、社内研修を実施するほど、リーダーの人数がいないことが多いですので、外部研修が一般的な選択肢となるでしょう。

 

外部研修の大きなメリットは、他社のリーダーと一緒に学べることです。他の業種・職種のリーダーと接することで視野を広げられる上、競争により健全な危機感も抱けます。

 

外部のリーダー研修にはさまざまなプログラムがあり、受講者に合わせて自由に選ぶことが可能です。外部研修を選ぶ際は、『学び・実践・振り返り』のサイクルを回せる継続型のプログラムを選ぶのがおすすめです。

 

eラーニング

パソコンやスマホを使って参加できる研修スタイルがeラーニングです。

一般的には、研修業者が販売しているテキストや配信動画などを利用して学習に取り組みます(ここでは、双方向で実施するオンライン研修ではなく、配信されるコンテンツを自分で学んでいくタイプのスタイルをeラーニングとしています)。

 

配信動画は基本的にいつでも視聴できるため、空いた時間に学習できるのがメリットです。

ただし、1人で取り組む形になることからモチベーションを維持しにくくなる、また、ロールプレイングやディスカッションなどが出来ず知識のインプットだけになってしまう点が欠点です。

 

リーダー研修でeラーニングを使う場合は、単体ではなく、社内研修や外部研修のフォローアップとして使うような形が望ましいでしょう。

リーダー研修を選ぶポイント

リーダーの育成は、教えるべき内容が多岐にわたります。また、中小企業においては育成対象となるリーダー数が少ないこともあり、外部研修を利用することが一般的です。チームリーダーや次世代リーダー研修を選ぶ時には、以下のポイントを確認して選ぶことがおすすめです。

 

講師の実績はどうなっているか?

リーダー研修の参加者はプレイヤーとして実績を出してきたメンバーです。従って、リーダー研修の講師は、プレイヤーとしての経験や能力を尊重しつつ、同時に、しっかりと刺激を与えられる存在である必要があります。

 

また、リーダー研修、とくに新任リーダー研修における大事な目的は「プレイヤーからリーダーへの変化」というマインドセットを実現することです。また、中堅リーダーの場合は“マンネリ感の打破”等、さらに難易度の高いテーマになることも多くなります。

 

講師自身が受講者を惹きつけられる実績や体験、コミュニケーション能力を持っている必要がありますので、研修講師や研修会社の実績はしっかりと確認する必要があります。

 

職場での実践・経験が組み込まれているか?

繰り返しになりますが、リーダーとしての能力は座学で知識を吸収して高まるものではありません。とくにプレイヤーからチームリーダーなどに昇格した際には、知識をインプットしたうえで現場での実践や経験を経て、能力やマインドセットを身に付けていく必要があります。

 

従って、リーダー研修は実務から切り離されたものではなく、プログラム全体、また研修内のワーク等に関しても実践ときちんと紐づいている必要があります。プログラムやワークが経験学習サイクルを踏まえて設計されているかを確認しましょう。

 

「4:2:4の法則」に則った内容か?

「4:2:4の法則」は、“ブリンカーホフの法則”とも呼ばれ、研修効果に影響を与える要素と割合を示したものです。

 

4:2:4の法則によれば、研修成果の影響を及ぼす割合は、

  • 研修前の意識付 4割
  • 研修プログラムの質 2割
  • 研修後の実践・フォロー 4割

となっています。

 

ブリンカーホフの法則から見ても分かるように、研修の効果性を高めるためには研修自体のプログラムももちろん大切ですが、研修前後にどんなアプローチをするかということが非常に大切になります。

 

リーダー研修を選ぶときには、ブリンカーホフの法則を念頭に置いて、研修自体の質がいいかという点だけではなく、以下の要素が組み込まれているかを確認しましょう。

  • 参加の参加姿勢を作るための仕掛け
  • 職場に戻って実践を促す仕組み
  • 派遣者を巻き込んで“前後”の質を高めるプロセス

おすすめのリーダー研修6選

最後におすすめのチームリーダー研修を6つご紹介します。

 

JAICリーダーカレッジ

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、中堅中小企業のチームリーダーを対象に、累計2,700名以上が受講する「JAICリーダーカレッジ」というリーダー研修を提供しています。

 

JAICリーダーカレッジのプログラムでは、

  • リーダーとしてのあり方を学ぶ「7つの習慣®」
  • 目標達成の技術を学ぶ「原田メソッド®」
  • メンバーを動かすコミュニケーションを学ぶ「リーダーコミュニケーション」

という3つのコンテンツからなります。

 

毎月1回、1年間にわたって学びと実践を繰り返すことで、実際に“結果を出す”リーダー育成に高い効果性を持つ継続教育プログラムです。対面型でも、オンラインでも受講することができ、自社のニーズにあったコースを選ぶことができます。

 

日経ビジネススクール

日経ビジネススクールでは、チームリーダー向けに「実践リーダーシップ入門」という研修を開設しています。研修では、最初に代表的なリーダーシップ論を紹介したうえで、実践で使える変革型リーダーシップを発揮する方法や、チームビジョンの伝達、権限委譲といった幅広いテクニックを具体的に示す内容となっています。

 

eラーニングであるため、地方都市等からの利用も可能です。リーダーシップに関する基本的な知識を身に付けるうえではおすすめです。

 

https://school.nikkei.co.jp/

 

アチーヴメント株式会社

アチーヴメントでは、目標達成の技術体得を目的とした「アチーヴメントテクノロジーコース」というリーダーシップ研修を開講しています。30年以上におよぶ人材能力開発のエッセンスが詰まっており、心理学やタイムマネジメント理論も加味した研修内容となっています。

 

3日間のプログラム内では、リーダーシップ研修の効果を出すうえで欠かせない気付きの誘発や情報・状況の整理等が組み込まれています。

 

https://achievement.co.jp/atc_re/

 

リクルートマネジメントスクール

リクルートマネジメントスクールで開催しているのは、「コーチング〜実践!管理職・リーダーのためのコーチング・コミュニケーション〜」研修です。リアル会場での対面型研修となっており、演習やディスカッションを通して日常のコミュニケーションの質を高めるポイントを学習していきます。

 

ケーススタディーを基にロールプレイング等も行なっていく内容であり、マネジメント経験を積んだチームリーダーのコミュニケーション力、部下育成力を高めるうえでおすすめです。

 

https://www.recruit-ms.co.jp/open-course/dtl/K1152/

 

三菱 UFJリサーチ&コンサルティング

三菱  UFJリサーチ&コンサルティングのリーダー研修は、「課長【意識・行動変革】セミナー」というものです。使命感を持って組織の目標達成をし続ける管理職を「プロ人財」と位置づけ、プロ人財として高い効果を上げる手法や考え方を学んでいきます。

 

実践実習の後半は、学びと気付きを深める内容となっています。また、変革に繋がる明日からの活動指針も作成するため、研修後に繋がるプログラムを求める企業にもおすすめです。

 

https://mypage.squet.ne.jp/user/categories/supervision.html?__CAMCID=eexhfqAhnm-317&__CAMSID=hgpCCEoFIggE-79&__CAMVID=BGPCceOfiggE&_c_d=1&_ct=1603351576813

 

デール・カーネギー・トレーニング「コミュニケーション&リーダーシップ研修」

HRドクターを運営する研修会社ジェイックでは、国内1,000万部のベストセラーである『人を動かす』を基にした経営層やリーダーに向けた研修を実施しております。

 

令和の時代に求められる対話型マネジメントやエンゲージメント経営を実践するヒューマンスキルを育成するためのリーダー研修となっています。1名から派遣できる公開型のプログラム、また、企業の課題や対象者に合わせて研修内容をカスタマイズできる講師派遣、両方の形で提供しています。


まとめ

リーダーは組織の戦略や施策と現場を繋ぎ、現場メンバーを動かして業績をつくり出す組織の要となるポジションです。従って、強いリーダーを育てることは、組織の成長に不可欠です。

 

リーダーに求められるセルフリーダーシップや統率力、ロジカルシンキング、人材育成力、コンセプチュアルスキルは知識だけで身に付くものではなく、座学と現場での実践を組み合わせて学んでいくものです。

 

適切に研修と実践(抜擢や配置)を組み合わせてリーダーを育成していきましょう。なおリーダー研修は実施の難易度も高く、外部研修を利用することもおすすめです。その際には、知識やスキルを教えるだけでなく、現場での実践を促すものを選ぶことがポイントです。リーダー研修の比較検討に悩んだ際には、ぜひ当ページの情報も参考にしてみてください。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。

著書、登壇セミナー

・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
・社長が知っておくべき、業績達成する目標管理と人事評価
・社長の右腕 ~ナンバー2の上司マネジメント / 部下マネジメント~
・オーナー経営者が知っておきたい!業績があがる人事評価制度と組織づくりのポイント
・社長の右腕 10の職掌 など

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