幹部・リーダー育成が進まない2つの理由と改善ポイントを徹底解説!

2020/03/31

幹部・リーダー育成が進まない2つの理由と改善ポイントを徹底解説!

経営者にとって、企業の幹部やリーダー(管理職)は組織の力を最大限に引き出してくれる右腕的な存在です。特に近年は「VUCA(変動・不確実・複雑・曖昧)時代」ともいわれる中で、経営者1人で組織を動かす、市場の変化に対応した意思決定を下していくことが難しくなっています。その結果、幹部やリーダー(管理職)の育成を積極的に行う企業は増えていますが、自社の育成方法に満足している企業は意外と少なく、「人材が育たない」と頭を悩ませている経営者が多いのも事実です。

 

ここでは、幹部・リーダーの育成が進まない理由や幹部やリーダー(管理職)に求められる要素、効果的な育成のポイントをご紹介します。

 

<目次>

幹部育成やリーダー育成が進まない理由とは?

幹部やリーダーが思うように育たない場合は、育成の重要性を再確認すると共に、その重要性に見合ったリソースが投下できているかを見直す必要があるかもしれません。

 

 

なぜ幹部育成やリーダー育成が重要なのか?

企業の最終的な戦略や意思決定を担うのは経営者です。とりわけ中堅中小企業、ベンチャー企業の場合には、社長1人の肩に重責がのしかかっている場合も多いでしょう。しかし、成功している社長の周囲には必ず優秀な経営幹部がいます。

 

統括分野に関して責任をもって運営して、社長の負担を軽減し、社長が重要な意思決定や未来を考える時間を確保できる状態が実現しています。また、経営幹部は専門分野の見地から社長に提言するブレイン的な存在でもあります。

 

また、戦略や意思決定するだけでは、現実は何も変わりません。名だたるグローバル企業の経営アドバイザーとしても知られるラム・チャラン氏による名著『経営は「実行」』は、多くの経営者が指針とする書籍です。

 

時価総額6兆円を超えるグローバル企業を築いたファースト・リテイリングの柳井正氏は、ラム・チャラン氏の『徹底のリーダーシップ』日本語訳の解説を行っているほどの心酔者です。その中でも柳井氏は『いい企業と悪い企業でやっていることは、表面上はほとんど一緒です。やるべきことも一緒です。

 

何が違うかといえば、『どの程度までやるのか、どの水準を目指すのか、それだけです』と実行の重要性を語っています。

 

では、「経営における実行を担うのは誰か?」といえば、要は経営幹部でありリーダーです。幹部育成やリーダー育成がうまく進まなければ、企業の意思決定や事業計画が実行されることはなく、企業の成長が困難なことは自明の理です。

 

意思決定だけではなく、ミッションやバリューを浸透させるうえでも、ロールモデルとなるのは経営幹部やリーダーです。経営幹部やリーダーが、日常でどんな言葉を使ってメンバーに語り掛けているかが、ミッションやバリューの浸透と実践度を左右します。

 

 

幹部育成やリーダー育成が進まない理由

重要性の一方で、幹部育成やリーダー育成が進まない理由は、主に2つあります。

 

1つ目は、幹部育成やリーダー育成に対して、経営上の重要度に見合ったリソースを投下していないということです。一般的な社員教育と違い、幹部やリーダーの育成は単純なスキル教育ではありませんし、社内で教育を実施できる人がいないことが多いでしょう。外部研修を使うにしても、単なる知識のインプットではないからこそ、1人30~100万円と高額な研修がほとんどです。

 

また、研修は知識や心構えのインプット、内省や振り返りとして有効ですが、本当の育成は仕事上の経験を通じて行われます。「育たない」と嘆く前に、リーダーや幹部を成長させるためのキャリア機会の提供や、時には本人の耳に痛い内容を含めたフィードバック、外部研修への派遣など、経営上の重要度に見合った工数や費用を投資しているか見直してみる必要があるでしょう。

 

2つ目は、育成期間が長いということです。育成はリーダークラスでも1~3年、幹部や経営チームの後継者であれば3~10年スパンと非常に長くなります。3年後、5年後、10年後の組織図から逆算して人財育成を行えているかも考えるべきところです。

 

幹部やリーダーに求められる素養とは?

幹部やリーダーに求められる素養

 

幹部やリーダーはマネジメント能力をはじめとした様々なスキル、また組織をまとめる人格的な要素が求められます。幹部とリーダーでも求められる要素は異なります。下記もご覧いただきながら、自社のリーダーや幹部というのが「どの階層を指すのか」「どんなスキルと人格を求めるのか」を、ぜひ考えてみてください。

 

幹部育成で求める要件

経営チームもしくは役員候補者となる幹部は、自分の担当領域をマネジメントしたうえで、経営チームの一員として社長をサポートするのが役割です。自らの役割を全うできるだけの能力と同時に、全社的な視点や経営へのコミットが必要となります。例えば、以下のような素養が必要となるでしょう。

 

  • 経営に関する知識・・・経営戦略、会計や財務に関する知識はもちろん、自社に影響を与える社会的な動向、経済や文化などの幅広い知識
  • コンセプチュアルスキル・・・事業や担当領域の1年後、3年後を描き、メンバーに発信していくビジョンメイキングや抽象的な思考力
  • ロジカルシンキング/クリティカルシンキング・・・物事や状況を論理的に把握して、施策を考え実行していく論理的思考力と事業や業績を動かす「要」を見出す力
  • 統率力・・・部下をまとめ組織を引っ張るための意思決定力やコミュニケーション力はもちろん、人間的に信頼される人格や組織へのコミットメント
  • 行動力・・・批判者や傍観者ではなく、自ら行動して周囲を巻き込みながら目標達成するフットワークが統率力の原点です

 

なお、「●●力」といった抽象的な単語を使用する場合は、その単語が何を指しているのかを明確にしていかないと、フィードバックや育成が難しくなります。自社の「リーダー」や「幹部」に必要な素養をしっかりと言語化してみることも、リーダー育成、幹部育成を図っていくうえで重要です。

 

 

リーダー育成で求める要件

一般的には、事業そのものをマネジメントしていく「幹部」に対して、基本的な戦略やビジネスモデルの中で実行を担っていくのが「リーダー」の役割です。従って、目標に向かって組織を引っ張っていく、周囲を巻き込んで結果を出すスキルが求められると言えます。

 

  • コンセプチュアルスキル・・・「周囲を巻き込んで、組織で結果を出す」というのが一般のプレイヤーとリーダー層の違いです。従って、幹部層まではいかずともメンバーを鼓舞する方針や未来像を発信するスキルが必要です
  • 統率力・・・対象人数は少なくなりますが、とりわけ1対1の関係性を通じて人を動かすコミュニケーション力やメンバーの信頼を得るヒューマンスキル
  • ロジカルシンキング・・・実現可能かつ高い目標を設定する「目標設定力」、目標を達成するためのKPIマネジメントや行動プランを作成する「計画力」、現状を正しく把握して振り返り・改善を行う「問題発見・解決力」
  • 人財育成力・・・成果をあげるためのステップや必要スキル、ノウハウを言語化して、メンバーを育成する能力
  • 責任感・・・リーダーの仕事である「組織で成果を出す」ためには周囲の力が必要です。他責にするのではなく、自責の考えで成果に向けて行動するコミットメントが統率力に繋がります

 

リーダーに求められる要素はレベルの違いはあっても、幹部に求められるものと近しいものがあります。当然ですが、リーダー育成は幹部育成に向けたファーストステップであり、早いうちから重点的に育成していくことが必要です。

 

幹部育成・リーダー育成におけるポイント

幹部・リーダーの育成

 

幹部やリーダー育成は、いかに「現場での経験」を有効に積ませるかです。管理職育成においては、「7:2:1の法則」が知られており、「70%を仕事上の経験から、20%を先輩・上司から、10%をトレーニングから学ぶ」といわれています。幹部やリーダーの成長は机上の学習で得られるものではなく、現場での悪戦苦闘、成功体験と失敗体験を通じて得られるものなのです。

 

だからこそ、幹部育成やリーダー育成においては「どういう経験を積ませる必要があるか」「本人にどういうフィードバックを行うのか」という中長期でのOJT的な育成プランが必須です。

 

同時に、“仕事上の経験”を有効にするために、必要なスキルをインプットしたり、現場から離れたところで自らのあり方に向き合ったり、仕事上の経験を学びとして昇華したりするためのテキストOff-JT的な教育設計をどう組み込むかも必要です。

 

 

幹部育成のポイント

幹部育成におけるポイントは以下の2つです。

 

  • 事業のマネジメントを経験させる
  • 経営チームの一員であることを自覚させる

 

「経営は経営をやることでしか学べない」と言ったりしますが、幹部育成もそれに近いものがあります。将来、経営陣の一角を担う幹部であれば、事業のマネジメントを通じて、P/Lを中心としたアカウンティングと意思決定、人と組織のマネジメント、事業戦略、商品開発とマーケティング、事業の要を押さえるKPIマネジメントなど、事業を俯瞰して動かす経験が必要です。

 

企業の規模、事業構成によって、本当に1つの事業や子会社を任せる場合もあれば、限定的になる場合もあるでしょう。ただ、単なる“職種のトップ”ではなく、“経営チームの一員”を育成することが重要です。

 

下準備として、リーダーから幹部へステップアップしていく過程で、複数の職種や部門を経験させたり、疑似P/L責任を担わせたりするようなことが有効です。当たり前のことですが、幹部が主体性を持って動けなければ、経営者の負担が増える一方です。

 

さらに、幹部が動かなければその下のリーダーやメンバーも動けませんので、企業の生産性も低下してしまいます。リーダーから幹部育成のプロセスにおいては、早い段階で裁量権を与え、自ら決断・行動する経験をさせましょう。

 

 

リーダー育成におけるポイント

リーダー育成におけるポイントは以下の2つです。

 

  • 組織の成果にコミットさせる
  • 支援とフィードバックを与える

 

自らのスキルで成果をあげるメンバーから、周囲を巻き込んで結果を出すリーダーへの役割変更は、人材育成上は非常に大きなターニングポイントです。プレイヤーとして成果をあげており、実務上のスキルがあるからこそ、リーダーにあげた後の成長を本人に任せきりにしてしまう企業も多いですが、本当は「役割変更」と「必要になるスキル」の育成をしっかりと行う必要があります。

 

役割の変化をしっかりと伝えたうえで、マネジメントを支える論理的思考、信頼関係に必要なヒューマンスキル、人材育成のノウハウなどを教育しましょう。

 

プレイヤーとしては実績を持っているとしても、リーダーとしては初心者です。自らの力で成果をコントールできなくなるストレス、プレイヤー時代よりも複雑性を増す中で先を見通す力、人と組織をマネジメントするうえでの悩みなども発生します。

 

上司や経営陣から成果をあげるための支援を行い、また、本人の成長や成功・失敗に対するフィードバックを通じて育成を行いましょう。

 

まとめ

幹部・リーダー育成においては「現場での経験」が最も効果的な教育です。リーダーや幹部は張り子のトラであってはいけませんし、幹部・リーダー育成が机上の空論であっては意味がありません。「現場での経験」がリーダーや幹部を育てます。

 

だからこそ、現場での学びや実践を加速させるためのOff-JTは、現場での経験を学びに昇華させたり、自分と向き合わせたり、新たな知識をインプットさせたりするために、質の高さが求められます。現場での経験とフィードバックは社内で行い、Off-JTは社外研修、プロの講師に委託することも有効でしょう。

一般のメンバー層と比べると、育成期間が長くなるうえに、社内で育成を行える人も限られてくるからこそ、経営陣がビジョンを持って育成にコミットすることが必要です。

著者情報

近藤 浩充

株式会社ジェイック|常務取締役

近藤 浩充

大学卒業後、情報システム系の会社を経て、ジェイックに入社。執行役員としてIT技術者の派遣を行う「IT戦略事業部」の創設、全社のマーケティング機能を担う「経営戦略室」室長を歴任。取締役/教育事業部長として、社内の人材育成、マネジメントで手腕を磨く。2013年には中小企業向け原田メソッド研修の立ち上げを企画推進し、自部門および全社の業績を向上させた貢献により、常務取締役に就任。カレッジ事業本部長、マーケティング本部長、教育事業本部長等を歴任。専門はマネジメント、幹部育成、組織論。

【著書、登壇セミナー】
・社長の右腕 ~上場企業 現役ナンバー2の告白~
・今だからできる!若手採用と組織活性化のヒント
・withコロナ時代における新しい採用力・定着率向上の秘訣
・オンライン研修の「今と未来」、社員育成への上手な取り入れ方
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