採用ブランディングを成功させるには|方法やメリット、注意点を解説

更新:2022/07/14

作成:2022/07/01

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

採用ブランディングを成功させるには|方法やメリット、注意点を解説

 近年、多くの企業が積極的に取り組むようになった採用ブランディング。採用ブランディングに成功したことで、「母集団が大幅に増えた」「優秀な応募者と出会えるようになった」という企業も少なくありません。

 一方で採用ブランディングはチャネル選定や選考ステップの設計と比べると抽象的・中長期的な取り組みであり、どうすれば成功できるのかと悩んでいる方も多くいます。本記事では、採用ブランディングの方法やメリット、注意点を解説します。

<目次>

採用ブランディングとは?

チームミーティングを実施している上司
 
 採用ブランディングとは、採用市場における自社のブランド力を高める取り組みを指し、採用ブランディングを通じて企業の認知度・採用力の向上が期待できます。

採用ブランディングが求められる背景

 採用ブランディングは、最近になって注目を集めている考え方です。ここでは、採用ブランディングが求められるようになった背景に何があるのかを確認しておきます。

採用競争の激化

 まずは、採用競争が以前よりも激化したことが挙げられます。一時的なコロナ禍による求人倍率の減少などはありましたが、労働人口の減少と人材の流動化が進むなかで、優秀人材の採用は慢性的に売り手市場となっています。

 また、口コミサイトなども一般的なものとなり、小手先の採用広告やテクニックなどだけでは、採用が難しくなっています。そのため、企業は、中長期的な採用ブランディングに取り組み、自社の採用力を高めていくことが求められています。

働く価値観の多様化

 働く価値観が多様化したことも背景にあります。過去に比べて、現在の求職者は企業の価値観や働き方に共感できるかを重視して、仕事を選ぶようになっています。そのため、採用ブランディングによって、企業の価値観や働き方をアピールすることで、自社の文化にマッチングする優秀な人材を引きつけることが求められるようになっています。

 同時に、しっかりと自社のバリューや組織風土を発信することで入社後のミスマッチを防ぐ効果も期待できます。

求職者の能動的な情報収集

 インターネットとスマフォの普及により、求職者は過去と比べて能動的に情報収集をするようになりました。選考過程において口コミサイトを確認するようなこともその一つですし、応募前にもインターネット上で企業に関する情報を積極的に確認します。

 求人サイトで応募する際にも、応募前に一回会社名で検索して、ホームページやSNSなどを確認することも珍しくありません。そのため、企業は採用ブランディングによって自社の魅力を発信し、多くの情報のなかから見つけてもらい、選んでもらう取り組みが求められるようになっています。

採用ブランディングが企業にもたらすメリット

  • 企業の認知向上
  • 採用後のミスマッチ減少
  • 採用力の強化
  • 応募者数の増加

 採用ブランディングに取り組むことは、企業に以下のようなメリットをもたらします。

企業の認知向上

 採用ブランディングに成功すれば、求職者に対する企業の認知度を向上させられます。企業の認知度が向上すれば、応募者数の増加、母集団形成のコスト圧縮、優秀人材の応募など、採用面で大きなメリットが期待できます。

採用のマッチング精度向上

 採用ブランディングの一環として自社の情報を発信することで、採用のマッチング精度も向上します。提供する情報が多いほど、求職者が事前に企業とのマッチングを判断できるため、採用後のミスマッチは減少します。

 採用後のミスマッチによるメンバーの離職は、多くの企業が抱えている経営課題の一つです。自社の社風や文化にマッチする優秀な人材を採用して定着してもらううえでも、採用ブランディングにおける発信活動は効果を発揮します。

採用力の強化

 前述の通り、中長期的に採用の売り手市場化は進む一方だと考えられます。そのため優秀な人材を獲得するためには、採用力の強化が課題です。採用ブランディングに成功すれば、求職者の志望度が高い状態で母集団を形成しやすくなり、他社との採用競争に巻き込まれにくくなります、

採用ブランディングの実施手順

 現在の採用ブランディングは、インターネットを通じて採用に関する情報発信を行なうことが一般的です。採用ブランディングの実施手順を解説します。

STEP1自社の強みや現状を把握する
STEP2採用のターゲット像を設定する
STEP3発信する情報を整理する
STEP4発信チャネルの選定
STEP5コンテンツを制作する
STEP6分析と改善を行なう

自社について調査する

 採用ブランディングをするためには、まずは自社についての理解を深めて整理する必要があります。

  • ミッション、ビジョン、バリュー
  • 業界内での自社の立ち位置や強み、訴求ポイント
  • ビジネスモデルの独自性や思い
  • 社風の特徴
  • ユニークな福利厚生

 自社について調査やディスカッションを行ない、上記のようなポイントを把握して、採用活動のなかでブランディングに使えそうな強みや現状、また課題を整理しましょう。

採用のターゲット像を設定する

 次に、自社に採用したい理想のターゲット像を設定します。ターゲット像を設定する際には、詳細な人物イメージを作り上げるペルソナの設定も有効です。

 採用ペルソナの設定では、性別や年齢、出身校や前職での経験、価値観、ライフスタイルなどの具体的な情報を含めた、リアリティのある架空の人物像を作り上げます。ペルソナを作ることで、採用のターゲットが単なるスペックではなく、血肉を持った人物像として浮かび上がり、情報発信の方向性を定めることにつながります。

コンセプトを設定し、発信する情報を整理する

 設定した採用ターゲット像を意識しながら、採用に関連する情報で何を発信していくか情報を整理します。情報発信では、コンセプトを設定し、コンセプトに沿って一貫した内容の情報発信を行なうことが重要です。設定した採用ターゲットに刺さる内容や情報を発信するようにしましょう。

発信チャネルの選定

 発信する情報が整理できたら、情報発信を行なうチャネルを選定します。発信チャネルは自社の採用ページ、SNS、YouTube、セミナーや企業説明会などになります。

 Z世代を採用ターゲットとするのであれば、Z世代がよく使うYouTubeやTwitter、Instagramなどのサービスが、ターゲットに届きやすい媒体といえるでしょう。また、web系の人などであれば、YOUTRUSTやWantedlyが良いかもしれません。

 発信チャネルの選定では、自社の魅力を打ちだしやすいチャネル、ターゲットに届きやすい媒体を選択することが重要です。無料で使える媒体も増えていますので、上手に使っていくことが大切です。

コンテンツを制作、運用する

 設定したターゲット、コンセプト、発信チャネルに沿って、実際にコンテンツを制作、運用していきます。コンテンツの制作・運用は工数のかかる業務です。また、ブランディングは短期間の取り組みで成果が出るわけでもありません。

 必要な工数をきちんと見積もって、継続できるかを考える、また継続するためのリソースを確保することが必要です。

分析と改善を行なう

 採用ブランディングで発信するコンテンツは、公開して終わりではありません。成果を出すためには、コンテンツを公開したあとに分析と効果測定を行ない、適宜改善をすることが重要です。

 とくに採用ホームページなどは作りっぱなしで終わってしまうと勿体ないでしょう。どこが見られているか、応募に結びついているかなどを確認して検証していきましょう。

採用ブランディングを成功させるための注意点

自社の魅力自体を高める
継続して発信を続ける
全社で取り組む

 採用ブランディングを成功させるためには、上記のことに注意しておきましょう。

自社の魅力自体を高める

 口コミサイトの浸透については前述しましたが、インターネットやSNSの発達により、採用活動において社内の内情を隠すことは困難になっています。

 例えば、ミッションやビジョンが社内で浸透していないにも関わらず、ミッションやビジョンのことを打ちだす、実際の社風と異なる職場の雰囲気をアピールする、といったことはすぐにわかってしまい、逆にマイナスの印象につながりかねません。

 採用ブランディングで自社の魅力を広く打ちだすことは大切ですが、前提として、「働く場所」としての自社の魅力自体を高めていくことが求められています。

継続して発信を続ける

 採用ブランディングは効果が出るまでに時間がかかります。そのため、長期的な施策であることを前提に取り組みましょう。採用ブランディングが確立されるまでには、3年以上要する場合もあります。発信する情報が適切にアップデートされていないと、求職者に不信感を与えてしまう場合もあるため、発信は継続して行なうことが重要です。

全社で取り組む必要がある

 採用ブランディングは、人事部だけでなく全社規模で取り組む必要があります。外部媒体への掲載などであれば広報を巻き込むことも大切ですし、SNSの活用などにおいては経営陣や現場メンバーを巻き込むことが大切です。

 また、各メディアでの発信内容と現場の理解にギャップが生まれないようにすることも不可欠です。

採用ブランディングの成功事例

 採用ブランディングの成功事例を紹介します。

株式会社神戸製鋼所

 株式会社神戸製鋼所では、2016年に生じた品質不正問題によって求職者に不安を与えてしまい、応募を控えられてしまうのではないかとの懸念から、生の情報・生の声を重視する姿勢で、採用ブランディングをスタートしました。

 採用ブランディングとして、自社ホームページ内で、中途入社人材の生の声を積極的に発信したり、数値を用いた網羅的な情報開示を行なったりしています。また、地方転勤者の「配属先の暮らし」をコンテンツとして掲載することで、転勤をともなう転職を後押ししています。積極的に情報を開示するスタイルに、求職者や人材紹介会社からの評判もよくなっています。

つばめタクシー・大和グループ

 つばめタクシー・大和グループは愛知県を中心にサービス展開するタクシー会社です。同社では「求職者が集まらない」という採用課題を解決すべく、タクシー会社とは思えない奇抜なデザインの採用サイトを開設しました。

 また採用サイトのリニューアルに合わせて、企業理念も再構築し、「ドライバーがかっこいい職業として憧れられる未来を創造していきたい」という思いを込めて、「DRIVE CREATIVITY―創造力を、走らせろ。―」という理念を掲げています。採用サイトと企業理念のリニューアルといった採用ブランディングにより、求職者数は大幅に増加しました、

株式会社KMユナイテッド

 株式会社KMユナイテッドは、塗装関連のサービスを展開する企業です。同社では、「職人の世界」「危険で大変な仕事」「休暇がとれない」といったイメージを持たれてしまい、なかなか自社の良さや仕事の面白さを理解してもらえないという課題がありました。そこで、塗装業の楽しさと自社の魅力を伝えるため、採用サイトでの発信を強化してきました。

 KMユナイテッドのサイトでは、メンバーの声や充実した育成体制を紹介しています。また、熟練の職人の技を紹介する動画プラットフォーム「技ログ」を展開し、技術の高さと職人の世界の魅力をアピールしています。

採用ブランディングを成功させ、優秀な人材を確保しましょう!

 人材獲得競争が激化した現代、採用力を高め、優秀な人材を採用するための採用ブランディングは重要な取り組みです。

 採用ブランディングで積極的に自社の情報を発信することは、求職者とのマッチングの精度が上がるため、離職率を下げることにもつながります。採用で課題を抱えているという企業は、解決手段として採用ブランディングを検討してみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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