「人材紹介をはじめて利用する」という人事担当者の方向けに、人材紹介社自ら、人材紹介を利用する際の具体的な流れや人材紹介の利用が適したケース、上手に活用するための注意点などをまとめました。
ぜひ参考にしてください。
<目次>
人材紹介とは?
人材紹介とは、人材紹介会社が採用企業から求人情報を受け取って、最適な人材を紹介するサービスのことです。
人材紹介会社は、転職エージェント、エージェント、新卒紹介(新卒を対象とした人材紹介)などとも呼ばれ、以下のような特徴やメリットがあります。
費用が無駄になるリスクがない
一般の人材紹介会社は、採用が成功したときに紹介手数料が発生する成功報酬型です。初期費用がかかることもありませんし、採用できないのに費用が発生する恐れもありません。
各種業務を代行してくれる
人材紹介会社では、求人票の作成、応募意思の獲得、面接の日程調整、応募者への合否連絡、内定後の待遇交渉と内定承諾の獲得など、採用活動に関わる業務をすべて代行します。
極端に言えば、採用企業側は「面接して合否を決める」だけでよくなり、採用担当者の負担軽減につながります。
条件に合う人材を効率よく採用できる
求めるスキルや人材像など、自社の採用条件に合致した人材をピンポイントで紹介してもらうことが可能なため、採用活動の効率化につながります。
求人募集までのリードタイムが短い
人材紹介会社では、契約を締結して求人票を作成次第、すぐに応募者への打診・推薦をスタートしてくれます。
急な欠員が出た場合や入社日の納期が明確に決まっている場合など、スピード重視の採用活動を展開したい場合には最適です。
非公開で募集できる
人材紹介サービスでは、「非公開」という形で求人を依頼することも可能です。
社員に人事状況を知られたくない、新規プロジェクトに伴う人材募集で競合他社に動向を知られたくない、求人応募が殺到しないようにしたいにWeb上に公開したくない等のニーズを持つ企業にとってはメリットです。
人材紹介を利用する際の具体的な流れ
人材紹介会社を利用する際の一般的な流れをご紹介します。一連の流れを理解したうえで、採用目標やスケジュールから逆算して依頼をかけていきましょう。
人材紹介の流れ①問い合わせ
まずは、自社の募集要件に合いそうな適切な人材紹介会社を選定し、コンタクトを取るところからスタートします。
若手を希望するのであれば第2新卒や20代30代に強い人材紹介会社を。
反対に40代50代などのベテラン層やマネジメント職の経験がある人材を希望する場合は、ハイクラス向けの人材紹介会社を選ぶとよいでしょう。
また、IT・建築など特定業界に強みのある人材紹介会社や、デザイナー・エンジニア・プログラマーなど特定職種に強い人材紹介会社も存在します。
人材紹介の流れ②打ち合わせ
利用を検討したい人材紹介会社が決まったら、担当者との打ち合わせを実施します。
内容としては求人発生の背景、募集職種、求める人物像、人数、必要なスキル、給与などの条件面に加え、企業風土、企業のアピールポイントなどの確認です。
また、打ち合わせの際には必ず成果報酬の料率(採用した人材の年収の30~35%が成果報酬の相場です)と、早期離職した場合の返金規定について確認しておきましょう。
返金規定は、紹介された人材が入社後すぐに退職してしまった場合に、報酬の一部が返還される規定です。
返金額の料率は人材紹介会社によって様々ですが、1か月以内の離職は100%の返金、2~3ヵ月以内の離職は50%の返金というのが相場です。
契約する人材紹介会社を選ぶ際には、問い合わせに対するレスポンスの早さ、また、ターゲット人材の需給に関する的確なアドバイスがあるかどうかで判断するのも一つの方法です。
おススメとしては、登録者数が多い「総合型」の人材紹介会社と「専門性」のある紹介会社、両方の分野で2社程度依頼する方法です。
人材紹介の流れ③契約の締結
ヒアリングを経て互いに大筋で合意した後は、人材紹介会社との間で契約を締結します。
取り交わす契約書は「人材紹介基本契約書」などと呼ばれ、手数料率や秘密保持義務、トラブル発生時の損害賠償、返金規定などが記載されます。
人材紹介の流れ④候補者の推薦
契約後、人材紹介会社は求人票を作成、こちらの了承を経て完成したら、候補者を探し、求人を打診します。その上で、応募意思を取得した候補者を推薦してくれます。
マッチング方法は人材紹介会社によって異なりますが、職務経歴や保有スキルなどを利用して定量的な視点でマッチングを実施、そのうえで、定性的な価値観や性格を踏まえてマッチングするイメージです。
ただし、一般的に登録者が多い総合型の人材紹介会社はマッチングの質は低く、定量的な観点だけでのマッチングとなる反面、推薦量は多く、専門性の高い人材紹介会社はマッチングの質は高いですが推薦量は少なくなる傾向にあります。
候補者から応募意思を獲得したら、人材紹介会社から候補者の履歴書や職務経歴書が人材紹介会社から提出されます。
人材紹介会社によっては履歴書や職務経歴書の提出だけでなく、「キャリアアドバイザーによる候補者の所感」を付け加えるなど、円滑に選考が進むように様々な工夫を行っていることもあります。
人材紹介の流れ⑤書類選考
人材紹介会社から推薦された求職者の書類を確認して合否を伝えます。
書類選考はなるべくスピーディーに確認・合否判断してフィードバックすることが、人材紹介会社を上手に活用するポイントのひとつです。
なお、書類だけで候補者のすべての能力を測ることはできないため、はじめのうちはボーダーライン上の人はなるべく面接して、結果を紹介会社側にフィードバックするとよいでしょう。
人材紹介の流れ⑥面接
書類選考を通過した候補者に対して面接を行います。面接の日程調整は紹介会社側で実施するケースが多いでしょう。
ただし、採用人数の多い新卒採用の場合は、企業側の標準オペレーションに載せないと対応が煩雑になるため、会社説明会に参加してもらって他ルートからの応募者と同じように扱うようなケースもあります。
面接の結果についても、なるべく早く合否を決めて、所感とともに人材紹介会社にフィードバックしましょう。なお、選考については面接だけでなく、適性検査の受検などを依頼することも可能です。
人材紹介の流れ⑦内定・入社
選考を進めていって、最終的に内定を出す場合も人材紹介会社経由で伝えます。人材紹介会社からも求職者の活動状況などをヒアリングして、待遇条件を決めて打診しましょう。
企業と人材紹介会社、また人材紹介会社と求職者の間で「勤務開始日」「待遇」「労働条件」などの細かな点をすり合わせていきます。
企業と求職者、双方の希望内容をヒアリングした上でやり取りを仲介し、円満に契約成立へと導くことも人材紹介会社の重要な役割です。
人材紹介の流れ⑧紹介手数料の支払い
一般的に中途採用の場合は入社日、新卒採用の場合には内定承諾日をもって、成果報酬の費用請求が生じます。契約した人材紹介基本契約書に記載された料率に従って紹介手数料を支払います。
なお、新卒紹介で、採用通知を出したものの入社に至らなかった(内定承諾後の辞退)場合、手数料は全額返金されることが普通です。
人材紹介の利用が適したケース
人材紹介の利用が適している、あるいは効果的と思われるのはどのようなケースなのかを整理してみました。
専門性の高い人材や即戦力が必要
専門的スキルを持つ人材を採用するのは簡単ではありませんが、人材紹介会社のデータベースには候補者の資格やスキルが登録してあるため、専門スキルを持つ人材へもピンポイントでアプローチできます。
即戦力を求める場合、求人広告では求めるスキルがない人なども応募してきてしまうので、その点を紹介会社にサーチ・フィルタリングしてもらうことに価値が生じます。
定性的なマッチングをして欲しい
募集する職種によっては、目に見える資格や営業経験などだけではマッチングしにくい特徴があります。
例えば営業職の場合、一口に“営業”といっても、法人向け・個人向け、法人向けでも大手向け・中小企業向けがあり、営業のスタイルも新規中心・ルート営業、さらに有形商材・無形サービス、単価の高低、サービスの新規性など千差万別です。
こうしたことは営業職に限らず多くの職種でも生じることですが、これらを事細かにすべて条件付けするのはあまり現実的ではありません。
しかし、マッチング精度を売りにする専門性の高い人材紹介会社であれば、定性的な条件や求職者の価値観なども踏まえて最適なマッチングをしてくれます。
急な欠員補充が必要
退職で欠員が発生し、急遽採用を行いたい場合にも人材紹介が有効です。特に基本契約を既に締結している人材紹介会社があれば、求人票の作成だけすればすぐに採用活動を始めることが可能です。
求人広告やダイレクトリクルーティングを契約する場合と比べると、かなりスピーディーに動き始めることが出来るでしょう。
採用のノウハウやリソースが社内にない
自社内に人材採用のノウハウやリソースがない場合も、採用のプロでありノウハウを持った人材紹介会社の力を借りることが有効です。
特に業務を代行してくれる部分と併せて活用すると、例えば経営陣が採用活動を見ている場合、少数の担当者で多くの職種や人数を採用しないといけない場合などに効果的です。
求人広告などでは採用し切れない
急成長に伴う大量採用などで、求人広告などでは採用目標数を満たせないという場合にも人材紹介が利用されます。
この場合は、フィルタリング機能などよりも、「応募者に求人紹介して応募意思を獲得してくれる」点が主な価値となります。
人材紹介を利用する際の注意点
人材紹介サービスの検討に際しては、以下のような注意点も確認して検討していただくとよいでしょう。
紹介単価が下がらない
人材紹介の成果報酬は前述の通り、採用した人材の理論年収の30~35%が相場です。例えば理論年収が600万円の人を採用すれば、人材紹介会社に支払う手数料は180~210万円程です。
そして、人材紹介の成果報酬は採用した人数分だけ確実に費用が発生しますので、何人採用しても採用単価は落ちません。
その点、求人広告やダイレクトリクルーティングなどは、上手く活用すれば単価を下げることが可能です。人材紹介は利便性が高く、リスクもない反面、採用単価が高くなることになります。
募集したいエリアを踏まえて紹介会社を選ぶ
人材紹介会社からの人材推薦は、ヘッドハンティングなどサーチ型の場合を除けば、基本的に該当の紹介会社に登録している登録者の中から行います。
一般的には首都圏や名古屋、大阪など産業が集中しているエリアに登録者が集まる傾向があり、地方での採用を検討しているケースなどではなかなか推薦がこない可能性もあります。
採用したいエリアなどを踏まえた上で、人材紹介会社を選ぶことが大切です。
採用に関するノウハウが社内に蓄積されづらい
人材紹介会社を利用すると、採用活動に関わるほぼすべての業務を代行してもらえます。裏を返すと、自社に採用活動のノウハウが蓄積されないということでもあります。
採用活動に関するノウハウが蓄積できないと、いつまで経っても人材紹介会社任せになってしまい、手数料を支払い続けることにもなりかねません。
人材紹介で採用活動を行いながら、人材紹介以外の募集・採用手段も活用して自社にノウハウを蓄積し、人材紹介に依存し続けないようにする工夫が長期的な観点では大切です。
まとめ
人材紹介は、
- -自社の希望条件に適う人材を推薦してもらえる
- -採用活動のほとんどの工程を代行してもらえる
- -完全成果報酬で、費用が無駄になるリスクがない
などのメリットがあります。記事内で紹介した利用の流れ、検討するうえで把握しておきたい注意点も確認いただき、利用するかを検討ください。
なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、
- 1.新卒学生の人材紹介(新卒カレッジ)
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