新規採用・新卒採用とは?中途採用との違い、メリット・デメリットを確認

新規採用・新卒採用とは?中途採用との違い、メリット・デメリットを確認

採用市場には、“新規採用”という言葉があります。新規採用とは、具体的にどういう意味の言葉でしょうか。

 

本記事では、まず、新規採用の概要と4つのメリット、そして、デメリットと留意点を確認します。また、新規採用を成功させるコツと、新規採用で面接をする際のポイントを紹介しますので、参考にしてください。

<目次>

新規採用とは?

新規採用とは?

 

新規採用という場合、新卒採用のことを指しているケースが殆どです。ただ、新卒採用は、法律上の概念ではありません。そのため、新規採用・新卒採用には、いくつかの解釈があります。

 

最も一般的なのは、大学を卒業したばかりの人材を一定数採用する「新卒一括採用」です。新卒一括採用は、高度経済成長期に普及・定着した「日本企業の三種の神器」とも連動して実施されてきた仕組みです。
*三種の神器:終身雇用・年功序列・企業別組合

第二新卒を対象とする企業も

新規採用・新卒採用の対象は一般的には大卒の新卒一括採用ですが、企業によっては、第二新卒や高卒、専門学校卒を含めることもあります。

 

第二新卒は、学校を卒業後、正社員として就職して入社1~3年で離職した若者のことです。もともと、リクルートが1990年代に提唱した言葉になります。

 

なお、政府が2000年代に氷河期世代、また、リーマンショック世代などの既卒層の採用促進を推進したなかで、新卒採用において「卒業3年以内は新卒採用の対象」としている大手企業も多いです。しかし、採用活動の実態としては、やはり在学中の新卒が採用の中心になります。

 

本記事では、新規採用・新卒採用を「大学生を中心とする在学中の学生を、定期かつ一括で採用する仕組み」と定義して解説していきます。

新規採用の4つのメリット

新規採用の4つのメリット

 

新規採用・新卒採用には、以下4つの効果・メリットがあります。

 

採用コストを抑えられる

新規採用のターゲットとなる大卒や第二新卒の場合、一定のスキルや経験のある中途のキャリア採用と比べて、採用単価を抑えることが可能です。

<採用単価のレンジ>
・新規採用:20~100万円
・中途採用:50~180万円

実際の金額は企業の採用力や採用ターゲットによって大きく変わってきます。しかし、変わるとしても、傾向として中途採用よりも新卒採用のほうが1人あたりの採用単価は抑えやすいといえるでしょう。新卒採用の場合、ある程度の時期の差はあっても“民間就職を希望するすべての学生が一斉に活動する”という特徴があるため、母集団形成がしやすいためです。

将来の幹部候補を育成できる

新卒一括採用は、先述のとおり、日本企業の雇用慣行として長く続いた三種の神器(終身雇用・年功序列・企業別組合)と親和性の高い採用方法です。

 

現在では、新卒一括採用と深い関係があった終身雇用と年功序列はほぼ崩壊し、転職と成果主義が一般化しています。しかし、転職が当たり前になったとはいえ、社会人にとって新卒採用で入社した企業には一定の思い入れがあるものです。

 

また、新規採用の対象となる大学生は、社会人経験がないため、入社後に自社の価値観や文化を浸透させたり、愛社精神を育みやすかったりする傾向にあります。

 

結果として、転職が増えているとはいえ、企業側としては、新規採用には自社の価値観などを植え付けて、次世代リーダー候補を発掘し、幹部候補として育成しやすい特徴があるでしょう。

社内が活性化する

企業が新規採用を継続して実施すると、定期的に新卒人材が入ってくることが、既存社員やチームの刺激になります。また、新卒人材ならではの価値観や感覚は、いまの時代に合った社風や企業文化、新規事業などを考えるうえでも有効に働くでしょう。

 

研修を効率的に実施できる

新規採用の場合、大学卒業後の4月に一斉入社してきます。一斉入社ということで、ビジネスマナーなどを教える初期研修も、一度に効率よく行なえます。新規採用の場合、初期研修の開始時期が決まっており、一斉入社するからこそ、研修プログラムの設計や実施をしやすい利点があります。

新規採用のデメリットや留意点

新規採用・新卒採用には、以下のデメリットや留意点があります。

 

採用活動に時間がかかる

従来の新規採用は、4年生の3月に企業説明会がスタートしており、接触開始から入社まで約1年間というのが一般的でした。入社までのスケジュールは、接触から数週間で入社に至ることもある中途採用と比べると、期間的にかなり長いです。

 

さらに、近年では、早期採用の普及によって、3年生の夏からサマーインターンシップで優秀な人材と接触し、入社までにトータル2年近くかかる企業も珍しくなくなっています。

 

上記のように長い期間のかかる新規採用を行なうには、中長期的な経営計画との連動、また、多くの工数や費用を投下する覚悟が必要になります。

即戦力は望めない

新規採用で入社するのは、大学を卒業したばかりの若者です。学生時代に接客業やプログラマーなどの本格的なアルバイトや長期インターン経験があれば話は別ですが、基本的には、入社後すぐに即戦力として活躍してもらうことは難しいでしょう。

 

上記のように、新規採用・新卒採用には、複数人を採用する場合に研修を効率的に実施できるという利点の一方で、即戦力は望めないというデメリットもあります。

 

従来よりは離職されやすい

前述のとおり、新規雇用と親和性の高かった終身雇用・年功序列は、すでに崩壊しています。そのため、最近の新卒は「新卒入社した企業で定年まで長く働こう」とは思っていない傾向が強まっています。

 

たとえば、株式会社プレシャスパートナーズが2020年卒に行なった調査結果では、新卒で入社した企業で働きたい期間を「20年以上または定年まで」と答えた学生は、以下のように36.6%にとどまりました。

 
  └・1位:20年以上または定年まで(36.6%)
  └・2位:5年~10年未満(30.2%)
  └・3位:10年~20年未満(16.3%)
  └・4位:3年~5年未満(13.4%)
  └・5位:1~3年未満(2.5%)

 
こうした傾向から見ても、現在の新規採用では、メリットのところで紹介した「将来の幹部候補を育成できる」などの目的は若干実現しづらくなってきています。

 

出典:就職活動に関する調査(株式会社プレシャスパートナーズ)

新規採用を成功させるコツは?

新規採用を成功させるには、以下のコツ・ポイントを大切にする必要があります。

 

力量があるメンバーを採用担当にする

日本の新規採用の場合、中途採用とは異なり、民間企業への就職を希望する学生が一斉に動きます。したがって、複数の企業に同時応募する形になるのが基本です。

 

そして、自社で採用したいと思う学生は他社も採用したいと思う層であることが多くなります。したがって、採用したい学生を入社させるには、自社と同等、もしくは格上の採用競合に打ち勝って内定承諾をえる必要があります。

 

そこで重要になるのが、以下の2要素からなる企業の採用力を高めることです。

  • 母集団形成に関する採用広報力
  • 魅了付けに関する採用営業力

企業の知名度や採用ブランド、待遇などで競合に劣る分の採用力は、採用担当者の実力で補う必要があります。そのため、力量あるメンバーを採用担当にすることが大切です。具体的に強化すべきポイントは企業によって異なりますが、基本的には、以下のどちらかを補う必要があるでしょう。

・採用広報力を上乗せできるマーケティングに強いメンバー
・採用営業力を補える営業に強いメンバー

なお、採用活動のステージによっても、強化内容と改善効果が得られやすいポイントは、以下のように変わってくるでしょう。

  • ・採用活動の形が確立していない、採用人数が少ないステージ
  • ⇒採用営業力の強化が採用結果の改善につながりやすい
  • ・採用体制ができあがってきた段階、採用人数が多いステージ
  • ⇒マーケティング力の強化が採用結果の改善につながりやすい

なお、中小企業やベンチャー企業の場合は、経営層が魅了付けに関わることも重要となります。

早期採用に取り組む

先述のとおり、近年の新規採用は早期化が進んでいます。そのため、優秀な学生にリーチしたいのであれば、以下のようなインターンシップを実施するなどの工夫が必要でしょう。

 

  • 夏休み中の3年生を対象とした「1dayインターンシップ」
  • 低年次(大学1~2年生)を対象とした中長期の「就業型インターンシップ」 など

 

入社後のフォロー体制を整える

新卒人材の内定辞退や早期離職を防ぐには、コミュニケーションを通じて不安や不満を解消するとともに、早く組織に馴染み即戦力になるためのフォローやサポートも大切となります。コミュニケーションの仕組みを総称して、オンボーディングと呼びます。

 

また、キャリア志向が高い人材を定着させるには、本人のキャリアパスと自社のニーズに合った能力開発をするキャリアデベロップメントプログラムの実施なども必要でしょう。

新規採用の面接ポイント

新規採用で自社に合う優秀な人材を獲得するには、以下の面接ポイントも大切にしていく必要があります。

 

採用基準を明確にしておく

採用基準とは、自社が求める人材かどうかを判断する基準、つまり合否の基準です。面接官の価値観や経験に依存しないためにも、自社の社風や業務内容に合わせて採用基準を作ることが大切になります。

 

採用基準で大切なことは、「面接でのパフォーマンスが良い学生か?」ではなく、「入社後に活躍する学生か?」ということです。採用基準に照らし合わせて高評価と判断された学生が、入社後に活躍しているかが重要になります。

求職者の性格や価値観、動機をつかむ

面接は自社で活躍する人材かどうかを見極める場であると同時に、人材の志望度を高める場でもあります。志望度を高めるうえで大切なことは、何に魅力に感じるかは相手によって異なるということです。

 

たとえば、「女性も活躍できるIT企業」を求める学生に対して、「〇〇市場でトップシェア」「教育制度が充実」などの魅力を押し付けるように伝えても、志望度はあまり上がらないでしょう。響かない学生には、業界シェアや教育制度の話よりも「活躍しているママ社員の事例」を伝えたほうが志望度アップには効果的です。

 

上記のように面接でしっかりと志望度を高めるには、相手の価値観やキャリアイメージなどをつかむ必要があります。

 

適性検査と併用する

学生の性格や価値観などは、履歴書の内容や面接だけで把握できるものではありません。きちんと設計されていない非構造化面接の場合、たとえば、以下のように面接官の印象や主観で誤った判断をしてしまうこともあるでしょう。

  • 「元気に受け答えをする人だ」 ⇒ 「営業マンに向いているだろう」
  • 「あまり清潔感がない人だ」 ⇒ 「清潔感がないようでは仕事もできないだろう」 など

上記は、少し極端な例ですが、面接では見極めにくい性格特性や地頭、ストレス耐性などが活躍の影響因子となっていることもよくあります。自社に合う人材をしっかり見極めるには、適性検査と構造化面接を組み合わせるのがおすすめとなります。

志望度は「高めるもの」ととらえる

自社の説明会に参加したり、面接に来たりする人材すべての志望度が非常に高いわけではありません。むしろ、応募初期の段階では、志望度が高まっていないことのほうが多いでしょう。

 

求職者の志望度は、求人情報の認知⇒企業説明会への参加⇒応募⇒一次面接⇒二次面接……というプロセスのなかで、企業が少しずつ向上させていくものととらえるべきです。

 

もちろん最終選考などで「自社への志望度が十分に高いか?」を採用基準とすることは、もちろん問題ありません。

 

ただし、初期選考で「自社への志望理由」を聞き、納得感のある答えや熱意ある回答でなければ落とすといったことをしては、よほど入社したい人材が多い企業でなければ優秀人材を逃す結果になってしまいます。

 

したがって、優秀な人材を獲得するためには、各ステップでの魅了付けを意識して、少しずつ志望度を高めてあげる必要があります。

まとめ

新規採用とは、いわゆる新卒採用のことです。新規採用・新卒採用には、以下4つのメリットがあります。

  • 採用コストを抑えられる
  • 将来の幹部候補を育成できる
  • 社内が活性化する
  • 研修を効率的に実施できる

新規採用・新卒採用を成功させるには、以下3つのポイントを大切にしながら準備を進める必要があります。

  • 力量があるメンバーを採用担当にする
  • 早期採用に取り組む
  • 入社後のフォロー体制を整える

また、採用面接では、以下4つのポイントを実践するとよいでしょう。

  • 採用基準を明確にしておく
  • 求職者の性格や価値観、動機をつかむ
  • 適性検査と併用する
  • 志望度は「高めるもの」ととらえる

なお、HRドクターを運営する株式会社ジェイックでは、新卒を対象とする大学連携型の人材紹介サービス「新卒カレッジ」や新卒ダイレクトリクルーティング「FutureFinder」を提供しています。

 

「新卒カレッジ」や「FutureFinder」に興味がある人は、ぜひ以下の資料もダウンロードしてください。

著者情報

稲本 太郎

株式会社ジェイック|シニアマネージャー

稲本 太郎

新卒で入社してから一貫して、新卒・中途の採用コンサルティング、キャリアカウンセリング、マネジメントを経験。計15年以上に渡って、採用支援の第一線で活躍している、社内でも有数の経験豊富な現役採用コンサルタントでありながら、自社採用の面接官も兼任。新人賞、トップセールス賞、MVT、社長賞、特別賞、ベストプラクティス最多ノミネートなど数々の受賞実績有り。

著書、登壇セミナー

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