採用のミスマッチと入社後ギャップを防ぎ、採用を成功させる3つの秘訣

採用のミスマッチと入社後ギャップを防ぎ、採用を成功させる3つの秘訣

「入社後の早期離職が多い」「採用した社員が『思っていたのと違う』と不満をいっている」「面接時はとても良い人材だと思ったのに、いざ採用してみたら予想に反して活躍してくれなかった」など、採用のミスマッチに関する悩みを抱えている企業の話はよく伺います。

 

採用のミスマッチと入社後のギャップは、早期退職や不満社員を生み出す要因となり、会社の生産性にも大きく関わるため、早急な改善が必要です。

 

この記事では、採用のミスマッチと入社後ギャップを防ぎ、採用を成功させるために重要な3つのポイントを解説します。採用の成功率を上げ、会社の生産性向上を目指したい方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

<目次>

採用のミスマッチが発生する原因

採用のミスマッチは「企業と求職者の認識にズレが生じている」状態です。実際に入社して仕事してみないと、ズレを100%解消することは不可能です。しかし、手を打っていくことで、ミスマッチの発生や入社後のギャップを激減させることは可能です。まずは、どんな要因でミスマッチや入社後のギャップが生じるかを見てきましょう。

 

 

企業の要因で生じる採用のミスマッチや入社後のギャップ

ミスマッチが生じる企業側の原因は、主に以下の3つです。「とりあえず採用する」「承諾してもらうことだけを考えて採用活動を行う」といった姿勢がミスマッチを生じさせる原因です。採用のミスマッチや入社後のギャップが生じると、企業も損害を被ります。企業が原因で生じるミスマッチやギャップは極力排除しましょう。

 

求める人物像をイメージできていない/適切ではない

「自社で定着、活躍する人材はどのような人物か」、求める人材像を定義できていないケースは意外と多く見受けられます。求める人物像が明確に定義できていないと選考基準が曖昧になり、面接での印象値に左右されたり、面接官ごとに異なる採用基準で採用したりすることになります。

 

特に「能力」や「経歴」に偏って採用を行い、自社の「社風」や「働き方」がどんな特徴を持っているか、応募者の価値観や志向性と一致するかを見ておかないと、採用のミスマッチや入社後のギャップに繋がりがちです。

 

また、新卒採用やスペシャリスト採用の場合には、“現場が求める人材”と“人事が認識している採用基準”にズレがあるケースもあります。現場に採用市場の難易度も理解してもらいつつ、現場が求める人材像や働き方を吸い上げて適切な採用ターゲットを定義しましょう。

 

自社のメリットしか伝えていない

入社してもらうために、自社の良いところしか伝えないことは採用のミスマッチや入社後のギャップを生む最大の要因です。必要以上に期待感を煽ったり、不都合な部分を伝えなかったりすると、採用のミスマッチ、入社後のギャップに繋がり、モチベーション低下や早期退職に繋がります。

 

企業が意図していなくても、新卒や既卒層の場合は実務経験がありませんので、“仕事の大変な部分”や“キャリアステップ”が分からずに、過剰な期待をしてしまうこともあります。魅了付けと並行しつつ、ギャップが生じがちなポイントや大変な部分、整っていないことは伝えていくといいでしょう。

 

新卒の場合には、内定承諾から入社までに時間がありますので、内定者アルバイト等を通じて、ギャップを解消していくことも有効です。

 

中途採用でキャリアがある求職者の場合には、「求職者がイメージする当たり前(前職の経験)」と「採用企業の当たり前」が異なることが、採用のミスマッチや入社後のギャップに繋がります。前述した社風や価値観に加えて、仕事の進め方、周囲との関わり方、仕事のスピード感などです。相手がイメージする当たり前を把握して、ギャップになりそうなポイントは事前に説明しておくことが望ましいでしょう。

 

発信する情報量が少ない

職者は、求人票や求人広告、採用ホームページを含めた企業ホームページ,説明会、選考プロセス、選考内で提供される資料などを通じて「入社後の環境」を予測します。しかし、発信する情報量が不足していると、求職者側は過去の経験や楽観的な予測に基づいて情報を解釈しがちです。

 

従って、発信する情報量が少ないことは「意図的に良いところしか伝えない」ケースと同じぐらい、採用のミスマッチや入社後のギャップが生じさせます。

 

「選考プロセス内で人事と経営者にしか会わない」ケースもギャップが生じがちです。また、「提供している情報が求人票と会社案内しかない」ケースなども要注意です。採用ツールを作るのは難しいかもしれませんが、現場に近い社員との面談機会を作ったり、中途の場合は上司になる社員に会わせたり、職場を見てもらったりするなどの取り組みが重要です。

 

 

求職者側の要因で生じる採用のミスマッチや入社後のギャップ

求職者側の要因で生じる問題は主に以下の3つです。求職者の心理や状態を知ったうえで、採用のミスマッチや入社後のギャップが生じないようにする企業側でも対策を行いましょう。

 

「自分をよく見せたい」心理

企業は履歴書と数回の面接といった限られた情報で、採用の合否を決定する必要があります。一方で、求職者側は「内定を取得する」「自分を高く売り込む」のがゴールになります。従って、自分に都合が悪い話はしませんし、実績や能力はなるべく高く見せたい心理が働きます。求職者の心理を理解したうえで、適切に見極めるノウハウが必要です。

 

複数の採用手法を組み合わせることで選考の妥当性を高める、構造化面接の手法を取り入れる、面接で生じがちなバイアスや先入観を知っておくなどが有効です。また、経歴や資格、能力だけでなく、自社の雰囲気や理念に合うか、中途の場合には前職での働き方(権限範囲や意思決定スピード、周囲との連携)も確認しておくと、ミスマッチや入社後のギャップを減らせます。

 

一つの条件のみを重視してしまう

求職者が一つの条件のみを過度に重視している場合、ミスマッチが起こるリスクが高まります。特に「休日」「給料」「勤務環境」などの定量的な条件や、「業種」や「職種」といった表面的な情報を過度に重視している求職者の場合、入社後に「働き方」「社風」「人間関係」など、選んだ条件以外の部分でギャップが生じがちです。

 

求職者がたとえ重視していないとしても、働き方や社風に関する情報提供、求職者の価値観や働き方の志向性、コミュニケーションのパターンなどはしっかり確認しておきましょう。

 

 

自己理解が浅い/間違っている、社会人経験が少ない(ない)

企業側の情報提供が十分だったとしても、求職者本人の自己理解が浅かったり間違っていたりする、社会人経験がなかったり少なかったりする場合には、入社後のミスマッチが生じる可能性が高まります。

 

例えば、求職者が希望していた部署が“営業部”であっても、会社によって、“コツコツと積み重ねていくことで成果を上げる営業”もあれば、“コミュニケーション力を最大限に生かす営業”もあります。求職者の自己理解が浅いと、自分の強みや志向性と異なる仕事に応募していることがあったり、社会人経験が少ない(ない)と、じつは応募している仕事内容をちゃんと理解できていなかったりすることもあります。面接を通じて、求職者の自己認識や仕事理解を確認することが大切です。

 

ミスマッチや入社後のギャップが発生することによる問題

 

手持ち無沙汰にして髪の毛をいじっている女性と、それを隣で眺めている男性

 

採用でのミスマッチは、「早期離職の発生」に限らず、「不満社員」として滞留して、職場のモチベーションを落とすような悪影響も与えます。改めて採用のミスマッチによって起こりうる問題を確認して、手を打つことの重要性を改めて認識しましょう。

 

 

損失金額

直接的な採用費、採用担当者の工数、入社後の人件費(3ヶ月)、入社後の教育に携わる先輩社員の工数などを合計すると、少なくとも100万円以上、場合によっては300万円以上かかるケースも考えられます。欠員を補充するために新たな採用活動を行えば、損失金額はさらに増加し、採用のミスマッチにより多額の損失が生まれることになります。
 
 

採用の難易度アップ、企業イメージの低下

“離職率の公開”はハローワーク、大学、新卒採用サイトなどでどんどん義務化されていっています。また、最近は「OPEN WORK」や「転職会議」などの口コミサイトも普及しています。従って、ミスマッチが続くなどして離職率が高い会社、また退職者に悪い口コミを書かれた会社、採用の難易度がどんどん上がりますし、顧客や取引先、金融機関などからの印象にも悪影響を与えます。

 

 

社員のモチベーション低下

入社してきたばかりの人が次々と退職すれば、既存社員のモチベーション低下に繋がります。また退職に至らずに「モチベーションが落ちたまま、ダラダラと仕事をしている」「会社への不満を公言する」ような不満社員が職場に与える悪影響を退職者以上です。また、“それなりの待遇で即戦力を期待された中途社員が、期待されたパフォーマンスをしない”場合、既存社員から経営陣への批判も生じがちです。このように採用のミスマッチや入社後のギャップは既存社員のモチベーション低下に繋がります。

 

採用のミスマッチと入社後のギャップを防ぐ3つの対策とは?

採用のミスマッチや入社後のギャップを防ぐにはどうしたら良いのでしょうか?有効な3つの対策をご紹介します。

 

1. 現場との連携

現場でどのような人材を必要としているのかを、すり合わせておくことはミスマッチ解消の必須条件です。採用におけるミスマッチで最も多いのが、「現場の求める人材」と「面接官が考えている現場に必要な人材」の認識にズレがあったケースや「採用担当が現場をよく分かっていなかった」ケースです。

 

実際に求めているスキルや現場の働き方、コミュニケーションのあり方、大変なところなどを双方で共有しておきましょう。当たり前ですが、配属先となる現場の人に、面接や面接に入ってもらうことは有効です。

 

 

2. 求職者に対する情報発信

採用のミスマッチを防ぎ、入社後のギャップを最小限にするために、良いことだけではなく、仕事の大変さや整備されていないこともしっかりと伝えましょう。職場の情報をしっかり伝えておくことで、求職者はよりリアルに自分が働く姿をイメージすることができます。

 

大変さや整備されていないことを伝えるのは少し抵抗があるかもしれませんが、正直に伝えることで逆に好感を持たれる場合もあり、企業イメージの向上も期待できます。求職者の信頼を得るためにも、正直に伝えておきましょう。求職者に対して適切な頻度での情報発信を行うことで、企業をより強く印象付けることができます。

 

 

3. 面接力の強化

求職者をしっかりと見極める面接スキルも重要になります。面接において求職者に“良く思われたい”心理が働くことは自然です。求職者の能力面はもちろん、性格特性やコミュニケーションの特徴もしっかりと把握しましょう。また“求職者の職場や仕事への理解状況”を確認することも、ミスマッチを軽減することができます。

 

「その場の流れでランダムに質問していくフリートーク面接」は最も入社後のパフォーマンス予測に役立たないというデータもあります。面接で生じがちな先入観やバイアスを知っておくことは必須です。また相手の行動特性を知るための決まった質問をしていく構造化面接の手法を取り入れたり、適性検査と組み合わせたりすることも有効です。

 

余裕がある場合には、最もパフォーマンス予測の精度が高く、採用後のミスマッチ軽減にも繋がるワークサンプル(実際に仕事の一部をやってもらう)や体験入社のような採用手法も取り入れると良いでしょう。

 

入社後のギャップを埋めるためのフォロー体制

小さな机を囲み資料を開いて打ち合わせをしている男女

 

採用時だけでなく、入社後のフォロー体制も重要なポイントです。上記で紹介した3つの対策をしっかり行ったとしても、働いたことがない環境や仕事内容を100%イメージすることは不可能です。従って、入社後のギャップは必ず生じます。

 

入社後のギャップは「ノイズ」となり、入社した社員が「成長」や「成果」に集中できなくなり、Off-JT・OJTの学習効果が落ちてしまいます。新入社員であれば成長スピードの鈍化、中途社員であれば即戦力化の停滞に繋がります。「ギャップは生じる」という前提で、オンボーディングなどの仕組みを導入して、早期活躍/早期戦力化をサポートしましょう。

 

オンボーディングとは、簡単にいうと「新入社員の受け入れプログラム」です。日本では、新入社員研修や業務レクチャーなどの短期的、集合研修的なプログラムは一般的です。オンボーディングはこれとは異なる概念で、

 

  1. 新卒だけではなく中途入社、業務スキルを持つ専門職や管理職層も対象
  2. 組織に適応(ギャップを解消)して実力を発揮するための継続的なプログラム

 

であることが特徴的です。とはいえ、難しい話ではなく、ギャップ解消と早期戦力化を目的として、人事、上司、OJT指導者、メンターやブラザー・シスター、そして、本人に、いつの時点でどんな関わりをするか決めておいて実践する、というだけです。

 

例えば、中途入社対象であれば、下記のようなイメージです。

 

・入社する人に関する社内周知(人事)

入社の3営業日前に、入社予定の氏名や経歴、どういった強みがある人かを社内に周知し、受け入れ態勢を整える。

 

・全社への紹介(人事)

入社当日に全社に向け、紹介をする機会を設ける

 

・ランチ会の実施(人事、部門長、上司)

入社当日にランチ会を設定する。配属された部署の上司や部門長と行くことで、双方の人柄や仕事内容を伝える。

 

・部署内の座席表作成(本人)

入社当日に部署内の座席表を作成する。自ら作ってもらうことで顔と名前を早く覚えてもらう。

 

・歓迎会の設定(上司)

入社から1週間以内に歓迎会を設定する。会社の雰囲気に馴染むと共に職場の同僚と親しくなる

 

・他部署への理解促進MTG(人事、他部門の部門長・マネージャー)

入社1週間以内に他部門の部門長やマネージャーから仕事内容のレクチャーを行う(全社での受け入れ姿勢を伝えると同時に、仕事の全体像を理解する)

 

・社内用語などの共有(OJT指導者)

入社1週間以内に社内で使用されている用語やルールのレクチャーを行う

 

・ランチor飲み会の実施(ブラザー・シスター)

入社2週間以内にブラザー・シスター(OJT指導者とは別で年齢の近い先輩社員をアテンド)とのランチor飲み会を実施。入社後の感想をヒアリングし、ギャップを感じている場合は人事に報告を上げてもらう

 

・目標設定面談(上司)

入社2週間以内に目標設定面談を行い、入社1ヶ月、3ヶ月、6ヶ月、1年といった節目ごとの目標設定(期待事項)をすり合わせます。

 

・2週間後ワーク(本人、OJT指導者)

入社2週間が経過した時点で、業務プロセスの書き出しを行い、業務フローや用語理解の進捗確認を行う

 

・3週間後ワーク(本人、OJT指導者)

入社3週間後に目標設定面談で定めた目標に到達するためのステップ計画を作成してもらい、OJTの指導者に提出、面談する。仕事への理解度を確認するとともに、成長プロセスをすり合わせる

 

・1ヶ月面談(本人、人事)

1ヶ月が経過した時点で、人事面談を設定。入社後ギャップを再度確認し、目標が腹に落ちているかの把握と不安や懸念点を洗い出してケアする

 

・2ヶ月面談(本人、上司)

上司から目標に対するフィードバックを行い、目標達成に対する意欲を高めるためのヒアリングやアドバイスを行う

 

・3ヶ月後面談(本人、上司)

2ヶ月面談から1ヶ月ほど経過した時点で、再度ギャップの確認や不安・懸念点の確認する

 

ご覧いただいた通り、一つひとつの内容はさほど難しいものではありません。既に実践していることも多いかもしれません。人間関係を築く、組織に馴染む(ルールや用語、暗黙知)、仕事を早く覚える(成果を上げる)などの視点でいつ頃、誰がどんなことをしたほうがいいかを整理すれば、すぐに実践できますので、ぜひ試してください。

 

まとめ

苦労して採用した人材が「入社後に早期離職してしまった」「実力を発揮できず採用時の期待と違った」といったことは、多くの経営者、人事の方が経験しているでしょう。採用時に生じるミスマッチは、手間や金額的な損失だけでなく、社員のモチベーションにも悪影響を与えます。

 

逆にいえば、採用時のミスマッチを未然に防ぎ、入社後の早期ギャップ解消ができれば、採用した人材が早期の活躍、生産性向上や現場のモチベーションUP、リファラル採用の強化などのメリットも得られます。今回ご紹介した3つの対策やオンボーディングの手法を参考にして、効果性の高い採用活動を実現してください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役|HRドクター 編集長

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

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