企業でキャリアデベロップメントプログラムを導入するときには、以下の流れで準備や運用をしていくとよいでしょう。
キャリアパスを整理する
まず、組織内で実現できるキャリアパスを整備します。最近では、マネジメントコースとプロフェッショナルコースといった形で複線的なキャリアパスを設けることが一般的です。
キャリアパスを完全に固定化することはできませんが、各コースで昇格していくに際してどのような経験をしていってほしいか、どういうスキルが必要かを言語化していきましょう。
次のステップで、キャリアパスを踏まえて、各職種内でキャリアラダーを整備していきます。そのため、次のステップでは、評価制度や等級制度との対応を意識しながら、大枠を作っていきましょう。
キャリアラダーに落とし込む
キャリアラダーとは、「キャリア(経歴)」と「ラダー(はしご)」を組み合わせたキャリア開発プランのことです。
キャリアパスに必要な仕事や役職などを難易度に応じて細分化し、各ステップのなかで能力開発できるようにする仕組みになります。
たとえば、IT企業に入社した新卒人材が「システム開発のプロジェクトマネージャーを担えるようになりたい」というニーズを持っていた場合、プロジェクトマネージャーになるまでに必要な仕事や役職を以下のように落とし込むイメージです。
- 1.「プログラマー」としてシステム開発に参加する
- 2.「システムエンジニア」としてプログラム設計に携わる
- 3.「プロジェクトリーダー」としてシステム開発チームを率いる
- 4.「プロジェクトマネージャー」として開発プロジェクトを管理する
- ⇒それぞれの階層で身に付くスキル、求められるスキルを定義する
ラダーを上がっていくための教育・研修プロセスを整備する
次は、上記のはしごを登っていくために必要な教育プログラムやプロセスを整備します。
- 1年目は、e‐ラーニングでプログラミング研修(計12回)を受講してもらう
- 1年目の10月以降は、研修内容を実践できるプロジェクトに配属する
- 6月にビジネススキル研修、10月にIoT基礎研修も受講してもらう など
キャリア研修を実施する
上記までの整備ができたら、キャリア研修を実施していきます。キャリア研修は、従業員にキャリア自律と自らのキャリア開発を考えてもらうきっかけになる場です。
キャリア研修はライフプランを描き、キャリアデベロップメント、実現に必要な能力開発などに落とし込んでいく流れが一般的です。
ただし、年代や性別などによっても、キャリア研修のポイントは若干異なりますので、対象層に応じた設計が大切です。
定期的にキャリア面談やアンケートを実施する
キャリア研修は、従業員個別に計画を考えてもらうとはいえ、あくまで1対多での対応となります。
そのため、各従業員が描いたキャリアデベロップメントのプランが適切か、また、実際どのように実現していくのかなどは、個別に対応していく必要があります。
したがって、キャリア研修はキャリア面談などとセットで実施することが効果性を高めるポイントです。キャリア研修の実施後は、上司なども関わって個別面談をしていくことがおすすめです。
さらに、キャリアに関する希望や展望は変わっていくものですので、キャリア面談を1回やって終わりではなく、キャリアプランの変更やブラッシュアップに関するアンケートや面談を定期的に行なって、考えたり整理してもらったりする機会を作ることが大切です。
定期的にキャリア面談することで、離職原因となる仕事やキャリアの不安・不満も汲み取りやすくなります。
なお、キャリア面談は、組織内での実施と組織外での実施を組み合わせることがおすすめです。
上司や人事は、組織の制度や実情をよく理解していることがメリットである一方、従業員からすると「本音を相談しにくい」側面があります。また、対応できる工数の限界もあるでしょう。
上記に対して、組織外のキャリアコンサルタントは本音で相談しやすい、またフラットな気持ちでコンサルタントの質問やコメントを聞ける一方で、組織独自の制度などに基づくアドバイスはできません。
したがって、組織外のキャリアコンサルタントを使ってキャリアの展望や現状における不安や感情を整理する、整理したうえで組織内での相談をしたい人に対しては人事や上司が対応するというフローにするのも効果的です。