通年採用とは?
まずは、最近取り上げられることが増えた「通年採用」という言葉の意味を確認しておきましょう。
本来の通年採用とは
経団連と大学側との間で合意された「通年採用」は、9月卒業の学生、海外留学(6月卒業が一般的)から帰ってきた学生、公務員試験からの転向者、既卒者等、現在の3~6月におこなわれる一括採用のスケジュールでは活動しにくい層のミスマッチを防ぐことが目的です。
通年採用という字の通り、期間を定めることなく、年間を通じて採用活動をおこなうことで上記のような候補者への門戸を広げる意味合いがあります。中途採用では、当たり前のように“通年採用”がおこなわれていますが、それを新卒採用にも広げようということです。一部、「通年採用によって採用活動の早期化が進む」といった報道もありましたが、これはまったくの誤解です。
合意の効果はかなり限定的
一方で、日本における新卒採用では、大手求人サイトが母集団形成において、大きな力を持っています。今回の通年採用において、とくに大手求人サイトのオープン時期が変わるわけではありません。そのため、母集団形成をおこなう時期は変わらないでしょう。
採用企業において、母集団形成の時期をずらす、通年採用だからといって3~6月の時期に採用枠を埋めきらないといった選択はリスクが高く、通年採用の合意は、実質的な効果はかなり限定的なものになることが予想されます。
リーマンショック後の2020年、政府が主導して、新卒採用において「卒業3年以内は既卒者を新卒採用の対象に加える」ことを、経団連をはじめとする企業に要請しました。そこから僅か1年で、経団連加盟企業の過半数が、卒業3年以内既卒者を新卒採用の対象に加えました。しかし、実際に「新卒採用枠」の中で既卒者が採用されたケースは非常に限定的です。
通年採用の合意に関しても、例えば、形としては「新卒採用におけるエントリー時期を通年とする」ことが普及する一方で、実質的な運用はかなり限定的になることが予想されます。
経団連の「採用指針の廃止」が意味することとは?
報道では、「通年採用」というキーワードが大きく取り上げられましたが、それ以上に重要なポイントは、「就活・採用に関する指針を経団連が廃止した」背景を押さえることです。これによって、誤解されがちな“通年採用”報道の本質を掴み、変化に応じた対応策を準備することが可能になります。






