
内定者研修は、何となく「内定者との接触機会を作る」という曖昧な目的で実施されることがあります。しかし、効果性の高い内定者研修を計画するためには、目的とゴールをしっかりと設計することが大切です。
目的とゴールによって、適した研修内容がアプローチは変わってきます。以下では、「内定辞退の防止」と「入社後の戦力化促進」という2つの目的をさらに細分化して、内定者研修を計画するうえでのポイントを解説します。
内定辞退の防止
内定者の辞退防止で大切なのは、以下の2つです。
- 自社の魅力を再度伝える
- 企業との繋がりで不安を解消する
内定承諾者は、面接等の選考段階で自社の魅力を聞き、内容に一定の納得感を経ているからこそ、内定承諾したわけです。しかし、時間がたつにつれて記憶や熱量は薄くなり、「本当にこの会社で良かったのか?」という不安が忍び寄ってきます。
従って、選考内容で伝えてきた理念や事業内容、社風について再度しっかりと伝え、また各内定者の選択軸や大切にしている想いと紐づけるプロセスが大切です。
また、不安を解消するうえでは、繋がりの濃さや接触頻度も重要です。「100の情報を1回で伝える」よりも、「1回に一つずつ100回接触する」ほうが繋がりを強くするには効果的です。
コロナ禍の影響でオンライン上のコミュニケーション手段が一気に浸透、定着しました。研修以外も含めて、接触頻度を作るためのコミュニケーション設計も辞退防止のポイントです。
同期との交流による安心感の醸成
昨今の学生は、人間関係に対して非常に敏感です。従って、同期との人間関係を作ることも内定辞退の防止には有効です。
内定者研修を通じて、新人同士の交流機会をなるべく提供し、同期との相互理解と信頼関係の構築を目指すと良いでしょう。
ただし、注意点が3つあります。
- 入社意向度が低い内定者がいた場合、周囲も影響を受ける可能性がある
- 能力のレベル差があると、得てして能力が高い側が同期に失望する可能性がある
- 人事から見えないところで人間関係のトラブル等が起こる可能性がある
同期との交流手段を作って終わりではなく、交流のされ方に気を配ったり、内定者と個別に接触を取ったりする等のケアを並行して進めることが大切です。
社会人に必要な基礎スキルの習得
入社後に新入社員研修で習得してもらいたいスキルを考えると、以下のように非常にたくさんあります。
- 社会人の身だしなみ
- 挨拶の仕方
- 名刺の受け渡し
- 敬語
- 電話応対
- パソコンの使い方
- ビジネスメールの作成方法
- 報告・連絡・相談
- 仕事で必要な知識 等
とくに業界によっては仕事で必要な知識がかなり膨大な量になるケースもあります。これらの基礎スキルや知識を入社までに多少なりとも身に付けてくれれば、入社後の教育はスムーズになり、戦力化も加速されます。
また、スキル習得を支援することは、“彼らの成長を支援する”というメッセージを感じさせたり、成長実感を通じて“この会社でやっていけるのか”という不安を解消したりすることもできます。
後述するeラーニングや教材等を使って、スキル習得の支援を行なうことも有効な内定者研修の一つです。
学生から社会人への意識切り替え
入社後の戦力化を促進するうえで、非常に重要なテーマが「学生から社会人への意識切り替え」です。プロのビジネスパーソンとしてのマインドセットを持ってもらうことで、スキル習得もスムーズになりますし、OJTや部門配属等の現場への接続もスムーズです。
逆に、社会人への意識切り替えがうまくいかないと、“マインドセットとスキル習得が不十分なまま、現場に配属され、リアリティショックによるモチベーションが低下する”というリスクがあります。
社会人への意識の切り替えは、まず広義の働くことの意味や、学生と社会人の違いを考えてもらうことから始めます。また、自社のミッションやビジョン、バリュー、また企業ステージにも応じて、下記のようなことを考えてもらうことも有効です。
- 自分はなぜ採用されたのか?
- 企業から何を求められているのか?
- 企業に必要なのはどのような人材なのか? 等
1回で浸透するテーマではありませんので、グループワークとフィードバック、読書課題、レポート、フィードバック等、さまざまな機会を通じて、じっくり浸透させていきたい重要項目です。