二要因理論
お世話になっております。
HRドクターを運営する株式会社ジェイックにて
取締役 教育事業部長を務めます
東宮美樹と申します。
今回は「二要因理論」について
お話できればと思います。
この理論は、1959年にアメリカの臨床心理学者
フレデリク・ハーズバーグ博士が行った
仕事に対する満足度調査によって
導かれた理論です。
ハーズバーグ博士は
200人のエンジニアと経理担当事務員を集め
彼らに対して
A「仕事上どんなことによって
幸福や満足を感じたか」
B「仕事上どんなことによって
不幸や不満を感じたか」
という2つの質問をしました。
まず、Aの質問に対する回答で出てきたのは
「目標を達成したとき」「働きが承認されたとき」
「仕事そのもののやりがい」「昇進したとき」
「責任ある仕事を任せられたとき」
といった回答でした。
ハーズバーグ博士は、
社員が抱えているこれらの欲求を満たすには
「動機付け要因」が必要である
と定義しました。
「動機づけ要因」は、満たせば満たすほど
社員が仕事に対して前向きになります。
一方、Bの質問に対する回答で出てきたのは
「会社の政策や管理方式に違和感を感じるとき」
「給与が少ないこと」「対人関係での揉めごと」
「作業の条件や、職場環境が悪い」
といった回答で、ハーズバーグ博士は
社員が抱えているこれらの欲求を補うには
「衛生要因」が必要である
と定義しました。
「衛生要因」は、満たせば満たすほど
社員の不満足が消えていきます。
実際の職場に当てはめて考えてみると
分かりやすいかもしれません。
目標を達成したり
自分の仕事が承認されたりすると
嬉しさや達成感を感じ
「動機づけ要因」が満たされます。
逆に、会社の方針に納得できなかったり
支払われる給与を低いと感じたりすれば
不平不満が出やすくなり
「衛生要因」が必要になります。
ですが、このハーズバーグ博士の
「二要因理論」が興味深いところは
これら2つの要因は
同じ延長線上にあるわけではない
ということです。
つまり、例えば
「目標を達成したとき」「働きが承認されたとき」
「仕事そのもののやりがい」「昇進したとき」
「責任ある仕事を任せられたとき」
これらが満たされていると
「満足感」は感じるものの
欠けていたとしても
「不満足」を感じるわけではありません。
反対に
「会社の政策や管理方式に違和感を感じるとき」
「給与が少ないこと」「対人関係での揉めごと」
「作業の条件や、職場環境が悪い」
これらが不足すると
「不満足」を引き起こすものの
満たしたからとしても
「満足感」につながるわけではない
ということなのです。
そう考えると
近年の採用の現場において
よく言われるようになった
「給与や福利厚生ではなく
仕事のやりがいや企業が掲げている想いで
学生や社員を魅了すべき」
といった主張は、ある意味合っていて
ある意味間違っているとも言えそうですね。
当然と言えば、当然かもしれませんが
仕事のやりがいも、職場の環境も
どちらも大事な要素です。
人事としては
「どちらが大事か」という視点ではなく
2つの要因が、それぞれ持つ作用を理解し
上手く使い分けていくことが
求められるのかもしれません。
今週はここまでとさせていただきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
来週もよろしくお願いいたします。