この先もずっと自社と共に成長し続けてくれると思っていた管理職に、急に退職されてしまう。このような経験をされたことはありませんでしょうか。じつは今、経営陣に悩みを打ち明けられず、苦しい思いをしている管理職の方が非常に増えています。
次世代のリーダー層が育っていかないと、若手にも将来を悲観されてしまい、若手層の転職も増えかねません。では、どのようにして管理職の本音を吸い出し、モチベーションを高めることができるでしょうか。
- AI解析から分かった管理職のホンネ
- 組織を牽引するはずの管理職が停滞してしまう理由
- 管理職を飛躍させるスイッチの押し方
という3つのテーマで、具体的な事例やデータを用いながら解説していきます。
*本レポートは2023年9月12日に開催したセミナーを基に作成したものです。予めご了承ください。
<目次>
管理職・リーダーの「部下育成力」が悩み
ラーニングエージェンシーという会社が、人事の方々を対象に、組織開発と人材育成課題の実態調査を行ったデータです。
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グラフは、従業員300名以下の会社と300名以上で色が変えられています。データを見ると、注力したい育成対象の6割が管理職やリーダーだということがわかります。
では、管理職やリーダーの育成課題として具体的に何が挙がってくるのかというと、8割以上の人事の方は部下育成力を挙げています。
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多くの会社が「管理職・リーダー層の部下育成力」に悩みを抱えています。
管理職育成でよくある悩みと原因
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管理職を育成していく上でどうすれば効果が出るのか、悩まれている人事や経営層の方が多いわけですが、管理職育成を手掛けている私たちジェイック(HRドクター運営会社)に、管理職育成に関してご相談が多いテーマは、上記の3つです。
まず世の中にたくさんあるプログラムの中で、どんな教育が今もっともうちの管理職に適しているのかが悩ましい・・・というご相談です。
そして2番目が、研修の育成対象となる管理職が学びに主体的ではないというところです。変わって欲しい人ほど変化に後ろ向きだったり、課題がある人ほど自覚がなかったりすることもありがちです。
最後は、研修をしても現場での行動変容が起きないという悩みです。
こうした悩みの要因はいろいろありますが、そのひとつが、管理職の実態、本音を把握できてないまま研修を企画設計しているケースです。当たり前ですが、大事なことは現場の本音やニーズを踏まえて、研修計画や育成プログラムを組むことです。
もちろんハラスメントが起きたからハラスメント研修、新任管理職がいるからマネジメント研修といった対応は大事です。
しかし、従業員の潜在ニーズまできちんと掴み取ってプログラムを組み、受講者に対して関わってフォローしていかないと、本当に効果性の高いプログラムにはなりません。
そして、潜在ニーズは、受講する人自身も気づいていない、言語化できていなニーズや悩みである可能性もあります。この潜在ニーズを企業がどう把握していくかというところがポイントです。
効果的な管理職育成プログラムの設計ステップ
効果的な研修プログラムの設計は、5ステップで考えることが大切です。
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STEP1:管理職自身が抱える課題・ニーズ(ホンネ)を洗い出す
まずSTEP1として重要なのが本音、潜在ニーズを掴むことです。ただし、管理職の本当の課題やニーズを洗い出すのは非常に難易度が高いです。なぜならば、管理職というポジションに上がってきており、企業によっては40-50代が中心、多くの場合、現場から叩き上げてきた方です。
弱音や悩みを会社に言うことはあまりありません。また、部下を抱える中で、同僚にも相談者がいない方も多いでしょう。
じつは、管理職は意外と本音を言えていないものです。だからこそ、まずは本音を洗い出すということが重要になってきます。
本音を洗い出さずに、会社から見えている課題だけで研修企画に入ってしまう会社も多いので、まずは洗い出しからしていきましょう。
もちろん会社から見えている課題を解決することは必要ですが、管理職の現状や本音が見えていない中で、会社の思惑をいわば“押し付ける”と、研修の効果性が高まりません。
STEP2:管理職の理想像(キャリアビジョン)を明確にする
STEP2が今すごく重要になってきています。管理職の理想像(キャリアビジョン)というのは、1人1人違います。そして、現場で叩き上げてきた人ほどキャリアが描けてない傾向があります。とくに40代50代の管理職の多くが、「頑張って真面目に仕事しているうちにポジションが上がっていた方」が多いです。
結果として、昇進昇格だけではなく、「仕事を通してどういうキャリアを築いていきたいのか」、もしくは「人生をどう描いていきたいのか分からない」という管理職の方が意外と多いのです。
しかし、キャリアビジョンが明確になっていないと、たとえば“リスキリング”と言ってお尻を叩かれても、学ぶ理由がないわけです。
また、いまの20代30代はキャリア形成を非常に重視しています。その中で、自分自身のキャリアビジョンがない管理職が、部下を動機づけようとしても上手くいきません。「目先の仕事を頑張っていれば、キャリアはついてくる」と言って、若手の心が離れていたりします。
STEP3:育成の目的とゴールを設定し、企画を選定する
本音を掴み、キャリアビジョンも明確になったうえで、育成の目的とゴールを設定していきます。会社から見えている課題解決は、当然必要です。それをどう伝えていくか、落とし込んでいくかチューニングしていくといったイメージになるでしょう。
STEP4:育成プログラムの選定(研修設計・ツール)する
そして、具体的な育成プログラム、研修を組んでいきます。
STEP5:実施した上で育成の効果測定を行う
最後に大事なのが、効果測定です。研修を実施した後、現場でどれだけ変化しているのかを、効果測定までしていない会社は意外と多いです。研修直後のアンケートを実施する会社は多いですが、アンケートはその瞬間でしかないので、現場で変わっていっているかまでは見えません。
現場で変化があり、変化を管理職の方も感じているのかまで見て、振り返っていかないと育成というのはうまくいきません。
管理職の本音を解析していく方法
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これは宣伝ですが、弊社の場合にはグループ会社「Kakedas」というサービスを使って研修設計、効果性の向上を実施しているケースが多くなります。
「Kakedas」というのは、第三者の国家資格キャリアコンサルタントに本音で相談できる環境を提供するサービスです。「Kakedas」の面談プラットフォームには累計2,800人以上(2024年7月時点)の国家資格キャリアコンサルタントが登録しています。
そこから、経歴やキャリアコンサルティングの実績などで選考して、合格した方のみをプラットフォーム上でマッチングしています。
「Kakedas」を使うユーザーには、まず性格診断を受けていただきます。キャリアコンサルタントの方にもこの性格診断を受けていただいているので、そこで価値観等の相性によるAI解析でマッチングしていきます。
そしてAIでマッチングされた10名の中から、ユーザーはキャリアコンサルタントの経歴等も見て、自分で選んで相談者を決められるという事です。
ここで大きなポイントというのは「第三者である」ということです。会社に本音で話すというのは非常にハードルが高いわけです。なぜならば、やはり上司(自分の評価者)に対して、悩みや本音を率直には相談しにくいわけです。
しかし、第三者であり、守秘義務も確保されており、さらに自分で選んだキャリアコンサルタントであれば、かなり本音ベースで話ができるようになります。オンライン面談なので、土日も含めて、自分が選んだ時間で安心感のある環境のもとに面談ができます。
相談者も、モヤモヤしている一方で、言語化できなかったり、考えを整理できていなかったりする方も非常に多いです。
Kakedasであれば、専門家が言語化をサポートしながら相談できるので、自分自身が悩んでいたことや描きたいキャリアが見えてきて、感情や思考が整理されて前に進めるようになります。
相談者がどのような相談をしたかの個別情報は会社には共有しません。これは、面談時にユーザーにもお伝えしているので、本音で話してもらうことができます。
会社側としては、複数名(10名以上)がこのカウンセリングを受けられたら、カウンセリング内容をAI解析かけられるようになります。
つまり、管理職が利用すれば、管理職の皆様がどういった状態で、どんな言語を使いながらどんなことに悩んでいるのかを、他社データと比較しながら分かるようになり、改善策が打てます。
この後は、Kakedasで管理職向けに面談実施した分析レポートの一部を使いながら、管理職の本音というものを紹介していきます。
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AI解析から管理職のホンネが見える
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人事や経営層にお渡しするKakedasのデータレポートサマリーですが、他社と比較して退職リスクはどのくらいか?チームワークはどのくらいか?制度面やメンタルヘルス・フィジカルヘルスの調子はどうか?また感情や思考傾向の分析ができます。
さらに共起シートといって、管理職の皆様がどんな言葉を使ってしゃべる傾向があるかなども解析していくこともできます。
本記事は、全2部構成でお送りします。Vol.2は下記よりどうぞ。







