ハラスメント研修は、人権意識の高まりに伴ってハラスメントに対する社会的な位置づけが変化したこと、また、2022年4月には全企業にハラスメント防止対策が義務化されたことに伴って、注目が集まっています。ハラスメント研修を通じて、ハラスメント防止に取り組むことは人権への配慮だけでなく、企業の生産性を維持し、事業を成長させる上でも不可欠です。
記事ではマネジメント研修を提供する研修会社としての知見を踏まえて、ハラスメント研修の重要性を確認する共に、効果性があるハラスメント研修にするための段取りやポイントを解説します。
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<目次>
- ハラスメント研修の目的とは?
- 日本におけるハラスメントの現状
- ハラスメント研修が注目される背景
- ハラスメント研修実施の流れ
- ハラスメント研修の効果をあげるためのポイントと注意点
- 管理職向けハラスメント研修の重要性
- 管理職のハラスメント研修の効果を最大化するポイント
- 管理職向けにはハラスメント防止と指導の両立が大切
- ハラスメント防止には環境づくりも重要
- HRドクターが提供するハラスメント研修関連サービス
ハラスメント研修の目的とは?
まずはハラスメント防止研修を実施する目的を確認しておきましょう。
ハラスメントを防止する
当然のことですが、ハラスメント研修はハラスメントを防止するためのものです。ハラスメントに対する訴訟や休職、離職等が生じれば、企業側の対応工数や費用は、かなり大きなものとなります。
ハラスメントのもたらすリスクを従業員の間で認識を共有し、防止することが重要になってきます。ハラスメントは、>本業の生産性や組織の士気を落とすものであり、断固として防がなければなりません。
組織の生産性を向上させる
組織の生産性を高める上で重要になってくるのが「心理的安全性」です。
2012年に、Google社のプロジェクトアリストテレスと呼ばれるリサーチの結論として、「チームの生産性を左右するものが心理的安全性であった」ということが発表され、心理的安全性が世界的に注目を集める概念となりました。
心理的安全性を確保するために、ハラスメントはあってはならないものです。心理的安全性を高めるうえでハラスメントをなくすことは基本であり、ハラスメント研修は組織の生産性向上にもつながるものです。
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日本におけるハラスメントの現状
企業におけるハラスメント防止が義務化されるようになった背景も含めて、日本におけるハラスメントの現状を確認しましょう。
ハラスメントによる損失
まずはハラスメントが、企業にどのような損失を及ぼすのかを見ていきましょう。以下は平成26年版厚生労働白書における「パワハラが企業にもたらす損失」の調査結果です。
引用元:https://www.mhlw.go.jp/wp/hakusyo/kousei/14/backdata/1-2-3-15.html
具体的な項目を見ていくと、「職場の雰囲気が悪くなる(97.1%)」、「従業員の心の健康を害する(95.5%)」が圧倒的に多数を占めており、メンタルヘルスの上で大きな問題があることが分かります。
また「従業員が十分に能力が発揮できなくなる(85.3%)」、「職場の生産性が低下する(74.0%)」と心理的安全性が低下することで組織の生産性も落ちてしまうことが読み取れます。
現在、長時間労働の是正や人手不足へ対応にするため、生産性向上の必要性が叫ばれています。そのような状況の中で、生産性を落としてしまうハラスメントの防止を徹底することは非常に重要です。
他にも回答割合が過半数のものとして、「人材が流出してしまう(69.3%)」「企業イメージが悪化する(56.0%)」という回答もあります。少子化に伴って優秀人材、また若手人材の取り合いが激化する中で人材の流出、また企業イメージの悪化は組織を維持・成長させるうえでかなりの痛手となるでしょう。
ハラスメントに対する意識の高まり
この数十年でハラスメントに対する社会的な意識も大きく変化しました。人権意識の高まりを背景に、ハラスメントに対する世間の捉え方は非常に厳しいものとなっています。
たとえるなら、喫煙への捉え方にも似たものがあるでしょう。
数十年前は、職場内で喫煙できる環境は当たり前でしたが、受動喫煙による健康への悪影響がよく知られるようになった中で、喫煙スペースのみで吸える、応接室などから灰皿が無くなる、全面禁煙の飲食店が増える、路上や建物内の喫煙スペースがどんどん撤廃されると、喫煙者にとって肩身が狭い環境になっています。
語弊はあるかもしれませんが、同じように個人の権利や人権意識が高まるなかで、数十年前にはハラスメントとしては捉えられなかったもの、個人の我慢の範疇だと思われていたものがハラスメントとして捉えられる、また、発覚した場合にはマスコミやSNSで糾弾されるようになりました。
とくにSNSが圧倒的な拡散力を持った中で、組織的にハラスメントが習慣化していた、また、ハラスメントをもみ消そうとしたといったことが明るみに出れば、大きなトラブルにもなりかねません。企業イメージの悪化にもつながり、事業活動や採用にも支障をきたす恐れが出てきます。
次々と登場する「〇〇ハラ」
ハラスメントの代表的なものと言えば「パワハラ」と「セクハラ」ですが、近年では時代の変化や価値観の多様化により、さまざまな「〇〇ハラ」も登場してきています。
職場のコミュニケーションにおいて問題になるようなったのが、お酒が飲めない人に対して飲酒を強要する「アルハラ」です。
また、仕事の進め方についても、PCやスマホなどのデジタル機器にうまく対応できない人への嫌がらせである「テクハラ」や、働き方改革を背景として残業削減の具体的な方策を示さないまま定時退社を強要する「ジタハラ(時間短縮ハラスメント)」があります。
さらに、自分が他者からの注意や指導に対して「嫌だ、不快だ」と感じた際に「ハラスメントをされた!」と過剰に主張するという「ハラハラ(ハラスメント・ハラスメント)」と呼ばれるものも出てきました。
時代や価値観が変化する中で、それに合わせて「〇〇ハラ」の数も増えていきます。その多くは、従来のパワハラやセクハラに見られるような悪意を持った暴力や暴言といったものではなく、無意識的な思い込みや一方的な価値観の押しつけによるものがほとんどです。
こうした数多くの「〇〇ハラ」に対応するためにも、ハラスメント研修を通じて時代の変化や価値観の多様性を認識してもらうことが大切です。
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ハラスメント研修が注目される背景
上述したような現状もあり、ハラスメント研修は多くの企業で注目されるようになっています。ハラスメント研修が注目を集めるようになった背景を整理しておきます。
ハラスメント防止義務化への対応
2020年6月に施行されたパワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)で大企業に対してパワハラの防止のために必要な措置を取ることが義務付けられました。
中小企業に対しては対応が猶予され努力義務となっていましたが、2022年4月からは中小企業も義務化の対象となり、今や全ての企業においてハラスメント防止の対応が必要になっています。ハラスメント研修もパワハラ防止策の一環であり、避けて通るわけにはいかないものです。
社会的なリスクを防ぐ
ハラスメントの現状で紹介した通り、ハラスメントに対する社会的な捉えられ方はこの数十年で大きく変化しました。
ハラスメントを発生させてしまった場合、SNS等で圧倒的に拡散される時代となっています。また、ハラスメントがあったことが拡がると、ブランド価値の毀損、売上等への影響、また人材獲得や取引先とのやり取りにも支障をきたす恐れも出てきます。そのような社会的なリスクを防ぐためにも、ハラスメント研修の実施が必要になってきます。
適切な指導を実現する
ハラスメントの現状でも紹介した通り、現在はパワハラやアルハラ以外のさまざまハラスメントが誕生しています。個人の多様な権利が守られ働きやすい職場を作ることは、組織の生産性を維持する上でも必要なことです。
一方で、ハラスメント防止が強く謳われ、さまざまな「○○ハラ」が誕生する中で、管理職が指導をするうえで躊躇う風潮も出てきています。ハラスメントは職場にあってはならないものですが、業務に必要な正当な注意や指導ができなければ組織の生産性を落としてしまいます。ハラスメントに関する知識を身に付けることで、管理職などが適切な指導をできるようにすることもハラスメント研修の目的です。
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ハラスメント研修実施の流れ
ここではハラスメント研修を効果的にするための実施までの流れを解説します。
自社に存在するハラスメントリスクを把握する
ハラスメントといっても様々なものがあるため、まずは自社でどういったことが問題になっているのか把握することがハラスメント研修を設計する上で重要です。
ハラスメントとして代表的なものは上司や管理職から部下になされるパワハラやセクハラが典型的です。ただ、ハラスメントは必ずしも管理職だけの問題ではなく、正社員から非正規社員や取引先、また、組織特性によっては逆パワハラが生じやすい状況があったり、非正規雇用が多い場合には非正規内でのハラスメントが生じたりするケースもあります。
自社の組織特性、現状の組織文化など、自社の現状とリスクに応じたハラスメント研修が必要です。
後ろ向きな管理職への対応
管理職の中にはハラスメント研修の実施に対して、「まるで自分たちがハラスメントをやってしまいそうな人間だと疑われているみたいだ」と否定的に受け取ってしまう人がいることもあります。そういった人は、ハラスメント研修を受けさせようとしても斜めに構えてしまい、研修の内容をまともに理解しようとしなくなってしまうこともあります。
そのような管理職に対しては、いきなりハラスメント研修を受けさせる前に、時代の変化に応じたコミュニケーションが必要であることを分かってもらうということが重要です。
悪気はなくても昔と同じ感覚でコミュニケーションをやっていると、ハラスメントに該当するケースが出てきてしまい大きなトラブルになりかねないため、今の時代に合ったコミュニケーションのやり方を学ぶ必要性があります。そうした認識を共有し、きちんと研修を受講する意識を作ることが必要です。
自社の課題に合わせた研修プログラムの実施
どこの会社でもやっているような内容をそのまま実施すると、法律に対応するために形だけやっているかのような印象のものになってしまいます。受講する従業員の側も、「参加させられている」という受け身な態度になりやすくなってしまいやすくなり、どこか他人事のようになってしまいかねません。
ハラスメントの防止につなげるためには、受講者の一人ひとりが当事者意識を持って取り組むことが重要です。ハラスメントの防止を自分事として捉えて取り組んでいけるようにするためには、自社の問題に焦点を当てた研修プログラムを組むということが効果的です。
事前のリスク把握をもとに、自社がどのような課題を抱えているのかを研修で取り上げることで、当事者意識を持って研修に参加してもらうことが大切です。
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ハラスメント研修の効果をあげるためのポイントと注意点
ハラスメント研修の効果をあげるためにどういったことに注意すればいいかをポイントを紹介していきます。
ロールプレイングやケーススタディを導入する
座学で知識ばかりをインプットするようなハラスメント研修は、受講する側がうんざりして、あまり効果性があがりません。お勧めなのが、ロールプレイングやケーススタディといった実践的な学びを取り入れることです。
とくに自社の業務特性を踏まえて、「これはハラスメントに該当するか?」をディスカッションしてもらうことで、実践に即した形で学ぶことで理解が深まります。また、判断が難しいケースにどう対応していけばいいのかという対応力をアップさせることができるでしょう。
自身のバイアスに気づけるようにする
ハラスメントの中には、無意識の思い込みであるアンコンシャス・バイアスによって引き起こされるものもあります。「雑用は若手の仕事だ」、「育児中の女性に対しては負担の軽い仕事を指示したほうがいい」といったものもアンコンシャス・バイアスの一例です。
無自覚のうちにハラスメントを起こしてしまわないためには、ハラスメント研修を通じて自身が持っているバイアスに気づけるようにサポートすることが有効です。特に、最近は価値観の多様化が進む中で、旧来の価値観を持つ世代によって無意識のハラスメントが行われている場合も多くあります。
こうした事例では、1回1回のコミュニケーションや対応が一発でアウトということではなく、本人にとって不愉快な対応が積み重なり、最後に「堪忍袋の緒が切れる」ではありませんが我慢の限界に達して、ハラスメント窓口に訴える、録音などの証拠も取ったうえで法的な対応に持ち込むといったケースも増えています。
またハラスメント、アンコンシャス・バイアスと併せて、マイクロアグレッションといったキーワードも知っておくとよいでしょう。
ハラスメント研修の内容は毎回見直す
現代は変化スピードも速く、価値観や考え方もどんどん変わっていってしまいます。また、従来と比べて組織や人員の入れ替わりも多く、組織自体も変化していきます。それに合わせて、必要なハラスメント対策も変わってくるものです。
研修の効果をモニタリングしながら、毎回の研修内容は、その時の自社の状況を反映したものとなるように内容の見直しを行っていくということが必要です。
管理職向けハラスメント研修の重要性
ハラスメント防止は経営層・管理職・従業員など、組織全体で取り組む必要がありますが、管理職の理解と対応力は極めて重要です。
組織内において管理職は職務権限上の優位性があり、また部下にとって評価者でもあるため、強い影響力を持つ立場にいます。そのため、管理職の言動は、部下にとって「強制」感が生じやすく、パワハラの加害者となるリスクが一般社員に比べて格段に高くなります。
また、日本企業ではいまだ男性管理職が多数を占めており、地位の優越性と相まって、男性上司から女性部下へのセクハラも非常に多い状況です。だからこそ、管理職向けのハラスメント研修は、組織全体のハラスメント防止に不可欠です。
優越的地位によるパワハラリスクの高さ
管理職が持つ「優越的な地位」は、意図せずパワーハラスメントを引き起こすリスクがあります。管理職は部下に対する人事評価権や業務指示権を持ちます。従って、管理職の発言は、たとえ軽い気持ちで発したものであっても、部下にとっては拒否できない強制力を持つものとして受け取られがちです。
例えば、冗談半分で言った「死にもの狂いでがんばれ!」「ここで達成できなかったら次はないと思えよ」といった言葉は、言い方や部下との関係性によっては精神的な強い圧迫感を与えることもあるでしょう。上述の通り、管理職は業務を指示する立場であり、また人事評価をする立場です。従って、命令形や感情的な表現が強くなると、部下にとっては非常に威圧的な言動となってきます。
管理職自身が自分の地位と影響力を理解し、言動が意図せずハラスメントに該当し得ることを意識する必要があります。
世代間の認識ギャップへの対応
40代・50代の管理職と若手社員との間には、ハラスメントに対する感覚に大きな差が存在します。「昔は当たり前」だった指導方法や職場での振る舞いが、令和の価値観ではハラスメントと見なされるケースが少なくありません。
例えば「大声で叱責された経験」「飲みニケーションの強要」などを経験したことがある管理職も多いでしょう。しかし、これらは現在のハラスメント基準では問題視される可能性が高いです。管理職は、時代とともに変化するハラスメント基準を理解し、今の時代に適したコミュニケーション手法、適切な指導方法を学ぶ必要があります。
組織への影響力と波及効果
管理職の言動は職場風土に大きな影響を与え、組織全体に波及効果をもたらします。そのため、管理職一人ひとりがハラスメント防止に真剣に取り組むことで、「この職場ではハラスメントは許されない」という組織にしていくことができます。
ハラスメントは上司から部下に対してだけではありません。同僚間や部下から上司への逆パワハラ、また社員から取引先や業務委託や非正規雇用のパートナーなどに対して行われるケースもあります。
こうしたことを未然に防ぐ、毅然として防止するうえでも、管理職がハラスメント防止を自覚し、積極的に取り組むが必要です。管理職が率先してハラスメント防止に取り組む姿勢を示すことで、部下たちも同様の意識を持つようになるでしょう。
また、問題が発生したとしても、管理職が適切な対応を取ることで、問題の早期発見と解決が可能となり、組織全体のリスク管理にもつながります。
部下が相談しやすい環境作り
管理職は、部下からさまざまな相談を受ける窓口としての機能も担っています。
ハラスメントに限らず、仕事の相談、組織の課題、個人の悩み、顧客や市場の変化まで、管理職と部下の関係性が良好であれば、管理職にさまざまな相談が入り、状況を捉えて、早期解決や対応していきます。こうした組織内の「パイプ」としての役割を果たすうえでも、管理職の日常的なふるまい、部下との関係性が重要です。
現代のハラスメント基準に対する適切な理解、人材育成や指導・フィードバックとのバランスを理解することは、管理職が部下と適切な人間関係を作る第一歩です。
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管理職のハラスメント研修の効果を最大化するポイント
ハラスメント研修を単なる「知識のインプット」で終わらせず、実際の行動変容につなげることが大切です。ここでは、管理職向けハラスメント研修の効果を最大限に高めるためのポイントを4つ解説します。
管理職の当事者意識を高める
管理職はハラスメントを意図せず起こしてしまうことも多く、「自分は大丈夫」という思い込みを解消することが研修の第一歩となります。誰もが加害者となりうる可能性を理解してもらうことが重要です。
管理職が実際に直面しやすい場面を想定した実践的なケーススタディの活用が有効です。例えば、「部下の成長を期待して熱心に指導したところ、部下からは威圧的な指導に捉えられてしまった」というような、結果としてパワハラと受け取られてしまうようなケースを取り上げることで、管理職は自分事として考えやすくなるでしょう。
業界や職種特有のハラスメントリスクも盛り込むことで、より現場に即した研修内容となり、研修参加者の理解を深めることができます。
インタラクティブな学習手法の導入
ハラスメント研修の効果を高めるためには、インタラクティブな学習手法を取り入れることもポイントの一つです。
一方向の講義形式ではなく、ディスカッションやワークショップを中心とした構成とすることで、研修参加者の能動的な学習を促進することができます。ロールプレイングによる疑似体験は、頭で理解するだけではなく体感として学ぶことができるため研修効果を大きく高めるでしょう。
参加者同士の意見交換を通じて新たな気づきを得ることも大切なポイントです。自分とは異なる価値観や考え方に触れることで、多様な視点からハラスメント防止について考えることができます。
コミュニケーションの取り方・伝え方を見直す
コミュニケーションが円滑ではない環境でハラスメントが生じやすい傾向があります。管理職の日々の言動やコミュニケーションの取り方を見直すことも、ハラスメントリスクの低減に直結します。
話し方や聞き方のスキルが身に付く研修内容を盛り込むとよいでしょう。部下の立場に立った発言の仕方、感情的にならない指導方法、相手の反応を適切に読み取る観察力などを実践的に学ぶことで、職場におけるコミュニケーション環境の改善につながります。世代間や価値観の違いを踏まえたコミュニケーションについて理解することも大切です。
組織全体と連動した研修設計
ハラスメントを効果的に抑止するためには、各研修を単独で実施するのではなく、組織全体のコンプライアンス体制と連動させることが重要です。ハラスメント対策をコンプライアンス対策の重要な一環として位置づけ、継続的な取り組みとして実施しましょう。
組織全体と連動させるうえでは、経営陣から「ハラスメントは許さない」というメッセージを明確に発信することも重要なポイントです。また、組織の相談窓口や報告システムとの連携も重要な要素です。管理職が実際にハラスメント対応をすることが必要になった際に、管理職が適切に対処できる体制を整備することが求められます。
管理職向けにはハラスメント防止と指導の両立が大切
近年では、ハラスメントに対する糾弾が厳しくなり、様々なハラスメントが登場してきています。そのような中で、先行してハラスメント研修を展開してきた大手企業では、管理職がハラスメントを恐れすぎてしまう状況も生じています。
ハラスメントの防止は必要不可欠なものであると同時に、管理職が必要な指導や叱責、指摘をできなくなれば、組織のパフォーマンスや生産性は低下してしまいます。
管理職向けのハラスメント研修を実施する上では、「ハラスメントを防止する」ことは大前提として、それに加えて「業務として必要な指導」との区別ができるようにするということも非常に大切になってきます。
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ハラスメント防止には環境づくりも重要
ハラスメントを防止するためには、ハラスメント研修によって知識やスキルを獲得するだけでなく、組織内の環境づくりというのも重要になってきます。ここでは、ハラスメントの防止するための環境をどのように整えていけばいいのかについて解説していきます。
組織トップがメッセージを打ち出す必要性
まず大事になってくるのが、組織のトップが「ハラスメントは許さない」というメッセージをきちんと打ち出すことです。いくらハラスメント研修を実施しても組織のトップが小さなハラスメントを黙認しているような状況下では、ハラスメントを無くすことは不可能です。
ハラスメントは発生させてしまうと会社の経営に大きなダメージを与えかねないものであるため、組織のトップが「会社を守り抜く」という決意を持って強くメッセージを打ち出す必要があります。
経営陣の年齢が高い場合で、ハラスメントに対する感覚が新人や若手と大きくずれていることがあります。経営陣自身も今の時代に合ったコミュニケーションのやり方を学び、方向性がずれてしまわないようにすることが重要になってきます。
ハラスメント発生時の毅然とした対応
組織トップのメッセージとも関連することですが、もしハラスメントが発生してしまった時には経営陣が毅然とした対応を取るということが非常に重要になってきます。
ハラスメントが発生した時に経営陣がどのような対応を取るのかを、従業員は見ています。特に、業績を上げている、評価が高い管理職などがハラスメントを起こした場合にも、きちんと処分することが大切です。もし甘い対応をしてしまうと、「結果さえ出せば、ハラスメントをしてもかまわない」という間違ったメッセージを伝えることになってしまいます。
いまの時代、組織内にハラスメントが横行するようなことになれば、組織を危険にさらすことになりかねません。どのような人によるものであれ、ハラスメントに対しては厳しく対処されるという環境をつくることが重要です。
意識が定着するように研修は繰り返し実施する
ハラスメント研修は、一度やって終わるというものではありません。ハラスメント防止の意識が当たり前のものとして定着するためには、何度も繰り返し実施する必要があります。そのためにも実施計画を立て、定期的に研修を実施できるようにしておくことが重要です。
HRドクターが提供するハラスメント研修関連サービス
紹介した通り、現在はすべての企業においてハラスメントへの対策が必要となっています。その一方で、十分なノウハウが無く頭を抱える担当者の方も多くなっています。とくに実態の把握、ハラスメントと適切な指導の両立という2つのテーマに関しては悩んでいる方が多くいます。
HRドクターを運営するジェイックでは、ハラスメント研修の実施やハラスメント防止に役立つ以下のようなサービスを提供しています。ご興味あればお問い合わせください。
従業員の本音を把握できる「Kakedas(カケダス)」
まず紹介するのが、外部のキャリアコンサルタントによる面談を提供する「Kakedas(カケダス)」です。
キャリア相談プラットフォームであるKakedasでは、登録された約2000人のキャリアコンサルタントの中からAIにより相性の良い人が10人選び出されます。相談者はその中から自分が気に入った人を選んで面談をすることで、会社や上司には言いづらい本音を安心して話すことができます。
面談で話された本音は、本人を特定できない形でレポートにまとめられて組織の側にフィードバックされます。レポートの中では、メンタルヘルスやチームの雰囲気といったことに加え、従業員のエンゲージメントや離職率予想といったことも記載されます。
従業員の本音を把握できるようになることで効果的なハラスメント研修や管理職研修プログラムの設計につなげることができます。また、研修実施後に研修効果をモニタリングすることにも活用していただけます。
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デール・カーネギーのリーダーシップ&コミュニケーション研修
ハラスメントを防止するために重要になってくるのが、上司のコミュニケーション力です。部下との間で良好な信頼関係を築き、上司として引っ張っていけるようになるのが、デール・カーネギーの「【人を動かす】リーダーシップ&コミュニケーション研修」です。
研修では、世界的なベストセラーである『人を動かす』のデール・カーネギーが教育の現場で培った「人間関係30の原則」を身につけることで、今の時代に合ったコミュニケーションができるようにサポートします。
デール・カーネギー式のトレーニングを受けることで、厳しい叱咤激励や”圧”などではない形で部下を動かせるようになり、ハラスメントを防止しながら、高いパフォーマンスを出せるようになります。
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中小企業においても本格的にハラスメントの防止が義務化された中でハラスメント研修の実施、また、ハラスメント防止と生産性UPの両立は不可欠なものとなっています。多様な人材が活躍できる組織にするためにも、参考になれば幸いです。