フィードフォワードを実行する際は、未来に向けたフィードバックをすることがポイントです。以下の流れで進めていくと、効果の高いフィードフォワードを実現できるでしょう。
ステップ1 相手の許可を得る
ネガティブフィードバックを行なう際の鉄則として、相手に受け入れる心構えをしてもらうということが挙げられます。「仕事の指摘なのだから、素直に聞き入れるのが当たり前」と考える方もいるかもしれませんが、相手も人間ですので、できなかったことや能力不足への指摘を受け入れるには心の準備が必要です。これは、フィードフォワードでも同様です。
フィードフォワードを行なう際には、まず「先ほどの商談の件、少しフィードバックして良いかな?」と相手の許可を得ることが大切です。本題に入る前に一言添えて、相手に話を聞く姿勢を作ってもらいましょう。
ステップ2 事実を具体的に伝える
フィードフォワードで大切なことは、事実を具体的に伝えることです。漠然とした内容ではなく、具体的に伝えましょう。特に、不足点や成長課題を指摘するときほど、具体的に指摘することが大切です。
【NG例】 「○○君は、お客さんの話をもっと耳を傾けたほうが良いよ」
【OK例】 「先ほどの商談で、□□社長が『リーダー育成は順調ですか?』という質問に答えたとき、少し社長の表情が曇って、声にも少し力がなくなったのが分かったかな?○○君はそのままヒアリングを続けてしまっていたけど、相手の表情や声に気を配ってもう少し深く聴いたら、より具体的な悩みが出てきたかもしれないね」
なお、事実を具体的にフィードバックするときには、「客観的な事実」と「主観的な事実」の区分けを意識することが重要です。客観と主観、どちらの事実もフィードバックの対象になります。
- 主観的な事実:納期は金曜日だったのに、提出されたのが月曜日だった
- 客観的な事実:(私には)納得していないように見えた
ただし、主観的な事実を客観的な事実のように伝えてしまうと、相手が受け入れにくくなったり、ときには拒絶反応を引き起こしたりすることもあります。主観的な事実を伝えるときには、「私にはこう見えた」「私はこう感じた」というIメッセージを加え、主観的な事実であることを明確に伝えましょう。
Iメッセージで伝えることで、相手も「そんなつもりはなかったのですが……」などの訂正や反論できる余地が生まれ、状況のすり合わせを行ないやすくなります。すり合わせを行ったうえで「私からはこう見えた」「私にはこう感じられた」という事実を再度伝えることで、相手も納得して受け入れやすくなります。
ステップ3 未来での実行と結果に意識を持っていく
ステップ2までの内容は、過去の話です。フィードフォワードを行なう場合には、必ず未来志向の質問を行なって、「次回はどうするか?」へと落とし込むことがポイントです。
上司 :「また同じような商談があったら、次はどうしようか?」
メンバー :「ヒアリング項目を順番に聞いていくのではなく、相手の表情や声に気を配り、深掘りする質問を投げかけてみるようにします」
上司 :「良いね。具体的な悩みをしっかりヒアリングできたら、サービスを紹介する際にも、“何が解決するか?”“どう役立つか?”を相手目線で伝えられるね」
フィードフォワードでは、相手に未来志向で考えてもらい、相手の意見を受け止めることが大切です。上司の個人的な経験や主観に基づいて一方的にアドバイスするのではなく、まずは相手に一度質問して自ら考えさせましょう。
質問は、「また同じような機会があったら……」以外にも、「同じ商談をもう一度するなら……」「ここで深掘りの質問をしたら……」などの聞き方があるでしょう。過去への反省ではなく、“よりうまく行なうための方法”や“うまくできたらどうなるかの結果”などの未来に、意識を持っていく聞き方が重要です。
なお、フィードフォワードはネガティブな内容だけでなく、ポジティブな内容に対しても使えます。ポジティブな内容であれば、ステップ1の「相手の許可を得る」は飛ばしても大丈夫です。
相手にアドバイスをするときのポイント
ステップ3では、「未来志向で考えてもらうには、相手に一度質問して考えてもらうことが大切」と述べました。人は外から与えられた答えよりも、自分が出した答えのほうが納得しやすい特性がありますので、相手に自分で考えてもらうことが重要です。
ただし、相手の経験や能力によっては適切な答えが出てくるとは限りません。そういう場合には上司からのアドバイスが必要となることもあるでしょう。
アドバイスするときには、ステップ1と同じように「いま答えてくれた内容もそのとおりだね。加えて、1つアドバイスしても良いかな?」といった形で、相手の許可を得ることが重要です。