チームで成果を出すための目標設定のポイントとは? 5ステップと設定例

更新:2022/09/13

作成:2022/03/21

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

チームで成果を出すための目標設定のポイントとは?5ステップと設定例

複数人のメンバーでチームとして仕事をする場合、まずチームの目標を設定したうえで、チームの目標に基づいて個人の目標を設定していくのがおすすめです。ただし、チームで目標設定をする場合には、メンバーに参画してもらえるチームビルディングや、使うべきフレームワークといったポイントに注意が必要です。

本記事では、最初にチームにおける目標設定の重要性を確認したうえで、チームの目標設定に必須のフレームワーク「SMARTの法則」と目標設定の5ステップ、目標達成に近づくチームビルディングのポイントを紹介していきます。

<目次>

チームにおける目標設定の重要性

チームにおける目標設定は、以下の理由で重要です。

チームの方向性を示す

チームで設定する目標は、チームのゴール、進むべき方向性を示すものとなります。例えば、営業部門のチームの場合、全体で5,000万円の売上を達成するために、以下のような手段や営業先の選択肢があります。

  • ・新商品Aの営業
  • ・新商品Bの営業
  • ・新規顧客への営業
  • ・既存顧客への営業
  • ・テレアポ営業
  • ・訪問営業

など

5,000万円という数字だけを目指すなら、各個人がどの方法を選択しても自由です。一方で、みんなが同じベクトルで仕事ができるようにするには、新商品AとBのどちらを中心に売るのか、まず新規顧客と既存顧客のどちらにアプローチするのか、アプローチ方法はテレアポと訪問営業のどちらなのか等をチームの目標や計画に盛り込んで共有することが大切です。

メンバーのモチベーションを高める

例えば、「営業チームで商品Aを3,000個売る」などの目標があったうえで、個人の目標を設定すると、自分の売った1個がチームの目標達成に貢献しているという意識から、モチベーションも高まりやすくなります。

また、例えば、商品A・B・Cのなかから各自が好きなものを選んで売るよりも、みんなで同じベクトルで商品Aを売る方針にしたほうが、「先輩が10個売ったから、私も今週は頑張って7個売ろう」などの前向きな気持ちも抱きやすくなるでしょう。

以上のようにチームで目標を設定し、力を合わせて達成するプロセスを通じて、チームへのエンゲージメントも高まっていきます。

メンバーの自走を促す

チームとしてのゴール、方針などを明確にすることで、メンバーは自分が何をすべきかを理解して、主体性も発揮しやすくなります。

例えば、10人のチームで5,000万円を売る場合、1人あたり500万円という数字だけを与えられるよりも、「新規顧客に商品Aを売る」などまで落とし込まれていたほうが、各メンバーも自らの判断で動きやすくなるでしょう。

また、商品Aを売る、新規開拓を進めるといった方向性が一致することで、成功事例やノウハウを共有するといった主体的な動きも促進されます。

チームを一致団結させる

例えば、営業のチーム全体で目指す売上の難易度があまり高くなければ、メンバーが一致団結しなくても「個の力」だけで達成できる可能性も出てきます。一方で、レベルの高い数字や困難な壁をクリアすることが目的となる場合、個の力ではなく、みんなで協働・共創する姿勢が必要となるでしょう。

チームのゴールを明確に設定することで、互いにフォローしたり、知恵を出し合ったり、やり方の改善をしたりといったチームとしての協働もしやすくなります。

チームの目標設定でも必須のフレームワーク「SMARTの法則」

個人でもチームでも目標設定のフレームワークの基本は同じです。目標設定の大原則である「SMARTの法則」の以下項目に則って、チームの目標を考えていくことが大切になります。

・Specific(具体的である)
例えば、営業チームで「新商品の販売に力を入れる」や「顧客構造を強化する」といったものは、目標ではなく方針に過ぎません。Specificに則った目標とは、「新商品を300個売る」や「定期購入の契約をしている顧客を50社増やす」といった具体的なものとなります。

・Measurable(計測できる)
Measurableは、先述のSpecific(具体的)とも関連性の高い項目です。計測できるとは、自分のチーム以外の第三者でも進捗や成果などを計測できる、達成の合否を客観的に共有・判断できるということになります。

例えば、先述の「定期購入の契約をしている顧客を50社増やす」という定量的な目標であれば、「いま20社増であれば、あと30社で達成」「50社増えたので達成した」といった形で進捗の把握や達成状況は、誰が見ても明確です。

一方で、目標が「顧客構造を強化する」や「定期購入の顧客を増やす」だとすると、「新規開拓が進んだから目標達成した」という人もいるかもしれません。また、「既存顧客との関係性が強まらないと、顧客構造の強化とはいえない」という意見が生じることもあるでしょう。

ほかには、「定期購入の顧客が10社増えたから良いのか」「100社増えなければ良いとはいえないのか」といった形で判断や評価も主観的になってしまいます。

もちろん、すべての目標が定量的に数字などで設定できるわけではありません。しかし、可能な限り「達成したか明確に判断できる、周囲と共有できる」形で設定することが大切になります。

・Achievable(達成できる、現実的にチャレンジできる)
チームが高いモチベーションで仕事をするには、現実的に達成・挑戦できるレベルの目標であることも大切です。

例えば、1ヵ月平均の売上が1,000万円前後のチームで「来月は1億円売ろう」という高すぎる設定をしても、当初から「自分たちには無理だろう」などの諦めからメンバーのやる気は上がらないでしょう。また、「どうすればいいか」という知恵も出てきません。

確実に達成できる水準に縛られる必要はありませんが、短期的な目標は現実的に挑戦していける範囲で達成することが大切になります。

・Relevant(上位目標と関連する)
組織における目標設定は、以下図式のように大きな目標から紐づいて設定されることが大切です。逆にいうと、各個人・チームが目標達成することで部門や組織の目標が達成されるようになっている必要があります。

組織の理念・ビジョン > 組織の計画 > 部門の計画 > チームの計画 > 個人の計画

例えば、営業部門が「今年は商品Kの販売で部門売上1億円を達成する」という上位目標を設定したとき、下部の営業AチームやBチームが商品Kの営業目標を設定しなければ部門目標の達成は難しくなります。

・Time-bound(期限が定められている)
チームの目標設定では、以下のように「いつまでに達成するか?」の期限を決めることも大切です。

・第2四半期の終わりまでに
・2022年3月末までに など

期限があるからこそ、期限内で達成するように期日を決めた計画作成、進捗チェックのタイミングなど、精度の高い行動目標が決まっていきます。逆にいえば、「いつか売上1億円にする」という期日のない目標を掲げていた場合、いつまでも具体的な計画は決まらないでしょう。

SMARTの法則に則ったチーム目標の例

SMARTの法則を守ることで、以下のようなチーム目標が設定できます。

・2022年4月までに、新商品Aを5,000万円分販売する
・2021年の年末までに、クリスマスと年越しのオードブルを3,000個販売する
・半年後の3月31日までに、東京エリアBチームの実店舗で、ポイント会員数を現状の20%前後から35%までアップさせる

チームの目標設定5ステップ

5STEP

チームの目標設定は、以下の流れで進めていくことがおすすめです。すべて順番に進める必要はありませんが、個々の実施ポイントをしっかりと押さえておきましょう。

ステップ① 目標設定への参画

チームなどの組織目標を決めるとき、大切なポイントは、実行するメンバーに目標設定に参画してもらうことです。リーダーが一人で決めてしまうと、チームメンバーは目標達成へのモチベーションや主体性を発揮しにくくなります。したがって、“自分たちで決めた目標である”という意識を醸成することが重要です。

最終的な意思決定は、リーダーが実施するとしても、決めるまでのプロセスにはメンバーに参加してもらうことが大切になります。

ステップ② SMARTな目標設定

先述のSMARTの法則に則った目標にすることが鉄則です。初めて目標設定をするチームや、若手中心などの場合は、リーダーがSMARTになっているかどうかを確認します。定量的な目標が難しいチームの場合、◯×で判断できる目標にすることもおすすめです。

ステップ③ 目標の意味付け

目標設定への参画と同様に大切なのは、チームメンバーの主体性向上や内発的動機づけをするために、目標の意味付けを行なうことです。意味付けとは、今の目標を達成することで自他にどのようなメリットがあるかという意味を考えることになります。

意味付けに活用できるのが、「目的・目標の4観点」というフレームワークです。目的・目標の4観点では、「自分‐他者」「有形‐無形」という2つの軸、4つの分類で目標達成することを以下のように意味付けしていきます。

「目的・目標の4観点」例

【自分×有形(自分が物理的に得られること)】

・冬のボーナスがアップする
・商談スキルが向上する

【自分×無形(自分が精神的に得られること)】

・満足感が得られる
・協働を通してメンバーと仲良くなれる

【他者×有形(関わる誰かが物理的に得られること)】

・チームが社内表彰される
・メンバーが新人賞を獲得する

【他者×無形(関わる誰かが精神的に得られること)】

・ボーナスアップと社内表彰で妻が喜ぶ
・地元の農家さんが活気づく

など

目標達成の方針・施策策定

チームの目標設定では、目標達成するために何をすべきか考えることも大切です。施策の洗い出しには、KPIツリーやマンダラチャートなどのフレームワークを使うことがおすすめとなります。

目標の設定時に施策を多めに洗い出しておくことで、計画どおりに進まないときの改善もしやすくなるでしょう。

役割分担と実行

チームの目標を設定し、やるべき施策を洗い出したら、どのメンバーが何をするかの役割分担をしていきます。役割分担は、個人の目標設定につながっていくものです。

例えば、「東京都内で新商品Aの営業活動を行ない、チーム全体で5,000万円売る」という目標を立てた場合、全メンバーが闇雲に新商品Aの営業をしたのでは、同じ顧客に複数回提案するなどの問題が起こりやすくなります。

一方で、Sさんは港区で500万円、Tさんは新宿区で700万円……などの役割分担をすれば、役割が個人の目標になることで各自の施策も考えやすくなるでしょう。

上記のような数値での分担以外にも各自の強みを生かして、以下のような形での役割分担も有効です。

  • ・Aさん:営業ノウハウの確立と勉強会の実施
  • ・Bさん:アプローチリストの準備
  • ・Cさん:販促チラシや販促メールの作成

など

施策の実施後は、定期的な振り返りと改善のPDCAをまわしていきます。

目標達成に近づくチームビルディングのポイント

KPIのブロックとノート、電卓

チームで設定した目標を達成していくには、メンバーが一丸となって協働・共創できるように組織力を強化するチームビルディングが大切です。本項では、チームの目標設定・達成に不可欠となるチームビルディングのポイントを整理しておきます。

チームビルディングの重要性

前述のとおり、目標設定では、チームメンバーに参画してもらうことが大切です。しかし、チームメンバー全員が、同じ達成意識や意欲を持っているわけではありません。また、組織の上位目標などへの理解度も、各自で異なるでしょう。

したがって、チーム目標の設定は「衆議独裁」が現実的です。つまり、メンバーにも参画してもらい議論して意見を出し合ってより良い目標や達成への方針を議論していきます。議論のなかで、全員での合意を目指しつつ、最終的にはリーダーの責任で意思決定するというプロセスです。

リーダーの意思決定に納得してもらうためには、日頃の信頼関係、チームビルディングが大切になります。

また、議論やブレーンストーミングを通じてより精度の高い実行計画を作ったり、相互に協力して実行したりしていくなかでも、チーム内の信頼関係は不可欠です。目標達成に向けてともに協働する仲間としてメンバーをまとめるために、チームビルディングは欠かせないものとなります。

チームビルディングの目的

チームビルディングのゴールは、心理的安全性の確保です。心理的安全性が確保されると、以下のような相乗効果も見込めます。

  • ・メンバーの主体性が向上する
  • ・メンバー同士の連携が強化される
  • ・議論の質が向上する

など

チームビルディングの主導はリーダー

メンバーが協働しやすい環境を作るのは、リーダーの役割です。リーダーは、日々の仕事のなかで以下のような配慮をする必要があります。

  • ・メンバーの存在を承認する
  • ・意思決定に参加させる
  • ・発言機会の偏りをなくす
  • ・チーム内にライバル関係ではなく、協働・共創の関係を作る
  • ・メンバー同士が相互理解を深められるようにする

チームビルディングを主導するリーダーは、以上のことを実践するだけでなく、自らのヒューマンスキルを高める必要もあります。

まとめ

チームにおける目標設定は、以下の理由で重要とされています。

  • ・チームの方向性を示す
  • ・メンバーのモチベーションを高める
  • ・メンバーの自走を促す
  • ・チームを一致団結させる

目標設定の大原則は、SMARTの法則です。チームの目標設定は、SMARTの法則を使い以下の流れで進めていきます。

  • ・目標設定への参画
  • ・SMARTの法則に基づいた目標設定
  • ・目標の意味付け
  • ・目標達成の方針・施策策定
  • ・役割分担と実行

チームで設定した目標を達成していくには、リーダー主導で、メンバーが協働・共創できるチームビルディングを強化する必要があります。チームビルディングのゴールは、心理的安全性の確保です。チームビルディングができたら、目的・目標の4観点というフレームワークを使って目標を意味付けし、メンバーのモチベーションを高めていきましょう。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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