
KPIマネジメントの特徴は、「結果」そのものではなく「結果を出すための指標(プロセス)」をマネジメントすることです。
基本的には、以下のようにPDCAサイクルを回しながらマネジメントを行なっていきます。
- 1.組織の成果目標に基づくKPIを設定する
- 2.設定したKPIを基準に業務を遂行する
- 3.業務の最終成果を検証し、振り返りとKPIの見直しを行なう
KPIマネジメントは、最終的な業績や成果を達成するための先行指標を管理するものです。最終ゴール(KGI)を目指す過程では、KPIのほかに、KAIといった指標の設定やマネジメントも有効です。
この章では、KPIマネジメントに関連する各用語の概要と、各要素のつながりについて整理しておきます。
KGI
KGIとは、「Key Goal Indicator」の略称で、日本語では「重要目標達成指標」と訳されるものです。
KGIは、企業や事業の最終的な目標のことであり、一般では、売上額や利益額などを指すことが多いでしょう。KPIは途中目標(中間指標)であるのに対して、KGIは最終目標を指しています。実際のマネジメントでは、初めにKGIを設定したうえで、KGIを具体的なKPIに分解していきます。
《KGIの例》
KSF
KSFは「Key Success Factor」の略称で、日本語では「主要成功要因」と呼ばれるものです。
KSFは、目標達成や成長を実現するために重要な要素です。必ずしも数値化できない定性的な要素も含まれます。
事業の成長や顧客の満足に影響する重要な要素がKSFであるのに対して、KSFの要素をどのように指標として管理するかがKPIマネジメントの課題になるでしょう
《KSFの例》
- 自社だけが提供可能な差別化されたサービス
- 顧客の使いやすさ
- アップグレードによるサービスの改善への期待感の醸成
- 顧客への認知度
- 有料利用顧客のリピート率
KSFとは、「目標の達成や成長などを実現するうえで、なにが大切か?」という要素です。たとえば、「顧客の使いやすさ」や「自社だけが提供可能な差別化されたサービス」などの定性的なKSF要素を向上させると、KPIの「リピート率」「成約率」などの達成がしやすくなるでしょう。
KAI
KAIは「Key Action Indicator」の略称で、「重要活動評価指標」と訳されるものです。
KAIは最終ゴールを達成する過程でコントロールできる「活動」の指標となります。KPIが「途中結果」を示す指標であるのに対して、KPIを達成するために必要となる以下のような「活動指標」がKAIになるでしょう。
《KAIの例》
- 新規顧客への架電件数
- 重点顧客との接触率
- 資料請求への5分以内対応率
- 改善施策の実行数
- 顧客へのインタビュー件数
たとえば、KPI「半年間の商談数:12件」を達成するために、新規顧客へのテレアポという「活動」が求められる場合、「新規顧客へのテレアポ:1ヵ月で100件」などのKAI設定がされるイメージです。
KPI
先述のとおり、KPIは、Key Performance Indicatorの略称です。日本語では、「重要業績評価指標」と訳される用語となります。
たとえば、「売上」というKGIに対して、「見積金額」「商談件数」などがKPIです。
KPIマネジメントは、KGI⇒KPI⇒KAIという形で、最終的なゴールをプロセス・行動に分解していきながらマネジメントします。
また、目標達成に向けたプロセスを四則演算だけで分解していくのがKPI・KAIへの分解だとすれば、定性的な部分も含めて考察して導き出すのがKFSです。
なお、KPIとKFSは、ある程度リンクしている必要があります。つまり、KFSがある程度の定量的なプロセスにつながるようであれば、その前後の指標をKPIに落とし込んでマネジメントすることが有ということです。
主要な成功要因であるKFSがまったく未知数のまま、四則演算だけで分解したKPI指標を追いかけてもなかなかうまくいきません。マネジメントの際には注意しましょう。
PDCA
PDCAとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認)」「Action(改善)」のことであり、ビジネスの基本フレームワークとして利用されるものです。
それぞれの意味は、以下のとおりになります。
- Plan(計画):目標と達成までの行動計画やスケジュールを決定する
- Do(実行):計画した目標や戦略に基づいて計画を実行する
- Check(確認):実行結果を確認し目標や計画が達成されたかを評価する
- Action(改善):確認で明らかになった課題に対して改善策を考案する
これらの一連の流れを繰り返すことを、PDCAサイクルと呼びます。
PDCAサイクルは、継続的にまわすことで、新しい課題を改善できるため業務のクオリティが上がっていきます。また、一つのサイクルで得られた知見を次の「Plan」に生かすことで、業務が継続的に改善されるようになるでしょう。
KPIマネジメントを実施するうえでも、PDCAサイクルが非常に大切です。
たとえば、KGIを達成できなかったときに、Check(確認)で「KPIの達成率はどうなっているか?」「KAIの達成率はどうなっているか?」をきちんと検証します。
たとえば、「KPIは達成しているのに、KGIが達成していない」とすれば、そもそも「KPIの設定がおかしかった」「計画の前提が途中で狂ってしまったか」もしれません。
また、KAIが達成していないとすれば、「行動レベルのマネジメント」や「計画や統制が十分に機能していない」かもしれません。
目標達成のマネジメントは、KGI、KPI、KAを設定したうえで、PDCAサイクルで精度を向上させることがポイントです。
MBO
MBOとは、(Management By Objectives and Self Control)の略称であり、「目標管理制度」と訳されるものです。
MBOは、経営学者ピーター・ドラッカーが提唱したマネジメント手法になります。HRの現場では、評価制度と連携して用いられることが多いです。
MBOでは、“組織業績への貢献目標”と“個人の成長目標”といった軸で3~5個程度の目標を設定します。
最終的な業績や成果指標だけではなく、先行指標も目標設定に含めることで、MBOとKPIマネジメントを連動させられるでしょう。
OKR
「Objectives and Key Results」の略語で、日本語では「目標と主要な結果」という意味になります。
OKRは、MBOと同じような組織における目標設定の概念です。MBOと違う点として、人事や評価制度とは連携させないことが一般的です。
OKRにおけるObjectvies、すなわち目標は、MBOのような業績目標などではなく、組織を鼓舞するようなチャレンジングなものであり、必ずしも定量的な指標(数字など)ではありません。
そして、Key Resultsは目標を達成するためのいくつかのプロセス指標が設定されます。
たとえば、インターネットサービスなどの場合には、Objectvesに「自分たちのサービスをこう使われていて、ユーザーにこんな影響を与えている」といった短期ビジョンが入り、そのためのKey Resultsにも業績ではなく、会員登録したユーザーの利用率や会員登録数などが入る場合もあります。
Objectivesがチャレンジングである以上、Key Resultsも60~70%程度の達成率で着地することが一般的であり、このレベルのチャレンジングさで設定することが重要と考えられています。
OKRには、必ずしも短期的な売上や利益ではなく、「組織のビジョンや優先事項に対して、メンバーを鼓舞して活動の方向性を一致させるもの」という特徴があります。
OKRにおいても、設定したKey ResultsがKPIであることも多いですし、Key Resultsを達成するための活動を実施するうえでは、KPIマネジメントのやり方が役に立つでしょう。