”なんのために学ぶのか”【人を残すvol.136】

経営者向けメールマガジン「人を残す」fromJAIC

”なんのために学ぶのか”

いつも大変お世話になっております。
株式会社ジェイックの梶田です。

“明日死ぬことがわかっていても勉強したい”

上記は、池上彰さんの著書「なんのために学ぶのか」(SB新書)
の冒頭の書き出しの言葉です。

この本は、大学生向けに池上さんが講話で話された内容をもとに
書かれていますが、

学習することや研究することの意義について、大人の私たちでも
「なるほど、そうか」と目から鱗が落ちるように読めます。

先日、ある大学の先生にこんなお話を聞きました。

その先生は、博報堂で17年間マーケティングの仕事をなさって、
その後はマーケティングコンサルタントとして独立をしています。

大学生にマーケティングを教えたいと思い、大学の教員になるべく
採用試験に挑むのですが、落ち続けたそうです。(7年間も!)

ある時、採用担当の学部教員から、

「あなたはずいぶんと傲慢ですねぇ」と言われたそうです。

言われた時は、随分と憤りを感じたそうですが、

仕事を通じ培ってきた経験だけを糧に、人にものを教える、
研究させることの難しさや恐ろしさに、その時は気づけなかった、

結局、やはり自分は傲慢だった、と仰っていました。
その先生は現在63歳だそうです。

哲学者であり立命館大学教授の千葉雅也さんは、
著書「勉強の哲学 来たるべきバカのために」(文藝春秋)で、
このように仰っています。

“多くの人は、勉強の『破壊性』に向き合っていないのではないか?
勉強とは自己破壊である。

では、何のために勉強するのか?
何のために、自己破壊としての勉強などという恐ろしげなことを
するのか?

それは『自由になる』ためです。
どういう自由か?それまでの『ノリ』から自由になるのです。”

ここでいう「ノリ」とは何か?
個人が経験で培ってきた「メンタル・モデル」いわゆる価値観や
固定観念、先入観のようなものです。

「学習する組織」を書いたピーター・M・センゲは、
メンタル・モデルは、真実を曇らせ学習を阻害すると指摘しました。

社会人経験が長くなり、仕事も責任も増えてくると、
主体的に学ぶ時間を確保することも難しくなります。

本を一冊読むことだって、ゆっくり落ち着いて向き合う時間は
なかなか取れないものです。

しかし、だからと言って、自分の経験値に胡坐を書き、
部下の意見を聞き入れず、自分のアイデアや方法を主張する、

それでも、成果が出ないのは部下が無能であるからで、
最初から自分がやっていればうまく行っているはずだ…

悲しいかな、会社員時代にこういう方もたくさん見てきたと、
大学の先生は仰っていました。

こういう虚しい大人になってはいけないよ。
教養がないと想像力や共感力が培われない。

だから、人間は謙虚に学び続けなけれならないんだよ。

という思いを込めて教壇に立つこともあるそうです。

ソクラテスがいう「無知の知」。
本当の無知は、自分がものを知らないことを知らないということ。

知らないことがあるから、人は学び、成長するのだ、
ということを自覚することが、

“傲慢さ”や”ノリ”から解放され、
本当に自由になれるということなのかな、と感じました。”

“学びとは、決して人から盗まれることのない財産です”

最初にご紹介した池上彰さんの本には、こんな言葉も出てきます。
学び教養を得ることで、物事に共感できることが増え、
それが自分の心に豊かさや潤いを生みだしてくれるそうです。

私も謙虚に学び続けたいと、改めて、思いました。

様は、どう思われますか?

今回の執筆者:「 梶田貴俊」
(株式会社ジェイック 西日本代表講師)

著者情報

梶田 貴俊

元株式会社ジェイック シニアマネージャー(現ジェイック契約パートナー)

梶田 貴俊

前職、通信機器ベンチャー商社勤務時代にリーマンショックを経験。代表取締役として、事業再生計画を推進し同社のV字回復を実現した。現在はジェイックの講師として研修事業を牽引している。

著書、登壇セミナー

『会社を潰さないためのSunday Management List ―中小企業のリーダーがやるべき日曜日のマネジメントリスト』

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