Q.田尻様のご経歴を振り返りつつ、会社創業までの経緯を教えてください
田尻様:私は10代の頃から建設作業員として働き、現場仕事に強い関心を持っていました。仕事に慣れるうちに「もっとできることはないか」と考え、大工に転身したのが23歳のときです。同じ年に結婚もしており、妻には迷惑をかけてしまいましたが、私の無謀なチャレンジを応援してくれたことに感謝しています。
私は狭い団地で育ちました。不満はなかったのですが、ある日友達の家に行くと子供部屋があり、おやつには高級なお菓子が出てくるなど、自分の生活との違いに驚きました。羨ましさもありましたが、「住宅と幸せな人の姿」はこういうものなのだと強く印象に残り、自分もいつかそんな家を建てたいと思うようになりました。
大工を志したのは、友人から「現場で一番偉い人だ」と勧められたのがきっかけです。当時の大工は、工期に間に合えば仕事の進め方は自由でしたが、ケガをしても保証はなく、厳しい世界でした。そんな中でも、私は難しくても自由な仕事に魅力を感じ、大工の道を選びました。
![]()
しかし、当時の職人の世界は厳しく、徒弟制度の中で「教えないのに、できないと怒られる」ような環境でした。それでも、お客様に喜ばれる大工になりたい一心で必死に学びました。現場は閉鎖的で誰も教えてくれず、マニュアルもない環境でしたが、その経験が現在の会社で知識を共有する体制を整えるきっかけとなりました。
そうした努力の末、ようやく一軒家の請負大工になることができました。しかし、現場でお客様から直接ご要望をお聞きしても、それを元請の住宅メーカーに受け入れてもらえないことが多くありました。
そのため、例えば、窓の大きさや棚の高さなど、細かな部分で齟齬が生じ、「棚一つ変えられなくて何が注文住宅だ」とお客様に怒られることもありました。
このままでは、地元で手掛けたお客様に会っても胸を張れず、子どもにも誇れる仕事ができないと感じるようになりました。「それならば、自分で全部やったほうがいい」と決意し、独立に至りました。「アイニコグループ」という社名には、そうした経験を原点に「愛と笑顔で人に会いに行こう」という想いが込められています。






