株式会社Legaseed|新常識の採用と育成方法で、新卒社員も入社時点で戦力に

更新:2025/09/17

作成:2025/09/08

新卒を主とした人材採用・社員教育・組織活性コンサルティングを手掛けるLegaseed。Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング小規模部門でベストカンパニー13位に選出されています。

 

入社前より、いかに社風に合った人材を迎え入れながら組織づくりをし、カルチャーを醸成させているか、代表取締役CEO 近藤 悦康様にお話しいただきました。

 

会社情報

会社名:株式会社Legaseed
設立:2013年11月11日
従業員:82名(契約社員・アルバイト含む)

 

「人材の確保」が会社の成長を決める最大要素として、人材採用コンサルティングや人材教育・キャリア設計コンサルティングなどを提供し、会社で活躍する人材を採用できる仕組みづくりをコアビジネスにしている。また採用した人材が現場で活躍し、長く働き続けたいと思える組織環境の構築のため、社員研修や人事制度・カルチャー設計コンサルティング、経営理念・ビジョン・事業計画の構築コンサルティングのほか、オフィス設計、店舗空間デザインなど、様々なアプローチで企業の抱える経営課題を解決する。

 

<目次>

Q.貴社の事業内容について教えてください

 

近藤様:当社は2013年に創業しました。事業内容としては「人と組織のパフォーマンスをいかに高めていけるか」ということを軸に、経営戦略や事業計画の策定、および採用のコンサルティングをはじめ、次世代の採用活動を推進するためのプロダクト開発も行い、コンサルティングと融合してお客様の課題解決に取り組んでいます。

 

その他、社員教育、理念・ビジョンの刷新や、人事制度を含めた組織全体のコンサルティングも行っています。

 

Q.どのような経緯で創業に至ったのでしょうか?

近藤様:前職は人材教育コンサルティングの会社にいました。私はその会社の新卒1期生として入社しましたが、当時、会社には毎年20~30名が中途で入社するものの、同じような人数が辞めており、会社の規模がなかなか大きくならない状況でした。

 

そこで何とか社長の志や思いを実現し、業界ナンバーワンを目指すためには、基本的な仕組みを変える必要があると考え、新規事業の立ち上げや採用手法の刷新を主導しました。その結果、数年後には桁違いの応募者が殺到するようになり、会社の規模が大きくなるにつれて社内の雰囲気も活気づいていきました。

 

その経験を基に「自分の理想とする組織をゼロからつくり、独自の価値を生み出したい」と思い、10年勤めたタイミングで独立しました。

 

会社立ち上げに際しては、「自分たちにしかできない、自分たちだけの価値を創造する、そんな組織をつくろう」ということを経営信念として持ち、それは今もValueに掲げています。

 

振り返るとその信念は、私が高校1年生のときに父親が他界したことが発端にあります。人はいつか必ず死に、家族にとって大切な父が死んでも社会は何も変わらない……それであれば、自分が地球にいる意味とは何だろうかと考えるようになりました。 

 

そして高校3年生のとき、「自分にしかできないことを生み出すことで自分の価値が出る」と気づきました。その後はそれを創造することに専念していましたが、逆にそれが原因でメンバーと諍いを起こしてしまい、自分にしかない価値を見出すには限界があると気づきました。

 

そこでこれまでの考えを複数形にし、自分「たち」にしかできない、自分「たち」の価値の創造を目指すようになりました。人間一人ではいつか死んでしまいますが、組織体・会社は命のバトンリレーができます。その時代ごとの地球の未来に必要な価値を創造できる集合体をいかに長く作り続けられるかに重きを置くようになりました。

 

それを実現するための手段の一つとして、「5つの喜び」を掲げました。5つとは「地球」「顧客」「仲間(家族や取引業者なども含めて)」「会社」「自分」によるもので、そこでの喜びを満たしていくのです。この喜びの連鎖を継承できれば社会に必要とされる価値創造を続けられると考えて、経営の柱にしています。

 

Q.「働きがいのある会社ランキング」における評価のポイントはどこにあったのでしょうか?

 

近藤様:GPTWの細かな評価基準は把握していませんが、当社の人材育成は、「定着率」にはこだわらず「社員がどれだけ活躍しているか?」を重視しています。毎年、「活躍する人数や活躍頻度を増やすためには、どのような施策を打つべきか?」を考えて組織づくりに取り組んでいます。

 

私はいま45歳であり、社内には「50歳くらいまでに次期社長を決め、55歳には引退する」と宣言しています。そこで社員にも同様に退社の時期を決め、今年7月末の合宿でそれを宣言してもらおうと計画しています。

 

もちろん、ただ退職する年齢を設定するだけではなく、なぜその時期に辞めるのか考えていただきます。仮にある社員が辞める日を定年の60歳としたとき、私が会社の定年を70歳に変えたら、辞める時期をそのまま70歳に変えるようなことがあってはいけません。もしそうなら、その社員は定年まで働くことだけが目的になってしまっているからです。

 

当社の社員は、こういうことを成し遂げたい、こういう世の中を作りたい、こういう自己成長を創造したい、などの意思決定をして入社しています。最初はそこが少々曖昧だとしても、働いて数年経つ過程の中で「もっとこの会社をこうしていきたい」「こういう状況を自分が創造していきたい」という風に、自ら考えられるようにしています。

 

退職時期については、3年後に設定する人もいれば、10年後の人もいると思います。それ相応に計画を立てればよく、そのうえでもう少し早くするとか、もう少し長く働きたいというのは常に更新できます。まずはいったん決めるのが良く、終わりのない働き方がマンネリを見出し、成長を抑制することになります。

 

目標に向かって本気で走っている社員の姿は周囲にも伝わります。結果として「新しいプロジェクトを任せたい」「ぜひうちのチームに来てほしい」と声がかかり、本人が退職を決める前に次の挑戦が見つかることも珍しくありません。

 

経営側にとって突然の退職は大きな痛手ですが、退職時期が決まっていれば人員計画を前倒しで考えられ、双方にとって納得のいく形でバトンを渡せます。たとえば、親が子どもを溺愛するあまり、家に囲い込むようなことは良い影響を与えません。会社と社員も同じで、「去る自由」を尊重するからこそ会社への信頼と活躍が生まれると考えています。

 

そうした姿勢なので、もしGPTWに来年エントリーしたら、ランク外になってしまう可能性もありますが、そこにこだわりはありません。ランクインを維持することが目的ではなく、社員が幸せになることがまず第一です。

 

Q.新卒採用で重視している点についてお聞かせください

 

近藤様:お互いのマッチングを曖昧にしないことにあります。通常の採用活動は2~3カ月ほどをかけ、エントリーシート提出から筆記・適正テスト、面談を3~4回受けて採用という選考ルートになるかと思います。

 

その中で面接等で企業と直接接触しているのは5~6時間程度かと思われます。もし恋愛や結婚であれば、5~6時間の接触で相手を決めるのは無謀というものでしょう。

 

それも学生が一方的に説明を受け、一方的に問われる面接がほとんどです。これは一緒に映画を見たり、お互いの生活を知らない中で結婚したりするようなもので、ハードルが高すぎますよね(笑)

 

企業側が本当に知りたいのは、「学生が自社のカルチャーと合っているか?」「期待する役割を担ったときに高いパフォーマンスを発揮できるか?」です。野球選手なら入団前に、投げて、打たせて、実力を見極めるように、企業も採用前に能力を見るべきだと思いますが、多くの会社はそこまで踏み込めていません。

 

そこでいかに採用選考していくかということになりますが、当社は学生の情報を得るために筆記や面接を実施していません。実践的な課題に取り組んでもらい、その過程と成果を丁寧に観察します。もちろん学生にも、本当に当社へ入社すべきか確認してもらうため、オフィスなど社員の働く様々な場面に足を運んでいただき、直接見てもらっています。

 

そのように互いに時間をかけたうえで、「ここで働きたい」となったときに、最終選考に進みます。こちらの都合で、いつまでに決めないと入社できないというようなことはありません。

 

また私は、幸せには「幸福感」と「充実感」の2つの側面があると考えています。幸福感は外的要因によるもので、無意識的で瞬間的なものです。私たちが働く中で幸福を見出すのは、成績で目標達成した瞬間や、お客様に褒められた瞬間などであり、偶発的で瞬間的なものになります。

 

一方で充実感には時間軸があり、自分で意味を見出すための能動性が必要で、自らが創造し続けることで得られるものとなります。

 

そのため、まずは会社や上司などの周囲が自分を幸せにしてくれるだろうという発想を取り除き、自分で会社にあるリソースをフル活用し、足らなければ借りてきて、どうやっていくか考えていきます。それができなければ、どの業界の会社に行っても充実感を伴うパフォーマンスはできません。

 

当社では、社員がどんな場所に行っても自ら主役となれるような組織づくりを目指しています。その土壌を用意するのは会社の使命ですが、「働きがいを感じ、幸せを実感できるか」は、学生本人の意思と行動に委ねられているのです。

 

Q.若手中心の組織で、キャリアパスはいかに構築されているのでしょうか?

近藤様:キャリアパスの在り方については社内でよく論議されています。若い人はキャリアが明確に描かれていた方が挑戦しやすいのではないかという意見がある一方、そこに縛られすぎてしまう傾向があるという考えもあります。自分がどこに力を発揮し目指していくべきか、それをしっかり想像していく必要があるでしょう。

 

最初に就いた部署で力を発揮し、その先もその部署で力をつけていくのもよし、違う部署で挑戦していくのもいい。ただ、どんなに自分が願望を唱えたところで、そのチャンスがもらえなければ意味はなくなってしまいます。

 

そうしたチャンスは普段の信頼から与えられるもので、本人が自分のキャリアはこうだと描いたとしても、そうなれないこともあり得るでしょう。だからシナリオというのは、描きすぎてもあまり意味はないというのが私の見解です。

 

会社がシナリオをつくるのではなく、自分で定期的にシナリオを見直し更新していくのが、より実現に近づく方法になるのではないでしょうか。

 

また人間は、タスクがマストになった瞬間に「しなければいけない」という受動的なものになる傾向があります。皮肉なものですが、目標を定めた瞬間に目標を上限として目指しがちになってしまいます。

 

例えば営業で1,000万円を目標にしたら、達成した瞬間に本来は1,200万円いけそうなのに、200万円を来月に回すようなことをしてしまいます。そこで目標はあくまで目安と捉え、自分の可能性を自ら制限しない意識をもってほしいと思います。

 

ちなみに当社の基本給は何年勤めても一定であり、あとは役割給がその難易度に合わせて上乗せされます。役割についてはマネジャーと本人で面談し決めていきますが、マネジャーは部下の目標達成に責任があるので、給与アップを狙って部下が無謀な設定すればマネジャーの評価に関わることになります。

 

そこで上司と部下の健全な依存関係が生まれるようにしています。こうした仕組みを通じて、社員一人ひとりが主体的にキャリアを描きながらも、周囲と協働して成長できる環境を整えています。

 

Q.貴社の研修制度について教えてください

 

近藤様:私は39歳のとき、遅ればせながら車の運転免許を取得しましたが、学科と実技を学び、数カ月で誰もが運転できるようになるシステムに改めて感銘しました。

 

そこで、この学科と実技試験のシステムを社内でも同じように導入し、入社前にある程度のスキルと知見を身に着けることで、入社後すぐに動けるような状況でスタートできればいいのではないかと考えました。

 

例えば当社には毎日、全国から企業の経営者が見学に来られており、その際に15分ほどのオフィスツアーを実施しています。当社のオフィスにはいいろいろな仕掛けがあり、そこで会社の考え方や、社員を含めた会社の雰囲気を体感していただくことで、理解を深めていただいています。

 

このオフィスツアーのガイドを入社前の学生に担って頂きます。内定者は、事前に「学科」に当たる座学と、「実技」に当たるテストに合格すると、お客様を案内できるようになります。

 

ツアーが終わったとき、ほとんどのお客様が「〇〇さんは入社何年目?」と聞いてくるのですが、そこで「実はまだ入社前です」と答えると驚かれます。この時点で当社への信頼がさらに厚くなり、成約率も多くの場合で上がっています。

 

これも入社前から、学科と実技の二段構えで鍛え、学びと実践の場を用意することで、内定者は会社の理念やサービスを身体で覚え、入社後のスタートダッシュを切ることができる仕組みとなっています。

 

Q.今後の組織づくりの展望についてお聞かせください

 

近藤様:先ほど述べた通り、私は自分の退職時期を55歳と定めています。これまで目の前にある仕事を真剣に取り組んだ結果、いろいろな人との出会いやご縁ができ、チャンスを頂けてきました。それはこれからの45歳から55歳に至る10年間も同じ姿勢であり、同時に自分自身の人生を考える重要な10年となるでしょう。

 

自分の人格、人望、人徳が試されるので、結果はともあれ、よい取り組みができれば次のステージで生かされるのではないかと期待しています。

 

組織づくりのため、今後も「何のために会社経営を行っているか」を突き詰めていきたいと思います。よく100年企業にしたいというようなお話も聞かれますが、それだけではエゴとなり、それを目的とすべきではないでしょう。価値を届け、それが社会に必要だという状態を時代に合わせて作り続けることで、100年も見えてくるのではないかと思います。

 

ただそういう私も、創業当初は永遠に続く会社になればいいと思っていました(笑)。しかし今は、同業として当社と同等かそれ以上の価値を提供する組織が現れた場合、無理に競争するよりも協力や連携を模索すべきだと考えています。場合によっては吸収合併という選択肢もありますし、別事業を立ち上げる方が社会にとって有益なケースもあるでしょう。

 

私は他社と戦うために会社を作ったのではありません。多くの経営者は、会社を続けているうちに「ライバルよりもどうやってシェアを取るか」「いかに100年続く会社にするか」「売上100億円の会社にしたい」など、本当の目的でないところに執着する傾向があり、それらが要因で別の問題を引き起こしてしまうことが見受けられます。

 

会社は続けることが目的ではなく、いかに社会の課題解決に取り組み、人々に喜びや感動を与えられる組織体として続けられるかどうかにあります。その原点が、『5つの喜び』の指針です。

 

そのうえで、同志となる経営者たちと手を携え、未来をともに創造する共同型経営を実践したいと考えています。それぞれがもつ「思い」や「ありたい状態」をかけ合わせることで、より強く、しなやかな組織になっていけると思います。

 

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