株式会社キカガク|AI新時代の新教育システムを構築する組織開発とは

更新:2026/02/18

作成:2025/12/16

いい会社づくりのヒントキカガク様

人工知能・機械学習などのAI領域を含めた先端技術に関する教育事業や受託開発事業を展開するキカガク。Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門でベストカンパニーに4年連続で選出されています。

 

充実した福利厚生を用意し、健康や学びへの投資も積極的に行うなど、社員が心身共に成長できるためにどのように環境を整えているかを、人事部 部長 川口 侑記様にお話いただきました。

 

会社情報

会社名:株式会社キカガク
設立:2017年1月17日
従業員:152名

教育を通じたIT人材の育成や、企業の内製化支援によるDX・AI推進など、AIを強みとする『教育×DX・AI推進』の事業を展開。これまで 20万人以上の受講生、約 1,000 社の企業の DX ・AI推進をサポートし、医療や製造、小売など、様々な業界に特化した専門講座など、幅広い分野での実践的なスキル習得の機会や知識提供を行っている。近年はさらに領域を広げ、多くの方が学べるための新たな学習プラットフォームの構築を計画し、コンテンツ開発に力を入れている。

 

<目次>

Q.起業に至る経緯と、貴社の事業内容について教えてください

川口氏

 

川口様:当社は2017年、現・顧問の吉崎亮介により創業しました。吉崎は京都大学大学院で電子工学やコンピュータサイエンスなどを学び、これを生かして起業したいと考えました。

 

しかし、大学での学びがスキル面では生かせると思ったものの、それだけでは仮に事業を興せたとしても、会社が何を目的として、社会的貢献を果たしていけるのか見出せていませんでした。

 

そこで着目したのが「教育」でした。教育は次世代の成長に欠かせないものであり、これまで人類は教育により知識をつなぎ、文明を発展させてきました。

 

それならば、自分の持つスキルを、教育をベースにして事業化していくことこそ意義があるのではないかと思い立ち、起業に至ったのです。吉崎の母親が教育者だったことも、大きな要因の一つでした。

 

これからの日本は少子高齢化が進み、AIをはじめとする先端技術は、労働力を補う上で非常に重要な存在となることが見込まれています。企業でもAIに関する知識や、AIの導入・運用に関する実践的な教育が欠かせない時代になっています。

 

こうした状況を踏まえると、これからの社会的課題を解決していくためにも、「教育」と「DX・AI」を軸にビジネスを展開することには大きな可能性があると感じ、今日に至っています。

 

事業内容としては創業の2017年から、法人研修と一般の個人向けスクール事業による、2つの柱でここまで走ってきました。特に大きいのは法人研修で売上の大半担っていますが、将来性を考えると研修市場だけでは限りがあるため、新たな柱を何本か作ろうとしています。

 

その一つとして、オフラインのインターナショナルスクールである『グローバルリープインターナショナルスクール』の開校を計画しています。こちらはAI時代に対応した教育プログラムを提供する国内初の先端国際プリスクールとして、子どもたちの感性や感覚を大切にしながら、その可能性を広げることを目標としています。

 

当社では「あるべき教育で、人の力を解放する」というミッションを掲げています。そして「あるべき教育」というものを、我々は法人研修などのミクロな「点」ではとらえてはおらず、日本の教育を変えるという、大きくマクロな「面」として目標を掲げています。

 

従って創業当初から取り組んできた法人研修は、私たちにとって重要な柱であり続けますが、法人研修だけでは教育の再定義、「あるべき教育」は成し得ないとも考えています。

 

だからこそオフラインの学校運営を計画し、将来的には幼児向けAI教育の機会提供も視野に入れています。これまで蓄積してきた知見を若い世代に届け、学びの選択肢を広げていきたいと考えています。

 

さらに、企業の力を解放することも私たちの重要なミッションです。受託開発の支援事業は企業の力を解放するアプローチのひとつであり、個人向けサービスである転職支援も「人の力を解放する」というミッションに紐づきます。

 

今後は、こうした複数の事業をバランス良く成長させながら、「教育」を軸に、人と組織が前向きに力を発揮できる社会の実現をめざしていきたいと考えています。

 

Q.「あるべき教育で、人の力を解放する」というミッションについてお聞かせください

川口様:はい。まず前提として、人々の可能性を引き出すような教育が我々のいう「あるべき教育」となります。

 

例えば一つのミッションでも、教育の基礎をしっかり学んだからこそ、応用する次の段階に移行できます。そこで教育というものを事業化し、基礎から応用につなげられるように教えていくことができれば、より人々の可能性を引き出すことができるだろうと考えました。

 

ただ教育にセオリーはなく、同じ教育をあらゆるケースに適用することはできません。

 

我々の謳う「あるべき教育」も常にアップデートさせており、実社会で生かすことができる知識を継続的に提供し、スキルとして活かしていくことがその目的となります。そのようにして、知識が社会に還元されたときに初めて、教育によって「人の力が解放される」と考えています。

 

今後も、固定概念を作らずにアップデートしていくのが我々の考える教育スタイルであり、それが「あるべき教育」となっていくでしょう。

 

ただ、DX・AI推進についての関心や熱量は高まっていますが、担い手が足りていません。つまり、「育成された人材」さえいれば、日本のDX・AIの推進は劇的に加速する段階に来ているのです。

 

そこで当社が大企業向けの研修を行い、リテラシーのみならず導入方法など、課題解決型の研修まで提供しており、その需要は着実に増えています。

 

Q.社員定着のための施策についてお聞かせください

バックオフィス合宿集合写真

 

川口様:社員がいかに生産性を高めるための働き方を用意できるかを考え、様々な福利厚生を提供しています。

 

リモートワークの導入をはじめ、お子様のいる社員には保育費用を10万円まで会社が負担しています。また健康な体づくりのため「ボディメンテナンス制度」を導入し、ジムの利用料金を月1万円まで会社負担しています。ほかにもメンバーの学びための読書支援や、外部の研修参加も上長の承認のもと全額補助されます。もちろん顧客に提供するセミナーも無料受講できるようになっています。

 

経営側としては、メンバーが会社で働き、仕事することをいかに楽しんでもらえるかを常に考えています。大切なのは個人のWILL(やりたいこと)と、会社のWILLをいかにつなぎ合わせていくかということですね。

 

我々はいわゆるマトリクス型の組織を目指しており、そこにティールを起点としたグリーンやオレンジが混ざり合った自立型の組織を作っていきたいと考えています。

 

個人のチャレンジする環境を与えるということが、働きがいにつながります。働きがいがあればあるほど定着の可能性は高まるでしょう。オペレーション的な仕事だけでは長く続けることは難しくなり、裁量を与えたうえで、個人がやりたいことを実現させてあげられるような環境を構築していくことが重要です。

 

さらに当社には「賞賛しあう文化」が創業当初からあります。社内では「ウィン・セッション」と呼ばれる取り組みを実施しており、月に1回、事業部単位で集まり、今月行ったことを褒め合う時間を設けています。メンバー同士で賞賛しあうことで、組織にいることで自分自身が認められているという気持ちになり、それが定着に大きく影響しています。

 

そしてもう一つ、人事評価制度がきちんと整っているのも大切な部分です。バリュー評価、グレード評価、OKR(Objectives and Key Results)評価の3指標をもとに四半期単位で個人の評価をしています。KPIに見る定量的な成功指標だけではなく、行動も見て評価しています。

 

多くの会社は結果だけを見て評価しがちですが、様々な評価方法を持ち、さらに行動段階から評価していることが定着の一要素になっています。

 

Q.とくに「教育」に力を入れるようになる、ターニングポイントはあったのでしょうか?

川口様:実は2019~2020年の頃、当社は黒字ながら少し経営に苦慮する時期がありました。

 

当社では2018年から採用を開始したのですが、AIを教えられるエンジニアの経験を持ち合わせている人はそう簡単に見つかりませんでした。そこで事業を一定期間停滞させても、教育に時間を割き、人材を確保する必要があると判断しました。外部から採用した未経験の人材を、しっかり1年間育成させていったのです。

 

その時をきっかけに、教育に対してさらに継続して力を入れようと方針が定まっていきました。いわゆるターニングポイントとなったわけですが、2019年以降は、その1年間教育したメンバーの能力が花開き始めていきました。

 

その成果として、今までは吉崎しかできなかった講師の仕事を育成したメンバーでもできるようになりました。それにより事業は飛躍的に成長していくことができ、「教育に力を入れていくことは間違いではなかった」と吉崎は回顧しています。

 

一方でその2018年頃、「teach4me(ティーチ・フォー・ミー)」という新規事業を立ち上げたことがあります。これは最初に当社がユーザーにAIを教え、それ以降はユーザー同士で教え合うというもので、学べる人を増やすという目的の事業でした。しかしユーザー同士で教えある仕組み作りが上手くいかず、1年で撤退しました。

 

「teach4me」の事業は失敗しましたが、「事業を停滞させてでも、人材を確保し教育に時間を割こう」という意思決定を後押しするきっかけになり、私たちにとって大切な経験となりました。

 

Q.「教育ベンダー」として、どのような組織作りを行っていますか?

社内運動会写真

 

川口様:私たちの組織づくりのポリシーは、すべて「ミッション達成のため」にあります。売上はミッションを追求した結果として、自然についてくるものと考えています。だからこそ、単に数字を追うのではなく、「ミッションを達成するために、どのような組織であるべきか」を最優先に考えます。

 

そのためにはメンバーの成長に責任を持たなければなりません。教育事業を行っている企業だからこそ、育成に力を入れています。

 

社員の半分は講師として働いており、彼らのバックグラウンドはほとんどが教師や塾講師です。そうした社員一人ひとりがパフォーマンスを余すことなく発揮し、きちんと「教育」を提供できるようにするために、外部の知見も取り入れています。加えて、社員に不足しているスキルを明確にし、必要なサポートを検討する取り組みを行っています。

 

今後さらに事業成長するにあたり、コンプライアンスも早い段階で整えなければならないでしょう。そこでの設計・構築は社内コンテンツチームと連携しながら作り上げ、メンバーの成長のため、さらに幅広く責任を持って組織の拡大を視野に入れています。

 

Q.マネジメント層の育成や、リーダーシップの在り方についてお聞かせください

川口様:マネジメント育成については、理論を教えるだけでは不十分です。実践できなければ意味がなく、そのため管理職としての経験が重要視されてくるでしょう。

 

マネジメントは実践経験に伴う理論のインプットとアウトプットの繰り返しが必要になります。先述の通り、当社ではマトリックス型の組織図を構成しています。もともと当社は職能型の組織であり、管掌役員が横軸で各領域を見ていました。しかしそれでは管掌役員のスキルは成長するものの、メンバーの早期成長は難しくなります。

 

そこで縦にも横にも交差するようなマトリクス型の組織を採用し、それぞれのマネジメントスキルが上がりやすい柔軟な組織となりました。

 

当社には研修事業部、スクール事業部、インターナショナルスクール事業部、AX事業部などがあり、そこに加え、将来的には幼児向けAI教育の機会提供なども構想しています。各事業部の事業部長は、いわば子会社の社長のような立場で、多くの決裁権を持っています。

 

事業部長がP/Lから経営計画まで考え、事業そのものを推進するのです。こうした事業部採算制の中で、責任ある立場を任せていくことによって、管理職の成長を促す育成方法を取っています。

 

なお当社では、明確に「マネージャー(マネジメント)」と「リーダー(リーダーシップ)」を異なる意味で使っています。

 

マネージャーは戦略立案から予算策定などを行う位置づけ、リーダーはプロジェクトなどを推進する立場です。そのため、両者に求められる能力も異なります。

 

たとえばリーダーシップはメンバーと合意形成を行い、ベクトルを合わせて動機づけをすることで、メンバーのモチベーションを上げていくことが求められます。一方で、マネジメントでは戦略や予算といった思考力や計数管理が必要になってきます。

 

以上に関するミドルマネジメント研修を、代表の大崎が立ち上げ、社内で研修を行っています。そうした機会からマネジメントとリーダーシップの役割の違いを説明し、育成へと繋げています。

 

Q.今後の事業展開について教えてください

インターナショナルスクール説明会写真

 

川口様:これからは、社会全体の人的資本を最大化する「教育のエコシステム」を構築していきたいと考えています。

 

創業以来、私たちの核にあるのは常に「教育」です。これまでは「研修・スクール」という単体の事業が中心でしたが、ここ数年はインターナショナルスクールの開校など事業領域を広げていくフェーズにあります。

 

具体的には以下の4つの領域を連携させ、「あるべき教育で、人の力を解放する」というミッション実現のため、本質的な課題解決に取り組んでいく方針です。

 

1. 対企業・社会:育成と実利のギャップを埋める「研修事業・コンサルティング・実務支援」
「研修をして終わり」ではなく、教育投資を企業価値向上に直結させます。実際のDX/AX(AI Transformation)推進やコンサルティングを一気通貫で支援し、教育に対する投資対効果を最大化します。

 

2. 対個人:キャリアを拓く「スクール・プラットフォーム事業」
学んだスキルが正当に評価される仕組みを作ります。デジタルバッジによるスキルの可視化に加え、卒業後の学習継続や交流を目的としたコミュニティや、実践案件獲得の場を提供することで「学習→証明→活躍」という循環を生み出し、個人のキャリアビジョンを実現させます。

 

3. 対次世代:正解のない時代を生き抜く「IBスクール・AI教育運営事業」
AI時代には、人間ならではの創造性や探究心が不可欠です。国際バカロレアとAI教育を融合させた幼稚園から高校までの一貫教育校の設立を見据え、次世代リーダーを輩出します。

 

4. 対教育産業:質と効率を両立する「AI×人」のハイブリッドモデル
基礎知識の伝達はAIが、モチベーション管理や対話は人が担います。このハイブリッドモデルを確立し、教育産業全体の生産性を飛躍的に高める新たなモデルを提示します。教育、コンサルティング、プラットフォーム、学校運営など、すべての事業を相互に連携。

 

「あるべき教育」のデータを蓄積・還流させることで、このエコシステムは社会全体の人的資本を最大化するインフラを目指しております。

 

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