株式会社ナハト|誰もが納得できる評価制度と働きやすい職場環境を構築

更新:2025/05/26

作成:2025/04/17

株式会社ナハト_サムネ

2018年当時、未成熟だったSNS業界に着目し、インフルエンサーマーケティング事業を開始したことで急速に企業規模を拡大したナハト。2025年版Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門11位、女性版ランキングにおいては5位にランクインされています。

 

創業7年で売上約130億円という急成長を果たした組織が、どのような人事戦略を描いているのかを、人事戦略本部 新卒採用責任者 岩崎 陵架様にお話しいただきました。

 

会社情報

会社名:株式会社ナハト様
設立:2018年7月10日
従業員:約350名
インフルエンサーマーケティング、SNS広告といったクライアントのマーケティング支援と、クレオパトラからインスピレーションを受けたビューティーブランド「Cleo’s Beauté」やインドアシミュレーションゴルフ練習場「100GIRI GOLF」など、自社での事業開発・運営を行う「SNSマーケティング会社」として広告領域以外のみならず幅広い投資・挑戦を行っている。

<目次>

Q.貴社の沿革と事業内容について教えてください

いい会社づくりのヒント_株式会社ナハト

 

岩崎様:ナハトは、2018年にSNSで活動するインフルエンサーを媒体としたPRを行うインフルエンサーマーケティングを創業事業に安達がスタートした会社です。当時は、流行語大賞でも「インスタ映え」や「TikTok」がノミネートされるなど、SNSが人々の生活の中に浸透しはじめたタイミングでした。

 

実は安達は、学生時代にアフィリエイトの事業を個人で行い、ある程度の収益を得ていました。しかし、ひとりでお金を稼いでも面白くないということに気付き、いくら売上目標を達成しても誰とも喜びを分かち合うことはできない環境では、仕事の楽しさや充実感を得ることはできないと感じたそうです。

 

そこから「信頼できる仲間たちと目標を達成し、ともに喜びを分かち合いたい」-そうした想いが湧き、ナハトの創業に至ったという背景があります。現在マーケティング支援の事業に関しては、インフルエンサーマーケティングと、SNS広告の2つの事業がメインの事業になっています。

 

SNS広告とは、InstagramやYouTube、LINEやTikTokといったSNSに流れる広告に当たるもので、例えばLINEのトーク画面上にある広告や、YouTubeに流れる動画広告などがあります。そういった広告配信面に対して、作成から運用まで全て一気通貫で、自社で行っています。

 

他にもInstagramやTikTokなどに存在する企業が運営するSNSアカウント等の運用代行も行っており、これらもSNSを得意分野としているナハトの強みを生かした事業です。

 

また、マーケティング支援の事業だけでなく、ナハト自社で事業を開発・運営する事業にも力を入れており、クレオパトラからインスピレーションを受けたビューティーブランド「Cleo’sBeauté」や、インドアゴルフ練習場「100GIRIGOLF」など、支援会社と事業会社の両面を持っています。

 

Q.どのように2つの事業のバランスを取って展開しているのでしょうか?

岩崎様:代表の安達は創業時からナハトを、「会社ではなく、仲間が集まるコミュニティにしたい」という想いを持っています。もし安達が働くメンバーのことよりも儲けや売上を第一とし、会社を運営するタイプだったら、もっとマーケティング支援事業を伸ばすべく、現場の先頭に立って従業員を動かしていたと思います。

 

しかし、私が入社した4期目ぐらいから、安達は新規事業に自身のリソースを投下しています。会社ではなく、長く繁栄するコミュニティを作りたいという想いから考えると、広告などの既存事業で生み出した利益を新しい事業に投資することで、ナハトというコミュニティの規模をもっと広げることができます。

 

それが実現すれば、現在、メンバーの平均年齢は約25.9歳ですが、彼らがクライアントのマーケティング支援のみならず、事業開発や運営などを経験し、キャリアアップをしていきたいと考えた際にも、転職することなくナハトで活躍できる場をメンバーに提供できるようになります。だからこそ、広告で得た収益を新しい事業への投資に回しています。

 

Q.さらに、2040年までにメンバー3000人達成を掲げていますね?

岩崎様:はい。3,000人という目標を実現するために、中途採用に加えて新卒採用にも本格的に注力する方針を掲げています。中途採用の注力も継続しつつ、かなり大きな規模での新卒採用を行う予定です。

 

もちろん、やみくもにメンバーを増やすということはありません。あくまで、キャリアが終わるまでナハトというコミュニティで仲間と共に働き続けたいという理念や、それに沿ったカルチャーに共感した人財のジョインを求めています。

 

これまで中途と新卒は、ともに同じ部署へ配属していましたが、これも組織を変えるために再構築している最中です。例えば、中途のメンバーは“ドライブ人財”として、既存事業を最大化できるように引き続き採用していきます。一方で、新卒採用は3〜5年後を見据えた将来の幹部候補として、じっくりと育成していく想定を現在しています。

 

Q.組織拡大を成功させるための採用ポイントはどこにあるのでしょうか?

岩崎様:新卒・中途を問わず、採用で大切にしているのは「一貫した価値観と将来どうなっていきたいのかという成長意欲を持ち、それがナハトのカルチャーと提供できる成長環境と合致しているかどうか」です。どんなにスキルがあっても、会社と自身の方向性が同じ線上に乗っていなければ、お互いに幸せになる採用とは考えにくいと思います。

 

特に、直近1年間で社員数は250人から350人まで急増しました。多様なバックボーンを持ったメンバーが増えるほど会社のベクトルをもっと明確にエントリーマネジメントしていく必要があります。

 

Q.リーダー育成のための研修や制度について教えてください

いい会社づくりのヒント_株式会社ナハト

 

岩崎様:ナハトでは「育成=ナハトの文化を育む機会」と捉える側面が大きいです。

 

例えば、ナハトが行う事業の要であるマーケティングプランナーのポジションを、部署職種関係なく体験する「プランナー体験プログラム」や、社内のメンバーによる研修や、講義の開催、マネージャー層向けの社内チャットグループなど、日常的に課題や成功事例を共有し合う場もあります。

 

加えて、次世代の経営人財育成にも注力しており、役員自らが講師を務め、公募で選ばれたメンバーが6人1組となって3カ月間の研修に挑む「マネージャー研修」もスタートしました。こちらは第1回を2024年秋に実施し、今後も継続していく予定です。

 

Q.急拡大した組織をまとめるポイントと課題を教えてください

岩崎様:組織が拡大する中で常に悩ましいのが、組織成長の軸足をどこに置くべきかということにあります。ナハトは創業7期目を迎え、大きく売上とメンバー数を拡大した創業期を経て、現在は第二創業期ともいえるフェーズに突入しています。

 

その中で、「ボトムアップでサポートしつつ、組織全体の足並みを揃える」べきか、または「トップラインで牽引する人材に注力すべきか」という選択があり、ナハトでもどちらを選ぶべきか議論になりましたが最終的には、トップラインの伸長に力を注ぐという判断をしました。

 

現時点では先頭を走る人のスピードに組織が追いつけるようにメンバーのマインドや制度を整える方が、ナハトの第二創業期へ向かう成長スピードが落ちないだろうと判断したのです。そのため、採用から入社後のオンボーディングに至るまで、すべてのフェーズでトップラインに合わせられるように、コミュニケーション設計・支援を徹底しています。

 

同時に、組織の要として重要視しているのが「エンゲージメント」となり現場からの“リアルな声”に耳を傾け、常にスピード感をもって制度に反映することや、全メンバー向けてメッセージを発信しています。

 

日々働く中で“さらに仕事に集中するために”、メンバーから上がる声や気づきをすぐに実行できる背景には、経営層とメンバーとの距離の近さがあります。これこそがナハトカルチャーの根幹であり、強みだと感じています。

 

また、エンゲージメントを可視化する取り組みとして、月次でのサーベイを導入しております。メンバーの声を拾ったアンケートによる定量データの収集に加えて、定性面では私が所属する人事戦略本部に「ハピネス担当」というメンバーの幸福やエンゲージメントを向上させることを目的に働く専任のポジションがいます。

 

この「ハピネス担当」は、日々、全メンバーとコミュニケーションを取っており、「少し心の天気が曇りになっているかもしれない」といった兆しを察知し、カジュアルにカフェに誘ったり面談を組むなど必要な対応を即座に行う役割を担っています。

 

それ以外にも、入社式・表彰式・社内イベントの企画運営や、社内広報を行うなど、文字通りナハトで働くメンバーのハピネスに貢献しています。

 

拡大する組織の中で“人”を見失わず、柔軟かつスピーディーに現場の声を反映していくことが、ナハトらしい組織づくりの核となっています。

 

Q.メンバーの声から生まれた福利厚生には、例えばどのようなものがあるのでしょうか?

岩崎様:先述の通り、ナハトの福利厚生制度には、メンバーからの“さらに仕事に集中するために”というメンバーの声を汲み取り、生まれたものが多くあります。

 

経営層が一方的に決める会社ではなく、コミュニティであるという想いから、メンバーが仕事に集中して働き、自己成長を果たし人生を充実したものにするためにやれることをやるというのがナハトのスタイルです。

 

たとえば、「フレカ」という制度は、新しく入社したメンバーが先輩にランチを奢ることができる制度です。クレジットカードを新人に支給し、最大3名の先輩と昼や夜に食事ができるルールで、様々な先輩に自分を売り込む機会が生まれることで、自身の仕事の成果をより良いものにするために実施されています。

 

また、ナハトで新しい制度が実行されるまでの速さが分かるユニークなエピソードがあります。

 

ナハトでは1年に1度、全メンバーが代表を含む経営層と面談をする機会があります。その中で、あるメンバーが代表の安達に「仕事のメリハリや、他部署の先輩とコミュニケーションを取って、自分の仕事を大きく進めるためのツールとして、コーヒーメーカーが欲しい」と声を上げたことがありました。

 

そこで、コーヒー以外にも様々な飲み物が飲める方が良いだろうと社内自販機の飲料の値段を150円から50円に値下げしました。しかし1年後に同じメンバーが代表と面談した際に「そういえばコーヒーマシンはまだですか?」と同様のリクエストが続いたことで、それなら入れようと、最終的にはコーヒーメーカーも導入するに至りました(笑)。

 

結果的に、狙い通りこの導入によってメンバーが仲間や先輩を誘って「ちょっとジュースでも飲みに行こう」と声をかけ合えるきっかけが生まれ、コミュニケーション創出の副次的な効果が生まれました。

 

そして、業務後にも、仲間の誕生日やチームでの目標達成を果たした際にちょっとしたお祝いを行う施策として、「20時以降のオフィスでお酒が飲める制度」も好評です。

 

その他にも様々な制度を行っていますが、その裏側にあるのは、メンバーが働きやすく、仕事に集中できる環境を作るために思考する姿勢です。声や時流を拾い上げ、スピード感をもってアクションすることで「ナハトでの働きがい」が生まれており、“いい会社づくり”はそんな積み重ねがあってこそなのかなと感じています。

 

Q.「働きがいのある会社」選出までの経緯について教えてください

岩崎様:ナハトが「働きがいのある会社」として評価された背景には、メンバーの声を反映したアクションに加えて、もうひとつ大きな柱があると思っています。“納得感”を軸にした評価制度とキャリア設計です。

 

仕事に集中できる環境は、納得できる人事評価や制度が基盤だと思います。そこでの設計ができていないと、メンバーはナハトでどんなキャリアを築いていけばいいのか分かりません。人事評価も、「なぜこの評価になったのか」が分からなければ納得できないでしょう。

 

このままでは、本人は疑問を持ちながら仕事をすることになります。人事や評価制度における最大のポイントは、メンバー本人が納得しているかどうかにあります。

 

評価やキャリアパスに納得できれば仕事に集中でき、生産性も上がります。そこで、明確に納得ができる人事・評価制度を2023年からジョインしたHRBPと共に作り、約1年間が経ったところで、働きがいのある会社ランキング中規模部門11位、女性版ランキングにおいては5位という結果に至りました。

 

Q.評価者のスキルアップのため、どのような取り組みをしていますか?

 いい会社づくりのヒント_株式会社ナハト

 

岩崎様:まずHRBPが隔月で評価者を集めたミーティングを開催し、具体的な事例をもとに「納得感のある評価とは何か」「どのように伝えるか」を実践的に学べる場を設けています。

 

現状、ナハトでは比較的若いマネージャーが多く活躍しているため、社会人経験の長さからくる評価に依存せず、自身の評価力を底上げできる仕組みづくりや教育を進めています。

 

例えば適切な評価をサポートするための特徴的な仕組みとして、ナハトでは6カ月間の半期ごとの目標に対して、中間となる3カ月目に振り返りのできる「中間評価」の機会を設けました。

 

この中では主に、「6カ月間スパンで立てた目標に対して、今は3カ月目。このままの目標達成ペースだと、最終的に得られる仕事の成果や評価はこうなる。ただ、あと3カ月でここをこう伸ばすことができれば、評価は改善できる」といった前向きなフィードバックなどの会話が交わされています。

 

また、さらに細かく目標の進捗を評価者と被評価者の間で管理するため、2週間に1回、上司と部下で1on1を行う仕組みがあります。つまり半年で10回以上の定期的に対話をする機会が設けられています。このように評価者と被評価者の間で目線を合わせる仕組みがあることから、メンバーにとっても働く上での評価そのものに納得感が生まれています。

 

今後も、努力するメンバーのキャリアがより良いものになるよう働きやすい環境づくりと納得感のある評価・人事制度を継続し、さらに2040年にメンバー数3000人を目指した事業拡大に伴うマネージャーの育成にも力を入れていきます。

 

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