日本ヒルティ株式会社|フィードバック文化で強固な組織をつくり他社に先駆けたイノベーティブな挑戦へ

更新:2024/03/05

作成:2023/08/23

日本ヒルティ

高品質・高性能の建設用電動工具などの販売をはじめ、システムやサービスの提供のほか、建設業界における革新的なソリューション事業を展開する日本ヒルティ。

 

Great Place to Work® Institute Japan「働きがいのある会社」ランキング中規模部門における、ベストカンパニーに選出されています。

 

グローバルで多彩な従業員を一つにまとめるための企業文化や組織づくりについて、人事本部長 宮野 賢一様にお話しいただきました。

 

人事本部長 宮野 賢一様

 

会社名:日本ヒルティ株式会社様
設立:1968年4月
従業員:580名(2023年1月現在)
建設レーザー・探査機製品、ドリル・ハツリ製品、ダイヤモンド製品、研削・切断製品、建設用安全鋲打機製品、アンカー製品、建設用ケミカル製品などにおいて、最先端の建設用工具製品を販売する。さらに建設業界のプロフェッショナルに向けたソフトウエアやエンジニアリングのサービスを提供し、革新的なソリューションを提案。付加価値の高い製品、人、サービスの3つのチカラで世界120カ国以上の建設業界に広く展開している。

<目次>

Q.貴社の事業内容とその特徴について教えてください

宮野様:日本ヒルティは1968年に設立され、当初は建築、土木、電気、設備業のお客様に向け、アンカーや建設用鋲などの留め具に関する製品を販売していました。

 

現在は販売だけではなく、技術、施工、あるいは経営課題に対する顧客の問題を発見し、ソリューションの提案やアフターフォローまで関わっています。

 

総勢550~600人弱の従業員数で近年は推移しており、そのうち約400人が何らかの形で営業に従事しており、それ以外は人事、財務やコールセンターなどの業務に携わっています。

 

営業職はお客様とのビジネスパートナーとして信頼関係を構築することを重視しており、顧客のことを深く理解し、課題解決へと導くコンサルタントとして関わっています。

 

建設現場の声をより早く、正確に研究開発へと反映させていくことが弊社の絶対的な強みであり、顧客に最高の付加価値を提供しています。

Q.外資の日本法人として、どのような組織づくりを行っていますか?

談笑するチームメンバー

 

宮野様:当社は外資系企業ではあるのですが、他日本にある外資系企業とは少し異なる状況にあると思います。

 

というのも、サービス提供先の中心が建設業者であり、顧客は比較的日本人が中心となっている企業が多く、それに合わせて当社内も日本企業的な要素が多分にあるからです。

 

例えば営業職において、英語などビジネスで十分通用する語学力を備えている従業員は全体の1割もいないでしょう。

 

そうしたグローバルな側面は主に、先ほど述べた営業以外の従業員が担っているため、一部は必要に合わせて営業をサポートする形で業務を進めています。

 

そのため社内には海外で育った従業員もいれば、外資系企業が初めてという従業員まで様々な人材がおり、これを「ハイブリッド組織」とも呼んでいます。

Q.そうした多様性のある人材が揃う組織で、どのように価値観を共有しているのでしょう?

宮野様:当社では、「パフォーマンス志向と思いやり」を企業文化の基盤としつつ、「誠実」「勇気」「チームワーク」「コミットメント」の4つの価値観を掲げています。

 

この企業文化と価値観を軸にして、従業員のパフォーマンスが最大限に発揮されるような環境やシステムを整え、お客様に最高のサービスを提供しています。

 

さらに、一人ひとりがお互いを思いやり、尊重し合いながらビジネスに取り組むカルチャーが育まれ、持続的な成長も可能になっています。

 

企業文化・価値観が浸透しているため、たとえばチームメンバー同士で、仕事について話すときでも、「そのやり方で確かに成果は出るが、誠実さはあるか?」や、「結果は出るが、そこに至る過程は4つの価値観に則っているか?」などのフィードバックが行われます。

 

常に対話の中で4つの価値観に立ち返り、率直な意見を語り合える環境と文化が備わっているのです。

 

経営陣による月例会議、年始の全社キックオフミーティング、四半期ごとの経営陣によるビジネスアップデートのためのプレゼンなど、事あるごとに4つの価値観に触れながら議論は進んでいきます。

Q.フィードバック文化が強固な組織づくりを実現できているのですね?

ヒルティ製品

 

宮野様:率直に改善方法を話し合うため、入社して間もない人には戸惑うことも多々あるかと思います。

 

ですが、パフォーマンス・インプルーブメントの場を設け、フィードバックのやり方、タイミング、表現(言葉)には注意するようにしています。

 

強い調子でフィードバックを受けると、最初は抵抗もあるかもしれません。

 

しかし、その意味合いが伝わることで「互いに成長するために承認し合い、改善させているんだ」という意識に変わり、建設的な会話が進むようになってきます。

 

4つの価値観の中で、特に代表の堺をはじめ役員が重視しているのは「コミットメント」に関わるところです。

 

その言葉通り、会社で起きたことを「自分ごと」として捉えることです。

 

例えば何か問題が起きた際に、その問題は自分たちが原因で起きたにも関わらず、どこか社外の人のような立ち位置でコメントする場合があるかと思います。

 

弊社では、評論家的な発言を嫌い、まずは自分の身をそこにおいて、当事者として考え発言するようにし、傍観者にならないようにしています。

 

そうした当事者意識はコンプライアンスの場でも発揮されています。

 

社内で起きたコンプライアンスに関わる事案については人事も担当していることもあり、従業員に対してよりオープンなスタンスを取るようにしています。

 

そのため懲戒解雇事案なども開示できる内容はしっかり社内に共有し、従業員にルールを守るとはどういうことか、守らないことはどんなことを意味するかなど、まさに一人ひとりに当事者意識を持ってもらうようにしています。

 

不正事案が起きた場合は、私と法務担当責任者、代表の堺でコンプライアンス委員会を設置し、従業員に通知しています。

 

透明性をもって行うことは、4つの価値観にある「誠実」にもつながり、その後の従業員の不正に対する自制にもつながると期待しています。

Q.そのほかに組織の文化を浸透させるための制度や研修などはありますか?

宮野様:弊社にはグローバル共通の企業文化を浸透させるための、「The Hilti Way」というトレーニングがあります。

 

このトレーニングでは、企業文化を専門とする「シェルパ」というトレーナーがついています。

 

シェルパはヒマラヤ登山のガイド役に由来し、当社グローバルで75名、日本ではたった1人のシェルパが私たちを先導してくれています。

 

先に述べた通り、弊社のようなグローバル企業では様々な人材がおり、ワークライフバランスや人生への考え方が非常に幅広いです。そのため、全員が共有する価値観を持つことは重要です。

 

「The Hilti Way」では、4つの価値にプラスして「起業家精神」を養うことにあります。

 

なかでも、業務で起きたことを自分事として向き合い、自分で進める「コミットメント」の側面を持つことが必要であり、弊社に根付いています。

 

「The Hilti Way」の啓蒙のため、1泊2日のチームキャンプを行っています。今年はその8回目が開催されました。このチームキャンプは、3~4年に1回開催されるため、約25年の歴史を持っています。

 

根底にある「起業家精神」は変わらずに、毎回コンセプトをアレンジしながら、シェルパが全社員のトレーニングを行っています。

 

今回のチームキャンプは、日本だけでも35チームありました。まずは代表の堺をリーダーに経営陣が一つのチームとしてキャンプを行います。

 

続いて、経営陣一人ひとりが堺の役割と同じくリーダーとしてキャンプに参加し、さらにそこから次のリーダーを別メンバーが担い、どんどんセッションが細部に広がり、行われていく形です。

 

大変タフなイベントであり、その分、社内に確固たる価値観が浸透され、従業員間のつながりもより強固なものとなります。

Q.採用や人材育成で意識していることは?

宮野様:これだけ徹底的にフィードバックを主体にした企業文化があるがゆえ、新入社員にとって自分に合う・合わないというのはすぐに明確になります。

 

そのため、短期で離職してしまうケースが一定数あるのも事実です。見方を変えればそれだけ弊社の企業文化が確立しているということであり、ある側面では仕方のないことなのかもしれません。

 

当社は元々、電動工具の販売を行ってきたところ、様々なソリューションへのコンサルティングへと事業を広げていったように、「イノベーションの会社」として、他社に先駆けて様々な施策を繰り返してきています。

 

職場や働き方にしても同様で、コロナ禍でリモートワークが一般的に普及しましたが、弊社では「ワーク・フロム・ホーム」として、コロナ禍以前から、オンサイト・オフサイトの多様化した働き方を実施してきました。

 

当社で成功する人は、例えば白い紙があれば自分で何か描けることができる自律した人です。

 

自分で描いてみるものは何でも良いのです。それをどうサポートするか、あるべき姿に変えていくかは、私たち管理職の役割です。

 

イノベーションには多様な考え方・バックグラウンドを持った人が必要です。それゆえに、コミュニケーションを大切にし、多くの時間を使っています。

Q.そんな多彩な人材が集まる貴社の社風はいかがですか?

日本ヒルティさま社屋

 

宮野様:イノベーションの意識が強く、ボトムアップで自分たちのビジネスを深化し、変革させたいという職場の雰囲気があります。

 

「誠実」「勇気」「チームワーク」「コミットメント」の4つの価値観をもとに、フィードバック文化で組織を固め、そのうえでイノベーションに挑戦していく姿勢が顕著です。

 

その一つにボランティア活動があり、とくに災害復旧活動が活発です。これは当社の企業へのリース品を再使用したもので、リース期間後に回収したものをメンテナンスし、無償で提供しています。

 

いわば工具のサスティナビリティです。長年に渡り、電動工具を社会に提供してきた自負がありますので、ボランティア活動でも製品が役に立つことは、当社ならではのサポートができて感慨深いものがあります。

 

近年起きた熱海での豪雨災害でも、ボランティア募集があったときには、社内で自然発生的にチームができ、ボランティアへと向かいました。

 

他にも老朽化する建物の解体や、高齢者宅の清掃なども行いました。

 

HSY(ヒルティに幸せと喜びを)という社内向けのボランティアチームも活動しています。

 

彼らはコロナ禍のとき、外出がままならず日用品を買いに行けない全従業員に生活用品を発送したり、あるいは全国の従業員が参加できる企画を立案したり、会社負担によるチーム単位でのファミリーバーベキューを実施するなど、様々な活動を行っています。

 

HSYによるボランティア活動を通して、社員同士の繋がりを通じた一体感や、組織への信頼感・温かみなどを感じる機会が増えています。

Q.キャリア開発についてはいかがでしょうか?

宮野様:キャリア開発についてもやはり、「コミットメント」という明確な共通概念をもって取り組んでいます。

 

キャリアは他者に依存するものではなく、自分でどう作り上げていきたいかを考えていくべきものでしょう。

 

ひとことにキャリア開発といっても、変わる前提で考える人もいれば、今のキャリアのままで磨き上げていきたいなど、一人ひとり方向性は異なるため、自分なりのアウトプットを見つけてもらうようにしています。

 

「My Development」という上司と面談するプログラムがあり、これは傍からみると他社でもよく行われるキャリア面談と思われるかもしれませんが、ヒルティ独自のキャリア開発に基づくものになります。

 

そこでは「キャリアシート」と呼ばれる、従業員の様々な情報が網羅されたシートが用意され、キャリアについて仔細に書き込みをし、プログラムで発言したことは全て記録されます。

 

後々のキャリア検討の際には、ほぼ100%このシートの内容を元にして決定されます。

 

面談において、上司のメンバーに対するコメントも記録され、その対応が正しかったかチェックされるため、双方が事前にきちんと準備を行い、有効な面談にしなくてはなりません。

 

「コミットメント」の観点から、当社では自分の意見を述べられる場が多い半面、キャリア開発においても発言内容に責任を持つことが求められます。

Q.自分自身でキャリアを見出し、シートをベースにアプローチをしているんですね?

宮野様:当社では「ヒルティ・ピープルレビュー・イン・ジャパン」という、人事に関するグローバルなレビューの機会があります。

 

そこでもキャリアシートが活用されており、本人が何年も前に言ったことも含めて提示され、その後のキャリアに反映されていきます。

 

キャリアシートは本人の学歴・職歴や資格のような基本的情報のほか、前述の面談等をもとにしたキャリア展望について、自分の強みなどの分析結果などが書き込まれています。

 

明確なキャリア展望を持っている人は、キャリアシートには英語で記述しています。「ヒルティ・ピープルレビュー」では各国の人事が目にするため、それだけ広く自分自身をPRしやすくなるでしょう。

 

そうした点からも、キャリアシートを見るだけで一人ひとりの心がけの度合いが分かるようになっています。

 

このように、当社は「コミットメント」の視点を持った方であれば、会社がグローバルに最大限バックアップしてくれるので、成長したい人には魅力的な職場だと思います。

 

実際に多くの社員が30年、40年と在籍し、退職後再雇用しても報酬や業務内容は変わることなく、そのままご活躍頂いています。

 

採用については、ハイブリッドな働き方やオーナーシップに基づく自由な社風など、ヒルティの良さをもっと多くの方々に知っていただきたいですね。

 

そのためにも人事担当者としてもっと広く外部にPRを行い、より多くの人に当社への関心を高めてもらえるようにしたいと思います。

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