株式会社新経営サービス|社員が自由に活躍する場をつくり やりたいことの集合が企業戦略となる

更新:2024/03/06

作成:2022/09/25

新経営サービス

中堅・中小企業などに対する組織変革支援を行っている株式会社新経営サービス。

Great Place to Work® Institute Japan 2022年版日本における「働きがいのある会社」ランキングでは、小規模部門の上位に選ばれています。

入社2~3年目から各種セミナー登壇や企業コンサルティングを行えたり、また入社数年で書籍出版のできる人材の育成手法について、山口社長にお話いただきました。

<目次>

貴社の事業内容と特徴・強みについて教えてください

山口俊一近影_座
弊社はこれまで40年以上にわたり、主に中堅・中小企業に対する組織変革支援を行ってきました。コンサルティング分野は大きく3つに分かれています。

まず、1つ目は賃金や評価システムの構築支援など、「人事制度・戦略におけるコンサルティング」で、弊社の主力分野になっています。

2つ目は教育研修などにみられる、経営者や管理職層に重点を置いた「人材育成へのコンサルティング」で、弊社が事業をスタートした祖業です。

そして、3つ目は業績改善や中期経営計画の策定など「全般的な経営課題の解決をするコンサルティング」です。

いずれも社員数~2,000人ぐらいまでの中堅・中小規模の企業が主なクライアントとなります。

主力となる人事制度へのコンサルティングには時代毎のトレンドがあり、成果主義からジョブ型雇用、人的資本経営など、時代ごとに雇用形態や評価方法などが見直されています。

そうした移り変わりも踏まえながら各クライアントの課題に向き合い、弊社がこれまで積み上げた実績を基に、定型ではない業種別の解決ノウハウをもっている点が弊社の強みになっています。

人事コンサルティングのプロとして、貴社内の組織づくりはどのように行っているのでしょうか?

他のコンサルティング会社と大きく差別化されるのは弊社ならではの「自由さ」で、社員の個性が生かせる組織づくりにあります。

先に述べた通り当社には3つの事業分野があり、社員の所属先も分野毎に決まりますが、活動内容に垣根はありません。人には得手・不得手があるので各人が自分のやりたい分野を自由に選んでテーマを決めています。

中には人事制度や人材育成コンサルをしながらセミナー企画やウェブコンテンツづくり、本の執筆まですべてやりたいという社員もいます。

基本的に会社が一方的に「これをやりなさい」と指示することはありません。テーマや方法など、仕事の取り組み方は各人が自分で選んでいます。

もちろん上司がアドバイスすることはありますが、まずは社員に裁量を持たせ、特に若手には早期から経験を積ませるという組織風土があります。

各人に「意欲」と「行動力」があれば、会社もその意欲に応えて実現に向けてサポートしていきます。そうした社員1人ひとりの“やりたいこと”が集まって、会社の経営戦略も形成されていきます。

社員構成は新卒が1/3、コンサル経験者が1/3、異業種からの転職が1/3となります。

新卒採用時にも、インターンシップを通して入社早々から自由に、自発的に仕事を作り出す弊社の考えや姿勢を示し、理解いただいたうえで採用ステップを進めています。

また中途採用時は一次面接から社長、専務、常務などの経営陣が担当しています。

ただ、一次面接で選考決まるわけではなく、意外と二次面接以降の方が厳しく、私が面接した後には「社長の私がOKでも、以降が厳しいので油断しないように」と応募者には話しています(笑)

大企業であれば「多数を採用する中で何人かがうまくマッチすればOK」という余裕もあるかもしれませんが、弊社では毎年2~3名程度の採用のため、面接は慎重に実施して、しっかりと会社の考えを伝え、組織づくりにそのまま生かせる人材を見出しています。

採用後はどのような人材育成を行っているのでしょうか?

書籍出版一覧
弊社では人材教育プログラム(CDP)に基づき、新入社員にはブラザーもしくはシスターをつけ、世話係として初期指導を行っていきます。

まずは先輩コンサルタントへの同行、各種研修講座のアシスタント業務を経験する中で、社会人として、コンサルタントとしての基礎を学んでいただきます。

また、中小企業診断士、ビジネスキャリア検定資格取得のための費用を会社が負担したり、年間10万円までの研修・セミナー参加を支援したり、海外視察に派遣したりするなど、社歴に合わせて会社が自己啓発のサポートを行っています。

これらの人材育成も、もちろん自分で手を挙げた人にのみ実施します。

セミナーへの登壇等も基本的に手を挙げた社員が対象になります。弊社では入社2~3年目から登壇する人もいますが、最初からうまくいく人は少ないです。

まずは先輩社員の様子を丸々お手本にしてスタートし、徐々に自分の色を出せるようチームごとの勉強会や事例教育会などを開催し、各人の成長にも助力するようにしています。

まずは失敗しても、自ら進んで回数を重ねていくことが大切ですね。セミナー登壇を重ねていくと社員が早期に成長するので、意欲があればどんどんチャレンジしてもらっています。

書籍の執筆もテーマを本人と相談しながら立てていきますが、肝心なのは発行する出版社への企画書です。

出版社からOKをもらうために外部アドバイザーと契約して、ブラッシュアップを重ねながら、より確実な書籍発行へと結び付けています。

書籍に関しては会社によってはトップだけが書いていたり、社員が手掛けても会社名を編者としてたりしますが、弊社では著者である社員名をしっかり明記しています。

「著者」となることが仕事の励みになり、責任感も養うことにつながっています。

書籍発行について、入社間もない社員の中には「ハードルが高い」と捉えていて、こちらからずっと言い続けて何年か経ってから書きはじめる人もいます。

ただ、もともと採用時に自分から仕事を見つけ、発信したがる人に入社いただいているので、どこかのタイミングで書き始めるのが当たり前という感覚もあります。

どの分野にしても、自分のやりたいことに自然と手が上がるよう仕掛けていくことがポイントになると思っています。

幹部育成などに関しては、どのようなお考えをお持ちでしょうか?

最近、人的資本経営にも関連して上場企業でサクセッションプラン(経営陣の後継者育成)が取り上げられていますが、目が出る人をうまくピックアップしていくことは大切です。

幹部育成に関しては、適任者と思われる社員には研修よりも、例えば子会社の社長をやらせたり、プロジェクトリーダーに抜擢したり…といったことが大切です。

研修は明確な目的があるうえで参加させるべきで、研修ありきでは教育は生きず、人は伸びません。

とくに幹部研修は、学んだことを活かす機会があってこその研修なので、会社はその場をつくることに取り組むべきでしょう。

「ポストが人を育てる」というように、自らの仕事をしながら学んでいけることが効果的なので、弊社でも若いうち、それこそ入社2~3年目から責任者としてセミナーを任せているのです。

そして、私は人材育成で何が最も大切かと尋ねられたら、「採用」と答えます。風土を保ち、それに沿った方を採用できるかどうかで会社の体制、育成が決まります。

結果として“たまたま”に見えるかもしれませんが、“たまたま”の人を必然的に採用できるかどうかで、活躍する幹部が生まれるかが決まるのだと考えています。

中小企業の経営者は人材育成について何を心掛けることが大事でしょうか? また、採用時に「選ばれる会社」となれるでしょうか?

セミナー風景
経営者の方には、自身が社員満足度や社員教育に注力し、社員の成長のために本当の「想い」を込められているかを見直していただければと思います。

“人材育成のため”として、外部研修や社内OJTなどの施策におぼれていくと、経営者の想いが社員に届きにくくなります。

弊社では先ほど述べたブラザー/シスター制度のほか、1on1ミーティングなど、一人ひとりへの関わりを重視する教育を徹底しています。

中小企業で育成の対象人数が限られているなら、なおさら一人ひとりへの関わりが大切ですし、実践もしやすくなります。

前述した通り、育成対象となる社員には早期から仕事を任せることです。そして、マニュアルより「まずやらせてみる」のが一番の勉強です。

失敗をある程度許容しつつ、マネージャーがフォローしながらどんどん挑戦できる場を提供していきましょう。

そうした自由に挑戦できる弊社の考えに共感してくれる人を採用し、会社はその人に合わせた教育・指導をすることで、互いが成長の軌道に乗ることができると思います。

学生に選ばれる会社をみると、採用を人事任せにするのではなく、社長が積極的に説明会等にも参加して、仕事の面白さや自社の風土を伝え、社長自身の魅力が伝わるように考え行動しています。

企業の中には、経営理念は完璧なものを掲げているのに掲げただけで実践されていない、採用時に社長も出てこないようなケースも見受けられます。

そうした会社では「選んでやろう」というスタンスが採用に臨んでいる場合も多く、採用時からすでにスタートしているはずの人材育成ができません。

自社の理念や社風を理解してもらい、「選ばれる」という姿勢で採用活動に臨むべきでしょう。

GPTWの働きがいポイントで、「報酬に対する納得感が高い」が挙がっています。働きがいのある会社として持つべき姿勢とは?

社員表彰式
高い報酬については「国内のコンサルティング業界でトップクラスにする」と先代社長である田須美会長からの意思があります。

また、弊社は上場しておらず対外的な利益還元がないため、その分社内への分配率は高くなっています。

ただし、弊社は上場していなくても毎月の損益データなどはオープンにしています。

会社の経営状況は社員に伝わっており、いかにきちんと還元しているかも一目瞭然ですので、それが納得感にもつながる要因になっているのでしょう。

その他、社員の満足度向上のため、表彰制度や社員旅行、レクリエーションなど福利厚生を充実させています。

評価方法についても「社内プロジェクトでの改善活動にどう取り組んでいるか」などの社内貢献に関する点やマナー、コミュニケーションなどもポイントになり、単に売上実績だけの評価ではないところが働きがいにつながるのではないかと思います。

働き方も前述の通り、一つの分野に秀でるもよし、すべての分野に広く挑戦するもよしで、自分なりの生き方が報酬にもつながっていくので、やりがいをもって業務に取り組むことができます。

もちろん高報酬は全社員が万遍なくというわけではありません。平均すると他社より高くなっているかもしれませんが、会社への貢献や自分なりの働き方が売上につながり、自分に還元された結果です。

なお社員のみならず、家族満足度を高める活動も行っています。

先に述べた社内旅行やレクリエーションは家族も参加可能ですし、経営計画発表会のあとの表彰式などはホテルで行い、そこには家族も参加できます。

もちろん参加したい人のみ出席していただいていますが、会社でお子様へのプレゼントも用意して、喜んでいただいているようです。

家族が参加できるものが多いほど、家族の皆さんから会社がよく見えて、働き方への理解も深まります。

コロナ禍では健康経営の一環としてマスク不足時に会社が調達したり、今はPCRや抗原検査キットを会社で買って社員に配ったりしています。

またオンラインミーティングが増えた昨今、東京や大阪のレンタルオフィスを契約し、ブースで作業ができるようにするなど、少しでも働きやすい環境づくりを、細かな点から心がけています。

パルスサーベイも行い、社員からの細かな声も拾って議論して対応しています。

パルスサーベイなども調査するだけして、その後何もしない会社も見受けられますが、これは逆に社員の失望を買ってしまいます。

きちんと会社として社員の声を理解・検討して、働きやすさを考えていきたいと思います。

会社としては「社員がどこでも通用する実力を持ちながら会社にいてくれるように働きがいを高める」、そんなある種の“やせ我慢”のような状態を続けていくことが理想の形です(笑)

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