ドクターマネージャー制度も、当院の勤務医による発案でスタートした仕組みです。あるとき、勤務中の様子をみたら、新人歯科医師に対して歯科助手が 「先生、今の説明じゃ患者さんにはわかりません。もっとこう言わないと…」とお尻を叩くような場面があり、これはまさに「ドクターのマネジメント」をしている役割だと思いました。
「歯科助手」ですと“歯科医師を助ける人”になってしまいますが、もっと重要な役割をしているはずだと。そこで「ドクターマネージャー」が誕生したのです。ドクターマネージャーという名付けには、“助手”として働くのではなく、主体性を持った働き方をしてほしい という想いがあります。
歯科医師というのは基本的に歯をどう治すかに意識が行きがちです。これは仕方ないところですが、そのために患者様の思いに耳を傾けられなくなったり、治療に対する意識のずれが生じてしまったりしては意味がありません。そこで“歯科医師と患者様をつなぐコーディネーター”としてドクターマネージャーが大事なポジションを担っています。
当院のドクターマネージャーは現在7名であり、異業種出身の方を採用するようにしています。前職が同業、歯科助手の方ですと即戦力ではあるのですが、前職での経験がかえって邪魔をして、自分で歯科医師に対する限界をつくってしまう からです。
逆に異業種出身であればそうした枠を持たず、「歯科助手とはこういうものだ」という意識がありません。入り口から考え方が違うので、歯科医師へのコミュニケーションも積極的で、関わる歯科医師も「やってみようか」という気になります。
ドクターマネージャーは、任された方々も自分で仕事をつくれる楽しさがあり、業務に面白みを見出すことが容易 になります。逆に“指示を受けるだけの方”は、やはり“助手”になってしまうので、ドクターマネージャーには不向きかもしれません。ドクターマネージャーのメンバーには、これからもやりたい仕事を自由につくり出してほしいと思います。
余談ですが、治療が終わると歯科医師は患者様に背を向けてカルテを書いたりしますが、これでは患者様の顔を見ることができません。私は歯科医師に「治療後の患者様の表情こそがあなたの施術結果を表しています」 と話しています。
その表情をみて次に生かすことができるよう、当院ではカルテ記入のときも患者様の方を向けるような形でカウンターを設置しています。
細かいように思えるかもしれませんが、当院が目標とする「スタッフが明るい笑顔で対応し、患者様の笑顔が絶えない」クリニックの実現、より良い職場づくり のためには、こうしたことも大切なポイントのひとつだと考えています。
先に述べた通り、過去に職場づくりで大きな失敗をして、最近はようやく良好な職場づくりができつつあるかと感じることもありますが、まだまだ道半ばです。とくに人材育成について今後も様々な取り組みを考えています。
たとえば、入社3~4年目になると成長の踊り場となり、「自分はこのままここで働いていいのか」といったモヤモヤ感が現れてきます。じつは来年もう一つ分院を立てる予定ですが、これは3年目のスタッフに主軸になってもらいたいと考えています。
他にも5~6年目のスタッフには組織全体を運営するスキルを学ぶ機会をつくるなど、年次や成長度合いに応じて育成するステージ をつくっていき、いずれは会社レベルのマネジメントチームもつくっていきたいですね。
組織が成長する中で独立したスタッフもこれまでにいます。聞いてみると、彼らも当院で研鑽してきた経験があるにも関わらず、日々抱えるのは人の悩みだそうです。皮肉でもありますが、人材育成、人の悩みは永遠のテーマなのかもしれません。
なお、そうした独立したスタッフのところでも、当院のマネージメントスタッフがサポートしており、これを事業化することも計画中です。当院から独立しても、ひとつのネットワークとして新たな広がりを見出し、お互いがより成長できる場づくり をしていきたいと思います。