コンピテンシー評価を組織に導入する際の手順・ステップとしては以下の4点です。以下に紹介します。
- ハイパフォーマーへのヒアリングと分析
- コンピテンシー評価項目の設定
- 社員へのヒアリングとコンピテンシーモデルの改善
- コンピテンシーモデルと企業の方向性を合わせる
ハイパフォーマーへのヒアリングと分析
コンピテンシー評価を行なうためには、まず高い成果を上げている社員を特定します。そして、ヒアリングを行ない、一般レベルの成果を上げている社員、成果を上げていない社員との違いを洗い出し、成果に繋がっている行動特性を洗い出していく必要があります。
ハイパフォーマーへのヒアリングは複数名に行うことがポイントです。一人だけにヒアリングを行いそれを評価項目とすると、偏りが生じる可能性があるためです。複数のハイパフォーマーに共通する行動特性を見極めていきましょう。
「社員特定と分析」は、コンピテンシー評価において非常に重要なポイントです。そのため、管理職や同僚、部下等にもヒアリングを行ない、さまざまな情報を集めるようにしましょう。事業内容や企業の方向性に沿って、理想的な人物像の行動特性や思考特性をリストアップしていくことも一つのやり方です。
また、定性的なヒアリングだけでは限界があるため、ハイパフォーマー、ミドルパフォーマー、ローパフォーマーへの適性検査を実施して、その結果を定量的に分析して、定性的なヒアリングとあわせて分析することで精度をあげることが一般的です。
コンピテンシー評価項目の設定
ヒアリング内容を元に、ハイパフォーマーに共通する行動特性から評価項目を作成します。
洗い出した行動特性から評価項目を作成し、評価として使える形にしていきます。この、評価として使える形になったものが「コンピテンシーモデル」です。
評価項目を作成する際は「コンピテンシー・ディクショナリー」や「WHOグローバル・コンピテンシー・モデル」を参考にすることで設定しやすくなります。コンピテンシー・ディクショナリーやWHOグローバル・コンピテンシー・モデル等は、ビジネスにおけるコンピテンシーを網羅的に分類したものです。ヒアリング結果を基に、自社ではどのコンピテンシーが成果に繋がるのかを照らし合わせることで、効率的にコンピテンシーモデルを作成できます。
例えば、以下はコンピテンシーの研究機関であるスペンサー&スペンサーが考案した「コンピテンシー・ディクショナリー」です。コンピテンシーが包括的な形(6領域・20項目)に分類されているため、「自社で成果を上げるためのコンピテンシーを整理して、自社なりに表現する」等が容易に行なえます。
| コンピテンシーの領域 | コンピテンシーの項目 |
| 達成行動 | 達成志向 |
| 秩序・品質・正確性への関心 |
| イニシアチブ |
| 情報収集 |
| 援助・対人支援 | 対人理解 |
| 顧客支援志向 |
| インパクト・対人影響力 | インパクト・影響力 |
| 組織感覚 |
| 関係構築 |
| 管理領域 | 他者育成 |
| 指導 |
| チームワークと協力 |
| チームリーダーシップ |
| 知的領域 | 分析的志向 |
| 概念的志向 |
| 技術的・専門職的・管理的専門性 |
| 個人の効果制 | 自己管理 |
| 自信 |
| 柔軟性 |
| 組織コミットメント |
社員へのヒアリングとコンピテンシーモデルの改善
コンピテンシーモデルができたら、作成したモデルを踏まえて社員へのインタビュー・ヒアリングを行います。本格的に運用する前に、検証を行うことが重要です。作成したコンピテンシーモデルが、実際に成果に繋がるものになっているかという検証です。
評価や採用基準に関するモデルを作ったときに大切なのは「予測的妥当性」という考え方です。これは、「作成したモデルで評価が高い人物は、実際に仕事で成果を上げている人物と一致するか?」を示す指標です。
モデルでの評価と実際のパフォーマンスや成果を照らし合わせて、8割を超える程度の納得感があれば、十分な予測的妥当性だといえるでしょう。
コンピテンシーモデルと企業の方向性を合わせる
コンピテンシーモデルが固まったら、最後に企業の方向性と一致していることを確認します。作成したコンピテンシーモデルと、企業のミッションやビジョン、バリューが一致していないと、コンピテンシーモデルを導入することで、組織の方向性や社風に悪影響を及ぼす恐れもあります。
自社のミッションやビジョン、バリューと一致していない、親和性が低いと考えられるコンピテンシー項目があった場合には、慎重な検討が必要です。ズレがあるということは、成果をあげるための行動とバリューで提供する行動が違うということです。その状態でコンピテンシーモデルを導入すれば社風を乱しますし、一方で、バリューを浸透させると成果を阻害する要因になり得るということです。
作成したコンピテンシーモデルと企業のバリューが一致していることは、組織にコンピテンシー概念を導入して成果を出すために重要な要素です。
コンピテンシーモデルを導入する
コンピテンシーモデルと企業の方向性のすり合わせが完了したら導入・運用となりますが、導入後も定期的に検証・改善していくことが大切です。
企業を取り巻く環境、事業状況やメイン顧客の変化、組織編成や業務内容が変化すると、成果をあげるためのコンピテンシーも変化します。作成したコンピテンシーが的外れなものとならないように、「コンピテンシー評価が高い人が入パフォーマーになっているか?その傾向に変化がないか?」は運用内でチェックしておきたいところです。