心理的安全性の高い組織をつくるチームビルディングとは?実践方法を紹介

更新:2022/04/21

作成:2022/01/27

古庄 拓

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

カジュアルなオフィス

チームビルディングとは、目標達成に向けて積極的に協働するチームをつくる

ことです。チームビルディングを成功させるには、メンバー間の相互理解を深めたり、リーダーとメンバーの信頼関係を作ったりするなど、さまざまな実践ポイントがありますが、特に大切なのが、チーム内の心理的安全性を確保

することです。

本記事では、チームビルディングと心理的安全性の関係を解説したうえで、心理的安全性を高めることで得られるメリット、心理的安全性が低いチームがどうなるか、心理的安全性の高いチームをつくる方法

を紹介します。

<目次>

チームビルディングと心理的安全性

オフィスに集まる男女

まずは、心理的安全性がどのようなものか。また、なぜチームビルディングにおいて重要なのか確認しましょう。

心理的安全性とは?

心理的安全性は、1999年にエイミー・C・エドモンドソン氏により提唱された考え方です。具体的には、チームメンバーからどのような反応があるかに不安を感じたりすることなく、自分の率直な意見、失敗、無知、懸念などを安心して開示できる状態を指します。

心理的安全性が高いチームは「仲がいいチーム」?

心理的安全性が高い状態は、「みんなが優しい」や「仲がいい」と勘違いされることもあります。しかし、心理的安全性の高さは単なる仲の良さや優しい組織ではありません。仲の良さや優しさは、「仲の良さ」自体が目的化してしまうことがあります。

逆にいうと、単なる仲良し組織や優しい組織では、関係悪化への恐れや遠慮が生じやすい環境であるとも言い換えられます。結果的に、相手の意見と異なる意見を述べたり、施策への懸念を述べたり、真剣に意見を戦わせたりすることが起こりづらくなる側面もあります。

一方で、心理的安全性の高いチームは、率直な意見、失敗、無知、懸念などの“リスクが高い発言や行動”をしても関係悪化しないことへの安心感がある状態です。心理的安全性は、組織や個人の成果をあげるために、チャレンジングなコミュニケーションをするうえで土台となるものなのです。

チームビルディングで心理的安全性が注目される背景

Googleが自社における実証結果として、「チームの生産性を高めるためには心理的安全性が最重要な要素である」と発表したのをきっかけに、多くの企業で心理的安全性の考え方が重要視されるようになりました。

心理的安全性への注目が集まる背景には、近年は以前のような労働集約型の労働が少なくなり、知識労働に従事する人が増えている実情が挙げられます。

知識労働のチームが成果をあげるには、多様なバックグラウンドを持った人が集まり、信頼関係をもとに、それぞれの専門性を発揮したり、イノベーションを起こしたりすることが重要です。

現在社会における心理的安全性が確保された場とは、上記のような「多様なバックグラウンドを持った人が信頼関係を築いた場」でもあります。つまり、チーム目標の達成に向けて協同する状態を作る

というチームビルディングのゴール自体が「心理的安全性を生み出すこと」といっても過言ではありません。

心理的安全性を高めることで得られる4つのメリット

心理的安全性が高まったチームには、以下のメリットが生まれます。

ミスコミュニケーションの減少でリスクや失敗が予防される

心理的安全性の高いチームは、以下のような内容が率直に話せる雰囲気です。

  • 異論の提示
  • ミスの報告
  • 問題への指摘
  • 課題の相談
  • 不明点の質問

など

心理的安全性が高ければ、報連相なども適正なタイミングで行なわれ、上司とメンバーやメンバー間の大きな認識のズレ、懸念を抱えた状態での計画実行、ミスを隠したままの業務進行などは起こりません。

チームに生じた小さな課題は、徐々にコミュニケーション不足や認識のズレを生み、大問題に発展することもあります。何かに気付いたり、感じたりしたときに、すぐ相談や報告ができれば、小さな問題が大問題になる前に予防することが可能となるでしょう。

心理的安全性が高いチームでは、失敗や無知を開示することに対する余計な恐れもありません。すると、失敗が起きても早期のうちに共有されることで、相互フォローや解決が可能になります。

計画精度の向上やイノベーションが生まれやすくなる

チームの目標を達成するには、組織が立てた計画に沿ってメンバーが協働し、PDCAをまわしながら計画の振り返りや軌道修正をしていくことが大切です。しかし、そもそも計画立案の段階でメンバー間の率直なディスカッション、異論や懸念、突拍子もないアイデアなどが出てくる環境でなければ、計画自体の精度が高まりません。

心理的安全性の高い組織では、計画立案や遂行時において、他メンバーの意見への異論、施策への懸念、感じた疑問や質問、完成していないアイデアなども心理的なリスクを感じずに発言・提案できます。

お互いへの信頼とみんなで協力して仕事を良いものにしていこうという雰囲気のもと、計画精度の向上イノベーションの創出などが行なわれやすい環境です。

チームの実行力が高まる

心理的安全性の低いチームでは、自分がミスや失敗した際の批判を恐れて、受け身の姿勢で仕事をするメンバーが多くなります。

また、自分の力不足を感じたり、実行しきれないリスクを感じたりした場合にも、助力を求めることは自分の無能を示すシグナルとなりえるため、自分一人で問題を抱え込むことも増えます。当然、チームの実行力は低下することになります。

一方で心理的安全性の高いチームでは、失敗を恐れず「やってみよう」「挑戦してみよう」という雰囲気で満ちています。また、自分の力が足りないこと、懸念があることなども素直に組織内に共有できるため、相互協力が生まれやすく、チームの実行力は高まります。

チームメンバーのワークエンゲージメントが高まる

ワークエンゲージメントは、メンバーの精神的な健康度や仕事へのコミットを示すものです。「働きたい(I want to work)」という気持ちで前向きに仕事に没頭できている状態でもあります。

前向きに仕事に没頭できている状態と対比されるのは、そもそも仕事に集中していない状態、また、ワーカホリックに代表される「働かなければならない(I have to work)」というマインドで仕事している状態です。

仕事への集中がなければ成果は上がりづらいですし、「働かなければならない」という一種の強迫観念に追われて仕事をしている状態は長続きしません。

心理的安全性の高いチームでは、人間関係も健全で、周囲と協力して目標達成に力を注げている状態です。余計なことに気を取られずに自分がやるべきミッションに没頭できますし、周囲と協同することは仕事にやりがいをもたらす要因となります。

メンバーが仕事に対して熱意や活力を持って没頭していれば、生産性や定着率も向上しやすくなるでしょう。

心理的安全性が低いとチームはどうなるか?

不安げな女性

チームビルディングがうまくいかず、心理的安全性が低い組織になった場合、どのような状態が生まれるのでしょうか。

心理的安全性が不足していることで生まれる4つの不安

心理的安全性が不足すると、チームメンバーには以下4つの不安が生まれます。

無知だと思われる不安

知らないことや疑問点はあって、質問したら無知だと思われたり、軽蔑されたり、怒られたりすることへの不安がある状態です。無知だと思われることへの不安があると、疑問や懸念があっても質問しなくなります。

結果的に周囲と違うやり方で作業を進めてしまったり、注意点を知らないまま大きなミスをしたりする問題を起こす

こともあります。また、疑問や懸念が解消されないことで、周囲のメンバーと認識がズレたり、チームの施策や計画自体の精度が落ちたりすることもあるでしょう。

無能だと思われる不安

能力不足と思われることを恐れる不安です。能力不足の不安がある場合、能力があるフリをしたり、失敗を隠したり、失敗を恐れてチャレンジしなくなるような問題が起こります。また、進捗に課題があったり、懸念があったりする場合にも周囲にアドバイスや助力を求める行動が起こらなくなります。

結果的に、ミスを隠すことで大きなトラブルが引き起こされたり、チーム全体の実行力が低下したりすることになります。

邪魔だと思われる不安

チーム内で邪魔な存在と思われることへの恐れです。邪魔になる不安があると、ミーティングなどのときに、メンバーから邪魔だと思われないために自分の意見を言わなくなります。

常に「居場所を探している」「居場所に不安がある」状態で、精神的なストレスもかかります。周囲や上司の顔色を窺っているような状態となり、仕事の姿勢も受け身や消極的になりがちです。

ネガティブだと思われる不安

チームで仕事をするときには、あまり良くないやり方を指摘する、反対意見を伝える、懸念点を指摘したりすることなども必要です。しかし、こういった現状や誰かの意見を批判することは、ネガティブな人間だと思われるリスクもあります。

ネガティブな人間だと思われる不安があると、チーム内で否定的な意見を言いづらくなります。結果的に、施策の十分な検討やリスク見積もりができていない状態で意思決定が行なわれてしまうようなことが増えるでしょう。

4つの不安が引き起こすチームの状態

4つの不安を抱えたメンバーが増えると、心理的安全性が高い状態とは真逆の「自然体の自分をオープンにできず、常に周囲の顔色をうかがっているチーム」が生まれます。常にびくびくとして、周囲からどう思われるかに懸念を感じたり、メンバーからの信頼に不信感があったりする状態です。

しかし、チームで仕事する以上は、どれだけ懸念や不信感を抱いていても、一緒に仕事をしていかなければなりません。結果として、不信感を隠すかのように、表面的に優しく仲のいい関係を取り繕おうとしがちです。

したがって、心理的安全性の低いチームの場合、一見すると円満な雰囲気はあっても、目標達成に向けた真剣なディスカッションや指摘、相互協力はなく、組織の目標達成に向けた高い精度の施策づくりや協働は行なわれません。

心理的安全性の高いチームをつくる方法とは?

心理的安全性の高いチームを作るためには、以下の方法を実践するとよいでしょう。

メンバーを一人の人間として理解する

心理的安全性の高いチームをつくるには、記号やパーツではない「一人の個人」としてメンバー同士が認め合えるように相互理解を進めることが大切です。具体的には、専門性やノウハウといった仕事につながることに加えて、個人としてのバックグラウンドも共有することがおススメです。

相互理解を高める取り組みは、1回やって終わりではなく、雑談やMTGのアイスブレイクを通じて繰り返していくことが大切です。

メンバー一人ひとりの価値観を認める

メンバーそれぞれの価値観や多様性を相互理解して認めあうことは、異なるバックグラウンドを持ったメンバーが協同するうえで非常に重要です。

ビジネスにおける物事の捉え方や意見の相違には、裏側にある価値観や動機、強みの違いなどが反映されています。したがって、相互理解のなかで価値観や動機の違いなどを認め合うことで、意見の相違などに対しても「そういう捉え方もあるな」と受け入れやすくなります。

「仕事で大切にしていること」といった設問に対する答えを共有するのも一つのやり方ですが、以下のような検査などを使って、相互理解のなかで価値観や強みなどを共有することもおススメです。

  • ストレングスファインダー
  • 各種適性検査
  • コミュニケーションスタイル診断

など

こうしたツールで各自の共通点や違いを言語化、見える化することで、違いの理解と受容がしやすくなります。

チーム内で意見を述べやすい環境をつくる

チーム内の心理的安全性は、発言しやすい環境をつくることで高まります。また、メンバーの意見に耳を傾け、相槌を打つなどの姿勢も非常に効果的です。

メンバーが発言しやすくするうえで大切なのは、リーダー自身が、先ほど述べた4つの不安を解消していくような発言をすることです。以下のようなポイントを心がけるとよいでしょう。

  • 初歩的かもしれない質問を素直にする
  • 失敗やできないこと、弱みを開示する
  • 不安やリスクを口にすることをためらわない
  • メンバーの意見や質問を感謝して、承認する
  • 自分の意見への反論や懸念を受け入れる

など

なお、「承認する」や「受け入れる」というのは、すべての意見を受け入れることではありません。発信してくれたことを感謝する、たとえ初歩的だったり的外れだったりしてもバカにしないで丁寧に解説するという姿勢です。

まとめ

近年では、知識労働に従事する人が増えたことで、チームビルディングにおける心理的安全性への注目度が高まるようになりました。チームの心理的安全性を高めると、以下4つのメリットが得られます。

  • ミスコミュニケーションが減少してリスクや失敗が予防される
  • 計画精度の向上やイノベーションが生まれやすくなる
  • チームの実行力が高まる
  • チームメンバーのワークエンゲージメントが高まる

一方で、チームビルディングが下手で心理的安全性が低い組織には、以下4つの不安があり、率直な意見、懸念や異論の提示、助力の依頼などが行なわれなくなります。

  • 「無知」だと思われる不安
  • 「無能」だと思われる不安
  • 「邪魔」だと思われる不安
  • 「ネガティブ」だと思われる不安

心理的安全性の高いチームをつくるには、以下の方法を実践しながら、4つの不安を解除していくことが大切です。

  • メンバーを一人の人間として理解する
  • メンバー一人ひとりの価値観を認める
  • チーム内で意見を述べやすい環境をつくる

心理的安全性の高い組織を目指す方は、以下の資料をダウンロードして参考にしてみてください。

著者情報

古庄 拓

株式会社ジェイック取締役

古庄 拓

WEB業界・経営コンサルティング業界の採用支援からキャリアを開始。その後、マーケティング、自社採用、経営企画、社員研修の商品企画、採用後のオンボーディング支援、大学キャリアセンターとの連携、リーダー研修事業、新卒採用事業など、複数のサービスや事業の立上げを担当し、現在に至る。専門は新卒および中途採用、マーケティング、学習理論

著書、登壇セミナー

・Inside Sales Conference「オンライン時代に売上を伸ばす。新規開拓を加速する体制づくり」など

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